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2022年1月

第11回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2022年1月31日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「起承転結に囚われすぎたシナリオの欠点(あな)」です。

「起承転結」は、漢詩をもとにした文章構成のことで、「起部」「承部」「転部」「結部」の4部から成り、小学校から中学校の頃に習う代表的な物語構成のひとつです。4コマ漫画はこれを利用したものだ、と教わった人も多いことでしょう。

実際、シナリオの教則本や、ライタースクールの講義などでも、この「起承転結」は取り上げられることが多いです。ゆえにシナリオ本編執筆の前段階である、プロット作成において「起部」「承部」「転部」「結部」の4部にわけたパラグラフ(文節)で記述、提出する人もよくみかけます。

「起承転結」にあわせてストーリーを記述しなければならない、という決まりがあるわけではありませんが、定番や定石として幅広く知られた文章構成であり、実際、テンポよく4部で展開されるストーリーが書かれたプロットはとても読みやすいです。

そんな「起承転結」ですが、先日、本学東京工科大メディア学部で映画用シナリオを書いていた学生から、こんな質問がありました。

「起承転結にあわせてストーリーを書いているのですが、起部から書き始めて、なんとか承部までは書けても、転部で行き詰まってしまいます。文字通り、そこまでのストーリーをうまく『転』させたいのですが、なにかいい方法やコツはないでしょうか」

シナリオを「起承転結」の構成で書いたことがある人なら、これはよくある悩みだと思います。渾身のアイディアを元にした登場人物、世界観を「起部」で述べて、それらに基づいた「承部」で諸々の出来事が展開させたのは良いものの、その後が続かない思いつかない状態となり「転部」で筆が止まってしまう・・・。

一度そうなってしまうと、なかなかその状態から抜け出すことができないもので、それでも締切に差し迫られ強引に書き切ると、後半の内容が残念な展開になり、シナリオの欠点(あな)となってしまいがちです。「前半は見ていて面白かったのに後半が尻すぼみでがっかりした」などと言われる映画のシナリオがそれです。

では、この問題にはどう対処すればいいのでしょうか。

私は、この質問をしてきた学生にこう解答しました。

『そもそも、最初に起部を書いて、次に承部を書いているのが間違いです。最初に書くべきは結部で、その次に起部です。その2部が書けた後に、承部と転部は書きましょう。そして、承部と転部に必要なのは起部と結部を繋ぐことであって、奇をてらったことをしなければならないというわけではありません。強いて言うなら前半の承部より、後半の転部にインパクトのある出来事を記述するよう心がけることぐらいです。観客は前半より後半に期待するからです』

質問の内容は「転部をどう書くか」というものだったので「転部の上手い書き方」を教えて欲しかったのだと思いますが、ストーリーというものは因果関係の連続であり、一部だけの問題はその場だけの問題のように見えて、全体を見直さなければ解決しません。

さらに付け加えるならシナリオ執筆未習熟者は、自分の考えた登場人物や世界観の設定が思いついただけで書き始めてしまい、そもそも結末を考えていない傾向にあり、不思議なことに「起承転結」の前から順番に書いていけば「そのうち思いつくだろう」と思い込んでいる人がとても多いです。

思いついたアイディアをすぐにでも形にしたくて書き出したくなる気持ちは大変よくわかるのですが、せっかくのアイディアなのですから、それが最も活きる瞬間がどこなのかを見定めるべきで「起承転結」はそのために用いるべき文章構成と言えます。シナリオを書くときには特にうまく用いたいですね。

食とか数とか (了)

2022年1月30日 (日) 投稿者: メディア社会コース

現代の日本は、おそらく世界で一番、多彩な食が得られる場所のひとつではないでしょうか。

比較的身近で世界中の食品が手に入ります。これはもともと日本に関係ある人が世界中のさまざまな場所にいるのと、最近では世界中の人が日本に来るためだと考えられるかもしれません。

しかし、そうしたことだけでない理由があるように思います。そのひとつが、外国の食に対する偏見が少ないのではないかということです。

ここ最近、スイーツだけでも、タピオカ、マリトッツォ …と、それまで一般的でなく食べたことのない外国製の新顔がはやり、多くの場所で食べられるようになりますが、食べたことのないものは食べない人たちばかりだとしたら、こうはならないでしょう。

食を受け容れることが、それを食べている人を受け容れることにもつながればいいと思います。

食と数・数学に関しては、まだまだ述べることがありますが、それは別の機会にと思います。
1週間お付き合いいただき、ありがとうございました。
(メディア学部 小林克正)

食とか数とか (6)

2022年1月29日 (土) 投稿者: メディア社会コース

栄養成分表示される三大栄養素のひとつ、炭水化物はおおまかに糖質と食物繊維に分けられます。それぞれはもちろんさらに細かく分けられます。
データベース上は、糖質は消化される炭水化物なので、利用可能炭水化物とよばれるものあるいはその一部です。
一方、食物繊維は消化されないので、利用可能でない炭水化物とよばれますが、体内の善玉菌の栄養になるとされているのは良く知られています。

研究機関でなければ、糖質などの成分の量を直接、測定するのは難しかったので、データベースから推定してよいことは、すでに述べました。炭水化物の量から食物繊維の量を引き算することで、糖質の量を算出できます。このことを知っていれば、表示されていなくても、糖質の量を知ることができます。

糖質の量を直接、測定するのは難しいと言うと、糖度計というものがあるのでは、と思うかもしれません。
実は、以前から使われている屈折計といわれる糖度計で測定されるのは、糖質そのものではありません。

このタイプの糖度計では、果汁などの液体に溶け込んだ成分の濃度を測定しています。あくまで溶け込んだ成分なので必ずしも糖質ではないのです。同じ屈折計で塩分を測ることができるのがその証拠です。

最近、使われるようになった、分光分析計というタイプの糖度計では、赤外線をあてて、吸収された波長を分析することで、糖質の量を測定できるようです。

この分光分析では、糖度計より規模の大きい装置を利用して、さらに細かく分析することで、糖質に限らず、炭水化物やその成分の種類や量を測定できます。この分析には、解析学などの数学の方法が用いられています。
(メディア学部 小林克正)

食とか数とか (5)

2022年1月28日 (金) 投稿者: メディア社会コース

食品表示を話題にしていますが、アレルギーはじめ健康に不安がある人にとっては切実です。

食品にアレルギーをひきおこす物質であるアレルゲンを表示するのは当然でしょう。食品によるアレルギーは、よく知られているアナフィラキシーショックなど重篤になりやすいからです。

アレルゲンとして、表示が義務付けられている特定原材料になっているのは、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、ピーナッツの7品目、表示が勧められているものが、牛肉、豚肉など21品目あります。
おいしそうなものが並んでいますが、それは、アレルゲンは主にたんぱく質で、たんぱく質やそれを構成しているアミノ酸がうまみの元だからです。

一方、昨日も述べた栄養成分で、普通にカロリーといっている熱量や、それを産生するもとになる、たんぱく質・脂質・炭水化物の三大栄養素の量、食塩相当量に換算したナトリウムを表示するのは、糖尿病・腎臓病や高血圧などのある人や予防したい人に利用してもらうためということから始まったようです。

健康と食への関心が広がった現在では、多くの人が栄養成分表示を当然として受け取っているために、その表示やもとになるデータベースは多くの知見にもとづいて内容が更新されています。
(メディア学部 小林克正)

食とか数とか (4)

2022年1月27日 (木) 投稿者: メディア社会コース

昨日は関連する程度でしたが、今日は食品表示そのものを取り上げます。

食品表示は、名称・原材料名・添加物・内容量・賞味期限・保存方法・製造者といったものがあります。

この他にも、栄養成分、アレルゲンを含む原材料などが表示されます。

加工食品などは、栄養成分表示として、熱量、たんぱく質・脂質・炭水化物、それにナトリウムが義務付けられています。

この栄養成分表示には数学が必要になることがあるのです。

栄養成分は、化学的に分析して、これらを測定すればいいのだから、数学は直接関係ないと思うかもしれません。

しかし、実は、販売者は、分析するのではなく、推定してもよいことになっています。ひとつの理由は、分析するためには、食品を無駄にしなくてはならないからだと思われます。

