シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その40前編
2022年7月 1日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース
みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
前編となるこの記事は、あらすじのまとめが中心です。
後編ではその内容をもとに注目すべきポイントを述べますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
取り上げる映画は次のタイトルです。
『のぼうの城(2012)』
○監督
犬童一心
樋口真嗣
○脚本
和田竜
○あらすじ
豊臣秀吉は天下統一を目前にひかえ、北条氏の攻略に動き出していた1590年6月。北条氏の支城のひとつ「忍城」の城主である成田長親は、武芸も勉学もいまひとつで「でくのぼう」とされていたが、領民たちの面倒見が良かったことから「のぼう様」と呼ばれ、慕われていた。
いよいよ石田三成率いる豊臣軍が忍城へ攻め込んでくることになったとき、忍城側は当初降伏する方針で準備を進めており、豊臣側へ降伏の意志も密かに伝えてあった。しかし、いざ豊臣軍からやってきた降伏勧告の使者の態度は実に傲慢で、とうてい素直に受け入れられるようなふるまいではなかった。
このため長親は方針を一転して豊臣軍に宣戦布告し、使者を追い返した。押し寄せる豊臣の軍勢2万に対し、忍城側でまともに戦える兵は500人。完全に劣勢の戦いではあったが、長親を慕う兵と領民たちは長親の決断を支持し、士気は非情に高かった。
数で圧倒的に上回る豊臣軍は一気に押し寄せて勝負を決めに来たが、長親たち忍城側は領内の地形と城までの道を巧みに用い、大人数が身動きできない状態を作り出すことで数的な有利を活かせない状態を強いて、抵抗する。予想以上に攻めあぐねた豊臣軍の石田三成は一計を案じ、忍城周囲の川をせき止めた後に決壊させる水攻めによって城を攻略することにした。
石田三成の策によって押し寄せてきた川の水は、領内はもちろん忍城の城下にも流れ込み、獅子奮迅の活躍をした兵たちも、これには本丸に避難を余儀なくされる。同時に豊臣軍も攻め入ることはできなくなったが、包囲を続ければ忍城側が音をあげる算段だった。
これに対して長親は奇策に出る。家臣に密かに小舟を用意させると、自ら単身で包囲する豊臣軍の眼前に姿を表し、田楽踊りを始め、敵軍を楽しませ、盛り上げると、一緒に歌い踊るよう仕向けた。長親に文字通り踊らされる豊臣軍の姿に苛立ちを覚えた石田三成は、長距離から長親を狙撃するよう命じる。銃弾は長親を撃ち抜き、その場は一転して静まり返った。
この日の出来事は瞬く間に知られることになった。そしてそれこそが長親の狙いだった。自身はかろうじて忍城へ戻っていたが、安否は不明で「のぼうさまが撃たれた」という噂だけが広がった。その結果、長親を慕っていた周辺の住人たちの反感を買うことになり、水攻めによる田畑被害への恨みとあいまって、彼らを堤の破壊へ駆り立てた。
これによって忍城を包囲していた水は、逆流して豊臣軍に襲いかかり、豊臣軍は甚大な被害を出した。
両軍多大な被害を出したところで、和睦の交渉をすることになった。すでに北条氏の本城・小田原城は落城している旨を伝え強気に出ようとする豊臣側だったが、最後まで忍城を守りきった長親は毅然とした態度を崩さず、石田三成に家臣と領民の安全を確保すること、荒らされた領内の復興を手伝うことを約束させたのだった。
・・・次回は、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、について述べていきます。どうぞお楽しみに。
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