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シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その42後編

2022年8月30日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品の42本目「バットマン・ビギンズ」について、どこに注目すべきか述べていきます。

今回取り上げる「バットマン・ビギンズ」は2005年に公開されたアメリカの映画です。原作はアメリカン・コミックのひとつ「バットマン」ですが、実写映画化されたのはこの映画が初めではなく、この映画で5作目でした。共通する設定などはありますが、過去作とのつながりはなく、この「バットマン・ビギンズ」をシリーズ1作目とした「ダークナイト・トリロジー」三部作として、続編の「ダークナイト」「ダークナイトライジング」が続きます。

さて、この作品でシナリオライターとして注目すべきは「ヒーローが主人公として活動する動機の作り方」です。

いまや映画の原作として、定番のひとつになったともいえる「アメリカンコミックヒーロー」ですが、そのなかでも「バットマン」は、特に有名な作品かつ有名なヒーローの1人と言えるでしょう。すでに映画が4本作られていることからも、その人気はうかがえます。

日本でも「ヒーローモノ」の人気は高く、ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊など、毎年新しいヒーローのシリーズが登場しているわけですが、その人気の理由のひとつは「ヒーローをヒーローたらしめる強い力(能力)」です。変身、覚醒、改造など、能力を得るに至るきっかけはヒーローによって違いますが、常人とはかけ離れた強い力(能力)を使いこなす様が痛快であることが、興味関心をくすぐっていることは間違いありません。

しかしながら、それゆえにそういった「特殊な力に関するアイディア」があれば「ヒーローモノ」のシナリオが書ける、と勘違いされがちですが、決してそうではありません。

確かに「ヒーローをヒーローたらしめる強い力(能力)」は、作品を特徴づけるために必要ですが、シナリオを書く上で重要なのは、その力を得る
に至る経緯がどんなことで、その力を何のために使い、どのようにヒーローとして認識されるか、といった複合的なことであり、能力が特徴的なだけで観客を楽しませることはできないのです。

「バットマン」がすでに何度も実写映画化されていることは記述しましたが、過去の昨品では「バットマンはヒーローである」という前提のもとに作られたものもあるのですが、今回取り上げた「バットマン・ビギンズ」は“ビギンズ”という言葉をタイトルにつけていることもあって、主人公ブルースが「どうしてバットマンになろうと思ったのか」「バットマンとしての強さはどのようにして得たのか」「バットマンがどのようにしてヒーローになったのか」を、とても丁寧に描いています。

そういったシナリオにすることで「バットマン」というヒーローを全く知らない人でも映画を楽しむことができるわけです。これは原作や既存シリーズの昨品とってとても大事なことで、えてして既に存在するファンにしか通じないシナリオになってしまい、新規の観客を呼び込めず失敗した作品は数知れません。

実際、バットマンをよく知らないから見ないかな、という人もいるとは思いますが、そのような心配をせずとも、わかりやすく楽しめるので「バットマン・ビギンズ」はぜひ一度見てみてほしいと思います。

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