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第20回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2022年11月 1日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「登場人物や世界観の説明を頑張りすぎたシナリオの欠点(あな)」です。

仕事にせよ課題にせよ、シナリオを書くことになって、実際に書き進めていくためのモチベーションの源泉となることの一つは、自身のアイディアを作品内で実現することでしょう。

クライアントからの様々な発注条件があって、シナリオライター自身が思いついたことや組み込みたいことをシナリオに全て書き込めるわけではありませんが、それでもその制約のなかで、なんとか自身のやりたいことを記述していくことは、やりがいのある作業ともいえます。

特に、登場人物や彼らが活躍する世界観については、並々ならぬ情熱をもってシナリオに盛り込もうとする人が多いです。

フィクション作品、架空の出来事を描くとなれば、シナリオライターは全ての生みの親とも言える存在ですから、実際に作品を展開する要素となる登場人物と世界観は、いわば自分の子供のようなもの。大事にしようと思うのは自然なことです。

しかしながら、その情熱や思いが強すぎるのも問題で、やもすると「シナリオの欠点(あな)」になってしまいます。

架空の内容、つまりは現実ではない内容や情報を理解してもらうためには、説明が不可欠です。たとえ直近の、さらに身近な地域を舞台にしたとしても、架空の世界で、実在しない人物を描くとなれば、それらの存在を実在しているかのように認識して貰う必要があります。

そして、そのための「説明」は情報を一方的に押し付けるだけでは意味がありません。もっと具体的にいうと、シナリオ上にたくさん書けば説明を理解してもらえる、というわけではないのです。

特にシナリオ執筆未習熟者に多いのですが、作品の冒頭で登場人物と世界観の情報提供に時間を費やし過ぎて、シナリオを読む人や観客が「飽きてしまう」ことを想定できないシナリオライターがいます。

ライター本人の心情としては「じっくり時間をかけて登場人物と世界観を説明して理解してもらえれば、その後の展開がとても魅力的に思ってもらえるハズだ!」といったところですが、残念ながら、本人のそういった思惑とは裏腹に、多くの人はそこに至る前に「飽きてしまう」のです。そして一度そうなってしまうと、再びそのシナリオに興味を持ってもらうことは、ほぼ不可能です。

いわば、シナリオの冒頭から欠点(あな)があいていて、そこから先に進んでもらえない、といったところでしょうか。作品の理解に必要な情報は簡潔にまとめつつ、優先順位の高いものから厳選して提供し、「飽きてしまう」ことがないよう、シナリオは書いていくべきでしょう。

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