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研究紹介:長編の物語における登場人物の行動と場面の可視化

2022年11月 5日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。

昨日の記事で書いた通り、石川県で開催されているNICOGRAPH2022に参加しています。
今回は先端メディアゼミナールⅡを受講していた三名がポスター発表として参加しました。

今日は飯田琴美さんの研究の紹介です。
飯田さんはこれまでに紹介した(記事1記事2)通り、一年後期からずっと受講してそれぞれの成果で毎年度学会発表をしてくれています。
今回で三度目ですが、これまではリモート参加だったので現地での発表は初めてです。
現地は初めてということで緊張している様子もありましたが、発表が始まると見に来た方にしっかり説明してくれました。

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今回の研究は、長期間の連載をしている漫画作品を題材に、登場人物の行動を分析し可視化する方法を検討しました。
連載が長期化すると登場人物の数が多くなり、それぞれの人物の行動を代わる代わる描写していると人物ごとの登場頻度が下がってしまいます。
すると、前回の登場からどれだけ経ったかや、前回登場時にどこで何をしていたかなどの情報が曖昧になってしまうことが起こりえます。

これを整理するため、「ONE PIECE」や「BLEACH」、「名探偵コナン」を題材に、各登場人物の登場時の行動をエクセルで分析しました。
分析にあたり、列方向に時系列(物語の進行)を取り、行方向に登場人物を列挙する形を取りました。
しかし、常に同じ登場人物同士が一緒に行動するわけではないため、ある場面で一緒に行動していた人物同士が遠く情報が把握しにくいという問題が発生しました。

そこで、登場人物について何行目に記載するかを固定せず、物語中で描写される度に一番上の行に移動して表示するという方法を検討しました。
これによって、ある時点で一緒に描写された(同じ行動を取っていた)人物同士が近づき、またこの入れ替えを描写ごとに行うことにより、しばらく登場していない人物が下の方の行に移動していく形になりました。
エクセルではそのような行の並び替えは行いにくいため、エクセルで分析したデータをもとに上記のルールで表示位置の変更を行うシステムの試作を行い、手法の有効性の確認を開始しました。

今回はその分析方法と情報のまとめ方についての発表がメインで、試作プログラムについてはこれから改めて仕様の検討と実装という形です。
今後の発展が楽しみです。

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