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2022年10月

メディア専門演習「作曲演習」の紹介【第9弾】:今回のお題は「ドレドファ」

2022年10月31日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

メディア専門演習「作曲演習」では現在、11月中旬の中間作品発表に向けて作曲に取り組んでいます。

この演習では、指定された4つの音をメロディづくりの素材音列として、それを盛り込んだ音楽作品を作ります。この音列は各学期で異なり、今期は以下の「ドレドファ」という4つの音からなる音列が指定されています。

Photo_20221106102901


ちなみに、これまでの各学期では次のような音列が指定されていました。

Photo_20221106103201
作品の長さは、中間は30秒〜1分、期末は1分半〜3分です。中間と期末で別々の曲を作っても良いですし、期末の曲の一部として中間の曲を作っても構いません。

中間も期末も上記の音列を素材とすることが決まりですが、どのようなスタイルの曲を作るかは各自の自由です。今期は、この「ドレドファ」からどのような音楽が紡ぎ出されるか今から楽しみです。

2022_
      作曲の指導は一人ずつ個別に行います


(参考:過去の関連ブログ記事)
【作曲演習】
[2022.08.14] 専門演習「作曲演習」の紹介【第8弾】:作品発表会開催!
[2020.06.04] 「作曲演習」の遠隔開講での取り組み
[2020.08.26] 「作曲演習」の遠隔開講での取り組み(その後)


(メディア学部 伊藤謙一郎)

デジタルトランスフォーメーション-7

2022年10月30日 (日) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。では,企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するためには,どのような事柄を実行していけばよいのでしょうか?日本経済新聞(2019),デジタル変革に不可欠な6要素として,変革への意欲,変化に強い現代的な基幹系システム,組織と人,経営層の覚悟,ITパートナー,国の支援をあげています。IDC Japan(2017),内部エコシステム (組織,文化,従業員)の変革を牽引しながら,3のプラットフォーム(クラウド,モビリティ,ビッグデータ/アナリティクス,ソーシャル技術)を利用することが重要だと述べています。

これらをまとめると,企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するためには,()理念(デジタルパーパスとデジタルビジョン)()人材()組織()戦略()ITシステム を変革していく必要があることがわかります。これにより,デジタル時代にふさわしい価値創造の仕組みを作ることができ,価値を可視化することで新しいサービスや製品を市場に提供可能となるでしょう。

<参考・引用文献>

日本経済新聞(2019)「デジタル変革に不可欠な6要素」2019319

IDC Japan (2017)「Japan IT Market 2018 Top 10 Predictions: デジタルネイティブ企業への変革 - DX エコノミーに

おいてイノベーションを飛躍的に拡大せよ」IDC Japan報道発表資料,2017 12 14

デジタルトランスフォーメーション-6

2022年10月29日 (土) 投稿者: メディア社会コース

 メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。現実の企業においては,どのようなジタルトランスフォーメーションを実行しようとしても,様々な障害が生まれ,実行は困難だと,あきらめたりひるんだりする場合もあります。とはいえ,デジタルトランスフォーメーションは起こるかどうかではなく,いつ,どのようにして起こるかという問題です。つまり,企業にとっては,行うべきかどうかという問題ではなく,いつ,どのように行うかという問題になっています(ウェイル他,2018)。デジタルトランスフォーメーションの実行については,選択の余地はなく,実行しなくては今後,企業は生き残ることはできないでしょう。そのくらいの重要なミッションということができます。

<参考・引用文献>

ピーター・ウェイル,ステファニー・L・ウォーナー,野村総合研究所システムコンサルティング事業本部訳(2018)『デジ

タル・ビジネスモデル 次世代企業になるための6つの問い』日本経済新聞出版社,p.14

デジタルトランスフォーメーション-5

2022年10月28日 (金) 投稿者: メディア社会コース

 メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。デジタルトランスフォーメーションを企業で進める場合、すべてを同時に実行することはむずかしいので,企業が着目するポイントによって,いくつかの類型がデジタルトランスフォーメーションにはあります。市川(2021),デジタルトランスフォーメーション(DX)を以下の3つに分類しています。

  • 新サービス・市場創出型DX(ビジネスモデル改革型):デジタル技術を利用して,新たな製品・サービスを提供して顧客への付加価値・市場を創出すべく新たなビジネスモデルを構築するDX
  • 事業プロセス改革型DX(ビジネストランスフォーメーション型):新たなデジタル技術を利用して,既存の社内外の事業プロセス全体の改革・効率化を行うパターンのDX
  • 組織・業務改革型DX(フューチャーオブワーク型):デジタル技術を利用して,組織の働き方や業務のプロセスの改革を行うパターンのDX

<参考・引用文献>

市川類 (2021)「イノベーション論からみたデジタルトランスフォーメーション (DX)

No. 21-02. Institute of Innovation Research, Hitotsubashi University

デジタルトランスフォーメーション-4

2022年10月27日 (木) 投稿者: メディア社会コース

 メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。日本でよく利用されているデジタルトランスフォーメーションの定義には,IDC Japan(2017)によるものがあります。IDC Japan(2017),デジタルトランスフォーメーションを,「企業が外部エコシステム(顧客,市場)の破壊的な変化に対応しつつ,内部エコシステム (組織,文化,従業員)の変革を牽引しながら,3のプラットフォーム(クラウド,モビリティ,ビッグデータ/アナリティクス,ソーシャル技術)を利用して,新しい製品やサービス,新しいビジネス・モデルを通して,ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し,競争上の優位性を確立すること」と定義しています。この定義は,経済産業省(2018a,b)によるDXレポートでも引用され,ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションの定義として広く用いられることになりました。

 一方,ウェイド他(2019),デジタルトランスフォーメーションを,「デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルを用いて組織を変化させ,業績を改善すること」と定義しています。

 このIDC Japan(2017)やウェイド他(2019)の定義から,デジタルトランスフォーメーションとは,単に企業内の局所的なデジタル化ではなく,全社のビジネスモデルを変革する,非常に大きな取り組みであることがわかります。

<参考・引用文献>

IDC Japan (2017)「Japan IT Market 2018 Top 10 Predictions: デジタルネイティブ企業への変革 - DX エコノミーに

おいてイノベーションを飛躍的に拡大せよ」IDC Japan報道発表資料,2017 12 14

経済産業省(2018a)DXレポート~ITシステム2025年の崖の克服とDXの本格的な展開~」201897

URL:http://www.meti.go.jp/press/2018/09/20180907010/20180907010.html

経済産業省(2018b)DX推進ガイドライン」201812

URL:https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004.html

マイケル・ウェイド,ジェフ・ルークス,ジェイムズ・マコーレー,アンディ・ノロニャ,ジョエル・バービア,根来龍之監訳,

武藤陽生・デジタルビジネス・イノベーションセンター訳(2019)DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織を作る』

日本経済新聞出版,p.17,p.103,p.35,p.159

デジタルトランスフォーメーション-3

2022年10月26日 (水) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。昨日ご紹介したストルターマンは2022年になりDXの新しい定義を発表しています(Stolterman,2022)。新しい定義において企業などのプライベートセクターのDXの定義としては,「デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業がビジネスの目標やビジョンの達成にむけて、その価値、製品、サービスの提供の仕組を変革することである。DXは顧客により高い価値を提供することを通じて、企業全体の価値を向上させることも可能にする。DXは戦略、組織行動、組織構造、組織文化、教育、ガバナンス、手順など、組織のあらゆる要素を変革し、デジタル技術の活用に基づく最適なエコシステムを構築することが必要である。DXは、トップマネジメントが主導し、リードしながら、全従業員が変革に参加することが必要である。」としています(株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所,2022)。

<参考・引用文献>

Stolterman,Erik.(2022)“A new definition of Digital Transformation together with the Digital Transformation Lab, Ltd. ”

URL:https://www.stoltermanbergqvist.com/post/a-new-definition-of-digital-transformation-together-with-the-digital-transformation-lab-ltd

株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所(2022)DX定義の改訂」

URL: https://www.dxlab.jp/new-dx?fbclid=IwAR2vTG2IUGZFxQfQXFhzUVNZ76IdYLl6uCIUrWGANslQXXdwlrpQihnfigg

