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映像表現・芸術科学フォーラムでの発表~演奏を人間らしくする

2022年3月21日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

2021年度の卒業研究も無事に終わり、4年生がそれぞれの成果を卒業論文にまとめてくれました。私の研究室では、その中の3人の研究成果を、映像表現・芸術科学フォーラム2022という学会で発表することになりました。さっそくその内容を学部ブログでも紹介させていただこうと思います。1件目は、林隼也さんの「MIDI音源に人間らしさを付与するゆらぎの自動生成」という発表です。

MIDIというのは、コンピューターで音楽を表現するための楽譜のようなものです。原理的には、音を鳴らすタイミングをミリ秒単位で指定したり、音の強弱を細かく設定したりすることも可能ですが、一般的なDAWソフトなどを使ってとりあえず作曲した時点では、楽譜と同じように、タイミングや強弱がある程度固定的なものになることが多いです。楽譜の場合には、それを見た演奏者が、自分なりの解釈でタイミングや強弱を調整するのですが、MIDIファイルを演奏するコンピューターは、厳密に指示を守って演奏するのが基本です。それに対して、適切な「ゆらぎ」を加えることで、人間の演奏のような雰囲気を出そうというのが研究の目的です。

今回の研究では、いくつかの仮定に基づくゆらぎの付加を行い、それをいろんな人に聴いてもらって有効性を検討しました。楽譜通りの杓子定規な演奏から、少しでも人間らしさを加えようというところまでが目標だったのですが、発表を聞いてくれた方からは、「演奏家によってもゆらぎの加え方は違う。有名なピアニストなどの演奏を分析して、それぞれの個性を再現できるようにならないか」といったコメントもいただきました。まだまだこの先の発展の余地がある研究だと感じています。

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