エンデミック移行後の大学にできること
2021年12月18日 (土) 投稿者: メディア社会コース
来年は新型コロナがパンデミックからエンデミックに移行するという話があります。ワクチンが今以上に普及し、治療薬も普及すれば、確かにあり得る話ですね。では、来年度の大学生活はどのようになるのでしょうか。
おそらく選択肢は、コロナ禍の前の状態に戻るか、コロナ禍に始めた新しいスタイルを取り入れるかの2つでしょう。コロナ禍の前に戻るのはとても簡単ではないかと思います。しかし、せっかくコロナ禍に新たなスタイルが生まれたのであれば、それらをどのように活用するかを、さらに模索していくべきではないかと考えています。
その一環として、今年からハイブリッド授業を活用することを目的とした学内プロジェクトを始めました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
対面とオンラインの両方で行うハイブリッド授業を活用して、多様性に対応する教育の仕組みを実現したい!
https://www.teu.ac.jp/gakubu/2021.html?id=118
このプロジェクトは昨年後半から今年の始め、つまり東京に感染拡大の第3波が来ている最中に構想を練りました。この時期はコロナ禍で初めて対面と遠隔のハイブレッド・ハイフレックスによる授業が試されていた頃で、その後のワクチン摂取や治療薬が期待され始めていました。まさにエンデミック移行後の大学のあり方を想像しながら企画をしたのでした。
では、新型コロナ感染への脅威がなくなったとした場合、リアルタイムにオンラインで授業を配信する意義は何でしょう。私は以下の3点が挙げられると考えています。
・障害のある学生への配慮の一部となること
・小中高の生徒に向けて授業を配信することで学びの範囲が広がること
・いわゆる生涯学習として社会人の学び直しの場となること
さらに、動画配信に字幕をつける意義は何でしょうか。
・聴覚障害や発達障害のある学生への情報保障になること
・障害がなくても視覚優位の学生の情報補助になること
・多言語化できるため、留学生への情報保障になる
・海外にいる他大学の学生と連携ができる
これまで変えたくても変わらなかったことがコロナ禍には一気に変化しました。これまで思いつかなかった方法が、コロナ禍に生まれました。しかし、人間は楽な方に流される生き物で、やらなくても良いとなればすぐに元に戻るでしょう。しかし、変化することで困っている人が助かるなら、少し大変でもやるべきでしょう。変化することで新しい可能性が広がるなら、頑張って変えるべきでしょう。
エンデミック移行後に、コロナ禍に得た新たな知見を生かして、日本は良い方向に変わることができるのでしょうか。
私たち一人一人の気持ち次第だと思います。
メディア学部 吉岡 英樹
略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。
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