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2022年9月

根拠のない自信は若者の特権(その2)

2022年9月30日 (金) 投稿者: メディア技術コース

 昨日の記事は「根拠のない自信は若者の特権」という話題でした。1年次前期の講義科目「メディア学入門」最終回講義でのトピックの一つです。
 
 これについての履修生からの2つ目の質問と回答を紹介します。
 
 質問:
 
 「『根拠のない自信は若者の特権』とのことですが、柿本先生の実体験でこのような特権を行使されてきたことはあるのでしょうか。ぜひともお聞かせ願いたいです。」
 
 回答:
 
 いやあ、どうでしょうねえ。あんまり、ないなあ……、根拠のない自信……、少なくとも表明することはなかったですね。
 
 だけどさっきの話(卒研や入社後しばらくは仕事ができなかった話)でいうと、自分はプログラミングはそんなに、客観的に見れば得意じゃないんだけども、「いや、オレはきっと得意だ! ……考えるの好きだし……、その、理詰めでロジック考えるのも好きだし……。だからきっと得意だ!!」っていう風に、自分の心の中で、その当時の客観的な状況としては根拠のない自信は持ってました。
 
 そういう意味では、根拠のない自信を私は持ってたと言えるかもしれない。でもそれは30ぐらいまでですね。で、ようやくそれで、だんだん少しずつ、客観的に「あ、ちょっと結構出来る方かな」ていうふうにちょっとずつ思えてきた、という感じですね。
 
 一番大きかったのは……、これです。企業の研究所に入ってて、その中で仕事してたわけですけども、たまたまラッキーなことにですね、29歳から30歳にかけて一年間アメリカに留学する機会がありました。もちろんこれは入学試験とか受けたわけではなく、たまたま企業もバブルの頃だったし、お金あって、アメリカの大学の研究室に、寄附をするんで、ちょっと一人留学生として社員を一年間滞在させてくれないか、て形でね、まあ、お金と一緒に行ったような感じですね。
 
 で、その時の一年間というのはかなり私には自信になった。そのときにちゃんとプログラム組んで、当時のその先生の考えたアイディアをちゃんとプログラムにするっていうことをやってたんです。それが結構できて、ちゃんとした論文誌に結果が通ったわけですよね。私がやったのはプログラム書いただけなんですけども、それができたことで、すごい自信になりました。
 
 なので、何かしら、根拠のない自信ていうのにね、どっかのタイミングで何か根拠をホントに与えるというかね、それで本当に自分が自信を持つっていうふうになる機会ってのがあると、皆さんにもね。何かしらのチャンスがどっかにあると、いいかな、と思います。
 
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 それは別にね、留学とかそういうんじゃなくてね。何でもいいんです。何かしら客観的にね、自分の力が、ああこれでやってける、ていう何かがあった。と、いうのが、まあ根拠のない自信に根拠を与える機会ということです。
 
 メディア学部 柿本正憲

根拠のない自信は若者の特権

2022年9月29日 (木) 投稿者: メディア技術コース

 1年次前期の講義科目「メディア学入門」の最終回講義では「根拠のない自信は若者の特権」という話題を紹介しました。学生が自分の専門とする職業を考える時の話です。前後の文脈を省略するので若干わかりにくいですが次のようなスライドです。
 
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 これに関して次のような質問が履修生から出されました。
 
 「『根拠のない自信は若者の特権』と書かれていましたが、この自信のタイムリミットはいつのように思いますか。」
 
 私の回答を紹介します。
 
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 根拠のない自信というのは思うだけでなくて表明したりもするわけですよ。「俺はこれはできる」みたいなね。周りの人はね、「あの若造は、言うことだけは生意気で・・・実力もないくせに」などとなるわけです。実際実力もないんですが。それはそれでいいんですよ。
 
 でもそれをね、30過ぎか半ばぐらいになって、10年ぐらい仕事してから言ってたら、「10年もやってて結果出てないクセに何言ってんだ」みたいになる。そうならないのは、30ぐらいまでじゃないですか。
 
 これもどっかでビシっと区切られるわけじゃなくて、場合と人によって、こう30ぐらいを中心にして分布するわけですよ。
 
 モノによって35ぐらいであっても、そういう若者の特権的なね、根拠のない自信を持っても許される、というか大丈夫な場合ってあると思います。
 
 逆に3年も仕事やってて25,6歳になるのに「そんなこと言ってていいの?」ぐらいな場合だってあるかもしれない。それは状況によりますよ。でもね、タイムリミットはあるとは思います。
 
 でね、その、例えば会社を興すとか、起業するとかね、そういうのは割と年齢的に、まあ40過ぎるぐらいまでであっても若者っていうカテゴリに入るんじゃないかな、と思います。
 
 さすがにね、50歳すぎてからね、根拠のない自信て言われても「いい年して」ってなっちゃいますよね。
 
 ですのでリミットはあります。でも状況によるということです。
 
 次の質問です。
 
 「『根拠のない自信は若者の特権』とのことですが、柿本先生の実体験でこのような特権を行使されてきたことはあるのでしょうか。ぜひともお聞かせ願いたいです。」
 
 長くなるので回答の書き起こしはまたの機会で。
 
メディア学部 柿本正憲

 

「CG数理の基礎」を刊行(ソースコード付)

2022年9月28日 (水) 投稿者: メディア技術コース

 メディア学部の柿本です。今日の記事は宣伝です。
 
 「CG数理の基礎」という2年次後期の講義を担当しています。この夏、この講義内容を収めた同名の教科書(コロナ社「CG数理の基礎」)を刊行しました。
 
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 昨日の記事でも示しましたが、この講義では資料を事前公開し、履修生からの質問を授業前に集めています。授業当日には準備した回答とともに紹介しています。
 
 事前質問により、学生が陥りやすい誤解やそもそもの前提が理解されていないことなどがしばしば明るみになります。講義をする側にとっては当たり前のことで説明をしないで済ませてしまうような事項です。このようなことに気づくことができるのは、教員としては貴重な経験になります。
 
 授業中に質問を募っても、素朴な質問やそもそもの前提があやふやな質問はなかなか発言しにくいのは学生としては当然のことです。事前提出してもらうことで掘りだせる質問には知識や概念の幅を拡げる興味深いものが多く、勉強する側にとっても効果的です。
 
 今回刊行した「CG数理の基礎」はこれまでの学生からの質問疑問も加味して、説明する各技術について、そもそもの前提やなぜそうなっているのかの背景などもなるべくていねいに解説しました。
 
 また、題名のとおり基礎技術に焦点を絞りました。CG技術というと、美しいCG映像のための各種の華やかな技術が注目されがちですが、この本はその辺の内容は思い切って対象外にしました。そのような技術は断片的にWebで調べれば多くの記事から情報を得ることができます。
 
 ところが、そういう記事を正しく理解するための大前提となる基礎は意外とWeb上での解説はあまりありません。もちろん断片的にはありますが、基礎を知りたい人にとってどの断片が重要なのかはWebだけ見ていてはわからないものです。
 
 「CG数理の基礎」ではこの分野の常識となっている技術知識を体系的に学ぶことができます。10年後、20年後になっても基礎として残っている技術ばかりを収めています。学生の皆さんが社会で活躍するようになったときでも役立つことを約束します。
 
 CGを学ぶ学生だけでなく、技術、制作も含めてCGに関わる若手の社会人にも知っておいてほしい内容の本になりました。また、高校の情報の授業で画像やCGに興味を持った人にもぜひ手にしてもらえると深掘りした学びができます。
 