この推定は、基礎となるデータベースの値から積算すればいいので、用いられる計算もあまり難しいものではありません。しかし、推定ですから、根拠が必要です。

本当にきちんとした推定では、統計学の方法を使います。ここに数学の必要性が出てくるのです。ただ、それはやさしくないので、表示では簡便に積算してもいいようになっています。

推定した場合、表示には推定値や目安だと記してありますから、よく見てそのつもりで利用するのが賢明ということになります。
(メディア学部 小林克正)

食とか数とか (3)

2022年1月26日 (水) 投稿者: メディア社会コース

今日の話題は、食に限らないのですが、食品表示にもあるので、取り上げます。また、食と数と言っておいて、昨日までは数に関係なかったので、今日は数に関係する話題にもなります。

飲料などの内容量の表示で、リットルという単位があり、Lと書かれていますが、少し前まで、ℓと書かれていたのをご存じでしょうか。

1リットルは、一辺が 10cm の立方体の体積つまり1000㎤(立方センチメートル)と同じ容積のことです。

本来このような計量の単位で人名に由来しないものは小文字で表すことになっています。メートルもいま書いたように小文字の m ですね。そこで、リットルは小文字の l で書くことになります。しかし、数字の 1 とまぎらわしいので、日本では筆記体の ℓ にしていたのです。

ところが、今は英文字の筆記体を習いません。実は、これは日本よりアメリカのほうが顕著で、活字に近いブロック体しか書けない人も多いようです。イギリスでもブロック体に近い筆記体を習うようになり、昔ながらの筆記体は一般には用いられなくなっているようです。

結局、筆記体を読み書きしなくなったので、リットルを表すのに筆記体の ℓ は使わないことになりました。しかし、小文字の l はやはりまぎらわしいので、計量単位の例外として、大文字のLを使っているというわけです。

年配の方の中には、リットルを L で表すようになったことをまだ知らなかったり、間違っていると思ったりする方もいるので、説明してあげるといいかもしれません。
(メディア学部 小林克正)

食とか数とか (2)

2022年1月25日 (火) 投稿者: メディア社会コース

昨日から、全国学校給食週間ということで、食にかかわることを書いています。

現在、高校での昼食の時間は、残念ながら黙食するように言われてしまうと思いますが、話しながら食べるのは、友人との関係を深める、いい機会でもあると思います。同じ釜の飯を食った仲ということばもありますね。

これが本当なのか調べた研究があります。今では古典的な論文で、食事をしながら話をしたほうがそうでない場合より好意が高まるという実験結果が出ています。

食事をしたら思いがけず打ち解けたという経験があるかもしれませんが、それは一般的であると立証されているわけです。

早く食事のときに話ができるようになってもらいたいものだと切に思います。
(メディア学部 小林克正)

食とか数とか (1)

2022年1月24日 (月) 投稿者: メディア社会コース

今日からの1週間は、全国学校給食週間だそうです。
そこで、この間、食と数にかかわる話題を取り上げます。よかったらお付き合いください。

学校給食と書きましたが、東京工科大学では、多くの大学と同様,当然のこととして、給食はありません。
しかし、学内では、食堂、弁当販売、学内のファストフード店、ケータリングなどで、食事ができます。

コロナ禍前は、高校生の皆さんと付き添いの方は、オープンキャンパスなどに来ていただくと、学内の食堂の昼食を無料で試していただける機会がありました。

直近はバーチャルなどの形式になって,残念ながら食事のできる対面開催はありませんでしたが、同趣旨の企画もありますから、開催の時期になったら、ぜひご参加いただきたいと思います。
(メディア学部 小林克正)

IoTプロトタイピング演習発表会

2022年1月23日 (日) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

このブログでも10月12月に紹介したプロジェクト演習「IoTプロトタイピング演習」ですが、最終回は成果発表を行いました。今学期は1年生2名、2年生と3年生が各1名の計4名の履修者でしたが、

  • 非接触型体温計+記録管理(micro:bit+温度センサ→LINE通知)
  • お茶を運んでくれるリモコン(micro:bitの加速度センサ→Raspberry Pi+モーター)
  • 居眠り防止装置(micro:bitの加速度センサ→別のmicro:bit+振動モーター)
  • Raspberry PiとMESHよる位置推定(Bluetoothの電波強度を利用)

という、意欲的な取り組みが行われました。最後の位置推定は複数のBluetoothデバイスの既知の位置からRaspberry Piの位置を推定するものです。

チュートリアルに沿ってそのまま作る経験は学期前半にしていますが、自分のアイディアを形にするのは皆さん初めてで、演習講師の瀬高先生のアドバイスを受けながら各自、ハードウェアとソフトウェアの制作に取り組みました。

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いろいろ調べながら試行錯誤の繰り返しでモノを作り上げるというのは効率が悪いように見えると思いますが、失敗の経験がないと本当の意味で理解することは難しいと思います。そして、一つ一つ自分が考えて作ったものや機能が動き出すというのは大変な達成感が得られます。これが「もっとやってみよう」という次への原動力となります。始めるのはいつからでも遅くありません。来年度の開講もありますので、興味をひかれた方はぜひ受講してください。

(メディア学部 寺澤卓也)

卒業研究を通じた成長

2022年1月22日 (土) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

先日の記事でも書いたように、2021年度のメディア学部卒業論文の提出(オンライン)締め切りは1月20日でした。私の研究室でも当日の昼くらいにはほとんどの学生が提出を終え、17時の提出期限ぎりぎりとなったのはほんのわずかでした。

提出にあたり、各学生は事前に指導教員から提出のOKをもらう必要があります。私の研究室では例年、年末から論文チェックを数回行って、年明けの提出ギリギリまで論文の質を高める作業を行います。ですからOKが出るのは締切前日か当日です。ほとんどの学生は長い論文を書いたことはありませんから、12月のうちに論文構成から文体、基本的な論文のルール、必要なWordの機能などを示すところから始めます。そして、各自の目次をだいたい決め、書けるところから書いてもらうという方式をとっています。

チェック用に提出された論文を見て指示を出しますが、短期間にこの作業を繰り返している間に、個々の学生が成長していることを毎年感じます。論文では明確な論理展開が求められ、一つ一つのことに根拠も必要です。したがって、研究もそのように進める必要があります。これは慣れていない人にとってはとても「めんどくさい」作業です。しかし、それを考慮して論文を仕上げていく過程で自分のやってきたことがどんなことか、もっと他の方法やできることがあったのではないかと各自が考えるようになっていることがわかります。(本来なら半年くらい前にそうなってほしいのですが、全員にそれを求めるのはいろいろ無理もあります。)もちろん、大外れにならないようにアドバイスするのが指導教員の役割ですから、破綻は避けつつ、それぞれの考えを尊重して一緒にゴールまで走ります。

各自の研究の達成度は違いますが、それでも、各学生が本人なりにそういう考え方ができるようになり各自の「正解」が見えるようになってくれたことは大きな成長だと思います。社会に出たら考え抜いて正解を出すことが求められます。卒業研究の経験がそれに少しでも役立てば大変うれしく思います。

(メディア学部 寺澤卓也)

創成課題大賞

2022年1月21日 (金) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

メディア学部では現在、3年次の6月ころに研究室配属を行っています。その後、3年後期から配属先の各研究室にて創成課題という卒業研究の準備の授業が行われます。その進め方は各研究分野や先生方の方針により異なりますが、4年次の卒業研究にスムーズに入ることを目的とし、文献調査や、準備学習、プロトタイプの制作などが行われます。

先日あった最終回の授業は、各研究室から選ばれた代表学生による成果発表会「創成課題大賞」がオンラインで実施されました。研究アイデア部門、プロトタイプ部門、文献調査部門の3部門で構成され、それぞれ、7名、24名、5名の発表がありました。発表者以外にも3年生は全員聴衆として参加し、良いと思った発表に投票しました。また、教員は別に審査を行い採点しました。

例年、様々な発表があり、非常に完成度が高いプロトタイプや、ユニークな研究アイディア、詳細な文献調査などが披露されます。今年も面白い発表がたくさんありました。2分という短い時間で発表しなければならないので、見せ方の工夫も様々でした。

