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2022年2月

この2年間のオンライン授業を効果的にするために利用したメディアの力とデザインの力 PART1

2022年2月28日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

このコロナ禍のオンライン授業の時期に世の中は激変していましたが、千種担当の授業科目の中にも激変した科目もあります。講義科目3、演習科目9、ですが総じてオンライン授業になり、いきなり学生の顔も見えなくなり、声も聞こえなくなった2年間でした。ということで従来どおりの授業をしていては学生との距離がかなり遠くなってしまい、結果、学修効果も著しく低減することになります。

そこで千種が活用したのはメディアの力とデザインの力でした。

まずメディアの力という部分では、オンライン会議ツールとして有名なzoomを新しいオンライン授業ツールとして利用して、学生との距離を知事メルことです。授業によっては撮影した動画と課題を提示してレポートを課し、学生は都合の良い時に受講してレポートを提出するオンデマンド授業もありましたが、千種の場合は、少しでも学生との距離が近くなるよう全て学生も教員も同時に授業に参加するリアルタイムで実施しました。そして、講義科目と演習科目で少し違いを出した授業スタイルがほぼ確立した2年間でした。

講義科目の場合は、授業前の準備段階で、全員が有している前提知識だけで想像がつくある概念の課題を用意して、さらに100人程度の学生を10~20人程度に等分割できる、その概念を説明する一段階低いレベルのキーワードを等分割数分用意します。例えば「自動車について調査してまとめさい」というある概念の課題を用意したとすると、その一段階低いレベルの(細分類した)キーワードとは「ガソリン自動車」「電気自動車」「自動運転自動車」などです。これらは自動車という概念の細分類したキーワードで、どのキーワードも自動車という概念を示すものです。

そして授業中にGoogle SlideというMicrosoft PowerPointというプレゼンツールのGoogle版を使用してのグループワークを実施します。

第13回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2022年2月27日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「新規性と独自性に執着し過ぎたシナリオの欠点(あな)」です。

シナリオライターが作品を生みだす上で、特に打ち出したい特徴は「新規性」と「独自性」でしょう。その作品が自身の名刺代わりになることもあり得るだけに、唯一無二の作品である、とアピールしたい人は少なくありません。そういった気持ちを持って、シナリオの執筆に取り組むことはとても大事です。

その作品を受け取る側からすれば『どこが新しくて、何が独自のものなのか』きちんと納得できなければ、「もう既にあるものを、改めて作る意味なんてあったの?」と一蹴されてしまいます。

流行の題材や、人気のキャラクター、定番のジャンルなどを反映した作品にすることで、幅広い人たちから高い関心を集めたいという思惑のもとにシナリオを書くことを依頼されることも少なくないのがシナリオライターですが、それでも「新規性」と「独自性」は求められます。流行していて、人気があって、定番となっているものほど、「独自」の「新規」ポイントが何なんなのかを見定めようとする目は厳しくなります。

しかしながら、今やパソコンの高性能化やネットワーク環境の充実、配信環境やSNSの広がりによって、まったく誰も見たことのない新しくて独自の作品をゼロから作り出すのは困難であり、ほぼ不可能といってもいい時代です。

そこで、そんな時代であるからこそ「新規性」と「独自性」を作り出す方法の一つが「アイディアの組み合わせ」です。

個々のアイディア自体は、既存の作品やキャラクターに採用されているものの、まったく別のジャンルやテーマのアイディアを抽出して組み合わせることで「独自性」と「新規性」を生みだすというわけです。いまや「コラボレーション」という言葉が一般的になったのも、そういった試みがふえてきたからだ、と言えるでしょう。

実際、私もそういった「アイディアの組み合わせ」によって「新規性」と「独自性」を盛り込もうとするシナリオライターの試みと、その作品を近年たくさん見てきました。

そのいずれもがとても意欲的なものです。「組み合わせ」である以上、少なくとも複数の作品とそれらの特徴について理解しておく必要があるため、安易に流行作品の表面的特徴をなぞったシナリオよりも「独自性」を感じるものが多からです。

ところが、この「独自性」がシナリオの欠点(あな)になっている作品も散見されることに気が付きました。

原因は「組み合わせが噛み合っていない」作品を作ってくる人が増えたことでした。

確かに見つけてきた複数題材の特徴を組み合わせたその作品は「独自性」のあるものなのですが、「組み合わせるべきではない題材同士」だったり「同時に作品へ投入しているものの、効果的に組み合わさっていない」といった印象を持つ作品になっている場合があったのです。

例えば前者の「組み合わせるべきではない題材同士」は、実は過去に似たような試みをして失敗することがわかっている作品だったり、後者なら「既存作品のいいとこ取りで組み合わせれば、より良くなると思ったが各要素が独立して際立ってしまい、ちぐはぐな作品になった」という有様でした。

あくまで課題作品としてそれらが提出されているのであれば、習作として今後に活かせばいいだけのことですが、中には「この組み合わせを思いついたのは自分だけで、その発想でしか唯一無二の作品は生み出せない」と信じてしまって、推敲を受け付けなくなってしまう例もあって、少々危険な印象をもった事例もありました。

このブログでは「シナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を何本も紹介してきていますが、既存作品を幅広く知って、自分のシナリオの『どこが新しくて、何が独自のものなのか』を明確に示せるようになりたいものです。

第12回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2022年2月26日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「文字数の時間換算が完璧なシナリオの欠点(あな)」です。

シナリオライターの納品要件として、文字数やペラ(200字詰原稿用紙)枚数、ゲームだとKB(キロバイト)換算が
適用されることはよくあり、例えば「ペラ60枚程度でお願いします」といった発注がなされたりします。

契約上、おおまかなボリュームの目安としてこういった換算がなされるわけですが、必ずしもこの要件を満たしていればシナリオとして十分な機能を満たすわけではありません。

なぜなら、シナリオは基本的に「柱」「セリフ」「ト書き」の3つで構成される文章ですが、それぞれに費やされた文字数が、実際に制作されるコンテンツにおいて、同じ時間を費やす内容になるとは限らないためです。

例えば、登場人物の発言を記述した「セリフ」については、比較的文字数と費やされる時間が比例関係になるため、予測が立てやすいです。まれに意図的に早口で話させるような演出がなされることもありますが、基本的にはセリフが多くなれば費やされる時間も多くなります。

それに対して「ト書き」は、各シーンにおける登場人物の行動や、出来事の動き、シーン環境の変化を記述するため、一概に文字数が時間と一致しません。

あまり良い例ではありませんが「激しい戦いが繰り広げられる」などとシナリオ書いた場合、文字数だけなら1行以内に過ぎませんが、実際に映像として表現しようとしたら数分を費やすことになります。

かといって、詳細な動きを事細かに書きすぎて文字数をいたずらに増やしてしまうのも問題で、余計に時間がかかることになって、後々の工程で演出や撮影が窮屈になってしまう、なんてことになったりもします。

ゆえに実際のシナリオライターは、そのへんのバランスを考えてセリフとト書きを記述することが求められるのですが、仮にそういった時間計算ができていたとしても、油断はできません。

文字数に見合った時間のシーンで構成されるシナリオが出来ていても、そのシーンの一つ一つの必然性が弱いシナリオは、そこが欠点(あな)になりやすいのです。

3分想定のシーンがあったとして、セリフの長さやアクションの数、状況の変化を、3分で適切に表現できるようシナリオに記述できるようになるだけなら、実はそんなに難しいことではありません。

むしろ重要なのは、そういったシーンが「作品上で欠かせないシーンになっているか」を視聴者の納得できるものになっているか、ということだったりします。

どれだけ単独で目を引くようなシーンが記述できたとしても、それがなんの必然性も脈絡もなく作中に差し込まれては、作品の価値をあげることに繋がりません。むしろ異質なポイントとなって総合的な評価を下げることにすらなってしまうのです。

こだわりのセリフ、こだわりのアクション、こだわりのシーンをシナリオに記述するときは気をつけたいですね。

2021年度シナリオアナリシスを終えて

2022年2月25日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

少し前の話になりますが,2021年度のプロジェクト演習シナリオアナリシスも無事終わり,受講生のみなさんから最終課題も受け取りました.
今年度,というよりも昨年度くらいからですが,シナリオアナリシスちょっと状況がそれまでと変わってきています.それは履修人数についてです.
シナリオアナリシスは,私が助教になった4年前よりももっと前から開講しています.正式な担当になったのは助教になってからですが,それ以前も非常勤として携わっていましたので,かれこれ10数年続いています.
毎回の授業に参加している学生数・受講生数は毎年さほどかわらないのですが,ここ数年は履修登録をして受講する履修生の割合が増大しています.今年度は受講生の大半が履修生でした.