 出版社のサイトからは、この書籍で紹介した技術の一部を実装したサンプルプログラムをソースコード付でダウンロードできます。書籍中の図の多くを作成したプログラムも含まれており、全部で40種類以上のソースコードを試すことができます。
 
メディア学部 柿本正憲



y軸は上向きか下向きか

2022年9月27日 (火) 投稿者: メディア技術コース

 2年次後期の講義科目「CG数理の基礎」では、講義前に授業資料を示し、履修生から事前に内容についての質問を集めています。今日は、第1回の授業スライドの中の1枚に対する質問を取り上げます。
 
 この講義では実例を示すためにProcessingというプログラミング言語で作成したプログラムを使います。その説明スライドの一つがこちらです(スライド左上と右上は質問回答をコメントとして示すためのアイコンです)。
 
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 これに対しての質問とその回答がこちらです。
 
 質問『下向きが+yと記載されています。今までの数学やゲームエンジンの影響で、個人的には上が+yというイメージがとても強いです。左上から右下に計算される画素の位置をx,yで表現するのは一般的なのでしょうか。』
 
 「上が+y」が一般的です。
 
 下向きを+yにするのはProcessingでの決め事です。
 
 ではなぜ下向きが+yなのか?
 
 それは画像の画素を並べる際の慣習が左上から右下に向けてだからです(前々ページのスライド参照)。
 
 ではなぜ画像は上から数える慣習なのか?
 
 それは、アナログテレビでブラウン管内側にビームを当てて走査する順番に倣っています。左上から右に、そして順番に下に少しずつ移動するのが走査(スキャン)の順番です。
 
 たぶん最初にブラウン管を発明した人(ブラウン1897年)がそのようにしたからでしょう。
 
 では、そもそもなぜ画素を順番に(一列に)並べる必要があるのか?
 
 それはコンピュータのメモリが順番にデータを格納するようになっているからです。画素データも、一つの番地(アドレス)を指定することにより格納場所が決まります。
 
 【回答は以上】
 
 上記質問は昨年度のものです。今年度の履修生からはその質問を受けて以下のような質問がありました。私の回答とともに紹介します。
 
 質問『なぜ一般的には「上が+y」が使われるのでしょうか。processing以外の描画環境では「画像の画素を並べる際の慣習」はそれほど重要視されていないのでしょうか。』
 
 最初の質問の答えは「数学でy軸は上向きにするのが慣習だから」です。中学や高校ですでにおなじみですよね。
 
 後半の質問は、一般論ではなく描画環境に限った話ですね。描画環境に限って言えばその答えはNoです。つまり、画像の画素を並べる慣習は重視されます。
 
 Processing以外でも、OpenCVというプログラム環境(ライブラリ)では画素のy座標は上から下に番号が大きくなっていきます。ほかにも、画像を数学の行列データとして扱うプログラミング環境でも同様です。行列は上から下に向かって1行2行と考えますからy軸は下向きですね。(一方で、上向きを+yとして画素位置を扱う環境もありますが説明は省略します。)
 
 ただ、y軸が上向きか下向きかは本質的な問題ではないです。何か作業をやる際にその環境で定めた設定に単純に従っていればいいだけの話です。
 
 つまり、場合によっていろいろなので、最初に覚えるときは注意し、いったんわかったらどちらであっても粛々とその決まり前提で作業(デザインだったり制作だったりプログラミングだったり)を進めて行けばよい、ということです。
 
 【回答は以上】
 
 必ずしも技術の本質ではないけれども疑問があって質問をするというのはとてもいいことです。そのような雑多な知識や概念とその背景についても知ることによって、何かの機会で役立つ場合が少なからずあるように思います。
 
 メディア学部 柿本正憲

飛び級のすすめ

2022年9月26日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

東京工科大学では、前期の卒業式(学位記授与式)を9月22日(木)に行いました。メディア学部の卒業生は全部で21名でしたが、そのうち半分以上が「学士修士早期一貫プログラム」の学生さんです。ものものしい名前ですが、簡単にいうと「飛び級」です。

この制度は、通常4年かかる大学卒業までの期間を3年半に短縮し、さらに通常2年かかる大学院修士課程を1年半に短縮し、合わせて5年間で修士課程修了までを終えてしまうというものです。今回卒業した対象者の皆さんは、そのまま大学院に進学し、1年半後の修士号取得を目指します。この制度、もちろん成績などの条件はありますが、メディア学部では毎年10名前後の人が利用しており、多くの人にとって現実的な目標になっています。

飛び級のメリットとして、まず第一に、学費が1年分節約できるということがあります。一般的に修士卒の平均給与は学士卒よりも高いので、2年かけて修士号を取っても十分に元は取れると思いますが、そこからさらに1年分の節約というのは、かなりコスパがいいですね。

もう一つのメリットとして、印象に残る履歴書というのがあります。就活のときなど、人事担当者が履歴書を見ると、飛び級しているのは一目瞭然ですから、自然と成績優秀であることのアピールができます。最近の学生さんは謙虚な人が多くて、自分の成績を上手にアピールできなかったりもするのですが、履歴書に書いてあれば自慢するまでもありません。しかもこのメリットは、新卒のときだけでなく転職のときにも有効なので、10年後、20年後にも役立つかもしれません。

我こそはという受験生の方、メディア学部で早期修了を目指してみませんか?

学生の制作したアプリ「Fireworks Festival」について

2022年9月25日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。

先日の記事昨日の記事でそれぞれ紹介している、久保田舞さんの制作したアプリについて内容の紹介です。

久保田舞さんのアプリ「Fireworks Festival」は、花火大会をモチーフにしたアプリです。
海外にも花火はあるのですが、式典やお祝い等であげる用途が多く、花火そのものが目的となる花火大会の文化は日本独自のものです。
せっかく世界中から参加者の集まるコンテストなので、参加する自分自身の地域文化を紹介できるようなアプリにしようということで企画を考え、花火大会に至りました。

元々、プロジェクト演習「クリエイティブ・アプリケーション」では座学として美術史や文化の話も多くしていました。
人類が積み重ねてきた美の追求を知り、歴史を通じて多くの文化を知ることで、それらの文化のすばらしさや相対的・客観的に見た自国文化のよさにも気付けるようになります。
演習講師をお願いしている渡邉賢悟先生の経験上、そのようにして得られた知識・考え方がアプリ制作に重要ということで座学に取り入れていただいていましたが、まさにその成果が評価される形となりました。

アプリの内容は、川越しの夜景の中花火の玉がどんどん打ちあがるので、それをタッチすることで花火として炸裂するというものです。
花火大会の中でも、終盤に特によく行われる多数の花火が連続でどんどんあがる場面が文化的な珍しさと見かけの華やかさがあり、それを表現するアプリになりました。
序盤は少ししかあがらないのですが、終盤には追いきれないほど多くの玉があがり、タッチするたびにどんどん画面が華やかになっていきます。
最終的に時間内にタッチできた玉の数がスコアとして表示されます。

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久保田さんは昨年度、音楽制作関係のプロジェクト演習も履修していました。
そこで得た技術で、BGMや花火炸裂時のSEなども自作しています。夜景画像も自身で作成したため、アプリ制作に必要な工程ほぼすべてを自身でやり切りました。
せっかくなので是非プレイ動画もご覧ください。