卒業研究は基本的にそれぞれが異なったテーマで進めていきます。他の学生がどのような研究をしようとしているのかは、同じ研究室の中ではある程度わかっても他の研究室のことまではわかりませんし、違った分野では着眼点や進め方が違います。3年生はそれぞれに、自分が考えているテーマとほかの人のテーマを比較して思うところがあったと思いますが、他の人のやっていることを気にしすぎることなく、指導教員とよく話をしながら主体的に研究を進めてほしいと思います。

(メディア学部 寺澤卓也)

「考えた」が出てこない卒業論文

2022年1月20日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

昨日の記事で寺澤先生も書かれていたように、卒業論文の執筆では、「何を書くか(研究内容)」に加えて、「どう書くか(文章力)」も重要です。1年前の記事で、私の研究室では「私」という言葉を使わないようにしたという話を書きましたが、その後もいろいろと考えて、今年はNGワードをもう一つ増やしました。「考えた」です。

論文で何かを主張する際には、理由を付けて説明するのが基本です。「〇〇という理由により××である」みたいな感じですね。「誰それの論文によると××である」のように、他の人の研究をベースに主張しても構いません。でも、理由のところをちゃんと考えていないと、いざ文章にしようというときに、「××である」としか書けなくなってしまいます。とはいえ、理由もなしに断言するのはさすがにまずい思うのか、そういうときに「××と考えた」という書き方をする人が多いような気がします。確かに、考えたのが事実なら文として間違ってはいないのでしょうが、これでは話が論理的に進みません。そこで今年の卒研生には、「考えた」を使わずに卒業論文を書くようにという縛りを付けてみました。いきなりそんなことを言われて、これまで「考えた」を多用するのに慣れていた人は大変だったかもしれませんが、完成した論文を見ると、けっこう効果があったのではないかと思います。

さてさて、NGワードをこれ以上増やすのも大変だし、来年は何か違う文章トレーニング方法を考えなくては…。

文章を書くこと

2022年1月19日 (水) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

メディア学部では今年度は1月20日が卒業論文の提出締め切りとなっています。今日は前日の19日です。私の研究室でも最後の論文チェックを行っていますが、毎年感じるのは文章を書く力は個人差が大きいということです。様々な文章を読んでいる人の方が文章を書く能力が高いということが良く言われています。そのため、読書を勧めるという流れになるのですが、これがどの程度データに基づいた話か私は知りません。個人の経験で言えば、読むことも書くことも、そして自分や他人が書いた文章を直すこと・直されることもどれも大事なことであるように思います。

言葉とは進化・変化していくものですから、10年前の基準で判断することが今でも通用するのかは自信が持てないときもあります。現在の社会はSNS等の影響なのか、短文、あるいは単語のレベルでのコミュニケーション(?)が多い印象です。一方、学生の皆さんがレポート等で書いたものを読むと、一つの文がやたら長い割には主語が無かったり、主語と述語の関係がおかしかったりします。変換ミスや誤字脱字ではなく表現や漢字を誤用している(そう覚えているのでしょう)のもよく目にします。

やはり、先に書いたように読み・書き・推敲の訓練が足りないのではないでしょうか。かつて、メディア学部でも長文レポートを課して教員が添削するという授業を実施していたことがありますが、文章の添削指導は教員の側の負担も大きく、十分な量を実施することは困難です。やはり、一人一人が、整った文章をよく読み(教科書や論文も!)、レポートなどの文章を書く際にはよく推敲するということを地道に繰り返すしか方法は無いのかもしれません。何より、自分が書いた文章はおかしくないか?と気にかける姿勢が必要でしょう。

とはいえ、私自身も自分が書いた論文や著書の査読を受けると、内容のこと以外に文章表現についての指摘もかならずあります。能力の問題かもしれませんが、個人的には気分が乗らないときや眠くなっているときなどに書いた文章が指摘を受けることが多いようです。私がこのブログで書いている記事もチェックされると... 怖いです。

(メディア学部 寺澤卓也)

サラウンド音響の方向推定(総集編)

2022年1月18日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

芸術科学会論文誌の最新号に、当研究室卒業生の矢島さんが第1著者の「サラウンド音響環境における視聴覚情報の時間的不一致の影響」という論文が掲載されました(Vol.20, No.5, pp.219-230)。タイトルからもわかる通り、サラウンド音響環境で特定の方向の音を聴かせるときに、わざと矛盾するような映像を見せると、音の方向知覚がどのように影響されるかを調べた研究です。これまでにも、こちらの記事こちらの記事こちらの記事などで紹介してきましたが、ひととおりの研究がまとまったので、その集大成として執筆したのが今回の論文です。ちょっと前のブログ記事で紹介した、こちらの研究と似たような経緯ですね。

この論文も、執筆から掲載までは紆余曲折でした。最初に投稿した論文は、これでもかというぐらいの大量の指摘とともに不採録になってしまったのですが、どの指摘も実に的確なものだったので、ひとつひとつ一所懸命に対応して論文を修正し、さらに何度かの再投稿を経て、ようやく掲載に至りました。ブラインド査読なのでどなたかはわかりませんが、査読者の方と一緒に完成させた論文という感じです。

肝心の研究の内容ですが、一番興味深かったのは、音が鳴る瞬間に何か映像を見せると、音の方向推定の正解率が下がるという実験結果です。私の研究室でも、音と集中力の関係について研究したいという人は多いのですが、人間の集中力の総和は限られているという観点で考えると、他にも面白い研究テーマが見つかるかもしれません。

海外大学での講義

2022年1月17日 (月) 投稿者: メディア技術コース

もう昨年の話になってしまいましたが、年末付近に海外の大学で2件ほど講演をいたしました。といっても、残念ながらいまだにこのご時勢ではリモートでの実施ということでしたが、逆に言うと、こういうことが簡単にできるようになったとも言えますね。片方はデザイン学部で、もう一方はゲーム関連のいくつかの大学の学部が共同で実施したカンファレンスでした(たぶん…)。こういう機会では、研究室のこれまでの成果を並べて紹介するのが準備を簡単にすませる常套手段ではあります。しかしながら、今回はどちらも私の専門(インタラクション・デザイン)とは若干ずれているので、せっかいの機会と思い、これまで講義として話したことがなかった内容をまとめてみました。

 

デザイン学部(テイラーズ大学、マレーシア)のほうでは、アイデアの抽象化と他分野への適用についてを取りあげてみました。内容的にはゼミなどでよく話をするものですが、講義としてまとめるのは、自分自身でも考察しなおすのにいい機会でした。やってみると、まだ他の人に伝えるのに十分練れていないようですし、適切な具体例を見つけるなど課題がかなりありますが、とりあえずやってみたのはスタートとして良かったと思います。これをベースとして、来年度から大学院で新しい授業としてみようと画策しています。

 

もうひとつはVRやARについて話して欲しいとのリクエストでした。タイにおけるゲーム関連の大学の学部いくつか(タマサート大学、キングモンクート大学、シラパコーン大学)による共同シンポジウムのようでした。ということで、VR+AR+ゲームが期待されるテーマなのだと思いましたが、2日間に渡って複数の発表者が、VR、ARに関連したゲームやメタバースについて講演するようでしたので(メディア学部の三上先生も講演されました)、そのなかで素人の私が同じ土俵で話してもと思い、インタラクションデザインの観点からの考察というテーマで話を組み立ててみました。このような締切がある状態でもないと、アイデアをまとめるようなことは忙しさにまぎれてなかなかしませんから、こちらも漠然としていたアイデアをまとめるのに良い機会となりました。まとめている間に、研究のアイデアもいくつか浮かんできました。

 

それぞれの講演については、主催者側に顔写真を求められたので送ったら、それぞれ格好いいポスター画像を作ってくれました。こちらで主催して講演をお願いするときも、こういうものを作らないといけないんだなあと反省いたしました。どうせなら違う画像を送っておけば良かった…

 

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太田高志

 

 

第10回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2022年1月16日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「ラブロマンスの結末に関するシナリオの欠点(あな)」です。

何度かこのブログで述べてきたことですが、今も昔も「恋愛」はシナリオの人気テーマなので、毎年私がチェックするシナリオのジャンルでも特に提出が多いジャンルの一つです。

シナリオを読む側(最終的には映像作品を見る側)にとっても、シナリオを書く側にも人気のジャンルである理由や原因は色々あると思いますが、私が考える最大の理由のひとつは「主人公が作品全体を通して解決する中心的課題(セントラルクエスチョン)がわかりやすい」という点です。