シナリオアナリスで取り扱っているシナリオの執筆やストーリーのまとめかた,その構造や工夫の調査・分析は,メディア学部の,特にコンテンツコースにいる学生にとっては,ほとんどの方に興味があったり,直接の興味ではなくても,業界に進むにあたって関わりのある,是非知っておいてほしい内容だと思っています.

一方,プロジェクト演習は通常,同時に1つしか履修できません.なので,今まではゲームや映像など,専門的な演習を履修しつつシナリオも聴講する,メインとしている演習で必要になったから聴講しにくる,という学生がかなりの割合をしめていました.
こういった需要も考慮して,シナリオアナリシスは基本的にどの学年,どの学期からでもはじめられるし,履修ではなく聴講も含めて受けたい人は広く受け入れる方針でやっています.

しかし,先ほども書いたように,ここ最近はシナリオアナリスを履修登録する学生も増えています.この流れを受けて,(仕組み上シナリオアナリシスは半年ずつの履修登録ですが)1年かけてしっかり1つの作品を書き上げたい学生にも対応できるよう,課題の形を少しずつ変えたりしています.また,メディア学部も日々色々なところが時勢や需要に合わせて変わっていっていますので,シナリオアナリシスもまた大きく変えていこうと,現在画策中です.是非お楽しみに!

その一方で今年度は,履修者が増えた=嬉しいことに,シナリオをやるぞ!と意気込んで参加してくれる学生が増えたことで,有り体に言えば時間をかけてしっかり取り組む学生とそうでない学生の成長の格差が大きく出た年だったなぁとも感じています.

授業の中でもよく話すのですが,物語を考えて他人に伝わるようにまとめるということは,想像以上に大変です.プロの方々も皆血反吐を吐きながら取り組んでいます.
特にシナリオアナリシスではシナリオを映像コンテンツの設計図・仕様書と捉えていますので,極端な話,おもしろいかどうかは二の次です.まずは,他人に伝わり,説得できるものになっているのか,を重視しています.
みなさんが頭の中で考えた妄想を,他人(制作スタッフやお客さん,スポンサーなど)に伝えなければならないのですから,どんなにアイディアが面白くても伝わらなくてはダメなのです.

そこで大事なのが,どんなものでも他人に曝け出して意見を聞く,ということです.ですので,シナリオの授業ではありますが,シナリオアナリシスでは授業時間の大半をプレゼンやディスカッションに使っています.
人前で話すこと自体も苦手なのに,妄想したことを話さなきゃいけないなんてはずかしい!と思う方もいると思いますが,もし物語をちゃんとまとめたいと思うのであれば避けてはとおれないものです.
とりあえずシナリオに関する話だけでも聞いておきたい・・・ということで聴講していただいても構わないのですが,是非勇気をもって一歩踏み出してみてください.きっと,いままで妄想していただけだったことが,ちゃんと形になるきっかけになると思います.

何を隠そう,私自身も(今とは授業名が違いますが)学生時代に工科大のシナリオの授業を受けるなかで,初めて妄想がちゃんと1本のシナリオにまとまった!という経験をした1人です.

(文責:兼松祥央)

プロダクトデザインにおけるCGを用いた偶発造形の試み

2022年2月24日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

プロダクトデザインに3DCDCADシステムは表現伝達手段として定番となっています。CGCADがデザインツールとして使われ始めたころ、ブリンの提唱による陰関数曲面の一種のレンダリング(日本での呼称は大村によるメタボール)の適用が試みられた時もありました。好奇心だけは旺盛な私も興味を持ちました。デザイン開発初期段階で外観形状が曖昧な時点でのアイデアスケッチとはまた違った活用が出来るかもしれないと思ったのです。

ここ数日、自分の論文の整理をしていました。その途中、デザインの曖昧性や非線形性に着目したデザイン案出力システムをCADへ実装する研究の論文が目に留まりました。

 

2022_2_25

萩原祐志、産業機械デザインの特性を考慮した製品デザイン支援システム、デザイン学研究、49-561992

 

製品のコンポーネント構成概略だけが決まった段階で(上にある4面図)、有機的曲面の外観形状を探索(下にある9個の図)するシステム構築を試みた論文でした。実製品への適用は出来ませんでしたが、3Dプリンタが普及した今ならば、小物製品に適用しても面白いかもしれませんね(自画自賛ですが、笑)。

メディア学部 萩原祐志

 

 

プロジェクト演習「ゲームデザイン」の最終課題

2022年2月23日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

 自分の担当しているプロジェクト演習<ゲームデザイン>の講義は、ゲームエンジンのUnityを用いて、ゲームデザインの基礎を実際にゲームを制作しながら具体的に学んでいくことを趣旨とした半期ごと各14回のコースです。最後の授業では、講義履修者が作った最終課題のゲームを持ち寄り、全員でそれらのゲームをプレイして、自分が良いと思ったものを選んで投票してもらい、人気のあったゲームを決めるイベントを行っています。上位の作品制作者から自分がイベント会場等で提供していただいたお土産用のペンやシールを、賞品として順番に好きなものを選べるシステムです。子供だましのようなささやかな賞品ですが、ちょっとした「競争」と「ご褒美」の要素をいれることで、作品制作へのモチベーションを上げることを意図しています。
 今期は42作品が集まり、投票の結果、上位作品は25票、23票を集めました。毎回ですが明らかに得票が集中し支持を得た作品があります。その作品は何が他の作品と違うのか?を学生に考えてもらうことが、最終課題の一番大切なテーマです。
 表面的なグラフィックの美しさではないことには、全員が実際にプレイしているので、誰もがすぐに気が付きます。選ばれたものはプレイして、なぜ「おもしろい・たのしい」と感じたんだろう、と自分の提出した作品と比較して、そこに無かった「要素」に気が付ければ一歩前進です。作品を作り、他者の作品と比べることによって、アイデアとインタラクティブコンテンツの基礎的な要素とが有機的に結びつき、自分の作品をどう改善すればいいのかを考えてくれることに期待しています。
 大切な要素はプレイヤーに「能動的に動いてもらう」ためのレベルデザインになっているか?、ということです。それはゴールが見えているだけでは不十分です。そこに行くのがめんどくさいと感じるゲームならプレイしてもらえません。大切なことは、そこに導いてあげる「褒める」工夫や、何ができるのかをプレイヤーに気付かせ「学ばせる」工夫です。「やる気」にさせる工夫、と言い換えても良いでしょう。
人気のあった作品から、まず自ずから気付いて学び、それをまた来期の作品制作の糧にしてほしいと願っています。(安原)

伊藤(謙)研究室「ミュージック・アナリシス&クリエイション」卒業研究発表会

2022年2月22日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

1月31日(月)に、「ミュージック・アナリシス&クリエイション」の卒業研究発表会が開かれました。

こちらのブログ記事で紹介されていますように、大淵先生の「サウンド×ヒューマン研究室」との合同発表会で、私の研究室からは以下の11名の4年生が最終発表、4名の3年生が中間発表を行いました。