このアプリを、2週間という非常にタイトなスケジュールで企画から実装まで行い、世界的な場で評価された素晴らしい成果となりました。
来年のSwiftStudentChallengeにも是非出したいとのことなので、今から楽しみです。
もちろん、本学の皆様も応募対象者ですのでよければ挑戦してみてください。

メディア学部の学生がAppStoreのTodayに掲載されました

2022年9月24日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。

先日紹介した、WWDC2022のSwiftStudentChallengeでWinnerに選出された学部二年生の久保田舞さんの成果がTodayタブに掲載されました。

App Storeで夢のはじまりを

Appleではストーリーという形でテーマに応じた記事の作成をし公開しています。
今回のストーリーのテーマは「App Storeで夢のはじまりを」と、アプリ制作を始めるにあたってのお話がメインでした。

Appleの提供する開発環境上でのサポート体制やツールキットについて紹介し、春に行われた学生向けアプリ開発コンテストのSwiftStudentChallengeについて紹介するという流れです。
日本語版の記事ということで、今回は日本人でWinnerに選出された4名について紹介がありました。

久保田さんは初めに紹介されている花火大会モチーフのアプリで入賞しています。
他の入賞者の方も地域の文化に根差したアプリが入賞しており、そのような特徴を押し出した企画の有効性が窺えます。
コンテストの特徴と自身の作りたいものをうまく狙い合わせ、素晴らしい成果となりました。

記事の頭にある、「人生は何事をも為なさぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短い」という言葉も記事の意図と合う素敵な言葉ですね。
(引用元の「虎」に少し笑ってしまいました・・・。)
何事かを為そうと思えば時間はいくらあっても足りません。大学の勉強しかり個人制作しかり、今できることに全力で臨んでいただければと思います。

久保田さんのアプリの詳細については、明日の記事で紹介します。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その43後編

2022年9月23日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品の43本目「バイオハザード」について、どこに注目すべきか述べていきます。

今回取り上げる「バイオハザード」は2002年に公開されたアメリカの映画ですが、原作は日本のゲームメーカー「CAPCOM」が1996年に発売したビデオゲーム「バイオハザード」です。アメリカでの原題は『Resident Evil』で、原作ゲームのストーリーとは全く異なる展開をする内容ですが、生物兵器や細菌兵器の開発によって発生したウィルスによって人間がゾンビ化、人外の生物兵器が襲いかかってくるサバイバルホラーとしての共通点はあります。原作のゲーム同様にナンバリングの映画が何本も作られた珍しいシリーズの映画の1作目でもあります。

さて、この作品でシナリオライターとして注目すべきは「ホラージャンルならではの恐怖とストーリー作りの難しさ」です。

「バイオハザード」が原作ゲームとは異なるストーリー構成になっていることは前述しましたが「具体的にどのような点が違うのか」というと、最も大きな違いの一つは、ゲームのように明確な『ゲームクリア』が用意されたエンディングが無い、ということです。

ファミコンに代表される、黎明期の家庭用ゲームの中にはハイスコアを目指すだけの仕様しか組み込まれておらず、エンディングのないゲームも存在しますが、原作のゲーム「バイオハザード」はもともとプレイステーションが初出のゲームで、明確なゲームクリア目標が確かに存在し、プレーヤーがその目標をクリアしたときには、事件の黒幕や事件の解決が成されるストーリー構成になっています。

しかし今回取り上げた映画版「バイオハザード」にはそのような謎に対する「答え」が、最後になっても明らかにされません。確かに、事件を引き起こした犯人はストーリー途中で明らかになりますが、早々に死亡して作中から退場してしまいます。一方で、最大の脅威となるゾンビや生物兵器を作り出した企業「アンブレラ社」が、どのような目的でそのように危険な研究に手を染めることになり、その後どうなったのかも明らかにならないまま、この作品はラストを迎えます。ハッキリしているのは、主人公アリスが死なずに済んだという事実だけで、根本的な問題は残されたままなのです。

これは本来であれば、シナリオの制作上は問題となるのですが、これが許されるのは本作品が「ホラージャンル」のシナリオだからです。

基本的に観客は、その作品の時間、約90分~120分の拘束時間の果てに一定の「満足」が得られることを目的に映画館に足を運び、チケットを購入しています。観客ひとりひとりの好みは違うので、万人が「満足」を得られるとは限りませんが、それでも「起・承・転・結」や「発端・展開・結末」に代表されるストーリーのラスト、前述のストーリー構成でいえば「結」もしくは「結末」に該当するエンディングを期待して視聴します。

これが例えば「推理もの」のシナリオで、「発端で事件が起き」「展開で調査と推理がすすみ」しかし「結論はなかった」などということになれば、最悪の場合、返金騒ぎにすらなってしまいます。そのような作品が無いとは言いませんが、かなり奇を衒った作品でしかありえませんし、少なくとも、安定して興行収入を得られる作品のシナリオにおいて、そんなストーリー構成の作品は制作にGO決定がなされないでしょう。

しかし「ホラージャンル」のシナリオにはこれがしばしば見受けられ、観客にも好評を博す場合があり、本作「バイオハザード」もその事例のひとつなのです。

本来であれば明確にならない結末のストーリーは、観客の納得を得られず、シナリオの欠点(あな)となりますが、ホラージャンルにおいては「明らかにされない、あるいは明らかにすることのできない問題」が、観客に不安や心配や恐怖を植え付け、それを楽しむ観客は”納得”するため、問題とならないのです。むしろ、映画のラストで、なにもかも説明をしたホラー映画があまりヒットしなかった、という前例があるほどです。

人間は、説明のつかないことや不可思議な出来事に対して、不安をいだくことがあり、それはやがて恐怖の感情に繋がります。ホラージャンルの作品は、そういった人間の特性をたくみにつくことによって観客を楽しませ、満足させる昨品なのです。そのインパクトはたいへん強いものがあるため、やみつきになるコアなファンがいますが、理にかなったストーリー構成からは外れるタイプのシナリオになるがゆえに、かなり難易度の高いシナリオが求められます。

少しでも何か間違えただけで「嘘くさい」「ありえない」「馬鹿げている」と一蹴され、その評判は世間に広まって観客を劇場から遠ざけてしまうのです。

その点、映画「バイオハザード」は、ウィルス感染、遺伝子改造といった「科学的にありうる」要素をバックボーンにした「ホラージャンル」要素を散りばめて説得力を高め、観客の興味を最後まで引き続けることに成功したシナリオになっています。同じことを繰り返しても、うまくいくとは限りませんし、実際この作品のヒット後に「ゾンビもの」は、さらにたくさん制作されるのですが、話題にもならずに消えていきました。そういった影響力を考慮すればなお、一度は見ておくべき作品といえるでしょう。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その43前編

2022年9月22日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。

前編となるこの記事は、あらすじのまとめが中心です。

後編ではその内容をもとに注目すべきポイントを述べますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。

取り上げる映画は次のタイトルです。

『バイオハザード(2002)』

○監督

ポール・W・S・アンダーソン

○脚本

ポール・W・S・アンダーソン

○あらすじ

アリスが目を覚ました、そこは立派な屋敷のシャワールーム。彼女はどうやらそこで夫と暮らしていたようだが、はっきりとは思い出せなかった。一時的な記憶喪失に陥っていることに気づいたアリスが、記憶を取り戻そうと館内の部屋を回っていると、人の気配を感じた次の瞬間、謎の特殊部隊による襲撃を受ける。アリスの感じていた人の気配は特殊部隊の彼らではなく、屋敷を訪れていた新任の警官マットだったが、二人はともに拘束されてしまう。

