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[三上・兼松研]映像表現・芸術科学フォーラム2022で発表しました②

2022年3月15日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

今回は前回に引き続き,3月8日火曜日に映像表現・芸術科学フォーラム2022で三上・兼松研から発表した研究について紹介します.
今回は紹介する研究は,

[渋谷鷹,兼松祥央,茂木龍太,松吉俊,三上浩司,”女性アニメキャラクターの性格に基づく学校制服の着崩し方分析”]

です.
この研究では,既存のアニメに登場する女子学生のキャラクターにフォーカスし,学校制服の着こなし方・着崩し方を調査し,分析・分類しました.

この研究は,私たちの研究室で行っているたくさんのキャラクター関連研究の中でも,「キャラクター原案制作支援」にカテゴライズされる研究です.
以前もこのblogで紹介しましたが,キャラクター原案制作支援は,簡単に言えば既存キャラクターをたくさん調べて特徴などを分類し,新しいキャラクターのビジュアルを作るときの土台となる原案を作る支援をするものです.

作品のストーリーやテーマを伝える,世界観を表現するためのキャラクターは,そのビジュアルにもしっかりと設定を反映し,説得力がなければなりません.そして,往々にして設定を考える人と,実際に絵を描く人は違います.そのため,ディレクターをはじめとするそもそもの企画や大枠を考える人や,ストーリーを考えるシナリオライター,そして実際に絵を描くデザイナーなど,様々な役割のクリエイターが相談しながらデザインを詰めていきます.したがって,そこには誰かが頭の中で想像した物・形を他人に正確に伝えなければならない難しさがあります.

そして,渋谷くんの研究でフォーカスした学校制服を着たキャラクターには,その他多くのキャラクターと比べてさらに難しい特徴があります.それはもちろん,学校制服を着ている,つまり,服装の違いで個性を出すのが難しいということです.
皆さんも学生時代,もしくは今まさに制服を着て学校に通っている方もいるかもしれませんが,制服をかっこよく着こなすのは難しいですよね(笑).
着こなすだけでなく,例えばネクタイをきっちり締めているか,緩めているかだったり,シャツの第1ボタンを開けているか締めているかだけでも,そのキャラクターを見た視聴者が受ける印象は変わります.
そこでこの研究では63作品から296体のキャラクターを分析しました.
もともとは何か着崩し方と性格の関連性が明確にならないかなぁと思って始めた研究なのですが,残念ながら明確に傾向が出た!と言えるものはあまり多くありませんでした.

ただ,今回の研究の価値は,体の部位ごとにどんなものをどのように身につけているのか,そのバリエーションなどを明らかにしたところにあると思っています.
例えばシンプルにわかりやすいところで言えば,「最近の学校制服を着ているアニメの女性キャラクターって,セーラー服を着ているキャラが何割いて,Yシャツ(ブレザー)を着ているキャラがどれくらいいるの?」みたいなことを明らかにするような調査ですね.
私たちはこういった調査や分析が,新たにキャラクターを作ろうとするときの土台・知見になると考え,「キャラクター原案制作支援」を行っています.

また,大変ありがたいことに,この研究は「優秀発表賞(ポスター発表)」を受賞しました.
研究途中では,なかなか思うように成果が出ず,かなり難産な研究だったので,最後に渋谷くんの努力が報われてよかったなぁと思っています.

(文責:兼松祥央)

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