ミステリー要素における登場人物の役割分類と可視化 ~NICOGRAPH2021発表報告2~
2022年3月 4日 (金) 投稿者: メディア技術コース
助教の戀津です。
昨日に引き続き、NICOGRAPH2021での発表のご報告です。
今回は、以前から時折紹介している先端メディア学「コンテンツビジュアライゼーション」で一緒に研究を行ってくれた学生さんの発表です。
以前にも発表していただきブログで紹介した、飯田琴美さんの研究です。
今回のNICOGRAPHではポスター形式での発表を行いました。
今回の研究では物語のミステリー要素における登場人物の役割をまとめています。
ミステリー要素とは、ミステリー作品に限定せず、物語中で起きた何らかの事件や計画を想定しています。
その事件や計画について、物語として描写する際には各登場人物に役割があったり、知識・認識の差があったりします。
この研究ではミステリー要素における登場人物の役割を、首謀者・実行者・加担者・被害者・協力者・解明者・乱入者の7つに分類しました。
首謀者と実行者は同じ場合もありますが、分類上は別としています。加担者と協力者は、協力するという点は同じで、首謀者側と解明者側のどちらに協力しているかの差です。
解明者はそのまま、探偵役のような役割です。これらの役割は物語上の役割とは別なので、主人公が解明者とは限らないのが興味深い点です。
乱入者は扱いが難しいですが、事件や計画に影響を及ぼすにも関わらずどの立場でもないという場合が時折あるので、例外的な分類です。
これらの各役割に色を割り当て、物語の進行に応じて各登場人物がその時点でどんな役割かを可視化してみました。
※ここからの内容には名探偵コナンと憂国のモリアーティの一部ネタバレを含みます。
例として、名探偵コナンの赤井秀一死亡偽装計画と、憂国のモリアーティのある事件についての結果を示します。
赤井秀一死亡偽装事件は、主人公が首謀者だった例です。赤井が実行し、早い段階でジェイムズが気付いたけれども黙っているので加担者としています。
ジョディとアンドレは計画については知らず、死亡したと思っています。
この例の場合は各登場人物がどの時点で何を知っているかの整理として参考にできます。
こちらの事件では、シャーロックとワトソンは当初容疑者として始まり、解明者と協力者になります。
各人物がどの時点でどういう役割かを整理する参考になります。
他にも、協力者のふりをしているが実行者だった、被害者として退場したが首謀者だったというような場合もあり、その変遷の整理にも活用できると思います。
現在の形では、描写上の(読者に見せている)役割と実際の役割が異なる場合の描画方法がまだ弱いので、色々と試行錯誤中です。
また進展があったら報告します。
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