【最終発表】
・「ゲーム『リズム天国』における楽曲と映像演出の工夫
  ~操作タイミングからの一考察~」
・「アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のストーリーと
  音楽の構成に関する研究」
・「「Official髭男dism」の楽曲における創作技法研究
  ~歌詞配置とメロディ構成の関係性に着目して~」
・「星野源の楽曲におけるコード進行の特徴」
・「同一ゲーム内における複数のユニット楽曲の比較研究
  ~『あんさんぶるスターズ!』を対象とした歌詞構成~」
・「増田順一と一之瀬剛の作曲手法の相違点
  ~『ポケットモンスター』シリーズの戦闘シーンを例に~」
・「アニバーサリーイベントから見るディズニーテーマパークの
  ショー&パレードに関する研究」
・「『FINAL FANTASY XIV』におけるBGMの特徴について
  ~音楽による演出効果に着目して~」
・「中田ヤスタカの楽曲の分析 〜楽曲に見られる特徴〜」
・「『FINAL FANTASY』シリーズ歴代楽曲のアレンジの変容
  〜「DISSIDIA FINAL FANTASY」の分析を通して〜」
・「映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の劇中曲の分析
  ~モティーフのアレンジに着目して~」

【中間発表】
・「楽器演奏時におけるデジタルデバイスの使用に関する研究」
・「フリーウェアシンセサイザーの変遷と特徴に関する研究」
・「リアルタイムによる音楽の視覚的表現
  ~音楽要素に着目した映像生成システムの考案~」
・「映像とインタラクティブミュージックの相互作用がもたらす
  表現に関する研究 ~オープンワールドゲームの特性に着目して~」



各自が研究内容をまとめたポスターを来場者に見せながら説明する対面形式での開催を目指し、大淵先生と協議を重ねてきましたが、新型コロナの感染が再び拡大し始めている状況を鑑み、中間発表に続いて今回もやむなくオンライン開催となりました。

オンラインでも来場者に研究内容をしっかり見てもらえるよう、TeleAgoraというシステムを使ってポスター展示を行いつつ、対面のように説明・質疑応答ができるようにしたことでインタラクティブな発表会になりました。ただ、開催方法が決定してから発表会の日まで期間が短く、また初めてのシステムということもあって学生諸君は準備に苦労したようです。

そうしたさまざまな困難を乗り越えて、当日は各セッションで活発なディスカッションが行われ、発表会そのものは大きな問題もなく無事に終えることができました。

最終発表を行った学生は、発表時に来場者やレビュアーの教員から寄せられた意見や助言を踏まえて論文をブラッシュアップし、最終版を提出することで1年半にわたる卒業研究が全て終了となります。

中間発表を行った4名の3年生は大学院進学を目指しており、「学士・修士一貫早期修了プログラム」という制度を利用して、他の3年生より一足先に卒業研究に取り組んでいます。4月からは今回の4年生と同様、卒業論文の完成と最終発表を目指しながら、大学院の「研究企画」というゼミで研究の基礎固めを進めていきます。そして、今年の9月に学部卒業と同時に大学院入学となります。「学士・修士一貫早期修了プログラム」については、こちらもぜひご覧ください。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

「音楽創作論」での作曲 〜最終版ついに公開!〜

2022年2月21日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは! メディア学部の伊藤(謙)です。

早速ですが嬉しいご報告です。前回の私のブログ記事で予告した最終版の曲がようやく出来上がりました! その楽譜と、演奏を視聴できる楽譜動画を本日公開いたします。

楽譜はこちでご覧いただけます。演奏は以下の【楽譜動画】をクリックしてご視聴ください。

【楽譜動画】「雪月夜」


曲名は「雪月夜 」(ゆきづきよ) に決まりました。このタイトルを考えた方は曲を聴いたときに「降り積もった雪に月の明かりがさし込んでいるような夜」をイメージしたそうです。私自身は特定のイメージを持たずに作曲しましたが、「雪月夜」の言葉とその幻想的なイメージが曲にマッチしていると感じて曲名に選びました(私が絶対に思いつかない素敵な曲名が付けられて非常に満足しています)。そのほかにも魅力的なタイトルが数多くあったので選定までとても悩みました。曲名案を寄せてくれた学生諸君に感謝します。曲作りのアイデア募集から曲名決定までの一連のプロセスは、こちらのブログ記事をご覧ください。

さて、楽譜を見ると、どの小節も音符に色が付けられていることに気づかれるでしょう。それぞれの色の意味は次のとおりです。

 ・赤色:Mさんが作った部分動機(第1小節)、およびそれに類似のフレーズ。
 ・青色:K君が作った部分動機(第2小節)、およびそれに類似のフレーズ。
 ・オレンジ色:Mさんが作った部分動機を変化させたフレーズ(反行形や断片の反復など)。
 ・水色/緑色:K君が作った部分動機を変化させたフレーズ(反行形や拡大形、断片の反復など)。

つまりこの曲は、「どの小節にもMさんとK君が作った部分動機に関連したフレーズを入れる」ことをテーマに作られています。音楽要素の「反復と変化」を講義の軸に置いているため、講義したことを実際に作曲を通して示そうと考えました(※実際にはこんなに何度も反復させる必要はありませんが)。学生の感想には講義内容との結びつきを実感してくれたものが多く、苦労して作った甲斐があったと授業担当教員として喜びを感じています。

ところで、音の強弱やテンポの微細な変化などの音楽表現を加味していない前回の演奏に比べると、上の【楽譜動画】での演奏は格段に表現の幅が広がり、実際に人が演奏しているようなニュアンスが感じられたかと思います。

その秘密もちょこっと公開しましょう。

この曲は最後の部分を除き、全体がBPM=52のテンポとなっています。しかし、人が演奏するときの微細なテンポの揺れを表現するために、ここではかなり頻繁にテンポを細かく変えています。

例として楽譜の1ページ目を示しましょう。うっすらとグレーで表示されているのが強弱の設定です(※楽譜では見えない設定にしています)。

【楽譜】強弱とテンポの設定(1ページ目)

テンポほどではないものの、強弱も随所で変えていることがおわかりいただけるかと思います。

また、メロディが引き立ち、伴奏がそれを支える演奏になるよう、ト音記号とヘ音記号のパートで強弱を変えています。例えば、第1小節は「P(ピアノ)」の強弱記号が設定されていますが、それは実はヘ音記号のパートのもので、メロディが鳴らされるト音記号のパートは「mp(メゾピアノ)」を設定しています。

そして、ここにはBPM=52のテンポ指示が記載されています。でも、その横に薄く「49」の文字が見えますね。メロディの始まりの「ミソ」は「49」、それに続く「シ」(1拍目の裏)から「52」になるようにしています。このように、弾き始めに僅かな「タメ」(感じられるか感じられないかの本当にごく僅かの差ですが)を入れることで、曲の始まりが単調で機械的な印象とならないようにしています。

次は、第24小節の終わりから第25小節の頭にかけての部分です。

【楽譜】強弱とテンポの設定(第24〜25小節)

第24小節の4拍目裏拍から「P」、第25小節の1拍目ではヘ音記号のパートの「ラ」の音のみ「mp」(※ト音記号のパートは「P」のまま)、そしてすぐに「P」に変化しますが全体的に弱く演奏されます。しかし、赤色の◯印で囲ったテンポをご覧ください。「47」「43」「42」と、かなり遅いテンポになっています。これは、音の強さはほぼ一定でも部分的にテンポを落とすことで、新たなフレーズの始まりに心理的な「重み」や「アクセント」を与えることを意図したものです。

単に音を「強くする」「弱くする」だけでなく、どのようなテンポで鳴らされるかも意識してエディットを行うと、生演奏を想定した曲では、より人間味のある演奏のように聴かせることができます。MuseScoreは楽譜作成ソフトであるため、繊細な音楽表現を行うにはどうしても限界があります。より生演奏らしい表現を目指すのであればDAWを用いるべきかもしれません。それでも工夫次第で、ある程度の表現はMuseScoreでも可能であることがおわかりいただけたのではないでしょうか?

