[三上・兼松研]映像表現・芸術科学フォーラム2022で発表しました③
2022年3月17日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース
みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.
今回も前々回に続き,3月8日火曜日に映像表現・芸術科学フォーラム2022で三上・兼松研から発表した研究について紹介します.
今回は紹介する研究は,
[曽根卓憲,兼松祥央,茂木龍太,松吉俊,三上浩司,”オリジナルアニメのストーリー分析に基づくシリーズ構成支援”]
です.
この研究もタイトルの通り,ストーリー関連,シナリオ関連の研究です.
これまでにも私たちは数多くのシナリオ関連研究を行っています.その中には,私と同じくメディア学部助教の戀津先生が開発している”シナリオエンジン”をはじめ,シナリオ執筆を直接的に支援するシステム開発のような研究もあります.
ただ,この曽根くんの研究は,そういった直接的な支援ではありません.
この研究では,1クールのアニメのストーリー構造がどのようになっているのかを調べました.
ストーリー構造の分析や,それを活用した支援に関する研究は数多くあります.
例えば,私の学部生時代,修士時代の指導教員である金子満先生の研究・著書では,多数の映画のストーリーを分析し,その結果からシナリオを段階的に執筆するバイステップ手法が提案されています.
この手法は,私が担当しているプロジェクト演習シナリオアナリシスでも基盤になっていますし,私たちの研究室で行っている研究の多くが金子先生の手法をベースにしています.
金子先生の手法以外にも,例えば有名どころだと三幕構成とか,箱書きとか,ストーリー構造を設計するための手法はたくさんあります.
私自身も金子先生の授業を受けてシナリオをしっかりまとめる力を養ってきた1人なので,もちろん素晴らしい手法だと思っていますし,博士課程在籍中には外部の企業の方に金子先生の手法を教えたり使ったりする仕事をしました.
ですが,その当時からずっと感じている疑問というか違和感というか・・・適切な言い方が思いつきませんが,「この手法はあらゆるストーリー構造の設計に耐えうるものではない」という不満がありました.研究者の最初の動機はとしてはありきたりかもしれませんが(笑)
実際,前述の仕事の際にも,この手法を使ってうまく行く人もいれば行かない人もいましたし,作品によってもうまく行く場合と行かない場合がありました.
多くのシナリオ支援手法は1つの完結した作品を作るための手法です.
はっきり言ってしまえば金子先生の手法もこの枠を出ていません.
ですが,みなさんご存知のとおり,映像作品の「ストーリー」は1話ごと・または1エピソード,1イベントごとに完結していくストーリーだけでなく,1クール,1シーズン通して展開していくストーリーもあります.それよりもさらに大きい枠組みだってあります.
そういったストーリーの「大きな枠」は,既存のストーリー構造設計の手法では当てはまらない部分や無理が出てくる部分があります.
曽根くんの研究は,そんな「大きな枠」を対象とした分析を行いました.
まだまだ研究の入り口ですが,実際に既存のシナリオ手法やセオリーで言われていることを,1クール全体のストーリーに当てはめてみると通用しないという結果が見えたおもしろい結果になりました.
このテーマは今後も私自身を含め,次期卒研生・院生たちと進めていきたいと思っています.
(文責:兼松祥央)
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