【Vocagraphy!の使い方②】「でんわ」と聞いて、何を思い浮かべる? 複数の写真を一つのカードに入れる方法。
2022年6月25日 (土) 投稿者: メディア社会コース
皆さんは、「でんわ」という言葉を聞いて、どんな絵を思い浮かべますか?上の写真のような昔の電話がパッと頭に浮かぶ人はあまりいないですよね。今だとスマホを「でんわ」と呼びますね。少し前ならガラケーでしたね。さらにその昔は、公衆電話に長蛇の列が出来ていたものです。
では、子どもはどうやって「でんわ」という言葉を最初に覚えているのでしょうか。電話が何なのか意味を理解しているとは思えません。スマホが電話となった今の時代、大人でも説明するのが難しいですよね。
▶︎なぜ複数の写真を使うの?
聞こえる子どもであれば、親がわざわざ教えなくても「でんわ」という言葉を自然に覚えます。小さいお子さんでも、手を耳のあたりにあてて「でんわ」と発語します。「おじいちゃんとおばあちゃんから電話だよ」と四角い物体を渡されて声が聞こえてきたり、パパやママが電話をしていて「ちょっと待って、いま電話してるから」と構ってもらえなかったり、そんな体験と「でんわ」という音が結びついて、言葉を覚えているのでしょう。
音声で言葉を覚えるのが難しい子どもの場合、視覚的に覚えやすい工夫をしてあげると言葉を覚えやすくなることがあります。Vocagraphy!では、一つのカードで一つの言葉を覚えますが、複数の写真を読み込むことが可能です。お子さんが喜びそうな工夫をすることで、楽しく言葉を覚えることができます。
▶︎カードに複数の写真を入れる方法
カードの作り方は前回のブログでご紹介しましたので、そちらをご確認ください。
さて、カードを作ったら、次の2ステップで写真を追加してみましょう。
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写真の上を左にスワイプする
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「+」をタップして画像を追加する
簡単ですね。画像は10枚まで追加することが可能です。「でんわ」というカードに写真を4枚入れる動画をご覧ください。
動画はこちら>
https://vimeo.com/698897335
▶︎どんな使い方が出来るでしょうか。
では、どんな場面でこの機能を使えば良いのでしょうか。私の経験談をご紹介します。
(1) かわいいイラストと実際の写真で結構違う罪な動物たち
さて問題です。キツネはどれでしょうか?
全て答えてください。
答えは①と③ですね。皆さんは、どんな順番で答えを導き出したでしょうか。
①はキツネっぽいな。
②はどうだろう。キツネっぽいけど、犬かな。
③は・・・・犬っぽいけど、キツネだな。
④は明らかにネコじゃん。でも、①に似てるな・・・・・。
絵を見て、これまで見た絵本や実物と照合し、記憶された動物の名前を引っ張り出してくる作業をしたのだと思います。体に染み付いた言葉は、そんな手順を意識することなく、パッと言葉が出てくるでしょう。
市販の言葉カードだと、①のように可愛らしいイラストのものもあれば、③のように本物そのものの写真やイラストもあります。どちらもキツネだと覚えてもらうには、アプリに両方の写真を入れると良いでしょう。
(2) オリジナル言葉カードの原点は「ラーメン」
娘がなかなか覚えられなかった言葉の一つに「ラーメン」がありました。市販の言葉カードに書かれているイラストには、大人が食べる本格的なラーメンが書かれており、チャーシュー、なると巻、ネギなどがトッピングされています。3歳くらいの子どもがそのようなラーメンを食べる機会はなかなかありません。
そこで、週末に私が作ったラーメン(コーン、キャベツ、タコさんウインナーなどをトッピングしたもの)を写真に撮って印刷し、言葉カードの上から貼りました。すると、ラーメンが好きな娘は、すぐに覚えることが出来ました。
この時にアプリがあったら、家で作ったラーメンの写真と、言葉カードのラーメンのイラストと、カップラーメンの写真などを入れたでしょう。今考えると、アプリで1つの言葉に複数の写真を取り込めるようにした原点は「ラーメン」だったのかもしれません。
(3) 抽象的な「上位概念」を覚える
色の名前を覚えるとします。「赤」「青」「黄」などの折り紙を写真に撮って、カードを作ると良いでしょう。でも、言葉をこれから子どもにとっては、それだけでは不十分です。これでは、折り紙の場合に使う言葉だと思ってしまうからです。
「赤」であれば、「トマト」「いちご」「赤信号」「ポスト」などの写真も入れれば、なんとなく「色」という上位概念があることを認識します。「赤」「青」「黄」に対して、「色」という上位概念があることも覚えます。
「色」以外にも、例えば「かたち」というフォルダに、「まる」「さんかく」「しかく」というカードを作ります。「まる」であれば、トマト、ボール、お皿などの写真を入れます。
トマトは「赤い色」で、「形は丸」なんだな。
アプリで写真と言葉を繰り返し見ていると、このような事に気がつくでしょう。
他にも「味」「季節」「におい」など、さまざまな上位概念を知る事で、覚えた言葉同士が有機的に結びつきあい、単語を組み合わせて短い文章を作ることができるようになります。
▶︎まとめ
フォルダや複数の写真を使えば、抽象的な「上位概念」と具体的な「下位概念」を直感的に理解できます。言葉を暗記するだけではなかなか定着しないので、多面的に言葉をとらえ、日常生活で意識して使うことをオススメします。そして、なるべく子どもが喜ぶ写真を使い、楽しく言葉を覚えましょう!
メディア学部 吉岡 英樹
略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。
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