このブログを読んでいらっしゃる高校生の皆さんの中にも音楽制作を楽しんでいる方がおられると思います。それぞれの機材・ソフトウェアが持つ機能を少しずつ覚えながらいろいろな試行錯誤や創意工夫を重ねることで、楽曲制作や音楽表現の幅が大きく広がっていくことでしょう。そのプロセスの中で、思いがけない創作のアイデアがひらめくこともあるかもしれません。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

卒研 Smart-IM:学生の研究(6)

2022年2月20日 (日) 投稿者: メディア社会コース

昨日の記事で、Smart-IMが聴覚障がい児支援に注力しているという話をしました。一方で、ろう児をサポートする側の手話や指文字の習得支援の研究も行っています。

今回紹介する研究は、Leap MotionSenz3Dという2つのセンサー機器を併用することで指文字の習得を支援するシステムを構築したというものです。Leap Motion単体の研究はすでに行っていたのですが、一方向からのセンサー感知のため、一部の指文字を正確に認識できないという課題が残っていました。

この2つのセンサー機器を用いた研究では、それぞれの機器から得た指関節の座標情報を計算・統合することで、従来の手法の課題を解決しました。下図(上)は2つの機器の設置イメージです。手の正面にSenz3Dを、下にLeap Motionをそれぞれ配しています。また、下図(下)は2つのセンサーから得た情報を映したモニタ画面です。

Yubimoji

さて、この一週間、卒研Smart-IMの研究のいくつかを紹介してきました。比較的イメージしやすい教育コンテンツ制作の話が多かったですが、今回の記事のような学習支援システムの構築、CSCLの設計など、技術サイドの研究も行っています。また、数としてはそれほど多くないですが、教育・学習に関する調査研究なども行っています。このように、Smart-IMは、メディアの3コース(コンテンツ・技術・社会)の要素が網羅されています。関心のある方は、学年に関係なくいつでも気楽にお声掛けください。

文責: メディア学部 松永

2022.02.19

卒研 Smart-IM:学生の研究(5)

2022年2月19日 (土) 投稿者: メディア社会コース

前身のIMPも含め、卒研Smart-IMでは聴覚障がい児の支援にも力を注いできています。今回紹介する研究は、聴覚障がいである学生が自身の幼少期の経験をもとに、ろう児(聴覚障がい児)向けの国語力・語彙力を身に付けるeラーニング教材を開発したというものです。

皆さんは、ろう児に対する“9歳の壁”という概念をご存じでしょうか? 言語の土台は5歳までに醸成されると言われていて、思考力の習得を併せると、9歳が言語習得の一つの目安とされているという考え方です。そこで、この研究では、ろう学校の小低部13年生の児童を主たる学習支援の対象に据え、9歳の壁を念頭に書き言葉のスキル向上をねらいとする独習可能なタブレット教材の設計・開発を目指すことにしました。

教材は3つのコース「『えにっき』ってなに?」「今日はなんの日?」「日本語をお勉強しよう!」で構成されています。ここでは、最後のコースの中にある“オノマトペ”の単元について簡単に紹介します。オノマトペとは、擬音語や擬態語の総称ですが、ろう児にとって経験のない音の響きなので、文章中で出てきてもなかなか理解しづらいものです。そこで、絵本形式をとり、シーンを見ながら擬音語や擬態語を想像して学べるよう設計しました(下図参照)。この教材は、実際に都立大塚ろう学校の授業で使用したのですが、子どもたちに一番人気があったのがこのオノマトペでした。

Onomatopoeia

 

文責: メディア学部 松永

2022.02.18

卒研 Smart-IM:学生の研究(4)

2022年2月18日 (金) 投稿者: メディア社会コース

皆さん、Mincraftをご存じですよね。ブロックを用いて建物を作ったり、プレイフィールド上で冒険をしたりするゲームです。今回紹介する研究は、逆転の発想で、このゲームを学習教材に活かすというものです。小学高学年の算数の中に、立体認識力を養うための学習単元があります。例えば、立方体を単位ブロックとしたいくつかのパーツを組み合わせて、ある形状の立体図形を完成するというような問題に取り組みます。この研究では、そのような課題に対する補助教材をMinecraftで設計しています。

研究テーマ名は「Minecraftを用いた立体認識醸成のための学習支援教材の研究」です。開発したゲーム教材は脱出型のもので、3つのステージ(小部屋)で構成されています。徐々に難易度が上がるステージを1つひとつクリアする必要があるのですが、その間に最大9問の問題にチャレンジする必要があります。各問題は、次のステージへと進むための鍵になっています。難易度の設定は、複数の算数の教科書を参考にして決めています。この研究に取り組んだ学生は、実は学習塾で算数を教えており、問題作りにも長けていました。

2ステージの様子だけ、図とともに紹介しましょう。このステージに用意されている問題は、ステージの最奥にある3×2×2の直方体を観察し、赤、青、黄色の3色に色分けされた選択肢の中から各色1つずつ選択して見本と同じ直方体を完成させるというものです。創造力や洞察力がないと解くのが難しい問題です。このゲーム教材は、実際に近隣の小学校で補助教材として利用していただき、その学習効果も確認できました。

Minecraft

 

文責: メディア学部 松永

2022.02.17

卒研 Smart-IM:学生の研究(3)

2022年2月17日 (木) 投稿者: メディア社会コース

今回紹介する研究は、2年前の2019年度のもので、研究テーマは「日本酒インバウンドを促進するモバイルラーニングコンテンツの開発」です。当時は外国人旅行者がうなぎ上りで増えていました。この研究に携わった学生は、そのような背景を受け、増え続ける外国人に日本酒の魅力を伝える電子教科書を作ることに着手しました。いきなり日本酒という題材が出てきましたが、言うまでもなく、これは学生自身が日本酒が好きだったからです。

この電子教科書“E-Book of SAKE”は、複数の蔵元の監修のもと、InDesignで開発が進められました。主な学習単元は、「生産工程(Production)」「種類(Type of SAKE)」「選び方(How to choose)」「楽しみ方(How to enjoy)」「飲み方(How to drink)」の5つです。なお、語学留学経験のあるこの学生は、日本語版と英語版の両方を制作しました(下図は英語版)。

訪日外国人20人(国籍:オーストラリア、ニュージーランド、中国、インドネシア、マレーシア、etc.)に対して、この学生がiPadを用いて評価実験を行ったところ、概ね高評価でした。興味深かったのは、インドネシアやマレーシアなどのお酒を飲まないイスラム圏の人々も関心を持っていた点です。彼らもノンアルコールのビールや日本酒を飲むそうで、ノンアルコール版での開発に期待を寄せていました。 

 

Ebook_of_sake_2

文責: メディア学部 松永

   (2022.02.16

卒研 Smart-IM:学生の研究(2)

2022年2月16日 (水) 投稿者: メディア社会コース

今回紹介する研究は、かつて幼児教育に採り入れられていた折り紙の学習をデジタル教科書として再編し、その効果を検証するというものです。

折り紙は古来より日本の娯楽文化であり、知育玩具でした。この日本文化は世界へと広がり、江戸時代後期には、ドイツの教育学者フレーベルによって折り紙創作を活用した幼児教育カリキュラムが設計され、世界初の幼稚園が誕生しました。日本では明治時代初期にこのカリキュラムが逆輸入され、折り紙は玩具から教具へとその立ち位置が変わりました。この教育カリキュラムはやがて廃止されたのですが、この研究に取り組んだ学生は、そのリバイバルを試みたのです。