デジタルトランスフォーメーション-2

2022年10月25日 (火) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。企業がデジタル化することについて「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という用語がよく使われます。では,このデジタルトランスフォーメーションとはどんな意味でしょうか。定義は非常にたくさんあるので,それらを紹介することからはじめます。

デジタルトランスフォーメーションという言葉を最初に使ったのは,ストルターマンであるといわれています。ストルターマンらは,デジタルトランスフォーメーションを,「人間の生活のさまざまな面において,デジタル技術が引き起こし,影響する変化」と定義しています(Stolterman and Croon Fors,2004)。この定義は,デジタルトランスフォーメーションを企業のデジタル戦略の一形態としてではなく,社会のデジタル化の視点で定義したものだということができます(市川,2021)

<参考・引用文献>

Stolterman,Erik., Croon Fors., Anna.(2004)“Information Technology and The Good Life”, Umea University,

Information Systems Research Relevant Theory and Informed Practice, IFIP TC8/WG2 2004

市川類 (2021)「イノベーション論からみたデジタルトランスフォーメーション (DX)

No. 21-02. Institute of Innovation Research, Hitotsubashi University

デジタルトランスフォーメーション-1

2022年10月24日 (月) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部 メディア社会コースの進藤です。こんにちは。今週はデジタルトランスフォーメーションについてお話していきます。デジタル技術の進化と社会のデジタル化は,企業に変革を迫っています。デジタル技術を基盤とした企業(デジタル企業)の時価総額が増加していることもデジタル化への関心を高めています(今井,2020)。また,2020年からの世界的にコロナ禍は予想外のかたちで,デジタル化の推進力になりました。この時期に,マイクロソフトCEOのナデラは,2年分に相当するデジタル変革が2カ月で起こるのを見た」と述べています(マイナビニュース,2020)

では,そもそも企業がデジタル化するとは,いったい,どんなことでしょう?そして,それを起こしたいと思った場合,まず,何から考えればよいのでしょう?今週は,そうしたことについて,考えていきます。

<参考・引用文献>

今井紀夫(2020)「デジタルトランスフォーメーションとその背景の理解」マーケティングジャーナル, 40(2), pp.65-73.

マイナビニュース(2020)「米Microsoft,2桁の増収増益,2年分のデジタル変革が2カ月で起きた」2020430

  URL:https://news.mynavi.jp/article/20200430-1026535/

最近のCPU

2022年10月23日 (日) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

私はいくつかのプロジェクト演習を開講していますが、先日、そのうちの一つ「サーバー構築・管理」というテーマでPCの分解・組み立て演習を行いました。最近はノートPCを利用する場面が増え、昔なら経験の機会があったデスクトップPCの「メモリ増設」なども最近のノートPCでは(自分では)できません。

演習ではデスクトップPCで故障しているものや廃棄予定のものを分解し、組み立てなおしました。その過程で、PCの中身の構成や部品の実物を見たり触れたりすることで、PCに関する理解を深めてもらうのが狙いです。ほとんどの受講生は初めてこれを経験するので、分解前の各部の様子を写真にとり、マザーボードのマニュアルをネットで調べて分解と組み立てに臨みました。今回は新品部品をそろえてPCを1台新たに組み立てたり、故障部品(電源装置でした)を特定してそれを取り換えて復旧させたりということもできました。

最近のCPU(組み立て前の新品部品)の写真を撮っておいたので紹介します。Intel社の第12世代Core-i5プロセッサです。手で持っているのがCPUで見えているのは裏側(端子面)です。

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FCLGA1700というパッケージ規格になっていてCPU裏側にはパッド状の端子がびっしり並んでいるのが分かります。これに対応するマザーボード上のソケット(2つ目の写真)も大変な密度です。3枚目は取り付けた様子です。CPUは動作時にとても発熱するので、使用する際にはこの上に放熱用の金属フィンとファンを取り付けます。したがって、稼働する状態のデスクトップPCのふたを開けてもCPUそのものを見ることはできません。私も数年ぶりに実物を見ました。この中に複数のコア(昔のCPU1つに相当)が入っているのですから大変なものですね。

(メディア学部 寺澤卓也)

紅華祭研究室公開

2022年10月22日 (土) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

2022年10月9日、10日の2日間、東京工科大学八王子キャンパスの「紅華祭」が開催されました。紅華祭はキャンパスを共有する日本工学院八王子専門学校との共同開催です。今年は久しぶりに対面で、飲食の出店等もある活気ある学園祭となりました。

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私の研究室は毎年、紅華祭で研究室公開をしています。今年も4年生が中心となって来室されたお客さんに研究の説明を行いました。卒業研究はまだ完了していませんが、各自、夏休みまでに進めてきた内容でポスターを作成し、それを用いて説明しました。一部のテーマは研究の一環として、開発したものをお客さんに使ってもらってアンケートも実施できました。

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夏のオープンキャンパスの際も研究室公開をしており、その時は先輩の研究内容の説明が中心でしたが、今回は自分の研究の説明だったこともありますが、皆、経験を積んで説明が上手になっていることを感じました。卒業した先輩もちらほら見かけました。かつてのような学園祭が開けたことはとても良かったと思います。

(メディア学部 寺澤卓也)

エラーでがっかりする必要はない

2022年10月21日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

「プログラミング入門」の話をもう少し続けます。今日は「エラー」の話です。

Errormessage

プログラムを書いたときにどこかに間違いがあると、上の図のようなエラーメッセージが表示されます。プログラミング初心者の中には、この状況でとても残念そうな顔をする人がいます。極端な人になると、すかさず×ボタンをクリックして画面を閉じてしまうこともあります。話を聞いてみると、「自分が否定されたような気がして嫌な気持ちになった」と言います。

断言します。プログラミングが上達するために最も大事なことは、命令を覚えることでもタイピングが早くなることでもなく、「エラーメッセージを見ても平気になること」です。

ちなみに私は大学でプログラミングを教えるぐらいにはプログラミングができる方だと思いますが、今でも週に数十回はエラーメッセージを見ています。特に最近は老眼が進んできたせいか、カンマ(,)とピリオド(.)を間違えたり、コロン(:)とセミコロン(;)を間違えたりしてエラーになることがしょっちゅうです。でも、エラーメッセージを見ればどこで間違えたのかがわかるので、それから直せば問題ありません。エラーを出さないように時間をかけてプログラミングするより、エラーを出して直した方が早いのです。

エラーメッセージは英語で出てくることが多いので、それで恐れをなしてしまうのかもしれません。でも、エラーメッセージのバリエーションはそんなに多くないので、RPGの呪文のようなものだと思ってしまえば、すぐに慣れます。それでも意味がわからないときは、検索すればいくらでもヒントが出てきます。エラーを恐れずに、ゲーム感覚でプログラミングを楽しんでみてください。

 

変数の名前をどうするか

2022年10月20日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

後期の1年生向け科目「プログラミング入門」は、全くの初心者でもプログラミングができるようになることを目指す科目です。先日の第3回授業では「変数」を扱いました。

プログラムの中での変数というのは、後で使う可能性のある数値や文字などを覚えておくためのもので、プログラマーが自分で名前を付けることができます。授業の中では、簡単なプログラムの例を挙げて、「皆さんだったらこの変数にどんな名前を付けますか?」というアンケートを取ってみました。授業の中で「変数名は英語でもローマ字でもいいですよ」と言ったこともあって、英語の変数名とローマ字の変数名が半々ぐらいという結果だったのですが、英語派の人が悩んだのではないかと思うのが、「ファイルの個数」のようなものを表す変数の名前の付け方です。

「ファイルの個数」を英語にすると number_of_files になるのは皆さん知っているはずですが(スペースは変数名には適さないので"_"を使います)、3単語もあって変数名としてはちょっと躊躇するのではないかと思います。日本語だと、これを短くして「ファイル数」と言ったりするので、そのまま直訳して file_number としたくなるかもしれません。しかし、これだと全体の個数というよりは個々のファイルに付けられた通し番号をイメージさせるので、あまり適切ではないような気もします。

