卒業生の活躍とメディア学部のカリキュラム(表現と技術を駆使して『劇場版 呪術廻戦 0』のCGを統括するCGディレクター)
2021年12月26日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース
メディア学部の三上です.
今日は公開から早くも興行収入100億越えの評価を受ける『劇場版 呪術廻戦 0』でCGディレクターという要職で活躍する私の研究室の卒業生「木村謙太郎」氏の話をしたいと思います.
このCGディレクターという仕事は作品におけるCGの統括をする仕事です.作品によって,3DCG監督,CG監督,CGチーフなど様々な呼び名で呼ばれます.監督が作品全体の統括をする立場とすると,CGに関連する領域を監督をサポートしながら統括するという大変重要な仕事です.最近のアニメ作品はCGなしでは成立することは困難です.そのCG表現を一手に引き受け監督と2人3脚で表現していく仕事は,メディア学部の教育の集大成でもあり,実にメディア学部らしい仕事といえます.
大学で学部を作るときに大事とされる3つのポリシー「アドミッションポリシー」(入学者選抜,求める入学者像),「カリキュラムポリシー」(教育の指針),「ディプロマポリシー」(卒業要件,卒業時に求める力)があります.それらを作るときに,ディジタル技術を用いた映像制作におけるプロデューサーやディレクターなど,統括する役職を生み出すことを念頭に議論が進みましたので,まさにそれが具現化された形です.
プロデューサーやディレクターは経験職であり,コンテンツ業界に就職したうえで,さらに経験を積み,周囲の信頼を得てようやくたどり着く役職です.メディア学部のOBでは,劇場公開作品『劇場版 誰が為のアルケミスト』のプロデューサーの木村将人氏や『ガールズ&パンツァー』の劇場版やTVシリーズの3監督の柳野啓一郎氏,劇場版『スタードライバー THE MOVIE』のCGI監督の太田光希氏,『君の名は。』,『天気の子』,といった新海誠監督作品の3Dチーフを務める竹内良貴氏などが活躍しています.(ほかにもたくさん活躍している人がいます)
CGディレクターという仕事は,CGに関する表現はもちろん,新しい技術の探求やそれを作品に利用する際の検証などの技術的側面,そしてチームを統括しながら監督や他の部門との調整を図るコミュニケーション力と,まさにメディア学部の各コースの能力が終結したようなスキルが要求される仕事です.メディア学部の学びをある意味具現化してくれる卒業生が数多く生まれていることは大変喜ばしいことですし,元祖メディア学部が今でも最前線のメディア学部であることの証でもあります.
さて,木村君ですが,学部時代からチームでの映像制作やゲーム制作などを通じ作品制作のスキルを高めてきました.作品制作のスキルもさることながら,卒業研究の成果も映像表現・芸術科学フォーラムという学会で「トラックアップに対応した散点透視図法の3DCG表現の提案 」として発表しています.CGは空間を正確に描写しますが,絵画などでは消失点が複数ある複雑なパースを作成して制作することがあります.このような映像をCGで作り出しただけでなく,カメラの動きに対しても破綻なく表現する手法を開発しています.表現と技術の融合によってなせる研究です.
このようにメディア学部では,コンテンツを作るだけでなく,その表現を高度化するための技術,そしてその技術を多くのスタッフが結集する実際の作品において円滑に実現するためのマネージメント力を手に入れることができます.専門学校や美術大学,理工系大学では学べないこの広がりが重要です.
これこそが東京工科大学メディア学部が数あるメディア学部の中で元祖でもありつつ20年以上も先進し続け,多くの人材を生み出している理由だと思います.
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