少々無粋で語弊のある言い方になってしまいますが、恋愛モノのシナリオは基本的に「登場人物Aと登場人物Bが、紆余曲折を経て、結ばれる」という筋立てになるので、セントラルクエスチョンは「登場人物Aと登場人物Bは果たして結ばれるのか?」という問いかけになり、その過程で起こる様々な出来事や問題をいかにクリアして、その都度、受け手(観客)に、「登場人物Aと登場人物Bは果たして結ばれるのか?」と思わせ続けることが重要になります。

最近は同性婚の制度が広まりつつあることもあって「登場人物Aと登場人物Bは果たして結ばれるのか?」という表現にしましたが、異性同士であろうと同性同士であろうと、恋愛成就の過程をいかに魅力的かつ興味を引く内容にするかは、シナリオライターとして最も工夫すべき部分であり、一見どう考えても結ばれないであろう条件と状況におかれた者同士の恋愛を描くことに苦労するのはまだしも、安易に両者が結ばれてしまって過程になんの興味も抱かれないようなシナリオを書くことは避けねばなりません。

安易に結ばれないよう、さまざまな工夫が凝らされたラブストーリーのシナリオは、私自身がチェックしていても大変興味深いと感じるわけですが、そういったシナリオによくある欠点(あな)があります。途中までは恋愛成就のための条件クリアや問題解決のために奔走していることはシナリオに書いてきたのに、肝心の結末部分において「(登場人物Aか登場人物Bのどちらかが)告白して結ばれた」としか書かれていない事例がそれです。

確かに恋愛の形やそこで発生する感情の数々は、千差万別、十人十色で、言葉だけで記述するには限界があるかもしれませんが、それでもシナリオは「映像コンテンツの設計図」であり、映像として表現されない部分は何らかの形で表現する手段を考えなければなりませんし、安易にセリフで告白しただけでは、観客も満足できないでしょう。

以前、私は「シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その3」で、映画「ローマの休日」を取り上げ、こんな一節を書きました。

http://blog.media.teu.ac.jp/2020/09/post-7ad638.html

『この作品はラブロマンスの代表作としても広く知られていますが、あらすじに書きましたように「最後に恋は成就しない」作品です。男女の恋愛を描く作品なら、基本的には最後には結ばれて欲しいと願うのが視聴者側の心情ですが、この作品ではそうならなくても消化不良感がありません。これは主人公のアンが、恋愛を通じて自分の責任を強く認識するようになり、王女として自立する姿を描いているからです』

しがない新聞記者のジョーと一国の王女アンという、どう考えても不釣り合いなふたりが、ローマの街の散策を楽しみ、アンの追手をかわしながら、互いの魅力に惹かれあい、抱きしめ合いこそしても、別れてそれぞれの道を歩むことを決めた理由が、相手を好きになったからだと示すラストは、この作品がラブロマンスの代表とされる所以でしょう。

告白する、という行動をシナリオに記述すること自体が悪いわけではないのですが、恋愛モノのシナリオを書くなら、過去のラブロマンス作品をたくさん見て、結末のバリエーションを知っておきたいものです。

「音楽創作論」での作曲 〜お披露目に間に合いました〜

2022年1月15日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

先日(1月12日)のブログで、私が「音楽創作論」で作曲している曲についてご紹介しました。

このブログを執筆した時点(1月9日)では予定の7割しかできておらず、その先の曲の構想も立っていなかったため、1月14日の最終授業に完成が間に合うか
心配でした。しかしブログ執筆の翌日、思いのほかするするとアイデアが浮かび、その日のうちにどうにか完成させることができました。

曲の長さは2分半を想定していたものの、アイデアに任せて音を連ねていった結果、最終的に
3分ちょうどになりました。今回のお題のモティーフが大変難しく、当初は1分程度のコンパクトな曲を想定していたのですが、ある程度、構成感のあるものに仕上げることができて良かったです。ちなみに構成としては「提示部」「展開部」「再現部」「結尾」の大きく4つの部分から成ります。

そして昨日(1月14日)、最終回の授業でMuseScoreの楽譜データを再生する形でお披露目をしました。また、学生諸君には曲を聴いた上で曲名を考えてもらいました。95名から曲名案が寄せられましたが、今回の曲には「森」「湖」「雨」「夜」「洞窟」「海」「雪」「空」「春」など、自然をイメージしたものが多かったです。また、「結晶のよう」「冷たい」「寒い感じ」というコメントのほか、たまたまだと思いますが、2年前にこの授業で作った曲と同じく「Crystal」の文字を入れた学生が3名いました。逆に「明るい感じ」「優雅」といったコメントもあるので、人によって感じ方は本当にまちまちですね。考案した意図にも目を通して、これからゆっくり曲名を決めたいと思います。

曲を聴いての学生の評判はとても良く、これまでの作曲の
苦労が報われました。また、作曲にあたっては授業で取り上げた作曲技法をふんだんに注ぎ込んだので、「学んだことを実際の作品として聴くことができて感動した」というコメントは、作曲者として、そして科目担当教員として嬉しい限りです。

それでは、完成した曲の一部(「再現部」に入るところまでの約1分半)をお聴きください。現時点では強弱表現や細かなニュアンスのエディットはしていないため非常に無機質なサウンドです。左手の伴奏の音も大きく、お聞き苦しいかと思いますが、ご了承ください。

【オーディオファイル】2021年度「音楽創作論」の履修生たちが考えた部分動機と
動機のうち、投票で選ばれた2名の学生のフレーズを使って曲を作ってみた(抜粋)


次回(2月中旬を予定)は、曲の構成の説明とともに、音楽的な表現をエディットした最終版をMuseScoreの演奏
動画で公開する予定です。お楽しみに!


(メディア学部 伊藤謙一郎)

第9回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2022年1月14日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「セリフに注力しすぎたシナリオの欠点(あな)」です。

シナリオについて学ぶ際、最初に知るであろう情報の一つはシナリオのフォーマットでしょう。同じ文章という点で共通している小説は、映画やドラマの原作になることもあるため、シナリオと混同されることも多いですが、小説とシナリオの違いを明確に示すなら、小説にはフォーマットがなく、シナリオにはフォーマットがあることです。

映画、ドラマ、アニメなど、メディアの違いや、制作スタッフの違いによって多少違いは出ますが、シナリオのフォーマットは基本的に「柱(はしら)」「セリフ」「ト書き(とがき)」の3つです。

「柱(はしら)」には、場所と時間帯を、「セリフ」には、発言者名と発言内容を、「ト書き(とがき)」には、登場人物の動き、起きた出来事、状況の変化をそれぞれ記述するフォーマットになっていることが、シナリオの特徴です。

そして、このフォーマットで記述できないことは、原則として書いてはいけません。特に「文学表現」と「抽象表現」は決して書いてはいけない情報です。

たとえばシナリオに「ほっぺたが落ちそうなくらい美味しいご馳走が運ばれてきた」と、書いてしまった場合、そのシナリオを読んだ人は、その内容を適切な映像にすることができません。なぜなら「ほっぺたが落ちそう」も「美味しい」も「ご馳走」も個人個人で判断基準が違うからです。シナリオに書くのなら「ハンバーグが運ばれてきた」など、具体的に映像化できるように書かねばなりません。

また「決して書いてはいけない」とまでは言われませんがシナリオにおいては「心理描写」にも気をつける必要があります。

前述の「美味しい」にも共通することですが、人間の心情は基本的に目に見えないものなので映像化ができません。しかし、表現することが不可能というわけではありません。では、どうすればいいかというと「セリフ」にすればいいのです。セリフで「これはほっぺたが落ちそうなくらい美味しいご馳走だ!」と、登場人物に言わせれば、その心情は伝わります。

しかし、それはとてもリスクの伴う表現になります。

他の表現が映像によって示されているにも関わらず、わざわざ登場人物が口に出さないと伝わらない要素を突きつけられる観客は、それをとても「説明的だ」と感じやすいのです。

以前、私は「シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その31」で、映画「リーサル・ウェポン」を取り上げ、こんな一節を書きました。

http://blog.media.teu.ac.jp/2021/10/post-2d2943.html?fbclid=IwAR2lQNQ_b-zR0tMoqiJWa61rn7E6sSj5qj2o_HkkwZBH63qd8vNbnf_wGro

