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ゲーム技術に関する学会発表紹介 (2)

2021年11月18日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。こんにちは。

11月6日から8日まで、NICOGRAPH2021 という学会が開催されました。私の研究室からは、1件のフルペーパー口頭発表と3件のポスター発表として採録されました。「ゲーム技術に関する学会発表紹介(1)」というタイトルで、フルペーパー採録の吉田君の研究とポスター採録の佐藤君の研究を紹介しました。今回は、さらに2件紹介したいと思います。

まず、学部3年の山本輝君の研究を紹介します。題目は「リアルタイムグラフィックスにおける回転剛体衝突判定の精度向上に関する研究」というもので、ポスター発表として採録されました。ゲームやシミュレーションにおいて、物理的な挙動を制御するシステムを「物理エンジン」というのですが、物理エンジンの重要な機能の一つに衝突判定があります。仮想空間中を動き回る物体同士の衝突を判定する理論なのですが、まだまだ不具合も多く発展途上な技術でもあります。山本君は、現在の一般的な衝突判定アルゴリズムが回転運動で問題が生じやすいことに着目し、回転運動に特化した高速な衝突判定アルゴリズムを提案しています。まだ山本君は3年次生で研究を始めたばかりですので、この研究も萌芽的な段階なのですが、さらに開発を進めてこれまでの衝突判定を超える性能が発揮できる日を私も楽しみにしています。

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干渉状態の判定アルゴリズムの模式図

もう一つ、同じく学部3年の渡辺充君の研究を紹介します。題目は「チューリングパターンを利用した範囲分割と複雑な境界生成」という研究で、ポスター発表として採録されました。この「チューリングパターン」というのは、現在のコンピューターの仕組みの基礎である「チューリングマシン」を考案したアラン・チューリングが考えた数式で、専門的には「反応拡散系偏微分方程式」というのですが、この理論を用いるとトラ、キリン、猫、シマウマなどの毛皮模様を理論的に生成することができます。渡辺君は、この理論が基本的に領域を2種類のみで表現されることに対し、多種類の領域で分布を制御する方法を考案しました。チューリングパターンは生物学や社会学などにも応用されることが多く、渡辺君の理論を元に様々な応用領域があるのではと期待しています。

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チューリングパターンを応用した多種類領域分布生成

渡辺大地 (メディア学部教授)

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