ここから先は、特に正解はありません。ある程度の経験を積んだプログラマーがこういうときにどうするかは、それまでに属していたコミュニティや、それまでに目にしてきたプログラムに大きく左右されると思います。私自身は、個数を表す number の頭文字をとって n_files のようにすることが多いです。他にも、numFiles とか fileCount とか、いろんな流儀があるようですね。大学では、教員も学生も個人で活動することが多いので、こういうことも自分で決めていかないといけません。一方、就職してプログラマーとして働く場合には、プロジェクトの中での命名規則が定められていることが多いので、あまり悩むことは無いかもしれません。

たかが変数名と思うかもしれませんが、学生さんの様子を見ていると、ちゃんとした変数名を付ける人はプログラミング能力も伸びていく傾向があるように感じます。変数名については、柿本先生が書かれたこちらの記事もぜひ読んでみてください。

最先端のARやVRの制作の前に③情報圧縮としての、日本文化としての文字メディア:俳句

2022年10月19日 (水) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

最近、プロジェクションマッピングやAR・VRの活用において多数のCG映像作品を見ることが増えてきました。そこで今回はその際に役に立つ心理効果を与える簡潔かつ有効な「文章」であり日本文化の象徴でもある文字メディアである俳句について雑談させていただきます。

俳句と言えば松尾芭蕉、松尾芭蕉と言えば「古池や蛙飛びこむ水の音」が有名ですが、Wikipediaによると
「古池や蛙飛びこむ水の音」(ふるいけやかわづとびこむみずのおと)は、松尾芭蕉の発句。芭蕉が蕉風俳諧を確立した句とされており、芭蕉の作品中でもっとも知られているだけでなく、すでに江戸時代から俳句の代名詞として広く知られていた句である。

季語は蛙(春)。古い池に蛙が飛び込む音が聞こえてきた、という単純な景を詠んだ句であり、一見平凡な事物に情趣を見出すことによって、和歌や連歌、またそれまでの俳諧の型にはまった情趣から一線を画したものである。芭蕉が一時傾倒していた禅の影響もうかがえるが、あまりに広く知られた句であるため、後述するように深遠な解釈や伝説も生んだ。

初出は1686年(貞享3年)閏3月刊行の『蛙合』(かわずあわせ)であり、ついで同年8月に芭蕉七部集の一『春の日』に収録された。『蛙合』の編者は芭蕉の門人の仙化で、蛙を題材にした句合(くあわせ。左右に分かれて句の優劣を競うもの)二十四番に出された40の句に追加の一句を入れて編まれており、芭蕉の「古池や」はこの中で最高の位置(一番の左)を占めている。このときの句合は合議による衆議判制で行われ、仙化を中心に参加者の共同作業で判詞が行われたようである。一般に発表を期した俳句作品は成立後日をおかず俳諧撰集に収録されると考えられるため、成立年は貞享3年と見るのが定説である。なお同年正3月下旬に、井原西鶴門の西吟によって編まれた『庵桜』に「古池や蛙飛ンだる水の音」の形で芭蕉の句が出ており、これが初案の形であると思われる。「飛ンだる」は談林風の軽快な文体であり、談林派の理解を得られやすい形である。

『蛙合』巻末の仙花の言葉によれば、この句合は深川芭蕉庵で行われたものであり、「古池や」の句がそのときに作られたものなのか、それともこの句がきっかけとなって句合がおこなわれたのか不明な点もあるが、いずれにしろこの前後にまず仲間内の評判をとったと考えられる。「古池」はおそらくもとは門人の杉風が川魚を放して生簀としていた芭蕉庵の傍の池であろう。1700年(元禄13年)の『暁山集』(芳山編)のように「山吹や蛙飛び込む水の音」の形で伝えている書もあるが、「山吹や」と置いたのは門人の其角である。芭蕉ははじめ「蛙飛び込む水の音」を提示して上五を門人たちに考えさせておき、其角が「山吹や」と置いたのを受けて「古池や」と定めた。芭蕉は和歌的な伝統をもつ「山吹という五文字は、風流にしてはなやかなれど、古池といふ五文字は質素にして實(まこと)也。山吹のうれしき五文字を捨てて唯古池となし給へる心こそあさからぬ」とした。「蛙飛ンだる」のような俳意の強調を退け、自然の閑寂を見出したところにこの句が成立したのである。 なお、和歌や連歌の歴史においてはそれまで蛙を詠んだものは極めて少なく、詠まれる場合にもその鳴き声に着目するのが常であった。俳諧においては飛ぶことに着目した例はあるが、飛び込んだ蛙、ならびに飛び込む音に着目したのはそれ以前に例のない芭蕉の発明である。

と俳句の解釈からその背景などたった17文字の世界が現実社会とつながってこのような意味空間あるいは言葉空間を構成することは非常に興味深いです。千種も俳句や短歌は結構好きで、SNSで俳句投稿やしりとり俳句など、色々と楽しんでいましたが、イマドキはさらに進化しています。言葉を鍛えて映像クオリティを上げるために俳句や短歌を日常的に詠みとどめておくときっと後々役に立つと思います。

 




最先端のARやVRの制作の前に②エイゼンシュテインのモンタージュ理論

2022年10月18日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

最近、プロジェクションマッピングやAR・VRの活用において多数のCG映像作品を見ることが増えてきました。そこで今回はその際に役に立つ映像テクニックあるいは心理学的効果として、前回のクレショフ効果につづき、最も有名なモンタージュについて紹介します。

モンタージュとは、日本の警察が犯人捜しで、目撃者がモンタージュ写真を選んでいくシーンがあまりに有名ですが、映画の世界ではちょっと意味合いが違います。今回はその中でもエンゼンシュテインのモンタージュ理論についての話題です。

Wikipediaによると
モンタージュ(montage)は、映画用語で、視点の異なる複数のカットを組み合わせて用いる技法のこと。元々はフランス語で「(機械の)組み立て」という意味。映像編集の基礎であるため、編集と同義で使われることも多い。

フィルムのつなぎ合わせが独自の意味をもたらすことは、映画の創成期から知られていた。たとえば米国エジソン社の『メアリー女王の処刑 (The Execution of Mary Stuart) 』(1895)では、撮影途中でわざとカメラを停止する「中止め」を用いて、首がギロチンで落ちるショッキングな演出を行った。また、映画の魔術師と呼ばれるメリエスは、編集によってさまざまな映像的トリックを試みただけでなく、『月世界旅行(Le voyage dans la Lune)』(1902)の最後のシーンでは「コマ撮り」のアニメーションを実現している。

この後のモンタージュ技法は、純丘曜彰によれば、大きく2つの方向へ分岐するとされる。一方はソ連の映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインに代表されるエイゼンシュテイン・モンタージュであり、他方は米国の映画監督D・W・グリフィスに代表されるグリフィス・モンタージュである。

エイゼンシュテイン・モンタージュは、当時流行し始めたソシュールの構造主義の影響を受け、台本の言語的要素を映像に置き換えて編集していく手法であり、エイゼンシュテインの映画『戦艦ポチョムキン(1925年)』の「オデッサの階段」がその典型とされる。

Potemkinstairs

この現在ウクライナにあるオデッサ(オデーサ)の階段は、当時ソビエト連邦にはポチョムキンの階段と呼ばれ、今でも戦争中な場所で今現在このままであるかどうかはわかりません。

この映画史上最も有名なポチョムキンの階段シーン(オデッサの階段、1925Movie, Russia)についてのさらに詳しくした解説が以下になります。
https://kokai.jp/escalera-de-odesa/
ウクライナのオデーサ(オデッサ)にある長さ142mの「ポチョムキンの階段」を舞台とした、世界の映画史上最も有名な6分間シーンです。ソビエト連邦の映画監督セルゲイ・エイゼンシュテイン(ロシア語:Серге́й Миха́йлович Эйзенште́йн Sergéj Michájlovič Ėjzenštéjn, Sergei Mikhailovich Eisenstein)により、1925年に製作・公開された名作映画「戦艦ポチョムキン」のオデーサ市民に対する虐殺シーンです。エイゼンシュテイン監督は映画「戦艦ポチョムキン」で、有名な映像編集の基礎「モンタージュ理論」を確立させています。