このデジタル教科書は、大きく3つのレッスン「折りの基本と重ね合わせ」「折りの応用」「折り紙」から成り、InDesignで制作されています。見開き一ページで、随所に関連箇所へのハイパーリンクが貼られています。また、チャレンジコーナー(確認クイズ)とそのフィードバックが必ず付いています。近隣の学童保育でこの教材を実践使用したところ,子どもとスタッフから好評を博しました。

Origami

文責: メディア学部 松永

2022.02.15

卒研 Smart-IM:学生の研究(1)

2022年2月15日 (火) 投稿者: メディア社会コース

最初に紹介するのは、一昨年秋からりそなホールディングス(りそなHD)と共同で進めていたゲーム教材の開発です。具体的には、りそなHDがもともと持っていたボードゲーム“人生やりくりゲーム”のデジタル版の制作です。小学高学年児童向けの人生シミュレーションゲームで、社会人になってから定年を迎えるまでに起きるイベント(結婚やマイホーム購入、資産運用など)を疑似体験するというものです。このゲーム教材は、今年の秋頃から全国のりそなキッズマネーアカデミーの中で子どもたちに使ってもらう予定です。

Jinseiyarikuri

 

文責: メディア学部 松永

2022.02.14

卒研 Smart-IM(/IMP)

2022年2月14日 (月) 投稿者: メディア社会コース

本日を含めて一週間、卒研Smart-IM(スマートインストラクショナルメディア)と、その前身であるIMP(インストラクショナル・メディア・プロジェクト)における研究について紹介します。

卒研プロジェクトSmart-IMを立ち上げたのは2019年でした。メディア技術(/ICT)を活用した新たな学習システムや学習スタイルを創案し、それを実現するためのコース設計やメディア設計、教材開発やシステム構築を行うことを研究の基本指針に据えました。下図は、Smart-IMの研究ビジョンです。Smartim

実践的な技術サイドの研究視点を下支えする形で、設計(デザイン)に関する2つの基礎理論を採り入れています。学びやすさの設計であるインストラクショナルデザインと、わかりやすさの設計である情報デザインです。

また、ユーザエクスペリエンスとラーニングアーキテクチャーという2つの研究視点を設けました。ユーザエクスペリエンスは、正にユーザの体験を意識した研究スタンスです。一方、ラーニングアーキテクチャーは、ユーザエクスペリエンスを裏で支える技術や教授設計を考える研究スタンスです。

明日以降は、学生の研究のいくつかを紹介していきます。

文責: メディア学部 松永

2022.02.13

卒業研究は何のため?

2022年2月13日 (日) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
先日の記事で大淵先生が修士論文の意義について語っておられました。今回は大学における卒業研究が何のために行われるかをお話しします。
もちろん実際の意図は大学や研究室によってそれぞれと思いますので、「私はこう考えて学生さんと接している」というお話です。

キャッチーにするためあえて強い言葉を遣いますが、卒業研究の目的は研究をすることではありません。

卒業研究で取り組む内容は大学や学部、研究室によりますが当然それぞれの専門分野になると思います。
そこで行った研究やその成果は、専門的な内容であればあるほど活かす先がないと思います。
活かせる職業に就くことができたり、それこそ研究職になったりすれば別ですが、研究レベルで修めた専門分野が将来直接的に活用できる機会はなかなかないものです。

また、一年間でできることには限界があり、大した成果が期待できず無力感を覚えてしまうこともよくあるように思います。
そもそも大学生が世紀の大発見などできるわけがなく、過去の研究の隅をつつくようなテーマでお茶を濁すのが関の山・・・と、私自身も学部の卒業研究の際には思っていました。
適当に取り組んでいると実際にそのようになってしまいますし、逆に真面目にテーマと向き合うほどにこのような思考に陥りやすいかもしれません。

それでも、卒業研究をすることには大きな意味があります。

先ほど、卒業研究の目的は研究をすることではないと書きましたが、では卒業研究における研究活動が何であるかと言うと、「手段」なのです。
目的ではなく手段です。別の目的が存在し、それを達成するために研究活動を行います。
ではその目的とは何かというと、「教育」です。ごく当たり前のことなのですが、そもそもそれこそが大学の(少なくとも本学の)目的であり、四年生に卒業研究を課す理由です。

研究活動というのは、テーマの種類や大小を問わず、答えのない問題に取り組むことです。その過程で非常に多くの能力を必要とします。
新たなテーマならそもそも問い・テーマを立てる能力、テーマを引き継ぐならば既存のものを正確に把握し取り込む能力。
テーマについて深く調べ、現在できていることとできていない事を分ける能力、その理由や試行錯誤を含めた解決策を探る能力。
得られた解決策を実行する能力、そのスケジュールを立てる能力。一連の活動を網羅した文章化をし、次世代に伝える能力。
とりあえず思いつくままに書いてみましたがそれでもこれだけ思い当たります。

このうち、テーマについて調べることと解決策の実行・成果のあたりが卒業研究の本体として注目されがちで、確かにそこで得られる能力は分野の依存性が高く汎用性が低いかもしれません。
しかし、上で書いた各種能力はたまたま今回は研究テーマが対象であっただけで、他のことにも応用が利きます。
というよりも社会で求められるのはまさしくそういった能力です。テーマを仕事と読み替えても同じことが必要ですね。

これらの修得には独学では難しい事も多いので、一年間かけて何度もディスカッションしながら研究テーマを進めていく形を取ります。
研究活動を通してこれらの能力を一度に鍛え、身につけることができるというわけです。
テーマや成果そのものではなく、研究テーマに取り組む過程で得られる能力こそが卒業研究を行う目的になります。

大学や学部によっては卒業研究ではなく卒業制作であったり、また何か別のものを課していることもあると思います。
しかし、それもまたその大学にとっての目的や身につけてほしい能力を得るための手段として行われているものと思います。

私見ではありますが、これまで指導を受けた先生方や学会等で接した多くの先生方も同様のことを仰っており、今回はそれを自分の言葉で説明してみました。
大学生活の最後に卒業研究をすることの意義に疑問を感じてしまっている方の参考になれば幸いです。

卒業研究発表会(イメージメディア/ビジュアルコンピューティング2021)

2022年2月12日 (土) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

先週木曜に、柿本先生と私の研究室であるイメージメディア/ビジュアルコンピューティングの卒業研究最終発表会がありました。
我々の研究室では多人数の前に立ち発表を行うという点を重視し、対面での口頭発表を行いました。

ただ、昨今の感染者数の増加により、残念ながら見学者は来年度配属予定の学生さん含め全員リモートに変更しました。
卒研生は感染拡大に注意しつつ発表現場の講義実験棟403教室に集合し、教壇に立ちスライドを投影して発表を行いました。
見学者が現場にいないですが、発表形式としては元々の想定の形にできました。

さて、この場合フルリモートと違いハイブリッド(ハイフレックスとも言うようです)なので、機材の準備が必要になります。
フルリモートならば参加者が各自のイヤホンとマイクで参加すればよいですが、現場での発表会をリモート参加者に配信し、かつ参加者からの質疑に答える必要があります。

やり方はいろいろとありますが、今回はiPad miniを主に活用して行いました。
発表者は普通に教壇のPCで発表し、そのスライド画面を発表用PCで入っているZoomのミーティングルームに画面共有します。
iPad miniも同じくZoomに入り、内側カメラとマイクをオンにしています。下は当日の様子の写真です。