特殊部隊の隊長から「状況を報告しろ」と命令されるも、記憶を失っているアリスは何も答える事ができない。アリスは彼ら特殊部隊と同じ組織に所属し、先行して潜入していた隊員だと明かされるが、おぼろげに記憶の断片はあるものの、具体的な命令や活動は思い出せなかった。

アリスは特殊部隊のメンバーたちと、館の地下から「ハイブ」と呼ばれる地下施設へ向かうことになる。「ハイブ」とは、館のあるラクーンシティに居を構える大企業「アンブレラ社」の秘密研究所のことで、連絡が途絶えたことから、特殊部隊が投入されたのだという。アンブレラ社には、表向きの活動とは別に、細菌・遺伝子研究の軍事兵器開発で莫大な利益を得る裏の顔があった。特殊部隊のメンバーは内密に事態を納める命令を受けていた。

屋敷の地下に設置された特殊列車に乗り込んだアリスたちは、列車内で気絶して倒れていた男スペンスを発見する。アリスは彼と夫婦を装い、地下施設の情報が漏れないよう過ごしていたことを思い出すが、スペンスもまた記憶を失っており、何が起きたのか、不明なままだった。

アリスたちが「ハイブ」にたどり着くと、そこには職員たちが全員死亡という凄惨な光景が広がっていた。理由は、細菌兵器の暴発と、その情報漏洩を危険視したメインコンピューター「レッドクイーン」が関係者を抹殺したためだった。特殊部隊のメンバーたちは、これ以上レッドクイーンの独断行動を許すわけにはいかないとして、コンピューターのシャットダウンを試みる。

「レッドクイーン」は、自分をシャットダウンさせては事態を解決できなくなる、と警告してきた。しかし、部隊長はこれを無視し、任務を続行。抵抗するレッドクイーンの防衛システムによって隊長をふくむ数名が犠牲となるが、レッドクイーンを強引にシャットダウンさせた。すると、レッドクイーンの管理がなされなくなった研究施設は、開発途中だったウィルス兵器や生物兵器を制御できなくなってしまい、施設は暴走をしはじめた。抹殺された研究職員たちがゾンビとして蘇り、アリスたちに襲いかかってきた。

一行が、なんとか施設からの脱出を試みようと手がかりを探すなか、独断で動いていてゾンビに襲われたマットを助けたアリス。事情を問いただされたマットは、自分は警官を装ってハイブへ侵入し、先行して調査をしていた妹と落ち合うはずだったが、まさに今襲いかかってきたゾンビこそがその妹だったという。この話を聞かされたアリスは重要な記憶が蘇る。マットの妹に協力して社内の秘密データを持ち出そうとしていたのがアリス自身だったのである。

アリスが記憶を取り戻したように、スペンスもまた記憶を取り戻していた。そして今回の事態は、スペンスが社内の秘密データを外部に持ち出して高額で取引しようとしたことが原因だったことが判明する。スペンスはアリスに、再び自分の元へ来るようもちかけてきたが、多大な犠牲者を出してなお自分だけが利益を得ようとするスペンスをアリスは拒否した。

施設の強制封鎖まで1時間をきり危機が迫る中、スペンスは自身だけが助かるべくアリスたちを置き去りにして列車で逃亡しようとする。しかし、そこには施設から逃げ出した凶暴な生物兵器「リッカー」が潜んでおり、スペンスは抵抗も出来ぬまま食い殺されてしまう。リッカーは更にアリスたちに襲いかかろうとするが、一瞬の隙をついて列車に乗り込み、ただちに全力で発車させた。

それでも恐ろしい速さで追ってくるリッカーによって一人また一人と仲間たちは命を落としていく。最後まで抵抗を続け、戦い続けたアリスはリッカーを車両の下に引きずり落として、ようやく勝利を掴み生還を果たしたが、結局生き残ることができたのは彼女ただ一人だった。

・・・次回は、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、について述べていきます。どうぞお楽しみに。

東京ゲームショウ2022に出展しました

2022年9月21日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

9月15日から18日に幕張メッセで東京ゲームショウ2022が開催されました.
久々の現地開催ということで,楽しみにしていた方も多かったのではないでしょうか.
メディア学部もお隣の日本工学院専門学校と一緒に出展してきました.

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メディア学部のブースでは,プロジェクト演習でゲーム制作を学んできた3年生の6チームがそれぞれ制作したゲームを展示,来場者に試遊していただきました.
ゲームのプロジェクト演習は,ただ単にゲーム制作に関する技術,ソフトウェアの使い方を習うだけではありません.チームを結成し,ディスカッションしながら企画を立て,そして最後には東京ゲームショウで社会に向けて作ったゲームを発表します.このように,ゲームのチーム開発を一通り体験できるところに大きなポイントがあります.実際のところ,メディア学部からゲーム業界へ就職する学生には,この東京ゲームショウ出展経験者が多く含まれています.今回出展した彼らにとっても,きっと大きな経験になったと感じています.

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ゲーム試遊の後側では,メディア学部のパネル展示も行いました.
メディア学部の特徴や国際交流の紹介,メディア学部のゲーム教育紹介のパネルの他,メディア学部の研究室紹介や,研究成果や学生作品をまとめた動画の展示を行いました.
東京ゲームショウへ出展していると,卒業生たちがブースを訪ねてくれる,という楽しみもあります.
出展した学生たちにとっても,今まさに現場で活躍している先輩たちと直接話したり,作ったゲームに対する意見をもらったりできる良いチャンスになっています.

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(文責:兼松祥央)

授業紹介:「音楽入門」で作った曲を弾いてみた(演奏動画のご紹介)

2022年9月20日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

前回の記事での「音楽入門」(1年次科目)で制作した曲を、全体を通して聴けるようにすることをお約束しました。

このたび、楽譜入りの演奏動画(私が弾いています)を作りましたので、ご視聴いただければと思います。
曲名の「LUMINOUS」は、152名の学生から寄せられた案の中から私が選んだものです。
(※作曲の経緯や背景については前々回の記事をご覧ください)

【演奏動画】『LUMINOUS』(2022年度「音楽入門」制作曲)


後期に担当の「音楽創作論」(2年次科目)では、学生が作った短いフレーズから曲を作ります。
その曲もこのブログで紹介しますので、どのような曲になるかどうぞお楽しみに。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

卒業研究「プロダクトデザイン」の皆さん(2022年3月卒)のポスター紹介 5回目(最終回)

2022年9月19日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

大きな台風が過ぎ去り、少し涼しくなってきました。秋が近づいてきましたね。

今回の5回目で20223月卒の卒研生の皆さんのポスター紹介は最終回です。

今日は、深野さん、松岡さん、眞鍋さん、和田さんのポスターを紹介します。

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深野さんは、コロナ禍のため、誰もが毎日マスクを使用するようになった状況下において、マスクの収納や取り出しなど、多々の問題点を指摘し、マスクのパッケージのありかたに着目しました。調査やディスカッションの結果、マスクそのもののデザインのありようにも改善すべきとの結論に至りました。これを踏まえたアイデア探索の結果、ロール状のマスクとそれを適切に収納・補充入れ替えができる道具のデザイン提案を行いました。

松岡さんは、電子情報機器の増加や変化に対して、作業用デスクの対応が不足していることを指摘しました。調査の結果、ケーブル類はもちろん、小型化してきた電子情報機器の収納面での対応が不足していることを確認しました。このことを踏まえ、スライド機構で収納の多様性に対応でき、デスクとしてのデザインの魅力にも配慮した電子情報機器用デスクのデザイン提案を行いました。

