確率の不思議 - 2. ベイズの定理
2022年7月27日 (水) 投稿者: メディア技術コース
さて、モンティ・ホール問題の続きです。
この問題を確率論的に説明するときに出てくるのが、ベイズの定理というものです。データサイエンス全盛の昨今は、いろんなところで耳にすることがあるかもしれません。ベイズの定理の基本にあるのは、条件付き確率というものです。これは、単に「○○が起きる確率は…」と考えるのではなく、「××が起きたときに、〇〇が起きる確率は…」と考えた場合の確率のことです。
モンティ・ホール問題の確率論的な説明では、こんなふうに考えます。解答者が1のドアを選び、司会者が2のドアを開いたとしましょう。このとき、仮に1のドアが正解だとすると、司会者は2か3のどちらかのドアを選ぶはずなので、2を選ぶ確率は1/2です。「1が正解のときに2を選ぶ条件付き確率は1/2」ということですね。一方、2が正解の場合、司会者は必ず3を選ぶはずなので、「2が正解のときに2を選ぶ条件付き確率は0」ということになります。同じように、「3が正解のときに2を選ぶ条件付き確率は1(100%)」となります。
次に出てくるのが事前確率というものです。これは、先ほどの「1が正解の場合…」という部分の確率ですね。もともとの問題がランダムに作られているとすれば、1,2,3それぞれのドアが正解である確率はいずれも1/3ということになります。
事前確率と条件付き確率を掛け算すると、「××が起きて、そのあとに○○が起きる確率」を計算できるようになります。上記で考えると、1が正解で、なおかつ司会者が2を選ぶ確率は、1/3と1/2を掛けて1/6ということになります。一方、2が正解で司会者が2を選ぶ確率は0%なので無視してよく、3が正解で司会者が2を選ぶ確率は、1/3と1を掛けて1/3ということになります。
ベイズの定理の最後のポイントは、司会者が2を選んだ以上、1が正解で2を選んだか、3が正解で2を選んだかのどちらかしかありえないということです。前者の確率が1/6で後者が1/3、足しても1(100%)になりませんが、気にすることはありません。その比率がそのまま確からしさになるので、後者の方が2倍の確からしさであると思って良いということです。(確率で言うと、前者が1/3、後者が2/3となります)
これでめでたしめでたし、と言いたいところですが、この話には実は続きがあります。(明日に続く)
(大淵 康成)
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