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ソーシャル・デザイン論 その1 伊勢神宮

2022年9月16日 (金) 投稿者: メディア社会コース

3年、後期の講義科目のにソーシャル・デザイン論を紹介します。

ソーシャルデザインとは、持続可能な開発や社会の実現につながる製品のデザインや仕組みのことを指します。また人間開発や社会生活等の向上を図れるシステムのデザインやプロダクトのデザインを含みます。ソーシャル・デザインを表すモデルの一つとして、伊勢神宮の式年遷宮が挙げられます。伊勢神宮は本社の建物を20年ごとに一新することで、伝統文化の継承と人材育成につながっています。20年に1度すべて作り変え再生することで、永遠に変わらぬ荘厳さを1300年の長きにわたって維持しています。 そして、その再生のために社殿や装束、宝物作りの技術が伝承され、社殿に使われる森林や萱が保護維持管理されています。内宮に使う用材は神路山から、外宮は高倉山と決まっていて、最初の建築時に100年後、200年後も確保できるよう植樹から始まり、必要最低限の木材で建て直しがされています。

また、建て替えで生じた古い木材や装飾品は、全国の伊勢神宮分社の鳥居や調度品として再利用されており、神社の再建のために使われる木材は、森の維持と再生につながっているという意味においてサステナブルでもあります。神宮で行われる神事に関わる装飾品や調度品などの製法も古来から変わらず継承されており、地域の伝統文化は伊勢神宮と共に世代を超えて受け継がれてきました。20年というサイクルは人が、次の世代に伝統を引き継ぐのに非常に適しており、このような仕組みにも、古来の知恵が生かされていおり、伊勢神宮を取り巻く環境、人、そして伝統文化の継承という意味、すべてにおいて持続的であり、そこにはサステナブル社会の実現のためのヒントがあるのではないでしょうか。

文責:飯沼瑞穂

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