眞鍋さんは、コロナ禍の中で人々がこれまで以上に衛生面に敏感になっていることに着目しました。そして、マスク着用は必須としても衣服に付着してしまうウイルスの対応をできる限り実施することが望ましいことを指摘しました。調査の結果、家の中では特にアウター類は従来どおりに無造作にハンガーにかけてしまっている人が多いことが分かりました。これらを踏まえ、衣類以外のアイテムを適切に配置しながら、衣類どうしが密着をさけ、通風をよくする洋服ハンガーをメインとするシャルフのデザイン提案を行いました。

和田さんは、若者だけでなく洋服などのオシャレに気を遣う人が増えていることを指摘しました。調査の結果、洋服の価格とは別に所有する数が増えすて管理面での課題が出てくることと、衣類に興味のある人のネット通販が加速していることが分かりました。このことを踏まえ、スマホアプリにて、自分が所有している洋服と販売中の洋服の関係がわかるクローゼットアプリシステムのデザイン提案を行いました。

メディア学部 萩原祐志

ソーシャル・デザイン論 その3 まちおこし 

2022年9月18日 (日) 投稿者: メディア社会コース

ソーシャルデザインとは、これからの社会を、今を生きる人々にとってより良いものにしていくために、社会の課題を創造的にデザインし解決することを指します。ソーシャルデザインの幅は広く、設計や、教育、福祉、産業や各種災害などに関する課題を解決することにも及ぶます

ソーシャル・デザイン論では、さまざまなソーシャルデザインの事例を紹介しますが、以下は学生達が調査した事例の数々です。

1.2017年にグッドデザイン賞を受賞した群馬県にある山名八幡宮の事例です。1175年〜1177年の間に勧請されたといわれる山名八幡宮では、次の100年に向けてリニューアルが行われました。子育ての悩みを緩和するための「親子カフェ」や、食育を促す「天然酵母のパン屋」、自由にみんなで作る公園などを境内の敷地内に設けることで、地域の社会課題に取り組んでいます。「安産子育ての宮」として親しまれていた場所をソーシャルデザインを通じて、地域との関わりを持てるような場所へ生まれ変わらせています。

2.宮城県石巻市の廃校を利用した子供向け複合施設「MORIUMIUS」震災の後も残り続けた廃校をつかい、地元の食材を料理したり、地域住民との交流をする場所としてデザインされています。

3.香川県小豆島の事例です。小豆島は、ソーシャルデザインのまちおこしに取り組んで、見事に成功を収めている地域です。小豆島はオリーブが有名で、まるでジブリ映画「魔女の宅急便」の世界のようだとSNSを中心に話題になりました。そのほかに、妖怪アートを使った商店街の町おこしも行っています。妖怪美術館を筆頭に、商店街全体をアートの街に仕立て上げました。その結果、来訪者数は5倍を記録しました。

4.熊本県の「オモケンパーク」は、熊本地震で倒壊してしまった建物をそのまま使い、修理費用を抑えつつ地域復興のアートミュージアムを作った事例です。これも、社会創成、環境や地域に優しいソーシャル・デザインと言えます。

5.”道の駅保田小学校” 南房総・鋸南町にあるこの学校は人口減少により廃校になってしまいました。しかしそこを道の駅(宿泊施設・ショッピング施設)としてリノベーションを行い、旧校舎の再利用をもとに町おこしへとつなげています。当時のデザインをそのままに学校という場で別の日常が行える魅力的な空間である。

文責:飯沼瑞穂

 

ソーシャル・デザイン論 その2 フェアトレード

2022年9月17日 (土) 投稿者: メディア社会コース

ソーシャルデザインとは、持続可能な開発や社会の実現につながる製品のデザインや仕組みのことで、それを支え、且つ収益がありながら人間開発や社会生活等の向上を図れるシステムのデザインやプロダクトのデザインのことでもあります。社会ために制度やインフラ等、街に関するあらゆる要素を設計することでもあり一般的なデザインとは違い、モノの外観や形を決めていくのではなく、社会全体を対象としており、その社会を構成する一人ひとりも考慮することが大事です。街の育児や教育、福祉、災害、産業などに関わるさまざまな課題を解決し、よりよい社会を構築することを目標とします。事例として、発展途上国との貿易において、公正な取引をすることにより、途上国の人々の生活を助ける仕組みであるフェアトレードなどが挙げられます大手コーヒーチェーン店のスターバックスでは、フェアトレードコーヒーや木のストローなどの導入が進んでおり、プラスチック製のストローを使っていたものが、木のストローに置き換わっている。この取り組みはプラスチックの大量廃棄問題を解決することを目的として行われるようになりました。

文責:飯沼瑞穂

ソーシャル・デザイン論 その1 伊勢神宮

2022年9月16日 (金) 投稿者: メディア社会コース

3年、後期の講義科目のにソーシャル・デザイン論を紹介します。

ソーシャルデザインとは、持続可能な開発や社会の実現につながる製品のデザインや仕組みのことを指します。また人間開発や社会生活等の向上を図れるシステムのデザインやプロダクトのデザインを含みます。ソーシャル・デザインを表すモデルの一つとして、伊勢神宮の式年遷宮が挙げられます。伊勢神宮は本社の建物を20年ごとに一新することで、伝統文化の継承と人材育成につながっています。20年に1度すべて作り変え再生することで、永遠に変わらぬ荘厳さを1300年の長きにわたって維持しています。 そして、その再生のために社殿や装束、宝物作りの技術が伝承され、社殿に使われる森林や萱が保護維持管理されています。内宮に使う用材は神路山から、外宮は高倉山と決まっていて、最初の建築時に100年後、200年後も確保できるよう植樹から始まり、必要最低限の木材で建て直しがされています。

また、建て替えで生じた古い木材や装飾品は、全国の伊勢神宮分社の鳥居や調度品として再利用されており、神社の再建のために使われる木材は、森の維持と再生につながっているという意味においてサステナブルでもあります。神宮で行われる神事に関わる装飾品や調度品などの製法も古来から変わらず継承されており、地域の伝統文化は伊勢神宮と共に世代を超えて受け継がれてきました。20年というサイクルは人が、次の世代に伝統を引き継ぐのに非常に適しており、このような仕組みにも、古来の知恵が生かされていおり、伊勢神宮を取り巻く環境、人、そして伝統文化の継承という意味、すべてにおいて持続的であり、そこにはサステナブル社会の実現のためのヒントがあるのではないでしょうか。

文責:飯沼瑞穂

教育メディア論 その4.デジタルデバイドと教育

2022年9月15日 (木) 投稿者: メディア社会コース

デジタルデバイドとはインターネットの普及率の差がもたらす経済格差のことを指しますが、コロナの影響でこの格差の影響が教育面でも指摘されるようになりました。インターネットが普及していない国や地域に住む子供たちは、コンピュータを活用した遠隔授業に参加することが出来なかったり、ITリテラシーの習得が遅れるなどの影響が出る可能性があります。デジタルデバイドを是正するためには、インターネットの普及率を上げるだけでは、不十分です。その他にもエンパワメントにつながるような、ITリテラシーの取得を促す教育を同時に行う必要があります。そのような点においては、デジタルデバイドの是正は単にアクセスの問題ではなく、リテラシーの向上も同時に必要です。

