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第13回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2022年2月27日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「新規性と独自性に執着し過ぎたシナリオの欠点(あな)」です。

シナリオライターが作品を生みだす上で、特に打ち出したい特徴は「新規性」と「独自性」でしょう。その作品が自身の名刺代わりになることもあり得るだけに、唯一無二の作品である、とアピールしたい人は少なくありません。そういった気持ちを持って、シナリオの執筆に取り組むことはとても大事です。

その作品を受け取る側からすれば『どこが新しくて、何が独自のものなのか』きちんと納得できなければ、「もう既にあるものを、改めて作る意味なんてあったの?」と一蹴されてしまいます。

流行の題材や、人気のキャラクター、定番のジャンルなどを反映した作品にすることで、幅広い人たちから高い関心を集めたいという思惑のもとにシナリオを書くことを依頼されることも少なくないのがシナリオライターですが、それでも「新規性」と「独自性」は求められます。流行していて、人気があって、定番となっているものほど、「独自」の「新規」ポイントが何なんなのかを見定めようとする目は厳しくなります。

しかしながら、今やパソコンの高性能化やネットワーク環境の充実、配信環境やSNSの広がりによって、まったく誰も見たことのない新しくて独自の作品をゼロから作り出すのは困難であり、ほぼ不可能といってもいい時代です。

そこで、そんな時代であるからこそ「新規性」と「独自性」を作り出す方法の一つが「アイディアの組み合わせ」です。

個々のアイディア自体は、既存の作品やキャラクターに採用されているものの、まったく別のジャンルやテーマのアイディアを抽出して組み合わせることで「独自性」と「新規性」を生みだすというわけです。いまや「コラボレーション」という言葉が一般的になったのも、そういった試みがふえてきたからだ、と言えるでしょう。

実際、私もそういった「アイディアの組み合わせ」によって「新規性」と「独自性」を盛り込もうとするシナリオライターの試みと、その作品を近年たくさん見てきました。

そのいずれもがとても意欲的なものです。「組み合わせ」である以上、少なくとも複数の作品とそれらの特徴について理解しておく必要があるため、安易に流行作品の表面的特徴をなぞったシナリオよりも「独自性」を感じるものが多からです。

ところが、この「独自性」がシナリオの欠点(あな)になっている作品も散見されることに気が付きました。

原因は「組み合わせが噛み合っていない」作品を作ってくる人が増えたことでした。

確かに見つけてきた複数題材の特徴を組み合わせたその作品は「独自性」のあるものなのですが、「組み合わせるべきではない題材同士」だったり「同時に作品へ投入しているものの、効果的に組み合わさっていない」といった印象を持つ作品になっている場合があったのです。

例えば前者の「組み合わせるべきではない題材同士」は、実は過去に似たような試みをして失敗することがわかっている作品だったり、後者なら「既存作品のいいとこ取りで組み合わせれば、より良くなると思ったが各要素が独立して際立ってしまい、ちぐはぐな作品になった」という有様でした。

あくまで課題作品としてそれらが提出されているのであれば、習作として今後に活かせばいいだけのことですが、中には「この組み合わせを思いついたのは自分だけで、その発想でしか唯一無二の作品は生み出せない」と信じてしまって、推敲を受け付けなくなってしまう例もあって、少々危険な印象をもった事例もありました。

このブログでは「シナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を何本も紹介してきていますが、既存作品を幅広く知って、自分のシナリオの『どこが新しくて、何が独自のものなのか』を明確に示せるようになりたいものです。

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