モンタージュ理論を確立できたのは、セルゲイ・エイゼンシュテイン氏が一時期、日本人教師に漢字を習っていたからだという説があります。漢字という象形文字の持つ抽象的な概念をデザイン描写的に表現しているという基本コンセプトから、「身」と「美」で「躾」とか「口」と「鳥」で「鳴」になる等、全く別の意味になるという事に興味を持ち、このコンセプトを基にモンタージュ理論を確立したということです。

エイゼンシュテイン、プドフキン、グリゴーリ・アレクサンドロフの共同署名による「トーキー映画の未来(計画書)」(「トーキー宣言」)に、「モンタージュ」についてこう書かれています。

現代の映画は視覚的映像を操作することで、人間に強力に働きかける。当然ながら、その力はさまざまな芸術のなかでも首位の座を占めるものの一つである。映画にこのような強力な働きかけの力をあたえている基本的で唯一の手段は、明らかにモンタージュである。

モンタージュこそ働きかけの主要な手段であるという主張は、疑問の余地のない公理となっており、世界映画文化の磁石となっている。ソヴィエト映画が世界のスクリーンで収めた成功のほとんどは、ソヴィエト映画がはじめて発見し、確立した数多くのモンタージュ手法によるものである。だから、映画をより一層発展させる重要な要素は、観客に働きかけるモンタージュ手法を強化し、拡大することだけである。
山田和夫「エイゼンシュテイン」より


ここでの気づきで象形文字である「身」と「美」からそれぞれの意味を融合したり統合したり超越した意味である「躾」(しつけ)が出来上がることろが興味深いです。「口」と「鳥」で「鳴」となるのも興味深いですね。そして日本にはこのかな混じり漢字を使った俳句や短歌があります。これについても次回以降に紹介したいと思います。

さらにこのように映像のカットを巧妙に組み合わせることで極めて強い印象を視聴者に与えることができる、ということも興味深いです。そしてこのエンゼンシュテインのモンタージュ理論は時代の別の違った利用法をされていきます。これについても次回以降に!


最先端のARやVRの制作の前に①クレショフ効果

2022年10月17日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

最近、プロジェクションマッピングやAR・VRの活用において多数のCG映像作品を見ることが増えてきました。そこで今回はその際に役に立つ映像テクニックあるいは心理学的効果として有名なクレショフ効果について紹介します。

Wikipediaによると、
「クレショフ効果」とは、映像群がモンタージュされ、映像の前後が変化することによって生じる意味や解釈の変化のことをいう。一般に映像の意味や解釈は、ほかの映像とのつながりのなかで相対的に決定されていく。本効果は、映画的な説話論の基礎である。

実験として、本効果のもつ意味論的伝染を強調するために、レフ・クレショフは、科学的経験(認知心理学)を開発した。クレショフは、ロシアの俳優イワン・モジューヒンのクローズアップのカットを選び、とくに無表情のものを選んだ。モジューヒンのカットを3つ用意し、3つの異なる映像を前に置いた。

第1のモンタージュでは、モジューヒンのカットの前に、スープ皿のクローズアップを置いた。 第2のモンタージュでは、スープ皿のかわりに、棺の中の遺体を置いた。 第3のモンタージュでは、棺の中の遺体のかわりに、ソファに横たわる女性を置いた。それぞれのシーケンスを見た後で、俳優(モジューヒン)があらわす感情を観客は述べなければならなかった。その結果、観客は、第1では空腹を感じ、第2では悲しみを感じ、第3では欲望を感じたと答えたのである。

とあります。実写映像出身者はこのクレショフ効果をきちんと学修していて、このをクレショフ効果をしっかりと活かしたカット割りを制作に取り入れています。端的に伝えたい意図を明確に鑑賞者に与えることができ、ナレーション不要です。これは言語不要とも言い換えることができます。つまり世界に通じる映像制作手法であると言えます。

このクレショフ効果を活かした作品制作は万能なので、知っているとより効果的な映像作品を制作できますね。

卒業生の執筆した記事がゲームメーカーズで公開

2022年10月16日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。
今回は卒業生の活躍と、おすすめの記事についてご紹介です。

ゲームメーカーズというサイトをご存知でしょうか?
名前の通り、ゲーム制作者やゲーム作りを志す方々のための情報発信メディアで、ゲーム制作のチュートリアルや技術系の記事など多彩なコンテンツを取り扱っています。
実はそのゲームメーカーズの編集長である神山大輝さんは、本学メディア学部及び大学院の卒業生です。

卒業後は音楽制作に向けたレコーディング機器の販売・コンサルティングに従事し、サイドワークとしてゲームに向けた楽曲提供を行っていました。
独立後は音楽事業のほか本学での演習講師も務めていただき、また開発ワークフローや各種DCCツールの知見があったことからテクニカル系の記事執筆業務に従事、2022年5月にゲームメーカーズの立ち上げをしています。

そして今回、CEDECの講演の一つについてまとめた『ダークファンタジーの空気感を描く、『ELDEN RING』の大気表現【CEDEC2022】』という記事が公開されました。
これを執筆されたのが、本学大学院で博士号(メディアサイエンス)を取得された竹内亮太さんです。
元々3DCGプログラムが専門で分野への造詣も深く、またそれを正しくわかりやすく説明する確かな文章力で素晴らしい記事を執筆されました。
注目記事ランキングでも第一位となったようです。

記事中に出てくる用語は3DCGや画像処理技術などの専門的なものが多く、難しい印象を受けるかもしれません。
しかし、紹介されている各種技術が作品創りにどのように活かされているか、工夫のしどころやその肝がどこであるかの解説が非常にしっかりしており、技術の理解を一段と深めてくれる形になっています。
多くの物事でそうですが、技術は技術そのものの説明を見るよりも、それをどのように使うのか、どう使えるから素晴らしいのかが理解できると技術自体への理解も大きく深まります。

技術についてよく知らない方は学習のとっかかりに、ある程度理解している方はその実用事例の参考にと、様々な理解度の方にお勧めの大変よい記事です。
本学のゲーム制作を志す皆様も是非参考にしていただければと思います。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その44後編

2022年10月15日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品の44本目「パイレーツオブカリビアン~呪われた海賊~」について、どこに注目すべきか述べていきます。

今回取り上げる「パイレーツオブカリビアン~呪われた海賊~」は2003年に公開されたアメリカの映画です。原作はなんとディズニーがテーマパークに設置している「カリブの海賊」で、ボート型の乗り物に乗った観客が、カリブの海を冒険するような体で楽しむアトラクションです。

あくまでアトラクションなので明確なストーリーがあるわけではありません。映画内のストーリーは映画独自のものですが、共通の世界感と登場人物で続編が作られ続けている、人気シリーズの第1作目になります。

さて、この作品でシナリオライターとして注目すべきは「主人公はいったい誰なのか」です。

「カリブの海賊」が原作ということもあって『「パイレーツオブカリビアン」といえば「海賊・ジャックスパロウ」』と、海賊の名前を挙げる人は少なくないと思いますし、ほとんどの人は「ジャックスパロウが主人公」と答えるでしょう。

確かに作中における登場時間の長さや、登場回数、活躍シーンなどを考えれば、最も目につくのはジョニー・デップ演じる「ジャック・スパロウ」です。エンディングクレジットでも俳優陣のなかで一番手の表記なので、それらを根拠に「ジャックスパロウが主人公」と言いたくなるのは自然なことです。

あくまで一人の観客や映画ファンとしてはそれでかまわないのですが、このブログは「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い昨品」なので、シナリオライターの視点から見たときに「主人公はいったい誰なのか」と考えると、それは「ウィル・ターナー」です。