文責:飯沼瑞穂

教育メディア論 その3.インターネット普及率とコロナ

2022年9月14日 (水) 投稿者: メディア社会コース

コロナパンデミックが発生した2020年以前においても、インターネット普及率の格差は世界的にも指摘されていましたが、

コロナの影響でその格差の深刻さが浮き彫りになりました。UNESCOの統計によると現在、世界のほぼ半数の家庭にはインターネットアクセスが

整っていません。グローバル経済、さらに教育活動の多くがオンライン上に移行したことにより、インターネット普及率に代表されるデジタルデバイドは先進国内においても発展途上国においても同様に目立つようになりました。WEF(World Economic Forum)によると過去10年において世界のインターネット普及率は大幅に増加したものの、過去数年は変化が乏しいようです。2020年以降は、2.2%の増加率にとどまったそうです。特に教育の世界においては、通常の授業がオンラインを活用した遠隔授業に移行し、インターネット普及率が低い地域や家庭での教育格差に、つながるのではと懸念されるようになりました。今後の働き方や教育なあり方の変化は、インターネットの普及していない国や地域に住む子供たちに

とっても不利になる可能性があります。

文責:飯沼瑞穂

 

 

教育メディア論 その2.学習理論と学習用ゲーム

2022年9月13日 (火) 投稿者: メディア社会コース

教育メディア論の紹介をしています。教育メディア論で取り扱うテーマの一つに学習理論とメディアの種類があると、お伝えしました。

学習理論とは、人や社会がどのように学ぶかその仕組みに関する研究や理論です。人は生まれてから死ぬまで、学び続ける存在です。教育学や心理学では学ぶとは何かを研究するための理論が多く存在します。その古典的な一つの見方として人の行動様式の変化を学びの証拠として捉える方法があります。人間の行動を予測し、制御し、説明することを目指す実験心理学の一種、これは行動主義といわれる見方です。例えばスキナーを代表としたオペラント条件を使った犬などの行動変化の実験などが心理学でも良く使われる例です。学習を人間の行動の変化、意識の変化に基づく行動の変化であると限定して説明しており、現在の教育ゲームや学習用ゲーム教材にしばしば取り入れられる学習理論であります。しかし、人間の学びを、観測できる行動の変化の分析(意識の変化も含みます)に限定することは、社会において活動する人間の学びといった広義における、成長過程や意識の変化までとらえることはできません。

更に、社会に役立つ教材をデザインするのであれば、一つの学習理論に固執するの好ましくないでしょう。

 

文責:飯沼瑞穂

教育メディア論の紹介 その1.

2022年9月12日 (月) 投稿者: メディア社会コース

春学期に開講していた、2年生前期の授業、教育メディア論について紹介します。教育や学習が行われる場で、使われるメディアの全般を教育メディアと呼びます。本授業では様々なメディアテクノロジーがどのように教育現場で使われているか、どのような効果が学習者にあるのか、もしくはないのか、などについて学びます。このようなテーマを扱うのが教育工学といわれる分野ですが、教育工学においては、どの種類のメディアを、どのような学習理論に基づいたメディアの使われ方をされているかを検証することが重要です。コロナの影響もあり、ICTを活用した遠隔授業やオンデマンド型の授業が一般的になりましたが、その効果については多角的に見ていく必要があり、新しいメディアを導入すれば自動的に教育の質が上がるとは一概に言えません。教育メディア論で学ぶことのできるトピックスの一つです。

 

文責:飯沼瑞穂

まちなかデザイン考:駅の床面のデザイン

2022年9月11日 (日) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

今回は身近なデザインとして電車のホームの床面のデザインについて紹介したいと思います。なぜだか大阪府の床面のデザインはカラフルで見やすいデザインがいくつもあります。その中の2点を紹介したいと思います。

まず1点目は大阪市のJR環状線の新今宮駅の床面のデザインです。2列で並ぶとか、足の向きとか、エレベーターのある方向とか、降りる人の流れとかが分かりやすく明示されてて素晴らしいですね。

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2点目は、同じく大阪市のJR環状線の天王寺駅の乗換案内です。私鉄の近鉄電車への乗り換えなのか、地下鉄線の御堂筋線への乗り換えなのか、同じく地下鉄線のたちまち線への乗り換えなのかが分かりやすく視覚的にわかるだけでなく、その先にもずっと同じ色を引いていて、その色に沿って歩いていけば無事に間違えることなく乗り換えできるという、優れたデザインです。

メディア学部で学ぶデザイン力はこういったところにも活かされていくはずですね。

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普段使いのデザイン考:コーヒーミル

2022年9月10日 (土) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

今回も趣味の領域のお話第3弾です。千種は普段から登山・ハイキングや長旅をしていて、その時に、いつでもどこでも美味しいコーヒーをというマイミッションがあり、それを達成するためにいくつかのグッズを愛用しています。

その3番手は美味しいコーヒーには必須と言える、コーヒーミルです。世の中のコーヒー好きは2派あって、挽く前のコーヒー豆を購入する人、挽いた後のコーヒー豆を購入する人がいます。さらにはインスタント派も。なぜコーヒーをドリップする前に豆を挽くのかにはちゃんと理由があって、コーヒー豆の酸化を極力抑え香りを引き立てるためなのです。ということでマイミッションの「いつでもどこでも美味しいコーヒーを」に対する答えとして前の豆をボトルに入れて持って行って現地でコーヒー豆を挽くときに使用するのがコーヒーミルです。自宅でミルを使用している人も多いと思いますが。

これも前述しましたが登山・ハイキング用品として重要な要素は、
1.軽量
2.省スペース
3.丈夫
そしてイマドキのInstagramなどでは
4.映え
も重要です。

この4つの要素のうち3を犠牲にして選んだのが耐熱ガラスで有名な創業101年のHalioのコーヒーミルです。日本橋に本社があり、社員200名で売上高が56億円とあり、中小企業のメーカーではありますが、商社的な要素も多分に持った優良企業です。

このHalioのコーヒーミルは頑丈なセラミックのミル部分もあり218gもの重量があります。ここで重視しているのは、優先順位の高い順に、4.映え、1.軽量、2.省スペース、ずっと離れて、3.丈夫、です(笑) また機能性でも優れた点があり、3枚目の写真のように、ふたを抑えるのにミルのレバーを用いているところも秀逸なデザインです。一番に気に入っているところは透明なところでしょうかね(笑)
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普段使いのデザイン考:コーヒーストレージボトル

2022年9月 9日 (金) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

今回も趣味の領域のお話をしたいと思います。千種は普段から登山・ハイキングや長旅をしていて、その時に、いつでもどこでも美味しいコーヒーをというマイミッションがあり、それを達成するためにいくつかのグッズを愛用しています。

まずその2番手は必要性の限りなく低い、コーヒーストレージボトルです。挽く前の豆をボトルに入れて持って行って現地で珈琲豆を挽くときに使用します。湿気予防ができればいいので単にビニール袋でもよいです。

これも前述しましたが登山・ハイキング用品として重要な要素は、
1.軽量
2.省スペース
3.丈夫
そしてイマドキのInstagramなどでは
4.映え
も重要です。

この2番手は、限りなく0gに近いビニール袋と違い138gもの重量があります。ここで重視しているのは単に4.映え です(笑)
このKalitaというメーカーは神奈川県で1959年に創業した従業員数65名の中小企業メーカーで珈琲用品を多種製造販売しています。がんばれニッポンですね!

