身の回りで役に立つ数学
2022年3月 1日 (火) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
コロナ禍の中で、いろんな数字に触れる機会が増えています。ニュースを正しく理解するためには、数学的な考え方が重要です。「数学なんか日常生活の役には立たないよ」という人への反論は、以前のブログ記事でも書いたことがありましたが、今日は最近のニュースを題材にお話ししてみたいと思います。
細かい数字はうろ覚えなので、架空の国の話ということにします。A国では、国民の90%が2度のワクチン接種を終えていますが、最新の調査では、新型コロナ新規感染者の30%がワクチンを2回接種した人でした。このニュースを見て、「なーんだ、ワクチンを2回打っても30%の確率で感染しちゃうのか」と思った人は、残念ながら数学の勉強が不足しています。
A国の人口が1億人だとしましょう。2回接種済の人は9千万人です。新規感染者が1万人で、そのうち2回接種済の人は3千人だとしてみましょう。2回接種者の感染率は、9千万人中の3千人ですから、約0.003%です。未接種者の感染率は、1千万人中の7千人ですから、0.07%です。比率で見ると、後者は前者の21倍です。
こんな計算をするまでもなく、数学の心得のある人ならば、こんな考え方をします。人口の90%が2回接種済なのだから、もし接種に何の意味も無いとしたら、新規感染者の中にも2回接種済の人が90%いるはずだ。それなのに30%しかいないということは、接種のおかげで感染率が下がったということだ。実際にどれぐらい下がったのかは、ちゃんと計算して確かめてみよう!
ワクチンを打つか打たないかについては、感染率以外にもいろんな要素があり、考え方は人それぞれだと思います。ただ、前提となるメリットやデメリットについての理解が不十分だと、自分にとって不利な選択をしてしまう可能性が高まりますね。やっぱり数学は日常生活の役に立つんだなあ、と思う今日この頃です。
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