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フレキシブルアームを利用し、iPad miniが発表用PCの画面ちょっと上あたりに来るよう調整しました。
(ちなみにこのフレキシブルアームはラテアートシミュレーションの研究用に購入した研究室資産です)
発表者は普通に壇上で発表すれば音声がZoomに流れ、共有されている画面とカメラの映り具合も確認できるようにしています。

質疑については、iPad miniの音量を最大にするだけで教室内で割と問題なく聞こえたため本体スピーカーそのままです。
現場の音声はiPad miniから離れすぎなければ充分拾ってくれたのでこれも本体マイクそのままです。
音量が足りなければラインケーブルで教卓の音声入力に接続するなど、より複雑になるところでしたがとても簡単でした。
あとは、後ろの方にもう一台三脚とiPhoneを配置し、同じくZoomにカメラオンで入ることで会場の様子を伝えることもしました。

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機材やソフトウェアの進歩のおかげで、想定よりもだいぶ楽にハイフレックスな発表会を行うことができました。
小規模な教室で現場の参加人数も少なめならばこれだけで充分そうですね。

発表内容については三月に学会発表を控えているものが多いため本日は割愛し、また改めて報告します。

雪の話

2022年2月11日 (金) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

2月10日から11日にかけて関東地方平野部でも雪が降りました。東京で雪というとJR八王子駅からのTV中継というのが一つの定番です。そのくらい、都心部と八王子では違いがあったということで確かに今でも違いはあるのでしょう。(私は在宅勤務だったので今回の八王子の実際の状況は知りません。)しかし、近年の傾向は少し違うように思います。今回は雪を降らせる南岸低気圧が原因であったということですが、気候変動の影響なのか、かつてのように「例年はこんな感じ」というのが当てはまりにくくなり、降るときはドカンと降る、降らない年は全く降らないというようなことになっているように思います。関東以外でもこのような差は大きくなっているのではないでしょうか。

私はスキーをやります。主に群馬県、新潟県、長野県のスキー場に行くことが多いですが、2020年以降は全く行けていません。私が大学生の頃はかつてのスキーバブルの絶頂期でした。その後、景気が悪くなりスキー人口が急激に減ってからも年に数度はスキーに出かけていましたが、長い目で見ると、やはり雪の多い年と少ない年の差が年々激しくなってきていたように思います。

数日前から、札幌市を中心として北海道でも大雪による交通への影響が続いています。雪に慣れているはずの地域でも例年の想定とは違った状況になっているということなのでしょう。冬のオリンピックが開催中ですがいろいろ考えさせられます。

(メディア学部 寺澤卓也)

正しく失敗する

2022年2月10日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

先週はメディア学部4年生の卒業研究最終発表が行われましたが、2月11日は大学院メディアサイエンス専攻の最終発表です。

学部生と大学院生を比べるとき、私はよく「卒業論文では努力が評価され、修士論文では方法が評価される」と言います(ちなみに博士論文では「成果」が評価されます)。方法が評価されるというのは、成果は必ずしも修了のための必要条件では無いということです。言い換えると、「科学的に正しい手順で研究した結果、何も新しいことは見つからなかった」というのは、修士課程の成果としては十分合格に値します。

たとえば、宝探しをする状況を想像してください。みんなが自分勝手に好きなところを探して、その中の誰かがたまたま宝物を見つけたとしても、所詮それは運が良かっただけです。次に同じことをやってもうまくいくかどうかわかりません。でも、捜索範囲を区分けして、各自が自分に割り当てられた範囲をくまなく捜索したとしたらどうでしょう。ここには無かった、ここにも無かったという具合に範囲を狭めていけば、宝物が見つかる可能性はどんどん高まります。そして、このやり方で宝物を見つけたとき、褒められるべきは見つけた人だけではありません。自分の範囲を正しく捜索した全員が、発見に貢献していると言えます。

世界の誰も知らない新事実を発見したいという意味で、研究も宝探しと同じです。そして、正しい手順で失敗した人は、間違いなく世界に貢献しています。

卒研選抜発表会

2022年2月 9日 (水) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

卒業研究の発表会の話ばかりで恐縮ですが、全研究室の発表会が終わった後の2月4日には各コースから2件ずつ選ばれた6件の研究の発表会が行われました。これらは教員の推薦によって選ばれた研究です。発表する当事者にとっては自分の研究室の発表会に続き2度目の発表ということになります。

今年の6件は、料理のビジュアルシミュレーション、テーブルゲーム体験向上デバイス、フォント生成、道案内ロボット、和菓子の動向と展望、菓子購買行動の分析、と各コースらしさも感じさせるラインナップでした。いずれも選抜されただけあって面白い、しっかりした研究でした。

発表会はオンラインで開催されましたが、4年生のほか下級生にも公開で行われたので非常にたくさんの学生の皆さんが参加していました。各発表の質疑応答では下級生からの質問も相次ぎました。一方で、先生方は(質問機会を学生の皆さんに譲る意図もあって)発表中にもリアルタイムでZoomのチャットにコメントや疑問を投稿していました。それらももちろん公開されていましたので、学生の皆さんは先生方が何に注目し、どんな突っ込みを入れるのかよく分かったと思います。そして、各コースでどのような研究が行われているのか、卒業研究とはどのようなものなのか知ることができたと思います。研究室単位の発表会も下級生に公開されていましたが、コース横断的に発表を聞く機会はなかなか無いので、とても良い機会であったと思います。

1年生は2年になって6月ころまでにはコースを選択することになります。また2年生は3年になってやはり6月ころには研究室配属があります。この卒研発表ウィークはそのような進路選択のための重要な手掛かりを得る場でもあるのです。

なお、当日は発表会に引き続き、大学院進学に関する説明会もオンラインで行われました。こちらでも説明に対する質問がいろいろあり、進学を考えている人たちにとっては有意義な時間になったと思います。

(メディア学部 寺澤卓也)

 

サウンド×ヒューマン研究室・2021年度卒業研究発表会

2022年2月 8日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

今年の卒業研究も、いよいよクライマックスです。我が研究室の4年生たちも、無事卒業論文を書きあげ、1月31日(月)に行われた最終発表会に臨みました。昨年後半から新型コロナの感染が落ち着いていたこともあり、今年こそは対面での実施だと意気込んでいたのですが、年が明けてからの感染再拡大を受けて、やむなくオンライン開催ということになりました。

8月の中間発表会は、Zoomを使ったオンライン口頭発表形式でしたが、今回は趣向を変えて、オンラインポスター発表としました。オンラインポスター発表のシステムとしては、以前にこのブログでも紹介されていた、TeleAgoraを使いました。どのポスターに何人ぐらいのお客さんが来ているかを見ながら発表を見て回れる、とても便利なシステムです。今回は、伊藤謙一郎先生の研究室との合同発表会でしたが、うちの研究室からは以下の11件の発表がありました。

  • 音楽生成に人間らしさを付与するゆらぎの研究
  • セルアニメと3DCGアニメの効果音の比較
  • 音楽の感情分析による映像作成
  • 声が持つ緊迫性の音響的分析
  • 低周波音が与える心理的影響についての音響分析
  • 顔画像解析を用いた音楽聴取者の集中度測定の研究
  • ミックスダウンにおけるボーカル音声向けAI処理の分析
  • サラウンド音響の方向知覚の実証的研究
  • 合奏における個別楽器音のモニタリング
  • BGMが味覚に与える影響の研究
  • 導電性インクを利用した組み換え可能なシンセサイザ

今回は、開催形式をどのようにするかギリギリまで迷っていたので、発表者の皆さんも準備に集中するのが難しかったのではないかと思います。それでも、各自工夫をこらした内容で、どのセッションも盛り上がっていたようです。音の再生を伴うデモなども、問題なく共有できていました。

これで、あとは卒業論文の最終版を提出すれば、無事卒業です。卒研生の皆さんは苦労の多い一年だったと思いますが、そんな中で立派な研究成果を挙げたことをどうぞ誇りに思ってください。