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トップバッターは30年くらい使用している超軽量60gのコーヒーバネットです。Facebookとかでも紹介して好評でしたが、ノーブランドなので、今では類似品しか購入できません。

普段使いのデザイン考:コーヒーバネット

2022年9月 8日 (木) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ

)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

今回は夏休みらしく、趣味の領域のお話をしたいと思います。千種は普段から登山・ハイキングや長旅をしていて、その時に、いつでもどこでも美味しいコーヒーをというマイミッションがあり、それを達成するためにいくつかのグッズを愛用しています。

まずそのトップバッターは、コーヒーバネットです。挽かれたコーヒー豆をペーパーフィルターに入れて、お湯を落としてペーパードリップによりコーヒーを淹れる手法です。

登山・ハイキング用品として重要な要素は、
1.軽量
2.省スペース
3.丈夫
そしてイマドキのInstagramなどでは
4.映え
も重要ですね。

そこでのトップバッターは30年くらい使用している超軽量60gのコーヒーバネットです。Facebookとかでも紹介して好評でしたが、ノーブランドなので、今では類似品しか購入できません。

一応、デザイン考なので、機能性だけでなく、1枚目の写真のようにメッシュに編んだ網目とフレームが上手く配置されていてシンメトリーになっている点は好みです。また3枚目の写真のように使用時の網目とフレームの関係において曲線が美しいと思います。

ずっと以前からの趣味ですが、アウトドアコーヒーはイマドキにもマッチした心地よい趣味ですね。
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エンタテインメントコンピューティングでの発表 - テレビゲームをもっと面白くするには

2022年9月 7日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の羽田です.

9/1から3日の日程でエンタテインメントコンピューティングという学会が京都府の福知山公立大学にて開かれました.学会全体のお話はまた次回に譲るとして,今回は本研究室からの発表についての記事になります.

本研究室からは修士課程2年の岡本 早織さんが「ゲームプレイ中の風の強度による臨場感の変化」というタイトルで発表を行いました.この研究岡本さんが4年生のころから続けている研究の一環で,VRではないいわゆる普通のテレビゲームにおいても,画面の動きにあわせて風を起こすことで臨場感が得られるのではないかというものになります.いわば映画館で最近導入されている4DXの家庭用ゲーム版ということですね.

VRにおいては臨場感や没入感を向上させるために風を使うという研究が数多くおこなわれています.
落下するとき,高速に移動するときなどに全身に風をあてることであたかも動いたように感じさせるということです.また,背後から風をあてることで後ろから何かが接近していることを表現したりもします.しかしながら現在ひろく行われているテレビゲームではそのような工夫はあまり見られません.
テレビゲームは現在でもVRゲームに比べて圧倒的なシェアを誇っていますし,FPSやオープンワールドRPGのようにゲーム内を自らが移動するものも多数存在しています.このようなゲームにおいてもタイミングをあわせて風をコントロールすることで臨場感の向上ができるのではないかというのがこの研究です.今までは高いところから飛び降りる時に風をあてることで浮いているような感覚が生じるかということを主として検証してきたのですが,昨年度の同じ学会で発表したときに,落ちるだけではない別の方向ではどうなるのか,という質問がありました.そこで今回は進撃の巨人の立体機動装置,あるいはスパイダーマンの移動のようにワイヤーをつかった移動であるワイヤーアクションを使ったゲームを作成し,移動中にプレイヤーに風をあてることで臨場感が向上するかを調査しました.

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結果としては多くのプレイヤーでは風により臨場感が向上するということが示されましたが,風が弱いなどといった問題点も明らかになりました.詳しくは情報処理学会の電子図書館から論文を見ることが可能ですのでぜひとも見ていただければとおもいます.
(羽田久一)

 

脈拍と心拍数と運動強度

2022年9月 6日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は健康メディア研究室のテーマに関連する話題です。NHK総合で2022年9月1日19:57~20:42に放送された「あしたが変わるトリセツショー」では脈拍(心拍)がフォーカスされていて、以下のように番組内容が放送されました。

【トリセツ01 自分の脈拍を知って 未来のリスクを把握しよう】
■安静時脈拍が80超えだと・・・将来太るかも!? 自分の1分間の脈拍(心拍数)、把握していますか?近年、脈拍の値が高い人は、将来さまざまな病気になる可能性が高いことがわかってきました。(低すぎてもリスクになります)久留米大学が行った研究では、安静時の脈拍が80以上だと、将来肥満になるリスクが約2倍になったという結果が出ています。世界の研究者が大注目する「脈拍」☆脈が速いと将来肥満になるリスクが倍に!?☆ストレス解消に睡眠改善まで!脈下げヨガを大公開☆日々の脈拍で自律神経の状態を知ろう!

皆さんは、自分の脈拍数(心拍数)をご存じでしょうか?通常は朝起きた時が最低の心拍数で、日中の生活では運動量に応じて高くなったりします。また緊張すると心拍数が高くなったり、ぬるいお風呂でゆっくり入浴すると心拍数が下がったりします。

今回は、この自分の意志でコントロールすることが難しい心拍数について3つのトピックを紹介したいと思います。まず最初は安静時心拍数です。人間はリラックスすると心拍数が低下し、睡眠時の起床前が通常一番低い値になっています。この値を安静時心拍数と呼びます。心配事があって眠りが浅かったり、お酒を飲みすぎて熟睡できないときはこの値が通常ほどは低くなりません。若干の緊張状態にあるとも言いえます。

2つ目は最高心拍数です。人間は全力で運動していてもそれ以上に心拍数が高くならない値が存在します。考え方を変えれば、人間の身体が壊れる前に、それ以上の値にならないようにセーブしているとも言えます。通常は 最高心拍数 = 220 - 年齢 で概算できます。つまり、20歳の人はどんなに運動しても、心拍数は200以上にはならないということです。

そして3つめは、上記の2つの安静時心拍数と最高心拍数が決まれば、その人の心拍からみた運動に対する負荷を知ることができます。これを運動強度と呼びます。心拍数から運動強度を求める方法として、カルボーネンの式があり、運動強度(%) =(運動時心拍数-安静時心拍数)÷(最大心拍数-安静時心拍数)×100(%)
で求めることができます。

運動は運動強度が50%を上回った位置から、非常に軽い運動(50~60%)、軽い運動(60~70%)、普通の運動(70~80%)、きつい運動(80~90%)、最高にきつい運動(90~100%)、と運動の強さを5段階で定義できます。この運動強度を使用すれば、人によって値が大きく異なる心拍数によらず、その人にとっての運動の強度を数値化することができます。スポーツやジムにおけるトレーニング方法でよく使用されています。

以前は、トレーニング中に一旦停止して心拍数を測る必要がありましたが、スマートウォッチが普及した今、トレーニングを中断することなくリアルタイムに心拍数を計測することができます。便利になりましたね。

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有意差検定

2022年9月 5日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

9月は学会の季節です。いろんなところで学会が開かれ、学生や教員が研究成果を発表します。

最近は、学会発表のあとの質疑応答の時間に、「有意差検定は行いましたか?」という質問が出ることが多くなった気がします。有意差検定というのは、ある実験結果が得られたときに、それが「たまたま」なのか、それとも何らかの原因によって導き出されたのかを、確率計算を用いて確かめる方法のことです。