今回このブログの前編のあらすじは、主に「ウィル・ターナー」を主語にして記述しましたが、そういう解釈の元に書きましたし、実際にそう書けてしまう内容なのです。

本作のストーリーは、簡潔にいうなら「ひとりの青年が、自身の出自に悩みつつも攫われた最愛の女性を助けるべく戦い、添い遂げる」という内容であり、その過程の助けや障害として海賊が大きく関わってくるものの、大筋は青年ウィル・ターナーを軸に映画は進みます。

ジャック・スパロウは、確かに存在感の大きな存在であり、映像の中でも常に華々しく活躍する存在として映っていますが、この映画のストーリー内ではそこまで大きな目的を持って動いていません。敵海賊たちにかかった呪いに関わっていたり、自身の海賊一味を取り戻したかったり、無関係ではない動機を持ってはいますが、それ自体はメインストーリーになっていないのです。

別作品の例ではありますが「ドラえもん」というタイトルの漫画昨品において、実際のストーリーはドラえもんではなく「のび太」が主人公として活躍する形に似ています。

ドラえもんは、未来の技術をあつかえる『ひみつ道具』という、圧倒的な力と目をひくモノを扱える存在ではありますが、実際にそれらを用いてストーリーを展開させる人物は「のび太」であり、ジャックとウィルの二人はまさにそれを彷彿とさせます。

非力な存在が、強力な相棒の力を借りつつも、決してすべて依存してしまうのではなく、本人なりに努力と工夫をして、なんとか目的を成し遂げようとする様は、定番すぎる展開のストーリーとも言えます。しかし、だからこそジャック・スパロウのような華々しい存在を引き立たせる作品にすることができたともいえます。

ヒロイックな登場人物を描くには、必ずしもその登場人物を主人公にしなくてはならない、というわけではないのです。そういう工夫を知っておく上でも「パイレーツオブカリビアン~呪われた海賊~」は見ておくべき作品といえるでしょう。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その44前編

2022年10月14日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。

前編となるこの記事は、あらすじのまとめが中心です。

後編ではその内容をもとに注目すべきポイントを述べますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。

取り上げる映画は次のタイトルです。

『パイレーツオブカリビアン 呪われた海賊(2003)』

○監督

ゴア・ヴァービンスキー

○脚本

テッド・エリオット
テリー・ロッシオ
ジェイ・ウォルパート

○あらすじ

難破船から投げ出された少年ウィル・ターナーは、幸運にも港町ポートロイヤルのスワン提督の船によって救われた。船に乗り合わせていた総督の娘・エリザベスが看病していた際に、海賊の印があしらわれた金貨のペンダントを咄嗟に隠したお陰で、息を吹き替えしたウィルは海賊の関係者だとバレることなく、その後は町の鍛冶屋に引き取られて育った。

その後、成長したウィルとエリザベスが、互いに惹かれ合いつつも身分の違いから想いを遂げられずにいたある日のこと、ポートロイヤルに一人の海賊ジャック・スパロウが姿を現した。

ジャックは、式典中に気を失って海に投げ出されたエリザベスを偶然救い、何故か彼女が海賊の金貨を持っていたことに驚くが、真相を確かめる前に兵隊たちに囲まれたため、エリザベスを盾にしてその場から逃走する。

ジャックが追手をやり過ごそうと身を隠した建物は、ウィルの鍛冶屋。ウィルに見つかったジャックは剣での戦いの末、不意をつかれて昏倒、結局投獄されてしまうのだった。

翌日には刑に処されることになったジャックだが、その晩にポートロイヤルはブラック・パール号を駆る海賊・バルボッサの襲撃を受ける。なんと、その狙いはエリザベスの持つ金貨。彼女はその金貨と引き換えに襲撃をやめるよう交渉。確かに海賊たちは攻撃をやめたが、金貨ともどもエリザベスをさらっていってしまった。

父であるスワン提督ですらエリザベスの救出を諦めかけていたため、ウィルは救出に協力するという条件でジャックを脱獄させる。簡単に協力を決めたジャックを、ウィルは不思議に思ったが、ジャックはウィルの父親と旧知の仲であり、バルボッサの船・ブラックパール号は元々ジャックの船だったなど、今回の一見に浅からぬ因縁があった。

一方、バルボッサとその配下の海賊たちが、たった金貨1枚をそこまで欲した理由は、彼らにかけられた呪いを解くため。エリザベスの持っていた金貨とその持ち主の血を捧げることで、呪いが解け、人間に戻ることができる・・・はずだった。しかし、バルボッサの本拠地での儀式は失敗に終わる。金貨の本当の持ち主はエリザベスではなくウィルだったからだ。

慌てふためくバルボッサたちの隙をついて、ウィルとジャックはエリザベスを救い出した。これに激怒したバルボッサたちは猛然と追いかけてきたが、ウィルはジャックを見捨てることでエリザベスと共にその場を脱出した。

絶体絶命のジャックだが「金貨の本当の持ち主を知っている」とバルボッサたちに持ちかけ、共にウィルの後を追うことで窮地を脱した。そしてあっというまにウィルたちの乗る船に追いつくと、ウィルとエリザベスを捕らえるのだった。そこまではジャックの計算通りだったが、もはやバルボッサたちにジャックとエリザベスは不要になったため、ふたりは無人島に置き去りにされてしまう。

しかし、エリザベスの機転で大規模な狼煙をあげることで、ポートロイヤルの総司令官ノリントンの船に救われた二人。エリザベスはウィルの救出も嘆願するが、ノリントンは鍛冶屋一人のために兵を動かそうとはしないため、ウィルを救出してくれたら自分はノリントンと結婚する約束を提案すると、ノリントンはこれに応じる。

ポートロイヤルの兵団と、バルボロッサの海賊たちによる決戦の火蓋が切って落とされた。その間に、別働隊でジャックとエリザベスはウィルを救うべくバルボッサの元を目指した。バルボッサと海賊たちは、呪いの力によって眠ることも食べることもできないが不死身の身体を得ており、それはバルボッサも同様。兵団とジャックは苦戦を強いられる。

しかし、ジャックには秘策があった。不死身の身体に慣れて油断していたバルボッサが、ジャックの攻撃を受け止める瞬間を狙ってウィルに指示し、呪いを解かせた。バルボッサは人の身体を取り戻したが、同時にジャックの放った銃弾によって絶命した。

騒動が収まったとき、ウィルとエリザベスはもはや身分にこだわることをやめ、共に生きていくことを決めた。そして二人に見送られる形で、自身の船ブラックパール号を取り戻したジャックは新たな地へ出航していくのだった。

・・・次回は、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、について述べていきます。どうぞお楽しみに。

後期授業が始まりました(遅)

2022年10月13日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

2022年度も後期が始まってから,そろそろ全ての授業で3回目が終わろうとしている時期です.

2年次後期科目として,金曜日の5限に実施しているメディア特別講義Ⅰでは毎回業界の第一線で活躍していらっしゃる方々をゲストにお迎えし,今業界で課題になっていることや,最新の研究開発など,まさに業界の”今”をご講演いただいています.

また,授業後半では毎回ゲストの方々への質問コーナーとして,受講生から質問を募ってゲストの方にお答えいただいています.そこではメディア学部教員が司会進行ということで,MCのようなことをしています.去年までも会場でのお手伝いなどでは私もこの授業に参加していますが,先週は初めて私も進行役として壇上に上がりました.
思いのほか緊張しますね!助教になって5年目ですし,その前も非常勤などの期間があるので,1人で話す授業は慣れてます.が,考えてみればホールの壇上で誰かと話すということは初めてだったかもしれません.
先日も紅華祭がありましたが,いつもイベントなんかで学生が上手くMCを回しているのを見て感心していますが,あらためて難しいものだと実感しました.

さて,私が担当しているプロジェクト演習シナリオアナリシスも今週で3週目となります.
今期は例年と比べると人数は少なめですが,これまで精力的に執筆活動などを続けてきている猛者が継続履修している印象です.
去年あたりから私のプロ演で変わってきたこととして,オリジナル作品の制作ではなく,既存作品の調査・分析を主体にしたいという学生が増えてきました.
もともとシナリオアナリシスという名前の通り,既存作品の特徴や構造を調査・分析し,それを制作に活かす,ということがテーマです.ですが,やはり学生の需要としては「書いてみたい・書けるようになりたい」という気持ちが強く,書き上げるためにはそれ相応の時間が必要になるので,どうしても例年「制作・執筆」のほうに時間配分が偏りがちです.もちろん,授業自体を調査・分析に特化した演習にしてしまうこともできなくは無いのですが,シナリオを書いたことがない・書き方がわからない学生が演習として分析を行っても,今自分が分析した結果が何の役に立つのか,どんな意義があるのか実感しづらい,というジレンマもあります.