卒研発表会

2022年2月 7日 (月) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

先週はメディア学部の卒業研究最終発表会ウィークでした。従来、発表会はスライドを使った口頭発表と、会場にポスターを張り出して来場者に対してインタラクティブに説明ができるポスター発表をそれぞれ対面で行ってきましたが、今年はどちらの形式も場所をほぼオンラインに移して実施されました。スライドでの口頭発表はZoomなどを用いるもので、もはやおなじみのものですが、ポスター発表については、助教の戀津先生が開発されたTeleAgora(記事1記事2記事3)が今回も活躍していたようです。また、私の研究室は口頭発表でしたが、発表時の経過時間を知らせるためのタイマーは渡辺先生の記事を参考にして今回も用意しました。これらがノウハウとして教員の間で共有され、活用されているのはハイブリッド会議の実施などとともにメディア学部の強みの一つだと思います。

メディア学部では教員は自分の研究室の発表会のほか、レビュアー(審査員)としてほかの研究室の発表に必ず参加します。他の研究室の発表会に参加していつも思うことは、学生の皆さんの中にはとてもセンスある発表資料を作る人が多いということです。感心し(そして反省し)ます。発表者の4年生はそれぞれに先生とスライドについて打ち合わせ、練習をして本番に臨んでいるものと思います。加えて、オンライン発表ではZoom等における画面共有や操作も必要ですが、それらにもすっかり習熟していて進行は全く問題ありませんでした。

肝心の発表内容はどの発表もテーマの目の付け所が面白く、現代風、メディア学部らしさをとても感じさせるものでした。私の研究室も含めコロナ禍で予定していたような実証実験、評価実験が十分できなかったという発表もありましたが、それぞれにできることを精いっぱいやってきたことがうかがえる発表であったと思います。卒研はこの発表会のフィードバックも含め、1月20日に提出した卒業論文に加筆修正をした最終版を2月末までに提出することで終わります。4月以降の新生活の準備も始まりますが、あと少し頑張ってよりよい論文を残していってほしいと思います。

(メディア学部 寺澤卓也)

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その37後編

2022年2月 6日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品の37本目「梟の城」について、どこに注目すべきか述べていきます。

今回取り上げる「梟の城」は1999年に公開された日本の映画です。1960年の第42回直木賞を受賞した、司馬遼太郎の長編小説が原作の作品です。今となっては珍しくありませんが、当時としてはまだ珍しかったCGを用いつつ、SFXのミニチュアと合成することで、安土桃山時代の町並みや城の風景を再現しています。

この作品でシナリオライターとして注目すべきは「歴史小説原作シナリオの難しさ」です。

作品概要としてふれましたが、この映画は原作小説が刊行されてから40年後当時に映像化された作品ということになります。当たり前ですが、映画化されることを想定して書かれた作品ではありませんし、CGなどという技術が生み出されるよりもはるか昔のことなので、当時この小説を読んでいた人たちがイメージしていた映像ではないはずです。

もっと言うと、この原作小説は「歴史小説」なので、元になった史実があるため、CGを含めて、どれだけ優れた映像表現技術が開発されていたとしても、全部使えばいいというわけでもないわけですし、それ以前に舞台となっている時代背景を踏まえて、登場人物たちの言動を記述する必要があります。

その点において、この作品は主人公の葛籠重蔵(つづらじゅうぞう) という忍者が、信長・秀吉・家康という天下人たちが移り変わっていく激動の時代に、翻弄されつつも自分の矜持を曲げず、何とか生き残っていこうとする様を描くシナリオになっていると思います。

・・・しかしながら、原作となる小説という媒体と比べてしまうと説明不足感は否めません。

このブログでも何度か書いたことがありますが、シナリオは小説と違って「地の文」が無く、映像にできることしか記述できません。原作の小説であるような小話、解説、注釈、さらには心理描写や文学的表現は、ほぼカットされてしまいます。

どうしても表現したければセリフやナレーションにするしかないのですが、それも多用しすぎると説明くさくなってしまうので多用できません。実際、この作品では歴史的背景をナレーションしていたりするので、それ以外の箇所でその手段(セリフやナレーションでの説明)を用いることが難しかったりします。

『事実は小説よりも奇なり』という言葉が知られているように、人間の歴史における出来事の数々は、シナリオを書く上で、とても魅力的な題材やテーマではあるのですが、それらの題材やテーマを安易にそのまま記述できるわけではありません。

「梟の城」はそういった課題を、うまく表現できている箇所もあれば、そうでない箇所もあって、たいへん興味深い作品になっています。ぜひ一度みていただきたいと思います。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その37前編

2022年2月 5日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
前編となるこの記事は、あらすじのまとめが中心です。
後編ではその内容をもとに注目すべきポイントを述べますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
取り上げる映画は次のタイトルです。
『梟の城(1999)』
<監督>
篠田正浩
<脚本>
篠田正浩
成瀬活雄
<あらすじ>
織田信長に危険視された伊賀の里を、家族もろとも滅ぼされた伊賀の忍者・重蔵は激しい恨みを抱くことになったが、身を隠すこと10年の間に、時代は信長から秀吉の天下へと移り変わっていた。
そんな重蔵の元に「秀吉暗殺」の依頼が舞い込んでくる。秀吉の朝鮮出兵にかこつけた、堺の商人・今井宗久の依頼だった。もはや信長はこの世になく、依頼を引き受けるか迷う重蔵だったが、かつての伊賀の仲間や師匠たちの懇願もあってこの依頼を引き受け、京都へと向かった。
今井宗久の養女にして連絡役の小萩から最初に告げられた命は「秀吉のいる館に忍び込み、屋根の上にくること」。あきらかに腕試しだった。
なんなく指定の場所にたどり着いた重蔵を待っていたのは、小萩ではなく最近京都で名を上げ始めた元・伊賀忍者の五平だった。五平は信長の跡を継いだ秀吉に従う裏切り者とされていた。重蔵は説得して仲間に引き戻そうとするが、五平の意思は固く次は敵同士になることを告げて去っていった。
とうとう秀吉が朝鮮出兵を決行した矢先のこと、秀吉には待望の跡継ぎが生まれることも判明。これによって情勢は変わり、今井宗久の影で暗躍していた家康の方針によって、秀吉暗殺計画は取りやめとなる。計画発覚を危惧した家康によって宗久は口封じのために殺され、重蔵もまた身を隠すことになった。
義父を失い後ろ盾を失った小萩が重蔵の元を頼っていくと、その足取りは尾行されており、重蔵は危機に陥るものもこれを撃退。その後も狙われることになった重蔵だが、追手の届かぬところまで逃げよう、という小萩の提案を断り、逆に再び秀吉の暗殺を決意する。
五平によって厳しい監視の敷かれた京都に再び舞い戻った重蔵は、たくみに監視をかわして秀吉の城に忍び込み、あっというまに秀吉のいる寝室までたどり着き、その寝首に刃を突きつけた。
これに対する秀吉の「自分を殺したところで、また誰かが自分のような存在を望みすげ替えるのみ。わしというものが本当の誰だかわからない」という言葉に、忍者として都合よく利用され続けてきた自分を重ねた重蔵は、秀吉の命を取らず、秀吉の顔面を殴り飛ばして憂さ晴らしをすると、その場から退散した。
その後まもなく秀吉は病によって没し、追われることもなくなった重蔵は、再会した小萩とふたり山奥で平穏に暮らしたのだった
・・・次回は、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、について述べていきます。どうぞお楽しみに。

卒研発表会「コンピュータビジュアリゼーション」

2022年2月 4日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

2022年2月3日、卒研発表会最終日に竹島研の卒研発表会を実施しました。
研究室の主な研究テーマは、「コンピュータビジュアリゼーション」(可視化)ですが、今年の研究はデータ分析が多めでした。

研究テーマは学生が興味を持っているものを対象にしています。
今年は、SNSやYouTubeのコメント、歌詞のテキスト分析、癒し映像やホラー映画、恋愛シミュレーションゲームによる身体変化(脳波や心拍)、ゲームの売り上げやテニスの試合のデータ分析、バーベルトレーニングの支援や、紙の燃焼シミュレーションなど、さまざまでした。

今年の4年生は、研究室配属された昨年度もコロナ禍で、コロナ禍の間に研究を進めてきた学年です。
毎年やっていた歓迎会も、芋煮会も、打ち上げも何もできませんでしたが、1年半本当に頑張ってくれました。

発表を頑張った4年生の皆さん、一生懸命質問してくれた3年生の皆さん、発表会を聞きに来てくれた2年生の皆さん、ありがとうございました。
そして、忌憚なきレビューをくださった、レビューアの先生に感謝します!

