【多様性について考える③】情報の可視化が多様性を生む
2022年6月22日 (水) 投稿者: メディア社会コース
情報の可視化が多様性を生む
娘の学校では情報をなるべく可視化するようにお願いしていますが、それらの配慮は難聴児だけのためでしょうか。最近では多様な発達障害のお子さんもいらっしゃいますし、障害がなくても情報を可視化してもらうと理解が進みます。
音声言語はとても曖昧な情報です。例えば、「かんき」と聞くと、今のご時世では「換気」を思い浮かべるかもしれませんが、「歓喜」「寒気」などもあります。大人になれば前後の文脈から自然と意味を推測しますが、言語が発達途中の子どもや聞こえにくい難聴児は、その1つの単語が分からなくなることで、言っていること全てが理解できなくなることもあります。
本学で私が担当する音楽産業入門では、150人ほどが受講しています。その授業でスマホアプリを使ってリアルタイムに字幕をつける実験をしてみました。難聴の学生は一人もいません。学生に字幕があった方が良いかアンケートをとったところ、8割以上の学生が「字幕があった方が授業をより理解できる」と回答しました。音声で聞いている内容がより明確になることや、聞き逃したところを見返すことができるメリットがあるようです。
「情報の可視化」は、カーブカットにおける「コンクリートの塊」と同じように、多くの人を助ける鍵になるのかもしれません。すでにスマホアプリで話している言葉を簡単にテキスト化できる時代になりましたし、それを多言語に翻訳することも可能です。聴覚障害の有無だけでなく、言語の壁さえも超えてコミュニケーションを可能にするツールとなるでしょう。
メディア学部 吉岡 英樹
略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。
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