新任助教の盧です
2022年5月28日 (土) 投稿者: メディア技術コース
はじめまして,今年4月から助教として着任した盧承鐸(ノ スンタク)です.
現在,柿本先生と一緒にビジュアル・インフォマティックス研究室を運営しております.
コロナ過で皆さま前でお話する機会があまりないので,このブログ上で簡単に自己紹介及び研究内容の紹介をしようと思います.
私はコンピュータ・グラフィックス,その中でも特にモデリング分野を主に研究しています.
本来,コンピュータ・グラフィックスにおいて3次元モデルを作る作業には多大な時間と労力が必要です.
創作など存在しないものを作る意味では3次元モデルをゼロから作り上げる必要も生じてきますが,
3次元モデルが必要な多くの文脈では,既に何かしらの実物があり,それに相当する3次元モデルを作るのが殆どです.
今度はその意味で行ってきた過去の研究の内,代表的なものを1つ紹介します.
"SkelSeg: Segmentation and Rigging of Raw-Scanned 3D Volume with User-Specified Skeleton"Seung-Tak Noh, Kenichi Takahashi, Masahiko Adachi, Takeo IgarashiProceedings of Graphics Interface 2019: Kingston, Ontario, 28 - 31 May 2019
こちらの内容は,ぬいぐるみを3次元スキャンしてキャラクターアニメーションに用いる時に起こり得る問題を解決したものです.
伝統的な3次元スキャン手法では,対象を背景と区別する機能や,隣接パーツ同士を区別する機能が備えられていないため(動画 ~0:15),単純にぬいぐるみをスキャンしたら背景と隣接パーツが癒着された状態になり,アニメーションにすぐ活用できない状態のものしか得れません.普段,こういう問題を解決するには,3次元編集ソフトウェアを利用して背景を削除したり,癒着されているパーツを切り離したり不都合のおきている部分を綺麗に直してから,骨格を付与してアニメーションさせる流れになります.しかし,3次元編集ソフトウェアの操作は単純でない上,労力もかなりかかる作業が必要になります.
この研究では,スキャンする際の床情報を利用することで床部分を削除し,スキャン時に見えていなかった部分に発生し得る穴を自動的に塞ぎます(1:30~1:45).また,何れアニメーション用に付与される骨格情報を利用してパーツに起きている癒着問題も半自動的に解決します(動画1:45~2:05).これは,3次元編集ソフトウェアに慣れていないユーザでも,限られた視点における2次元的な操作(動画 0:55~1:25)はそこまで難しく感じないとの知見に基づいたものです.以上の機能を持ちまして,3次元編集ソフトウェアに慣れていない人でも簡単に作業できるように利便性を改善したものと言えます.
私が何故このようなモデリング分野に携わってきたかの経緯に関しての話や,技術的な面においても色々話がありますが,今回は自己紹介として初めての自己紹介の意味を込めてその内容は大分割愛しております.その内容については,また今度のブログ記事で紹介できればなと思っております.
これからどうぞよろしくお願いいたします.
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