学会発表の思い出(その2)
2021年11月19日 (金) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
先日は、私の初めての学会発表について書きましたが、今日は「初めての英語での発表」について書こうと思います。企業の研究所に就職して2年目の秋のことです。まだ駆け出しの研究者で、海外出張に行かせてもらえるほどではなかったのですが、ちょうどその頃やっていた研究に関係する大きな国際会議が名古屋で開催されることになり、そこに論文を投稿しました。学会の名前はInternational Joint Conference on Neural Networks (IJCNN)というもので、私の発表は"Deceptive" Problems for Hopfield Neural Networksというタイトルでした。
当時は何回目かの人工知能ブームで、私が取り組んでいたのは、巡回セールスマン問題と呼ばれる難しい問題を、ニューラルネットワークという手法で解くというテーマでした。ニューラルネットワークというのは、当時は何だか怪しげな研究分野という感じでしたが、それから30年近くたって、今では人工知能研究の中心技術として大いに脚光を浴びるようになっています。
さて、私の発表ですが、ポスターセッションという形式で少人数相手に話すもので、時間の制約も緩かったので、思ったほどの緊張はありませんでした。聞きに来る人も英語のネイティブ話者とは限らないので、下手な英語でも意外と何とかなるんだなと思った記憶があります。この発表でちょっと自信を付けて、そこからもう少し研究を発展させてジャーナル論文にすることもできたので、結果的にはとても良い経験でした。
発表が終わった日の夜は、夕食を食べてから名古屋市内のホテルに戻り、ひとりでテレビを見ました。1993年10月28日。そう、あの「ドーハの悲劇」の日だったのです。発表を終えた安心感とサッカーの落胆とで、複雑な思いの夜でした。
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