私が初めてシナリオ関連の分析に関わったのは学部生だったころですが,やはりその時の私も「何のためになるのか」は理解できてなかったように思います.だからこそ,大学院生になってからシナリオの授業を受けた時に,「こう整理していけば自分が妄想していたことが物語として整理できるんだ!」と強く感動しましたし,このことを今でも強く覚えています.この,大学院のシナリオの授業がまさに,私が学部生の時に参加した分析プロジェクトの成果を使っている授業でした.
ですので,新規の受講生が作品制作にチャレンジする横で,継続履修している先輩が分析を主体にしてディスカッションに参加してくれるのは私としても大変ありがたいと思っています.

(文責:兼松祥央)

VRで視野のギリギリを攻めるには(日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会)

2022年10月12日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

本日も,大学院生の研究を紹介していこうと思います.今日の研究は王陳溢さんの「視野境界におけるVRゲーム視覚表現のための視野個人差の考慮」という研究です.こちらも日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会で発表しました.

ヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)を用いたバーチャルリアリティ(VR)ゲームは,広い視野角(100度前後)に映像を投影することで高い没入感を得ることができます.視野角が広い分,プレイヤーに「見えるか見えないか」の表現を行うときに,どこに表示させたらいいかの判断が難しいです.(通常のディスプレイであれば,画面の端に表示させたり消したりする表現ができます)

このような疑問もあって,VRゲームをプレイしているときに人はどれぐらいの領域まで認識しているのか,過去に大学院生も研究していました.そして,今回はそこに個人差があるのではないかという点から,個人に合わせてカスタマイズしたらより表現力を高めることができるのではないかということを考えました.

視野を計測するには,「ゴールドマン式視野計」という装置があり,中心部を注視しながら,執念の点が見えなくなるタイミングでボタンを押すことで,どの領域までみえているのかを計測する仕組みです.

本研究では,このような仕組みをHMDを装着した段階でできるようにゲームエンジンUnityを用いて実装しました.

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開発したシステムのイメージ

 

完成したシステムを利用して,様々なプレイヤーに実験したり,一人のユーザーが複数回にわたって計測する実験をしました.その結果,プレイする人によってかなり計測された範囲が異なることがわかりました.また,このような個人差よりは小さいですが,同じプレイヤーであっても日によって違いがあることがわかりました.

今後は計測装置をさらに改善し,ゲーム演出を視野に合わせることで体験が高まるかどうか,実験を続けていきたいと思います.

文責:三上浩司

格闘ゲームのキャラクターが実際にダメージを受けて動けなくなるシステム(日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会)

2022年10月11日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

本日も引き続き大学院生の研究を紹介します.こちらは于ソウキさんの「格闘ゲームにおける被ダメージによる部位損傷システムの開発」です.

格闘ゲームはプレイヤーを操作し,敵のキャラクタと戦うゲームです.プレイヤーが操作するキャラクタにはHP(ヒットポイント)があって,相手のヒットポイントを0にしたり,制限時間が来た時によりHPがのこっていたりすると勝つことができます.

しかし,実際の格闘技などの試合では,プレイヤーは徐々にダメージを受けていき,当初のように体を動かすことができなくなっていきます.このような現実の世界の現象をゲームに取り入れようという取り組みは過去にも多くありますし,実際にも用いられていることがあります.

しかし,ゲームとして楽しむことを考えると,あまりにシビアなシステムはゲームとしての楽しみにつながらないため,利用されないことがあります.例えばレースゲームなどを想像してもらうといいと思います.比較的シビアなゲームシステムを持つゲームはF1レースのゲームなどで存在します.敵の車とちょっと接触しただけでも車体にダメージを受け,ピットインを余儀なくされるゲームシステムが採用されていたりします.(それでも実際のレースよりもだいぶ簡略化しています).一方で,敵のキャラクタと体当たりしながら競い合ういわゆるマリオカート的なゲームもあります.

レースゲームはある意味双方が成り立っているゲームジャンルですが,これを格闘ゲームの上でも採用し,シビアでリアルな表現を楽しんでもらうことはできないかと考えたのが,この研究のきっかけです.

キャラクタの致命的なパーツにはこべつのHPを設けたり,腕には別のHPを設けて一定以上で動作ができなくなるなどの仕組みを加えました.

実験の結果システムは好意的に受け入れられることが多いことがわかってきました.

今後はさらに,様々な要素を実装し比較実験をしていきながら,面白さを向上できるシビアなシステムや仕掛けを探っていきたいと思います.

 

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実際に開発したシステムの例

 

文責:三上浩司

プレイヤーの音声を活用した感情表現のゲームへの応用(日本デジタルゲーム学会での発表)

2022年10月10日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

本日は大学院生黒田まりあさんの研究発表を紹介します.

この研究は「ゲームにおける音響的特徴認識技術を利用した感情表現の活用」と題して,日本デジタルゲーム学会夏季研究発表大会で発表しました.

皆さんが普段会話する際に発する音声の音響的特徴を解析することで,発声している人の感情を推定することができたりします.この技術を活用してゲームプレイヤーの感情を推定することなどができます.

この研究では,こうした音響的特徴認識技術を利用して,プレイヤーが自分の感情をゲーム内のキャラクタに伝える,つまりはゲームのコントローラーの1つとして音声を使おうという研究です.

音声の音響的特徴解析には,過去にも卒業研究の学生が利用した「Userlocal」というシステムを利用します.ユーザーが入力した音声をUserlocalで解析し,感情の数値を取得し,その数値をゲームが取得して,相手のキャラクタの反応に応用しようという方法です.

 

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実験のために,プレイヤーの発話が影響を及ぼしやすい,アドベンチャーゲーム(サウンドノベルゲーム)を作成しました.

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まだまだ,実験の数は少ないので,これからこの技術をさらにうまくゲームに応用させていこうと思います.

分析:三上

2022年度秋冬学期展望

2022年10月 9日 (日) 投稿者: メディア社会コース

今年度も後半を迎えようとしています。この連載の最後に当研究室の後半戦を展望してみましょう。

当研究室では例年、卒業論文を12月初旬に暫定提出しています。筆者と本田先生とで一通り目を通し、年末年始に完成版を作成してもらうためです。そのため、必要な調査/分析作業を見通し、論文としての執筆に向けていよいよ佳境を迎えるという時期です。年内は分析結果の検討に主眼をおきますが、年が明けると1月下旬に予定されている学内最終発表に向けたプレゼンテーションの練習へと軸足を移していきます。

一方で、当研究室のゼミ生は、毎年8割以上学会で報告しています。さらにハードルも高くなっているわけです。9月以降、今年は、

情報文化学会11月5日

社会情報学会中国四国支部会(島根大学)12月

ビジネス科学学会九州支部会(中村学園大学)12月18日

情報文化学会九州支部研究会(鹿児島高専)2023211

社会情報学会中国四国支部会(香川短期大学) 20223

情報文化学会関東支部会2023年3

第21回情報コミュニケーション学会全国大会2023年3

以上、7回の報告機会が予定されています。11月の情報文化学会は残念ながら学生は報告しませんが、筆者は報告します。

例年、後半は地方開催も多くなります。まだ決定ではありませんが、社会情報学会中国四国支部会が例年同様12月17日に開催になると、翌日18日のビジネス科学学会九州支部会と連続します。そうなると松江から福岡に向かわなければなりません。冬場を迎え、移動時の交通事情も気になります。いくつかのルートが考えられる中で、一番時間がかからないのは出雲空港からの航空便で17日の夜便があるのですが、欠航の可能性も考慮しなければなりません。実際、昨年の松江では悪天候のため羽田/松江便でも条件付き運行になり、気を揉んだ経験が蘇ります。