『バディムービーは、このリーサルウェポンシリーズに限らず人気があるジャンルでもあることから、新規にシナリオを書いてみようとするシナリオライターが多いジャンルでもありますが、単に「ふたりの主人公」を用意すれば良いわけではありません。「対照的なふたり」を実現するためには、明確な意図をもって対比するポイントを考えておくべきであり、さらに付け加えるなら、その対比が興味深いもので、視聴者側が楽しめるだけの魅力があることを示せなければなりません。』

リーサル・ウェポンに代表される「バディムービー」の魅力の一つは、対象的な登場人物ふたりが、ときにまったく噛み合わないが、ときにびっくりするほど噛み合った掛け合いを繰り広げることです。そしてそのかけあいにおいて「セリフ」が重要であることは言うまでもありません。

実際、バディムービーのシナリオを書いてきた数多くの皆さんが、バディふたりのセリフに力を入れていることは、読めばすぐわかります。その熱意は素晴らしいものがあります。しかし、あまりに力を入れすぎた結果、なにもかもセリフで説明させることになり、かえってバディふたりの個性を潰してしまうこともよくあるのです。これはセリフの記述によって生じたシナリオの欠点(あな)と言えます。

「柱」「セリフ」「ト書き」というフォーマットにバランス良く情報を記述して、映像化されたときのイメージを適切に、制作関係者に伝えられるシナリオを書きたいものです。

初のハイブリット開催となったSIGGRAPH ASIA2021で卒業生が登壇した特別企画

2022年1月13日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です

12月14日(火)から12月17日(金)にかけて,世界最大のコンピュータグラフィックス関連の学会であるSIGGRAPHのアジア版,SIGGRAPH ASIA2021が開催されました.2020年以降,2020年,2021年のSIGGRAPH,2020年のSIGGRAPH ASIAはオンラインで開催されてきましたが,SIGGRAPH ASIA2021は初めてハイブリッドでの開催となり,東京国際フォーラムとオンラインで同時開催しました.

私は,Games Committeeの一員として,日本のゲーム業界ならではのトピックをSIGGRAPH ASIA参加者に伝えるために,ゲーム業界の方たちとともに取り組んできました.

同じく運営委員を務めている国内のゲーム技術カンファレンス「CEDEC」から,世界中の人にも知ってもらいたいトピックをセレクトして特別講演として提供したり,過去の日本のゲームの技術資料を展示したりなど企画しました.

企画したイベントの一つに,卒業生の鈴木卓矢氏に協力をお願いして実現した「Live Drawing」というイベントがあります.このイベントは1時間という限られた時間の中で,ビジュアルアートを完成させていく過程を見せるというもので,紙にイラストを描いていったりするアーティストもいる中で,鈴木氏には,ゲームエンジンであるUnreal Engineを用いて,ゲームやCGのバックグラウンドアートを構築していくプロセスを見せていただきました.

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鈴木氏の絵作りのこだわりに会場にいたプロや学生たちなど大変多くの来場者が感銘を受けていました.なお,鈴木卓矢氏はメディア学部のプロジェクト演習(プロフェッショナル背景CG)にて演習講師も務めてくれています.3年の前期から履修可能ですが,ポートフォリオによる選抜もあるので,誰でも履修できるわけではありませんが,背景美術アーティストとして業界や世界を目指すなら,ぜひ扉をたたいてもらいたいと思います.

「音楽創作論」での作曲 〜今回は難易度高し〜

2022年1月12日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

「音楽創作論」では毎年、通常の講義と並行して学生たちに短いフレーズを作ってもらい、それに基づいて私が作曲するイベントを行っています。このイベントの詳細は下記のブログ記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

 ■「音楽創作論」で作曲しました[2020.01.27]
 ■「音楽創作論」での作曲[2020.12.31]
 ■「音楽創作論」での作曲(その2):曲が完成しました![2021.02.10]

今回は「ミ」の音から始まる「部分動機(1小節)」の作成を課題とし、学生諸君に取り組んでもらいました。その中から投票で選ばれた部分動機をもとに、今度は2小節目のフレーズを考えてもらって「動機(2小節)」を作り、これを作曲のアイデアとして私が曲に仕上げます。作業の一連の流れは以下の通りです。

 【1】「ミ」の音から始まるフレーズを募集:学生による「部分動機」の作成
    (楽譜作成ソフトMuseScoreを使用)[第8回授業(11/26]
 【2】「部分動機」(96名)の掲示と投票(82名)[第9回授業(12/3)]
 【3】選ばれた「部分動機」の発表/
    その「部分動機(a)」につながる2小節目の「部分動機(a')」の作成
    (=「動機」の完成)[第10回授業(12/10)]
 【4】「動機」(86名)の掲示と投票(81名)[第11回授業(12/17)]
 【5】選ばれた「動機」の発表[第12回授業(12/24)]
 【6】選ばれた「動機」への和声づけ案の発表[第13回授業(1/7)]
 【7】完成した曲のお披露目/曲名の募集[第14回授業(1/14)]
 【8】完成した曲のデータの編集(強弱表現、アーティキュレーションなど)/
    決定した曲名を記載した楽譜の公開[春休み中]

この記事を書いている今(1月9日)、【7】のお披露目に向けて目下作曲中なのですが、今年の「動機」はとても難しい! 理由は「リズムが細かい(32分音符を含む)こと」と、音の並びが必ずしも「特定の和音や一般的な和音進行を想定したものでないこと」にあります。その動機はいかなるものか? 楽譜と音源でちょっと紹介しましょう。
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いかがでしょうか? どちらの小節のフレーズも32分音符を含む細かいリズムですが、特に1小節目はタイによるシンコペーションを含み、3拍目から拍が取りづらくなります。また、2小節目はその音の動きから、合いそうな和音を想起しづらいでしょう。

この動機にどうにか和音をつけましたが、その後の曲の展開がなかなかうまくいかず、作曲は遅々として進みません…。私がこの授業を担当してから最も難しい「お題」となりました。現在、仕上がりは7割程度にとどまっています。果たして5日後の授業までに完成するのか???

その結果は、次回お伝えしましょう。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

過去の道具かと思っていたら今も愛用されているようですね

2022年1月11日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

デザインにおいて、スケッチなどの表現伝達のために使う道具は自由です。個人的には初期のアイデアスケッチの段階では高度な道具を使うことなくフリーハンドで、そして採択案の表現伝達(プレゼン)の段階ではCGCADシステムを使う、というのが現時点では適切だと思っています。今はアイデアスケッチにもタブレット類の電子デバイスを使う人も増えてきていますし、プレゼン用のレンダリングをあえて手描きする人もいます。デザインに使う道具は素敵なデザインを導出するという目的のための手段としてのものなので、まあ、道具の選択は自由ですね。

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先日のブログにて、学生時代の課題で作った模型を発見という記事を紹介しましたが、今度は懐かしい道具を発見しました。楕円定規です。プロダクトデザインに直線と円は重要です。自由曲面で構成された形でも直線と円で構成された基本形態をベースに考察することも多いからです。平行投影にしろ透視投影にしろ、立体的な図での表現伝達のためには円は楕円になるので、プロダクトデザインを学ぶ学生には楕円定規は必須の道具でした。

あー懐かしい、楕円定規なんて今は使われていないだろうと思い検索したところ、なんと、バーっと出てくるではありませんか。漫画やイラストを描く方の中にPCやタブレットで仕上げる前の下描き時などに愛用しているみたいですね。

メディア学部 萩原祐志

プロジェクト演習の作品が「ゲームクリエイター甲子園」で総合大賞3位を受賞しました!

