【シン・ウルトラマン⑥】脚本家、金城哲夫の功績(メディア学部 藤崎実)
2022年6月 4日 (土) 投稿者: メディア社会コース
映画「シン・ウルトラマン」が、現在大ヒット中です。
「エヴァンゲリオン」が好きだという理由で庵野秀明監督に興味を持ち、2016年の「シン・ゴジラ」を観に行ったり、2022年の「シン・ウルトラマン」を観に行った若者は多いのではないでしょうか。
そして、改めて「ウルトラマン」の世界観や、奥深いテーマに興味を持った若者も多いのではないでしょうか。
「シン・ウルトラマン」が誕生した背景にある、言い換えれば、庵野監督を魅了したTV番組「ウルトラQ」や「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」の最大の魅力に、優れた物語性、つまり脚本の素晴らしさがあります。
先日は、デザイナー成田亨氏の功績にスポットを当てましたが、映像作品で最も大切なのは、物語、つまりストーリーです。
20代の若さで「ウルトラQ」や「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」の脚本を担当した金城哲夫氏の功績は、今までも様々な機会で語られてきました。そうしたエピソードで私が最も印象深いのは、金城哲夫氏の生い立ちです。
金城氏は生まれこそ東京ですが、中学までを沖縄で過ごします。
その幼少期は第二次世界大戦にあたるのですが、その際、金城氏はアメリカ軍による攻撃を体験するのです。
そうした戦争体験や、戦争による悲劇が金城氏の原体験にあるのです。
(画像出所)「円谷プロダクションクリエイティブアワード 金城哲夫賞」より(https://m-78.jp/TCA/)
「ウルトラQ」の不思議で不条理な世界観、「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」の正義や愛についての感覚や、底辺に流れる悲しい感じ、人間は本当にこれで良いのだろうか、といった深淵なテーマ設定など、脚本家、金城氏の戦争体験が物語に反映しているのではないかと思えるのです。
このコラムは、評論を書く場でないので、金城氏のご紹介にとどめておきますが、「昭和第1期ウルトラシリーズ」の物語の深みは間違いなく金城氏の功績です。
偉大なる作品はひとりでは創ることができません。
まず最初に良いシナリオありきです。そして、良い役者、良い美術、良い演出、良い技術などの多くの才能が集まって、ひとつの世界観がくっきりと具体化されるのです。
素晴らしい世界観とテーマを私たちに届けてくれた脚本家、金城哲夫氏の功績は今後も輝き続けることでしょう。(メディア学部 藤崎実)
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