一方時間はかかりますが、陸路では山陰本線経由松江〜新山口〜博多ルート(キハ187系スーパーおき+山陽新幹線)、伯備線経由松江〜岡山〜博多ルート(381系やくも+山陽新幹線)の2系統があり、運休リスクは低下しそうです。風光明媚な山陰本線ルートに心が惹かれますが、翌日早朝出発で、午前中の学会参加ができません。そこで、17日夕刻発の伯備線経由で前日中に博多入りを考えています。後半の実績については、また改めて報告しましょう。

(メディア学部 榊俊吾)

2022年度学会報告3:情報コミュニケーション学会研究会

2022年10月 8日 (土) 投稿者: メディア社会コース

2022年 730日(土)に、金沢商工会議所において、情報コミュニケーション学会第9回社会コミュニケーション部会が第32回研究会との共催で開催されました。同研究会は毎年同時期に神田駿河台の明治大学紫紺館で開催されていましたが、今年は金沢市の中心街にある金沢商工会議所で実施されました。

https://cis.gr.jp/activities#kenkyukai-32pro

金沢には一回しか行ったことがなく、金沢大学が移転し、石川門内にまだ一部の校舎が残っていた頃です。当時寝不足の中早朝に車を運転し、トンネルが連続する対面通行の北陸道を駆け抜けた記憶があります。今回、2度目の金沢に、北陸新幹線で向かいたかったところでしたが、遠隔で参加しました。本田先生、いつも学会でゼミ生がお世話になっている明治大学の後藤先生は現地参加でした。

さて、当ゼミからは岡本君が遠隔で参加しました。当日は岡本君のほか、青山学院大学社会情報学部の学部生も報告を行い、いずれも充実した報告で、大変感心しました。今年3月の同学会全国大会でも当ゼミの2名の学生が報告を行い、「学部学生」の研究を認識してもらっていたところです。今回も学部学生が大いに活躍してくれました。来年3月の全国大会での活躍も期待しています。

(メディア学部 榊俊吾)

2022年度学会報告2:日本地域政策学会全国研究【宮城】大会

2022年10月 7日 (金) 投稿者: メディア社会コース

2022年 625日(土)~ 26日(日)に、2022年度第22回日本地域政策学会全国研究【宮城】大会が開催されました。オンライン開催で、当ゼミからは、中村君と、早坂君の2名が学生ポスターセッションに参加しました。通常のポスター発表と異なり、今回は、研究ポスターが当学会のホームページ上で1週間にわたり掲載され、その間、参加者からの質問/コメント等を受け付けるという形式でした。

ちなみに、学会報告では、通常、口頭とポスターの2種類があります。口頭発表は、1人づつ壇上に上がり、持ち時間の中で報告を行い、討論者や座長からの質問、コメントに回答し、さらに会場からの質疑に答えるなど、衆人環境の中で審査が行われる、非常に緊張を強いられるものです。一方で、ポスター発表は長時間(通常60~90)、入れ替わり立ち替わり来場者に説明、質疑に答えていく、討論形式です。口頭発表に比べると、自由に議論が深められ、研究の糧になるものです。理想を言えば、ゼミ生全員に、早い時期にポスター発表で鍛えて、口頭発表で仕上げてほしいと考えています。

https://ncs-gakkai.jp/convention/entry/

2022年度学会報告1:ビジネス科学学会全国大会

2022年10月 6日 (木) 投稿者: メディア社会コース

2021年度ビジネス科学学会全国大会は、625日(土)に開催校の中村学園大学で実施されました。当ゼミからは現地1名、遠隔1名の計2名のゼミ生が参加しました。当研究室演習講師の本田先生は、前日他学会参加のため、今回は遠隔での参加になりました。

さて、今年は、川喜多さんが遠隔で、馬場君が現地で報告しました。当日のプログラムは以下の通りです。2会場並行で、かつそれぞれ遠隔とのハイブリッドでの実施で、運営を統括していた中村学園大の土井先生、石橋先生には多大のご尽力をいただきました。小生も両会場を行ったり来たりしていましたが、学生セッションでは、土井先生から大変詳細なご指導もいただき、二人とも今後の研究のヒントが得られたと実感していると思います。

 

2022年度学会報告の見込み

2022年10月 5日 (水) 投稿者: メディア社会コース

今年度の学会は、現地とオンラインのハイブリッドが中心になりそうです。当研究室では、現時点で、例年に準じて以下の参加を予定しています。

情報文化学会北海道支部研究会(北大5月→中止)

ビジネス科学学会全国大会(中村学園大626日→現地参加1名、遠隔参加1)

日本地域政策学会第21回全国研究宮城大会(石巻専修大学625~26日→遠隔開催2名参加)

情報コミュニケーション学会第32回研究会(金沢商工会議所730日→遠隔参加1)

情報文化学会全国大会(遠隔11月5日→参加予定)

社会情報学会中国四国支部会(島根大学12月→参加予定)

ビジネス科学学会九州支部会(中村学園大1218日→参加予定)

情報文化学会九州支部研究会(2023.2月→未定)

社会情報学会中国四国支部会(香川短期大学2022.3月→未定)

情報文化学会関東支部会(2023→未定)

第20回情報コミュニケーション学会全国大会(2023→未定)

さて、学会に参加するにあたって、現地と遠隔では、当然それぞれに長所短所があります。昨年の経験からは、いずれも学会報告という審査面での優劣はないように思います。現地参加では、学生にとって、やはり(初対面の)参加者を直接目の前にして相当の緊張を強いられます。一方、遠隔では直接視線を浴びない分、緊張感は少しほぐれるようです。その意味で学会という敷居は少し低く感じられるかもしれません。また、質疑の時間等も十分に確保されていれば、報告後に充実した議論が行えます。しかし、学生にとって今後の研究の糧になるのは、報告登壇時の質疑に限りません。むしろ、報告後の休憩時間、懇親会等非公式の場において色々な参加者と相対して立ち入った議論を行える点にあります。この点、現時点では現地参加に分がありそうです。今年も日頃のゼミでは得られない知見を学会で吸収してほしいと考えています。

(メディア学部 榊俊吾)

2022年度卒研生選抜

2022年10月 4日 (火) 投稿者: メディア社会コース

来年度2023卒研生の募集が6月下旬に実施されました。新たに12名の学生諸君が当ゼミに参集してくれました。今年も募集にあたり、2週間ほぼ毎日遠隔で説明会を実施しました。その大半は筆者が当ゼミの歴代の実績を中心に、研究領域やゼミの運営上の特徴、雰囲気を紹介するものでしたが、今年も2回にわたって現役4年次生のゼミ風景の見学会を実施しました。

実は、一昨年は実施できなかったこのゼミ見学こそ、当卒研の説明会でこれまで歴代にわたって実施してきたもので、その特色を隅から隅まで実感してもらえるものと自負しています。今年配属された学生諸君も現時点で入手可能な情報を最大限活用した上で、合理的な意思決定をしてくれた結果につながってくれていると思います。9月からの助走を経て、当ゼミにまた新たな研究実績を蓄積してくれるものと期待しています。

来年度ゼミ生12名の研究テーマは以下の通りです。

TCG,DCG業界のコロナ禍による売上の変化、売上向上への改善案

エシカル消費に関する研究

メンズメイクの現状と展望

公営競技の市場とこれからの課題について

ゲームについて

日本のゴミ箱減少の問題点と改善提案

アニメ産業市場の動向と考察

アイドル業界におけるファンの経済活動の研究と人気になるアイドルグループの研究

KPOPの楽曲の特徴と経済への影響

ファッション業界がジェンダーレス化へと移行してからのファッション業界の比較とジェンダーレス化とコロナ下の関係性

スニーカー市場の動向とこれからの発展

昨今の声優の経済効果について

(メディア学部 榊俊吾)

