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学会発表報告 (デジタルコンテンツクリエーション研究会)

2022年4月11日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。こんにちは。

少し間が開いてしまいましたが、2022年1月20,21日に開催された「情報処理学会デジタルコンテンツクリエーション研究会」にて、私が指導していた(当時)修士2年の小坂大樹君が「経路探索における部分グラフを用いた経路グラフ最適化に関する研究」というタイトルで口頭発表を行いました。今回は、その報告をしたいと思います。

小坂君の研究は、タイトル名にあるように経路探索に関する研究です。経路探索とは、マップ内に出発地と到着地を設定し、その経路を算出する理論や技術のことです。直接的には、カーナビゲーションやスマホの地図でのルート検索などが応用用途として挙げられますが、ゲーム内でのAI制御でも重要な役割を担います。ゲーム内のキャラクターが目的地に移動する際、どのような経路を通るのかを求めるための重要な理論です。

経路探索を行うには、マップ内の経路情報(要するに道路マップ)が必要となるのですが、この情報のことを数学的には「経路グラフ」と呼びます。この経路グラフの作成は自動的に行うことができるのですが、自動的に作成する場合にはどの程度の細かさにするかが問題になります。細かすぎると記憶量や計算時間が多くて処理が重くなってしまいますが、粗すぎると大回りをしてしまう可能性が高くなります。そのため、ゲーム等で実践的に利用するにはデザイナーが微調整をする必要があり、多大な作業が発生してしまうという問題があります。小坂君の研究は、まず細かく作成した経路グラフに対し、どの経路が省略可能なのかを算出することを目的としたものです。

この学会はオンラインで実施されたのですが、本当は淡路島で実施する予定でした。私はこの研究会の運用委員でして、2021年12月までは現地で開催するための手続きを行っていました。2021年末頃、全国の感染者数は100人前後で推移しており、日本でのコロナはほぼ終息したという認識が広まっていました。実際、11月や12月ではいくつかの学会で現地開催を実現しており、私も久しぶりの現地での学会参加を楽しみしていました。

しかし、年末から様相がかわりはじめてきて、1月に入ってきてからは徐々に増加しはじめます。実施形態を決定する最終判断は 1/5 の Zoom ミーティングで行ったのですが、その時点ではまだコロナ感染者がどうなるかは微妙なところだったのですが、これまでの経験上「コロナ感染は今後爆発的に増加する可能性が高い」と考え、やむを得ずオンラインに変更することにしました。淡路島で宿泊や実施会場としておさえていたホテルには大変なご迷惑をおかけしてしまうことになり、非常に残念ではありましたが致し方ありませんでした。

結果として、開催日の感染者数は全国で5万人程度にまでふくれあがり、もし現地としていたら大半の発表者は参加を辞退していたことだろうと思います。オンライン開催の判断は大正解だったのですが、それでも残念な気持ちは残ってしまいました。来年度の研究会も、改めて淡路島で開催するということで関係者と調整しているのですが、来年こそは現地で開催できることを強く願っています。

実は、3月に開催された別の学会は現地開催を実現でき、久しぶりに対面で多くの他大学の先生方のお目にかかることが叶ったのですが、それはまた別記事で紹介します。


メディア学部教授 渡辺大地

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