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シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その33後編

2021年11月 9日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品の33本目「ホーム・アローン」について、どこに注目すべきか述べていきます。

今回取り上げる「ホーム・アローン」は1990年に公開された、アメリカのコメディ映画です。地上波放送回数が10回を越える、マコーレー・カルキンが主演の「ホーム・アローン」「ホーム・アローン2」が有名ですが、人気シリーズで、ナンバリングタイトルとしては「ホーム・アローン5」まで制作されており、リブート作品(実質シリーズ6作目)として「ホーム・スイート・ホーム・アローン」も制作されています。

この作品でシナリオライターとして注目すべき点はどこかといえば「ストーリーとアクション描写の両立」について、です。

後にシリーズ化することも、マコーレー・カルキンが大人気子役になることも、日本ではまだ誰も予想だにしていなかったであろう、第1作目「ホーム・アローン」のコマーシャルがTV放映開始された当時、その内容において最もプッシュされていたのは、泥棒コンビのハリーとマーブを罠で撃退するシーンでした。

子どもが仕掛けたにしては巧妙過ぎる仕掛けともいえますが、子どもであるがゆえに容赦のなく、えげつないトラップの数々で、大の大人ふたりがズタボロにされるシーンの数々を中心とした動画構成のCMは、劇場に足を運ばせるに十分過ぎるインパクトがあり、大人も子供も気になる内容でした。

一見すると、そのCMに象徴されるアクション描写が中心の映画に思われる作品だったのですが、実際にそれらのシーンが登場するのはだいぶ後半であり、約100分の全体から見ればそれほど占める時間も長くはありません。

この作品が優れている点は、ケビンという「子供の視点」を中心に家族愛を描いたストーリーをしっかり伝えた上で、CMで取り上げられたシーンのような、目を引くアクション描写で楽しませる内容になっているところです。

「家族愛」というテーマは、幅広く共感を得やすいもので、定番かつ鉄板のテーマですが、それゆえに新規性と独自性を示すことが難しいテーマであることは、このブログでも繰り返し述べてきました。

シナリオは、それ自体が執筆された時点ではあくまで文字媒体の成果物でしかないので、アクション描写が実際にどんな形で映像になるかは想像するしかありません。しかし、だからこそ、映像化されて実際に視聴者がストーリーとアクションを両方受け取ったときに、どう楽しんでもらえるかを計算して、シナリオライターはシナリオを書かねばなりません。

「ホームアローン」は、1作目2作目に限らず、後発の作品もストーリーとアクションの両立バランスがとても良いので、ぜひ見てみて欲しいと思います。

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