2022年度卒研の紹介

2022年10月 3日 (月) 投稿者: メディア社会コース

本日より連投で、当研究室の活動を中心に投稿しましょう。

今年度は、2年ぶりに第1回を卒研室で実施しました。教室参加は任意で、約半数のゼミ生が参集しました。しかし、第2回以降は、遠隔実施を決めました。諸外国の動向、変異型の出現などからわが国でも引き続き感染拡大となる事態が想定されたからです。また、昨年の経験から、議論中心の当ゼミの特徴、運営実績、達成度を評価すると、見出した課題を逐次改善しながら十分な成果が挙げられていることから、諸般の事情に鑑み、現時点で遠隔実施を総合的に凌駕する実施方法も見出せません。

本年度ゼミ生11名の研究テーマは以下の通りです。今般の制約を乗り越え、全員が学会で報告できることを期待しています。

4大税理士法人の現状と今後

Twitterの自己紹介で反応を得る条件

Mリーグが与える麻雀業界との影響とイメージ改革

転売による問題と対策

近年のバイク業界

国内女子サッカーの現状と今後の展望

バーチャルユーチューバーに関する研究と考察

ソーシャルゲームとコンシューマーゲームのこれからについて

VTuberの現状と課題

物販系 BtoC EC現状と展望

バーチャルYouTuber「にじさんじ」・「ホロライブ」の現状と展望の調査及び研究

(メディア学部 榊俊吾)

面白いと思った概念は定着する

2022年10月 2日 (日) 投稿者: メディア技術コース

 1年次前期の講義科目「メディア学入門」第14回(最終回)講義で、知識概念の定着の一方法を紹介しました。昨日の記事の続きで、以下、授業記録動画から書き起こします。
 
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 知識概念の量って、単純にまあ勉強して知識詰め込むよというような前提のことが書いてあって、それで概ねいいんですけども。あの、知識概念がね、ちゃんと定着するかって結構大事なんですよね、やっぱね、もちろんね。その定着するための方法っていろいろあると思うんですよ。
 
 皆さん試験勉強とかする時に復習したり、まあいろいろな形で定着させようとするわけじゃないですか。で、長期的にみて、あの、明日の試験勉強のために一夜漬けする定着じゃなくてね、ホントに、例えば5年後10年後20年後でも、その学んだ知識が、ワッとこう引き出せるような状態になる一つのやり方……これが全部じゃないですよ……一つのやり方はですね、最初にその知識を得たときにしっかりとマーキングすることなんですよ。
 
 中身の詳細はね、あんまり細かいところまで憶えこむんじゃなくて、知識概念のポイントをちゃんとマーキングする。マーキングするっていうのは、もちろんこう頭の中にイメージをちゃんと作るんですけども。その一つのやり方としていいのが、あの、「あ、なるほど!」と思ってね、「そういうことか! そうか、おもしれえ!」って思えた知識っていうのは、ちゃんとマーキングされるんです。
 
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 よくわかんないんですけども、私の経験上はそうです。「あ、これっておもしれえな、なるほどー!」と思った知識は、あとからでもちゃんと憶えている。まあ細かいところまで行かなくてもね。大まかでいいんですよ。細かいところは……引き出した後で「これ何かすげかったなあ。確かにいいよな。こういうときいいよね。でも細かいこと忘れたなあ」ってなったらWebで調べればいいんです。
 
 で、そのー、「あ、なるほどな」と思うと、脳みそが気持ちいいじゃないですか。その気持ちいい瞬間のそのものって、何かすごく定着するんじゃないかなというふうに私は勝手に考えています。
 
 なので、皆さんこれからいろんな講義受けますよね。そうすると、まあ全部が全部ってわけには行かないでしょうけども、やっぱ中には「あ、なるほど、そういう考え方があるんだ」ってことがあると思うんですよ。それを意識的に「あっおもしれえ」ていうふうになるようにしてみるといいんじゃないかな、と思います。
 
 その「おもしれえ」ってなるには、表面的なところだけで理解していたんじゃダメで、やっぱ本質的なところまである程度深掘りして、「あ、そういうことがこの概念の本質なんだ」っていうことがわかれば、その気持ちいいっていう領域に達し易いんじゃないかなと思います。
 
 皆さんもね、ちょっと思い浮かべてくださいよ。中学とか高校で、まあ小学校でもいいですよ。何かの授業でね、すごい面白い……細かい知識でいいですよ、細かい知識概念だけども「あ、これすごい面白いなあ」って思ったことって、やっぱ憶えてますよね。
 
 そうすると、この組合せ力と相まって、引き出しやすくなっている知識がいっぱい詰まってて、創造力が発揮できる、というふうに思います。
 
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 メディア学部 柿本正憲

知識を組み合わせる力はどうつけるか

2022年10月 1日 (土) 投稿者: メディア技術コース

 1年次前期の講義科目「メディア学入門」で、私が担当する最終回講義から、履修生の質問を取り上げ回答を紹介します。事前公開した授業資料に対してあらかじめ提出してもらった質問です。
 
 「創造性」の話題を取り上げました。次のようなスライドです。
 
 Photo_20221001220601
 
 これについての履修生からの質問と私からの回答です。
 
 質問:
 
 「知識と創造性について質問です。この中で創造力=組合せ力×知識概念の量という話がありましたが、知識概念の量は勉強すれば増えると思います。しかし、組合せ力というのは元から自分が持っていて変動しないものですか、それとも何かしらの勉強をすることでかえられるものなのですか?」
 
 回答:
 
 はい。これの答えは後者です。変えられます。訓練できます。ちょっと参考資料を出しましょうかね。
 
 Photo_20221001220602
 
 この組合せ力は発想力と似た意味になりますよね。で、「KJ法」というのを聞いたことある人いるかもしれませんが、川喜田二郎という方が考案したものです。いろいろツール使って、付箋とか使ってたくさん書き出したりして発想を引き出す方法です。ちょっとあまり私詳しくないんですけども、こういう有名な方法もあるよということです。
 
 それからですね、元のスライドにも書いたんですけども、ほかの人と議論することによってこの組合せ力は、私は鍛えられるんじゃないかなと思っています。
 
 「組合せ力×」の先のね、知識概念ていうのは頭の中に詰め込んであるものですよね。そっから引き出すわけですけど、その引き出す作業ってのが議論の中に含まれるんですね。だから議論をしっかりやって、こうしゃべってね、人と話して、考えながらちゃんと話して考えながら話して、聴いて、理解して、話して、てことを繰り返すと、この、頭の中のいろんな知識概念を引き出す、組み合わせる力はだんだんと高まってくると思います。
 
 ぜひですね、こういう授業なんかでも、質問したり、グループワークなんかでもね、よくほかの人と話して、自分の考えをちゃんと説明するとか、まあそういう訓練を繰り返すことによって組合せ力は鍛えられると思います。
 
 それともう一つ、一番下にある「ゼロ秒思考」っていう、これ本なんですけども……。あの、世の中にねいろんなノウハウ本てあって、あの私ノウハウ本てあんまり好きじゃないんですよ。何でかって言うと、確かにいいこと書いてあるんだけども、結局実行できないよね、って類のもので……。で正直言うと私もこの「ゼロ秒思考」って一時期ちょっとやってみたりしたんですけども、ま、なかなかね、こう継続的に長続きするもんじゃない。ですが、一応参考資料として挙げておきました。これは結構鍛えられると思います。
 
 簡単に中身を言うと、紙一枚に考えていることを一分間で書き出す、っていうのが基本になっていますね。一分間で。時間区切って。ていうことは、一分以内に頭の中にこうモワーっとあるものを、こう引き出して、ちゃんと表さないといけないわけですよね。それは、議論と同じで、頭の中のいろんなものを組合せて、引き出すっていうそういう訓練になりますんで。まあぜひこの「ゼロ秒思考」っていう本はね、あの、読んで、ちょっと何か実践してみるといいと思います。
 
 4_20221001220801
 
 あ、あとですね、この知識概念の量って、単純にまあ勉強して知識詰め込むよというようなことが書いてあって、それで概ねいいんですけども。あの、知識概念がね、ちゃんと定着するかって結構大事なんですよね、もちろんね。その定着するための方法っていろいろあると思うんですよ。
 
 (次回につづく)
 
 メディア学部 柿本正憲
 

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