2022年1月10日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部でインタラクティブコンテンツ、ゲームデザインの講義を担当させて頂いている特任准教授の安原です。
本学部のユニークなカリキュラムとして知られている「プロジェクト演習」という授業は、三上教授を中心として一般の授業が終了した夜間の6時限目から、有志の学生たちがチームを組みビデオゲーム制作を行うもので、毎年個性的な学生ならではのゲームが誕生します。制作したゲームは授業年度が終わった後にも、チームによって品質を高める作業を行い、様々なアマチュアゲーム制作コンテストに出品されます。
「ゲームクリエイター甲子園」という株式会社オルトプラス様が主催されている全国規模の学生インディ(自主制作)ゲームの祭典があります。多くのゲーム企業も協賛企業として名を連ねるメジャーなコンテストで、今大会は参加学生数1500名、応募作品数が700作品を越えました。そして、その大会に出品したメディア学部の学生チーム「御伽珈琲店」の作品「GRAVARIOR」が総合大賞3位の栄誉に輝きました。

同作品は同時に「株式会社バンダイナムコスタジオ賞」、ゲスト審査員賞「ハイテンションガイジン賞」も受賞しました。

他のチーム「七園ファミリア」の作品「コトバシーン !!!」は「株式会社ミクシィ賞」を、そしてチーム「げ~みんぐ からあげ」の作品「Four Legs Chicken」は「株式会社4samurai賞」を頂くことができました。700作品を超える応募作のなかから、「プロジェクト演習」から生まれた作品が、これほどまでに業界各社様から温かく高い評価をしていただけたことに、そして学生たちのこれまでの努力が見事に花開いたことに深く感動しました。このようなコンテスト大会で受賞することは、多くの偶然の為せるもので、狙って受賞できるものではありません。そういう意味では僥倖ともいえますが、本学の学生たちの制作への熱意と、努力をし続けなければ決して得られなかった栄誉であることも事実です。学生たちは多くの企業担当者様にネット懇親会でお声掛けいただけたようです。
みなさんのいただいた賞には、業界のプロの先輩からの期待が込められていることを真摯に受け止めて、これを機にどんどん社会に出て自身の活躍の場を広げてくれることを願ってます。

 

https://www.jiji.com/jc/article?k=000000039.000053906&g=prt

パウエル街の話 その7

2022年1月 9日 (日) 投稿者: メディア社会コース

さて、ようやく時間は現代に戻ります。

私は色々な縁があって、パウエル街を訪問してそこをビデオ撮影することが出来ました。そのころ伺ったミュージアムの学芸員の方から、パウエル街の話しを最初に聞いたときには衝撃を受けました。特に、財産の話しは衝撃的でした。スティーブストンで出会ったかたには砂糖大根の畠がある州の工場で働き、働きにでたお父様たちは-20°以下でもお昼は工場内で食べられず凍ったおにぎりを召し上がったそうです。

パウエル街の分析は今また始めています。私たちが過去の記憶や過去の体験があった街を分析するのは様々な意味があると思います。今まで書いたことは、歴史学の先生方や社会学の先生方か書いていらっしゃることです。しかし、私は相互行為を分析することによって、今の人々が何を受け止めるかを知りたいのです。パウエルでの研究をいかして、他の研究にも応用して行きたいというのが今の私の希望です。

一緒にやってくださる方がいると嬉しいです。

           山崎 晶子

パウエル通りの話 その6

2022年1月 8日 (土) 投稿者: メディア社会コース

戦争が終わって、カナダ政府はバンクーバーから各地に送った人々に、カナダの東側に行くかそれとも日本に帰るか迫ります。不確かな情報ですが、ビートルズが来日した時にスーツを仕立てた方は、パウエル街に住まわれていたそうです。多分、日本に帰ることを選ばれたのかなと思いました(このことは後で調べたいと思います)。

 しかし、バンクーバーに骨を覚悟で来た人々、バンクーバーに愛着をもう人たちには、それは本当に困ったことでした。そのために、多くの方が交渉して、バンクーバーに帰ることが出来ました。森田さんは、戦後グリーンウッドであった人々にもう一度尋ねるのですが、そのようにグリーンウッドに暮らした人々、トロントなどに政府の言うとおり住んだ人々、そして森田さんのようにバンクーバーに帰った人々、カナダでの日本人移民の数は減り、日系人同士で結婚することも減り、日系人はマイノリティとなりました。そして今のパウエル街は、支援を必要とする方、家がない方が多く住まわれています。

 

  山崎 晶子

パウエル通りの話 その5

2022年1月 7日 (金) 投稿者: メディア社会コース

ここまで私は表題にパウエル通りと書きましたが、中ではパウエル街と書いています。パウエル通り沿いに発展した日本人街はその側の通りを含んで街となりました。また、鮭缶工場のあたりにあるスティーブストンも日系人の街でした。スティーブストンは、和歌山から来た漁師が多く住んでいましたが、自由に漁をすることや舟を持つことは日系人には禁じられていました。スティーブストンの人々の舟や漁の道具、パウエル通りの人々のお店、また日本人が集住するこによって生まれる味噌や豆腐や練り物などのお店は、日系人の移住によってなくなりました。それはただ、なくなっただけではなく、殆どの人が財産を処理する時間もなく、追い立てられるようにバンクーバーを出ることになったのです。

そして、カナダ政府はバンクーバーから追い出した日系人の財産だけではなく、アルバムなどのその家族やその人々にとってだけ大事なものを処分してしまったのです。カナダ政府やブリティッシュコロンビア州のしたことは、戦後大きな批判を呼びました。

先ほどから取り上げている森田さんは、そんな環境を受け止めて鶏を雛からかえすビジネスをしながらグリーンウッドで再三にわたって転居しながら暮らしていました。、

 

  山崎 晶子

パウエル通りの話  その4

2022年1月 6日 (木) 投稿者: メディア社会コース

さて、パウエル通りだけではなく、カナダではブリティッシュコロンビアに移民がいたのですが、第二次世界大戦が始まると、政府は殆ど準備の時間を与えずバンクーバーから日本人移民を出しました。

森田さんは次のように書いています。

「正月を過ぎるとまもなく、カナダ政府は18才から45才までの男性を道路キャンプに送ることに決めた。(中略)その後日系人総移動が確定、働き手のいる家庭はアルバータやマニトバ方面の砂糖大根畠に移動、自分で仕事を見つける事のできた家族は二月末までに自由移動していった。(中略)、老人や子ども、病人などをかかえた家族(中略)は、かつての炭鉱町グリーンウッドの廃墟」に定住したそうです。

パウエル通りは静かに日本人町をしていたわけですが、そこでの生業、森田さんの場合は料亭(いろいろあって廃業されたようです)やパイオニア移民(初期の移民)でお店を営業していたものも全て移住をしたのです。

それは今どのように捉えられているのかをパウエル通りの話 5でお話しをしたいと思います。

  山崎 晶子

パウエル街の話 その3

2022年1月 5日 (水) 投稿者: メディア社会コース

なぜパウエル街の話しをするかというと、パウエル通りはそこに様々な思いを持つ方がたいらっしゃるのです。

森田さんの御著書を読むと、パウエルストリートは、ヘイスティングス製材所というその当時のカナダの主要産業で、働く人材を欲していたところ、中国人を斡旋する業者が日本人の労働者も斡旋し、その結果側の入り江の筏で暮らしていたそうです。ところが、日本人労働者が沢山入ってくるようになって、理髪店やレストランが出来て、パウエル街には日本人街になりました。

しかし、どこの国でもそうですが、移民排斥の動きが高まり1907年に、暴動が起きることになります。

このために、最初に述べたように、パウエル通りは鳥居も持たず、あまり漢字の建物もありません。もともとパウエル通りは、中産階級のために、電車と電気などが引かれていた住宅地でしたが、そこに多くの日本人が様々な小売業からホテル、銀行(頼母子講)を営みつつ、日本人と感じさせないように暮らしていたそうです。

 

 山崎 晶子

 

 

 

 

パウエル街の話 その2

2022年1月 4日 (火) 投稿者: メディア社会コース

みなさんは、横浜や神戸の中華街を歩いたことはありますか?