例えば、コインを3回投げて3回とも表が出たとして、このコインは表が出やすいように細工されたコインだと言えるでしょうか。仮に何の細工もしていないコインだとしても、表が3回出る確率は1/2の3乗で1/8もあるので、単なる偶然だという可能性も捨てきれないですね。こういう状態を「表と裏の出方には有意差が無い」と言います。一方、30回投げて全部表が出た場合には、普通のコインでそういうことが起こる確率は約10億分の1しか無いので、たまたまそういうことが起こったとは考えにくい、つまり何らかの原因(表が出やすいように変形させられているとか)があると考えられるというわけです。

さて、こういう質問をする人の中には、有意差が無ければ実験には何の意味もない、みたいな反応を示す人がときどきいます。でも、そんなことはないですよね。Aさんがコインを3回投げて全部表だったとして、そのあとBさんが3回投げたら全部表で、Cさん、Dさんという具合に10人の人が同じ結果を得たら、30回分のデータが集まったことになり、重要な発見となります。Aさんの発表は、それだけで何かを断定できるものではないかもしれませんが、後に続く人に対して一定の貢献をしていると言えます。もちろん、単独で新事実を断定するような発表はインパクトが大きいですが、有意差が無い研究にだって、それなりの意義はあるはずだと思うのです。

後に続く人の役に立つためには、実験条件をできる限り詳しく正確に示すことが重要です。人類の英知が巨大な城だとしたら、その石垣に積まれた小さな石のひとつになれるような、そんな研究発表ができたらいいなと思います。

開催間近,東京ゲームショウ2022

2022年9月 4日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

東京ゲームショウ2022の開催が近づいてきました.(ビジネスデイ9月15日,16日,一般デイ17日,18日)
2020年はオンライン,2021年は一部会場での展示がありましたが原則オンラインでしたが,今年は現地での開催ということで,東京工科大学メディア学部も3年ぶりに現地での出展を行います.

一般ディの入場者はそれぞれ4.5万人に制限するとのことですので,2019年の1/3程度ですが,それでも現地で自分たちのゲームを展示できることに学生たちのモチベーションは上がっています.

3年ぶりのことなので,出展にかかわるいろいろな業務が学生間で受け継がれる機会が少なかったのですが,先輩たちがしっかりと残してくれたドキュメントがあります.これを頼りにしながらも,新しい時代の出展スタイルを考えてほしいですね.

すでに,これまで先輩たちがトライしてこなかった装飾の方法とか展示方法も検討しているようで,ちょっと楽しみです.

どんなブースになっているか,ぜひ楽しみにしていてください.

また,会場に行けない皆様は,ぜひWebページからゲームをダウンロードしたり,TGS当日の夜には番組配信も行う予定なので楽しみにしていてください.

東京工科大学ゲームショウ2022特設ページ

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CEDEC2022登壇「企業から研究結果を世界に発表する意義」

2022年9月 3日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

8月23日から25日に開催された,ゲーム業界の国内最大の技術カンファレンス「CEDEC」.今年も運営委員として開催のお手伝いをさせていただきました.開催の運営委員を担う傍ら,セッションにも登壇したりしております.ここ2年はゲーム業界の研究開発について取り扱うセッションに登壇しており,昨年は博士号を取得しているゲーム業界の人をパネラーに招き,ゲーム業界において博士の持つスキルがどのように生かされているかについてお話ししました.

今年は,株式会社スクウェア・エニックスのボエダ・ゴティエさん,株式会社ソニーAIの妹尾 卓磨さんと一緒に「企業から研究結果を世界に発表する意義」と題して,ゲーム開発会社が研究成果を世界に向けて発信する意義についてパネルディスカッションしました.

スクウェア・エニックスのボエダさんの研究は,世界最大の技術カンファレンスであるGDC(Game Developpers Conference)などでも発表されており,ゲーム業界の最先端のR&Djireidesu .ボエダさんは技術カンファレンスだけではなく,様々な国際会議にも投稿され発表されています.ゲーム会社の中での技術開発の成果を学会で発表する際には,その文化の違いも含め苦労することも多くあり,大変興味深い発表でした.

ソニーAIの妹尾さんの研究は,PS4のゲーム「GranTsurismoSports」の車をAIで操作し,人間のトッププレイヤーとクリーンなバトルを行い勝つという挑戦的なもので,著名な海外論文誌「Nature」に掲載されるだけでなく,表紙を飾るという快挙を成し遂げました.

当該号のNatureはこちら

このような研究成果を,海外に向けて発信する理由として,優秀な人材を多く集めることができる点が最も大きいと伺います.作品を高める技術は外に向けて発信せずに中で大事に使うのもアリですが,その成果を公表し,共有することでさらに高みを目指したり,同じ志を持つ仲間が集まってくるなど効果もたくさんあると思います.

セッションの後に,さっそくそのようなネットワークも広がったと伺いました.

これからも少しでも業界の発展のお手伝いが出来たらと思います.

文責:三上

ISART Digital(フランス)からの研究生

2022年9月 2日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

COVID-19の影響で,国際交流は難しい…なんて思っている人も多いと思いますが,このような環境下でもメディア学部では積極的な国際連携を行っています.ここの所はオンラインでのコラボレーションの多くを紹介しておりましたが,4月からはISART Digital(フランス)から8名の学生が研究生として日本に来日し,私をはじめメディア学部の先生のもとで,研究活動を進めています.

今回はその中間報告会を実施しました.コロナ禍ですので懇親会などができなかったのは残念ですが,皆さんの元気な顔を見れたのと,中には学会発表に向けて投稿を済ませた学生もいて,研究成果もこれから公になっていきます.

来年もまた来たいと思っていただいている学生がいるとISART Digitalからお話をもらっております.大変熱心な学生が多くこれからも一緒にたくさんの研究を進めていきたいと思います.

学会で発表したらその研究成果についても紹介したいと思います.

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文責:三上浩司

知床で学会発表!(第50回画像電子学会年次大会)

2022年9月 1日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

2022年8月31日(水)~9月2日(金)に、北海道知床の斜里町で第50回画像電子学会年次大会が開催されています。
斜里町は、知床半島のふもとあたりにあります。
本年度に入り、学会もハイブリッド(対面+オンライン)で開催されるようになってきましたが、飛行機に乗って出張に来たのは2年半ぶりです。
まだまだ、感染には注意が必要な状況ではありますが、だんだん日常に戻りつつあるのを感じます。
また、単純にコロナ禍前に戻るのではなく、オンラインでの参加も可能になるなど、より学会に参加しやすい状況になっています。

知床に最も近い空港は女満別空港で、網走に近い位置にあります。飛行機到着時、ずっと窓の外を見ていましたが、山と湖、時々道路(本当に道路がほとんどない)が見えるぐらいでした。北海道はやはり広い!
飛行機の中はというと、同じ学会に参加する先生方がたくさん乗っていました。みなさん、久しぶりの出張だよ~、と盛り上がっていました。

さて、学会はというと、多くの方が対面で参加されていた印象です。私は、数年前に卒業した学生の卒業研究の内容を発表しましたが、かなりたくさんの質問をいただくことができました。オンラインだと、どうしても質問が出にくくなりがちですが、対面だと空気感が違います。また、対面だと、休み時間などにいろいろなお話をすることもできるので、個人的には学会は対面の方がいいなと感じます。美味しいものも食べれますし(笑)

ここ数年、学生の学会発表はオンラインのものばかりでした。今年の4年生の卒業研究が終わるころには、対面で学会発表ができるようになっているといいなと思います。対面で学会に参加する楽しみを、少しでも感じてもらえることを祈っています。

(文責:竹島)

 

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