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サラウンド音響の方向推定(総集編)

2022年1月18日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

芸術科学会論文誌の最新号に、当研究室卒業生の矢島さんが第1著者の「サラウンド音響環境における視聴覚情報の時間的不一致の影響」という論文が掲載されました(Vol.20, No.5, pp.219-230)。タイトルからもわかる通り、サラウンド音響環境で特定の方向の音を聴かせるときに、わざと矛盾するような映像を見せると、音の方向知覚がどのように影響されるかを調べた研究です。これまでにも、こちらの記事こちらの記事こちらの記事などで紹介してきましたが、ひととおりの研究がまとまったので、その集大成として執筆したのが今回の論文です。ちょっと前のブログ記事で紹介した、こちらの研究と似たような経緯ですね。

この論文も、執筆から掲載までは紆余曲折でした。最初に投稿した論文は、これでもかというぐらいの大量の指摘とともに不採録になってしまったのですが、どの指摘も実に的確なものだったので、ひとつひとつ一所懸命に対応して論文を修正し、さらに何度かの再投稿を経て、ようやく掲載に至りました。ブラインド査読なのでどなたかはわかりませんが、査読者の方と一緒に完成させた論文という感じです。

肝心の研究の内容ですが、一番興味深かったのは、音が鳴る瞬間に何か映像を見せると、音の方向推定の正解率が下がるという実験結果です。私の研究室でも、音と集中力の関係について研究したいという人は多いのですが、人間の集中力の総和は限られているという観点で考えると、他にも面白い研究テーマが見つかるかもしれません。

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