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メディア学部でシナリオをやる価値(OCでよくある質問)

2022年7月24日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

そろそろ前期の授業も終わりが見えてきました.
私が担当するプロジェクト演習も,シナリオアナリシスはこの間の金曜日に最終回でしたので,恒例の最終発表会を実施しました.

私がオープンキャンパスで研究や授業の紹介を担当するときは,大抵このシナリオアナリシスの紹介も話の中に混ぜています.そのせいだと思いますが,私の説明を聞いてくださった高校生や保護者の皆様から,よく「シナリオの授業で大事にしていることはなんですか?特徴はなんですか?」という趣旨の質問をいただきます.今年度も6月,7月に1回ずつオープンキャンパスに参加しましたが,両方の回で聞かれました.

シナリオに限りませんが,今はさまざまなことをwebなどを通じて学ぶことができます.
シナリオを書くための共通的なルールを学ぶだけであれば,わざわざ大学や教育機関に通う必要はありません.書籍もさまざまなものが売っていますし,それこそwebを活用すれば現役のプロの方の話も見つかるでしょう.
ですが,シナリオを書くために必要なこと,そして,むしろ一番難しいのは,こういったルールを勉強することではありません.

私が授業で扱っているシナリオは,読んで楽しむための読み物ではありません.
あくまでも,映像コンテンツを制作するための設計図・仕様書です.
設計図であるからこそ,内容が他の人(他の制作スタッフ)に誤解なく伝わるように書かなければなりません.
また,仕様書であるからこそ,明確な企画意図と,この意図を映像コンテンツの視聴者に伝えるための工夫が必要になります.
そもそもシナリオを書くために必要なルールなんて,ごくわずかしかありませんので,これを勉強するのは簡単です.ですが,そのルールに則って,前述した意図や工夫を,伝わるように盛り込むのが難しいのだと,私は考えています.

自分の好き勝手に物語を妄想するだけであれば,アニメ好き・ゲーム好きの多くの人にとって容易なことだと思います.小学校に上がったばかりの甥っ子ですら,色々なおもちゃをつかってやっています.
そこで私の授業では,シナリオの書き方自体よりも,なぜこういうストーリーを書いたのか,なぜキャラクターにこういう行動をさせるのか,といった,「なぜ」を大事にしています.これはさまざまな製品を作る上では当たり前のことです.例えば車であっても,形であったり色であったり機能であったりには,必ず理由があって設計されていると思います.
この「なぜ」を明確にしながら書くためには,単にシナリオの書き方を学ぶだけでなく,さまざまな視点での知見・経験を持っていることが大切です.

例えば心理学的な視点から,自分の作ったキャラクターがどういう印象を与えるのかを考えてみるのも良いでしょう.また,企画としてしっかりとした提案をしていくためには,市場調査の知識があるに越したことはありません.自分の書いたシナリオを土台に,さまざまな専門家達が映像化していくわけですから,シナリオ以外の専門家達がどういう考えでもって仕事をしているのかを知っていないと,わかりやすい設計図は書けないでしょう.

メディアに関するさまざまな専門家である先生方が集まっているメディア学部だからこそ,シナリオをやる価値があると私は考えています.

(文責:兼松祥央)

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