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第16回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2022年5月21日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「主人公の存在が不明瞭なシナリオの欠点(あな)」です。

当たり前のことですが、シナリオを書く上で登場人物は、セリフやト書きで言動を記述することによってストーリーを進行させる、欠かすことのできない存在です。

かなり意図的に特殊なシナリオ、例えば一人芝居を書く場合でもなければ、シナリオには複数の登場人物が存在し、なかでも主人公は作品の軸を担う特別な役割の存在と言っていいでしょう。

小説と違ってシナリオは「柱」「セリフ」「ト書き」という3つの要素で記述するというフォーマットがあり、シナリオ本編の前には登場人物一覧を載せることが慣例になってはいますが、なんらかのストーリーを記述するにあたって、どの登場人物に、どんな役割を与えて記述するのか、あらかじめ決まっているわけではありません。

シナリオを執筆するシナリオライターは、本人なりに登場人物の誰にどんな役割を担わせるのか、あらかじめある程度構想を練ってから、書き出すでしょうし、まずは主人公を決めないと、文字通り「話が始まらない」とは思います。

しかしながら「話が始まった」としても、当初は主人公の役割を担わせた登場人物が、ストーリーの進行とともに存在感を失っていき、シナリオのエンディングを迎える頃に「いてもいなくても良かったのでは?」などと思われてしまう、致命的な「シナリオの欠点(あな)」になる場合があります。

さんざんシナリオを書きすすめていて、そんなことありえるのだろうか?と思う方もいるかもしれませんが、ここで言う「存在感を失う」という状態は、作中の映像的に姿を消すという意味ではなく、その場には登場しているのだが、まさに登場しているだけで「目立っていない」という状態です。

主人公という役割を与えられていても、本人が主体的かつ能動的に本編ストーリーに関わることなく、ひたすら周囲の登場人物に助けられ続け、むしろそんな存在に敵対し、なんとか抗おうとする登場人物がいた場合、観客の注目は果たしてどちらに集まるでしょうか。

たとえ原作者となったシナリオライターが「この名前の登場人物が主人公です」と主張しても、それにふさわしい言動をとらないことには、観客に主人公は主人公として認識されないのです。

主人公として設定した登場人物がいるのなら、その登場人物には主人公として活躍できるだけの言動を取らせたいものです。

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