肉まんの屋台があったり、中華の美味しいレストランがあったり、いつ行っても賑やかで楽しい場所ですね。中華の香辛料や音楽、そしてたまには獅子舞をみたり、お店のデザインも中国を思わせます。赤い鳥居がその街の入り口と出口をしめしているので、いつ行っても、そこからは中華街だということが街の賑わいでも分かります。これを執筆しているのは、2021年の7月26日ですが、早くこんな賑わいを感じられるようになりたいなと私も思います。

森田勝義さんというかたが『パウエル街物語』という本を書いていらっしゃいます。パウエル街は「日本人」が多く住んだところです。ところがその序文にこのように書かれています。

「バンクーバーのパウエル街の事を、リトル東京と呼んだり、ジャパンタウンと呼んだりする人を見かえるが、戦前からの移住者は決してこういう呼び方はしない。(中略)チャイナタウンと違って、パウエル街には鳥居一つあるわけではないし、通りに並ぶ建物も外から見たのではその辺りにあるものと変わらなかったが、ドアをあけて、一歩なかへ入れば全く日本風になっているところが多かった。」

「日系人は、カナダという国の中に融け込まなければならないと強く感じていたので、パウエル街に日本食料品の店や魚屋などが集まって来た現在でも、そこはリトル東京でもなければジャパニーズ・タウンでもない、ただ「パウエル街」なのである。」

街の中にバナー一つあるわけではないのです。しかし、ここは戦前日本人が多く集まったところなのです。そして、カナダに住む人々に刺激を与えないように、日本という出自を強調しなかった街、それがパウエル街です。

 山崎 晶子

 

 

あけましておめでとうございます:パウエル街の話

2022年1月 3日 (月) 投稿者: メディア社会コース

あけましておめでとうございます

 

今日から一週間担当をさせて頂きます。メディア学部の山崎です。

現在私は街歩きの研究をしています。この研究は、多くの人によって出来るようになりました。科学研究費基盤研究(B)という基金の助成や、今までの学生さん、特に清水さんという学生さんがいなければ私が街歩き研究に本当に没頭するようにはならなかったと思います。また、今までにあった日系に関わるミュージアムの方々、この方々のおかげで私は幸いにも撮影し、そして関心を持ち続けることが出来ました。清水さんという卒業生を始めとしてこの研究は、東京工科大学メディア学部に奉職して本当に良かったと感じられるものでした。

さて、パウエル街はバンクーバーの海側にあります。そこには沢山の日本人が戦争前に住んでいました。なぜ戦争前なのか、そしてなぜこんなことに今関心を持つのかということを明日から説明したいと思います。

 

 

ゲーム大好きなメディア学部生がリアルカードゲームとしての SDGs de 地域創生カードゲームを体験し、絶賛!

2022年1月 2日 (日) 投稿者: メディア技術コース

新年あけましておめでとうございます。

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は、千種が開催している複数のプロジェクト演習の参加学生に呼び掛けて実施した学生・講師含めて18名で実施した"SDGs de 地方創生カードゲーム"について紹介したいと思います。

"SDGs de 地方創生カードゲーム"そのものについては、以下URLに詳しく説明されていますが、その主旨は以下になります。

https://sdgslocal.jp/local-sdgs/

「潤いのある豊かな生活を安心して営むことができる地域社会」を目指すために、誰一人として取り残さないを誓うSDGsのアプローチが役立ってきます。住民、事業者、農家、行政、 NPO、自治会、商工会、農協、学校などの個別の立場や組織を越えて、産業・環境・ 教育・医療・福祉・防災・まちづくりなどの領域を超えて、持続可能な地域の未来を実現するための活動。いままさにSDGsにもとづく地方創生の活動が求められています。
それを体験学習として学ぶ「SDGs de 地方創生カードゲーム」とは、SDGs de 地方創生とは、特定非営利活動法人イシュープラスデザイン(i+d)と、株式会社プロジェクトデザイン(PD)が協働で開発したカードゲームです。

振り返ってみると、開発の着想を得、コラボレーションが始まったきっかけは2つあります。ひとつ目は、私たちが、地方創生という言葉が生まれる前から、地域の課題に取り組んでいたことです。イシュープラスデザインは「人口減少×デザイン」といった書籍の発行や各自治体に入り込んでの支援を通じて、プロジェクトデザインは、人口3万人の北陸のまちに本社を置く地方企業の代表として、活動を続けていました。しかし、もっと効果的に日本の地方全体が活性化するような方法はないか、模索していました。

ふたつ目は、2016年にプロジェクトデザインが「2030SDGs」という、本ゲームの前身となるものを、一般社団法人イマココラボと協働で制作したこと。「2030SDG」はSDGsというはじめて聞く人にはわかりにくい概念を効果的に伝えるためのビジネスゲームとして評価を受け、いまでは国内のみならず世界各国にファシリテーターがおり、実施されるようになっています。「2030SDGs」というゲームが広まるにつれ、「私達の地域に合わせたゲームが欲しい!」という声を書く自治体から頂くようになりました。

ということで、今回の"SDGs de 地域創生カードゲーム"のイベントは専門の外部講師・井上寛美氏をお招きいたしました。
https://www.facebook.com/hirata.h

SDGs de 地域創生カードゲームおよびファシリテーターのプロフェッショナルである井上寛美講師の最大の特徴は、ゲームそのものを通じて、物事を考えるきっかけを与えることです。今回はSDG de 地域創生カードゲームを通じて、SDGsとはどのような取り組みなのかの概念、そしえそれを解決するためには、連携や協働が必須であることを実感してもらうことです。

これは我々メディア学部の教員にとっても、授業を通じて学生に最も学修してもらいたいことは、スキルを身に着けてもらうことでなく、学生自らが社会の課題として物事を捉え、それについて深く考え、できればその課題を解決するために必要な学修に自ら取り組んでもらことです。

ちなみにファシリテーションとは現在の様々なシーンで重要視されている能力で、これを学修していく世界もあります。ファシリテーションの簡単な解説として、ファシリテーションの4つのスキルという講座概要があります。短縮URL https://bit.ly/3FMNpsC

Keywords ビジネススキル、チーム・マネジメント、円滑化

講座内容
企業の合意形成を導く、合理的に良い意思決定を導く4つのファシリテーションスキルを身につける、組織内での意思決定において、いかに集団の合意形成を推進するか。そのカギとなる4つのスキルを学ぶことができる講座です。

今、ビジネスの世界では、このファシリテーションを重視する企業が増えております。ファシリテーションは、特に若手ビジネスマンに対しての研修で多く取り扱われているテーマです。ファシリテーションとは、会議やプロジェクトなどの集団活動がスムーズに進むように、また成果が上がるように支援することをいいます。特にビジネスに必要なファシリテーションスキルは、組織における意思決定の引っ張り役としてのファシリテーションであります。

しかしながら、多くの方は、会議の司会役、程度の認識でおりますが、ファシリテーションを行う役、つまりファシリテーターの役割は、企業の合意形成を導く、合理的に良い意思決定を導く役となります。この講座では、企業に必要とされるファシリテーションスキルを身に付けることができる講座です。特にファシリテーションに必要な4つのスキルを身に着けることが可能です。

4つのスキルとは
・場のデザインスキル
・対人関係スキル
・構造化スキル
・合意形成のスキル
となります。

中小企業診断士でコンサルティング会社経営の金高誠司先生による、ビジネススキル研修シリーズ ファシリテーション4つのスキル。ロジカルシンキング、プレゼンテーションに続く第3弾です。近年、企業で重用視されているスキルのひとつ、ファシリテーション。組織内での意思決定において、いかに集団の合意形成を推進するか。そのカギとなる4つのスキルを学ぶことができる講座です。

今回のSDGs de 地域創生カードゲームを実施して、まず、参加した皆さんの感想をテキストマイニングした結果を以下に示します。千種にとっては中々意味深い分析結果で有益な情報となっています。

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以下、当日の写真何枚かを掲載いたします。

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以下に質問に回答する形で感想を書いてもらいました。質問1「この授業を通して得たこと、得たもの」

I.F.
 最初の方はルールをあまり理解できていませんでしたが、だんだん理解してきて、楽しむことができました。なかなか求めている役職カードが手に入れられなかったり、値段交渉が難しかったり、簡単に行かなかったのも面白かったです。また、各パラメータの伸びがラウンドで全く違くて、最終でいきなり伸びたものもあったので、その動きも面白かった。どのような政策をすると、どのようなパラメータ変化、どのくらいの報酬が得られるかなど、実際のSDGsに関しても学べる良いイベントでした!