(文責:竹島)

 

専門演習「CGアニメーション」2021年度後期作品の紹介

2022年2月 3日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

専門演習「CGアニメーション」2021年度後期作品の紹介
皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。
今回は、私の担当する専門演習「CGアニメーション」の取り組みについて紹介します。
この授業では、アニメーションのキー技術であるモーションキャプチャ技術を学び、それをフル活用した作品制作を行います。東京工科大学はプロレベルの大規模なモーションキャプチャスタジオを運用している数少ない大学の1つで、この授業ではその施設を活用し、実際にここで制作してきた劇場映画やゲームコンテンツの制作ノウハウを学ぶことができます。
前回このブログで紹介した際は、コロナ禍で授業を全面オンライン化せざるを得ない状況で、残念ながらモーションキャプチャスタジオを使った演習ができませんでした。現在も決して油断のできない状況が続いていますが、この授業ではキャンパスでの学習を重視し、各チームが感染予防に気を付けつつ、力作を仕上げてくれました!
この授業ではCGモデルの美術的な完成度の追求には時間をかけず、プロのセオリーを学んだうえでアニメーションにひたすらこだわります。そのため、ぱっと見のヴィジュアルは少し荒削りに見えるかもしれませんが、キャラクタの動きや、ストーリーを伝える工夫が凝らされています。そういった点に注目してみてください。
では、作品をどうぞ!
■ Still A Human / Steel Hearts
はるか未来、ロボットの肉体を手にした人類は、新たな時代の幕開けを闘技場でのデモンストレーションで祝っていた。
しかし、試合の最中に中継ドローンが外部からのハッキングを受け、選手たちを攻撃しはじめてしまった。
真剣勝負の相手であった二人も、本当のピンチには助けあうことが出来る。
どんな未来でも変わらない、人間の友情とスポーツマンシップを描いた作品である。

■ 有頂天陰陽師 / Once Upon A Time
【本作の主人公である陰陽師は、「秘術の舞」で雷を落とすことができる。その舞で、悪い鬼に追われていたひとりの娘を助ける陰陽師。しかし、娘にお礼を言われ有頂天になった陰陽師は、喜ぶ娘のためにともう1度舞ってしまい…!?】
というコメディタッチの時代劇作品です。“舞”というパフォーマンスをモーションキャプチャでのアニメーションで美しく魅せ、通常パートとの緩急を意識しながら制作しました。

■ 森の中のアプレンティス / 森の中のアプレンティス制作委員会
この作品は、魔法使いのアトリエを舞台とした、見習い魔法使いとその師匠が引き起こすトラブルを描いたギャグ作品です。主人公である見習い魔法使の女の子は、魔法の練習をしていますがなかなかうまく行きません。その時、偶然師匠の杖を見つけ、それを使えば魔法がうまく使えるのではと考えます。そんな甘い考えで師匠の杖を振るった結果、師匠も巻き込んだ大騒動が起こってしまいます。
この作品のアピールポイントとしては、主人公のドタバタとした動きが挙げられます。主人公の元気いっぱいな、ある意味大げさな動きを見てもらいたいです。

■ おかしをとりたい! / Team Adelie
ペンギンがお菓子をもらって喜び、食べ終わった後に、もっとお菓子が欲しいとキッチンに探しに行きます。いろいろな場所を探しているうちに上の戸棚にあるお菓子を発見。ただ、そのままでは届かないのでバランスボールをジャンプ台にしてGETを目指します。
お留守番でわくわくする子どものような可愛さ、自分の体ではちょっと難しいことでも頑張ってやろうとする可愛さを表現できたかと思います。

文責:東京工科大学 メディア学部 川島基展

卒業研究「プロダクトデザイン」の最終発表会を実施しました。

2022年2月 2日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

大学も後学期の終盤となり、4年生は卒業研究の最終審査発表会の時期となりました。卒研「プロダクトデザイン」も21日に実施し、全員無事に終了することができました。

なかなか収束しないコロナ禍の中、毎週行う卒研ゼミも後学期は対面を再開しましたが、12月中旬からは遠隔実施が適切と判断できる状況となり、最終発表会も遠隔で実施しました。

プロダクトデザイン提案を主目的としている卒業研究のため、通常ならば発表はじっくり意見交換しやすいポスター形式で行います。会場入口にこのような案内を置き、入室自由、意見交換自由の形式で実施しています。学会のポスター発表と同じ形式です。

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ところで、卒業研究とは別の話ですが、各学会ともに遠隔実施が普通という状態になっていますね。初めは違和感もありましたが慣れてきた感じもします。ただ、学会でのポスターセッションの場に漂う現実のパッションのようなものはやはり感じることは出来ないです。この2年間の経験を活かし、コロナ収束後は発表会場に行かなくても参加できるという長所は活かすべきですね。一方、研究に対する本人の情熱感を感じる対面の価値は大事にしたいですね。学会発表も適切に使い分ける方向へと進んでいくと思います。

メディア学部 萩原祐志

Global Game Jam 2022(2年目のオンライン開催)

2022年2月 1日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

東京工科大学の冬の風物詩のひとつである,48時間ゲーム開発ハッカソン「Global Game Jam」.今年もCOVID-19の影響から東京工科大学会場は遠隔での開催となりました.当初(12月の中旬)は,開会式と閉会式は対面の実施の予定で準備をしていたのですが,開催の2週間ほど前にオンラインでの開催に変更しました.

昨年は,参加者10名と小規模の会場でしたが,今年は同じオンラインでも46名の参加となり,7チームに分かれてゲームを開発しました.

Global Game Jamは会場に集まったゲーム開発者たちが,チームを結成し,与えられたお題に沿ったゲームを48時間以内に開発するというイベントです.普段大学の授業やプロジェクトで一緒に開発している仲間ではなく,初めて会ったプロや他大学の学生たちとチームを組み,団結していくことは大変な挑戦でもあります.

何より,プロやインディーズの方も参加するので,学生であってもプロと同じスタンスで取り組む必要があります.特にシビアな時間管理やクオリティ管理は普段の授業などでは学べない体験です.

オンラインでの開催に当たり,発表などのイベントは遠隔授業などでも利用している「Zoom」などのテレビ会議システムを利用しました.それ以外の時間は「Discord」というサービスを利用し,他のチームの様子を気軽に身に行けたりする環境を作りました.

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東京工科大学会場のGlobal Game Jamの様子は,インターネットを通じて配信してきました.今年もチーム紹介やα版発表,β版発表,最終発表などの様子をYouTube Live!を通じて配信しております.

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7チームが開発したゲームですが,Global Game Jamの公式サイトからダウンロードして遊ぶことができます

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開発されたゲームの紹介は,また別途行おうと思いますが,興味のある方はぜひアクセスして遊んでみてください.

文責:三上浩司

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