H.K.
 SDGsカードゲームをこの授業で初めてプレイしたが、街づくりのために人々の協力、また住民と行政の連携が大切だと感じた。最初はみんな己の利益のために動いていた印象があったが、終盤になってくると己の利益よりも町の発展を優先してみんなで協力していたように思う。最初に書いた通りSDGsカードゲームを通して実際の街づくりも住民同士の協力、行政との連携が地域の発展に欠かせないと感じた。

Y.Y.
 私がこの授業で得たことは対話が重要だと学びました。最初は、ルールに戸惑ってしまい、思うように行動が出来ませんでした。しかし、話しかけるととてもスムーズに行きました。また、自分たちの条件が2ターン目に終わったのですが、自分たちが終わっても他の人を助け、協力し合うことで人口、経済、環境、暮らしを5から減らすことなく出来ました。対話の中で聴く、尊重する、声を出す、保留するこの4つをゲーム通して実感することが出来ました。地域活性化と自分とのかかわりを見つけ、今後自分はどのようにSDGsに貢献できるのかを考え、自分にできることを考えるとても良い機会でした。

S.K.
 カード―ゲームを通して地域創生の難しさを感じました。自分のカードに書かれているゴールを実現するためにそれぞれプロジェクトを進めるが、自分のやりたいことを優先すると地域活動は停滞し人口減少が加速し街を衰退していく。その結果一人一人のゴールを達成するのがますます難しくなってしまう。一方、チーム同士対話をし、協力をすると街の状態を示す人口、経済、環境、暮らしの4つの指標が上向き始める。その結果みんなが」自分のゴールを達成することに繋がる好循環が生まれ人と経済の豊かな生態系が息づく街になっていく。

H.I.
 私が11月に体験した時に比べ、ふりかえりのプロセスが非常に丁寧に構成されていることが非常に印象的でした。グループワークで意見を述べ合う時、「どのように意見を述べるか、表現するか」に意識が向きがちなところを、聴いた相手の意見について自分の言葉で述べる過程において「聴き合う」「認め合う」という要素を含めていたことは大変印象深く、「ふりかえり」をどのようにデザインするかという点において大きな学びとなりました。
 一方、講師の方が「自らの問題に引き付けた時に、SDGsのそれぞれのゴールはどのように関わっていると思いますか」という問いかけ には、受講生の皆さんからのコメントはなかなか出ませんでしたが、東洋大学においても自身の問題と感じている社会課題について学生同士口に出しにくい雰囲気があるようです。しかし、「SDGsの関心あるゴールを選んだ理由を自らの体験に結びつけて話す」という問いかけには、それぞれ自身の体験について受講生の皆さんがさまざまに話をされていて、「問い」次第で場の交流の深度が変わっていくファシリテーションの奥深さを垣間見ることができました。

U.A.
 パートナーシップを生み出していくためにも、「対話」が必要であること。
ファシリテーション(本日の目的、スライドの活用)

Y.N.
 SDGsの各項目が繋がっている、連動していること。例えばエコカーを増やす→クリーンなエネルギーが増える→環境が良くなるなど、プロジェクトカードに書いてあり、繋がりに気づくことができた。
 後半はカードゲームの振り返りを行い、SDGsについて各個人の考えを共有しSDGsのゴールを達成するために各個人がどういった行動ができるか考える良い機会になった。

 

また、もう一つの質問は、「質問2 またこの回の授業を友達にどのような授業だったと説明しますか。」

SDGsカードゲームをプレイしたら街づくりのために大切なこと、地方創成とSDGsの関係を楽しみながら学ぶことができる。ぜひとも一回やってみてほしい。

私は小地域の活性化と自分との関係性を発見でき、対話が重要であると学ぶことが出来る授業だった説明します。理由としてゲームを通して対話はとても重要で一人だけでは問題解決することはできないことがありました。また、援助してもらうだけでなく、自分たちが手助けをするなどして街の活性化に繋がりました。また、これから地元であったり、今住んでいる町をより良くするために自分にできることはないのかであったり、他人ごとではないという認識を見つめ直す授業だったのではないかと思いました。

この授業は地域創生に取り組む日本の自治体や、ソーシャルセクターの具体的なアクションを題材にし、様々なプロジェクトの実行を通じて行政と市民による協働を体感できるカードゲームです。

人口減少など課題を抱える地方の活性化や自分がまち、地球のために何ができるのか、そしてそれを実行に移すためには何が必要なのかの気づきを与えてくれる授業です。

前半はカードゲームで、各グループに職業が割り当てられ、配布されたプロジェクトカードと人材カードで職業ごとにあるクリア条件を目指す。グループごとに協力しなければ人口や環境、暮らしなどの全体に影響の出るパラメータが下がってしまうので、各グループが協力し合い楽しむことができた。

積ん読解消アプリ?

2022年1月 2日 (日) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
あけましておめでとうございます。

昨年末に家の大掃除をしていたら、仕事部屋で昨年買った本が乱雑に積み重なっている部分があったので整頓をしました。
積んだだけでしっかり読めてない本も多いので、ちゃんと読まないとなと思いつつ、せめて積んであるだけの状態は解消しました。
この流れで思い出したので、せっかくなので久々に宣伝をします。

私は本学卒業生で、以前紹介したプロジェクト演習のクリエイティブ・アプリケーションを受講していました。
そこで作ったiOS向けアプリの企画をブラッシュアップし、2013年に実際にAppStoreへのリリースをしています。
10年近く経ってしまいましたが、今でも時折遊んでいます。また、3歳の長女も遊んでくれています。

『ハノイの本』という、本棚の中で乱雑に散らばっている本を、本の高さ順に本棚に片づけるゲームです。
もちろん現実の本棚は綺麗にならないので、今回はタイトル詐欺ですね。積ん読は頑張って解消してください。

古くからある木のパズルゲームである『ハノイの塔』の、小さい円盤の上に大きい円盤を積めないというルールを片づけに付け加えています。
これは、当時の授業で整理整頓・温故知新・クリアという三つのキーワードからアプリを考えるという演習を行い、その中で生まれたものです。

ハノイの塔を参考にはしましたが、移動に使えるスペースの数が違うことで自由度が増し、その分多くの本や物を配置できるようになっています。
また、タッチインタラクションやサウンドにも大変こだわって作っており、綺麗なグラフィックもあわせてクォリティの高い作品になっています。
このあたりのこだわりはまた改めて記事にしますね。

iOS向け限定にはなってしまいますが、iPhoneはもちろんiPad系でも遊べますので、どれかしらデバイスをお持ちの方は是非遊んでみてください。
AppStoreで『ハノイの本』で検索するか、上記リンクをクリックしていただければ無料で入手できます。
知育アプリの側面もあるので、小さなお子さんやその親御さんにも紹介していただけると嬉しいです。

2022年: 新しい時代のメディア学部に向けて

2022年1月 1日 (土) 投稿者: メディア技術コース

あけましておめでとうございます。

2020年に続き、2021年も新型コロナウイルスへの対応に追われる1年でした。それでも10月からは大半の授業が対面実施となり、教室にも活気が戻ってきました。まだまだ心配なこともありますが、2022年はもっと良い年になると期待しながら新年を迎えています。

この2年間を振り返ったとき、二つのことが頭をよぎります。一つは、この苦しい状況の中でも、メディア学部の強みを十分に発揮して、何とか乗り切ってくることができたという思いです。情報を伝えることのプロであるメディア学部教員と、情報技術を学ぶことに貪欲なメディア学部生とが力をあわせ、様々なオンラインツールを駆使して学びを続けてきました。巷ではオンライン授業の品質について疑問を呈するような報道もありましたが、メディア学部の教育は一歩たりとも後退することは無かったと自信を持って言うことができます。

もう一つ、それと同時に思うことは、そうしたメディア技術も決して完璧では無かったということです。確かに学びは止まらなかったし、むしろ学習内容の理解度が高まったように見える科目もありました。それでも、10月からの対面授業で、それまでには無かった手応えを感じることがあるのも事実です。それを「ふれあい」とか「親密感」といった言葉で片づけてしまうのは簡単です。しかし、冷静になって科学的な視点に立ち、人と人が同じ空間を共有することの意義を追求していくことも、メディア学の重要な研究テーマではないでしょうか。教室で、みなさんと向かい合ったときに伝えるべき最も大切なことは何なのか、それを考え続けることが、2022年の大事なテーマになるのではないかという気がしています。そしてその先には、単に視覚や聴覚を再現するだけではない、本当の意味のバーチャルリアリティがあるのかもしれません。

2022年のメディア学部が、これまで以上に魅力的な学部になれるよう、みなさんと一緒に新しい挑戦を続けていきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い致します。

メディア学部長 大淵康成

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