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ゲーム技術に関する学会発表紹介(5)

2022年12月 4日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。こんにちは。

前回の「ゲーム技術に関する学会発表紹介(4)」に続いて、NICOGRAPH2022で発表した研究を紹介したいと思います。

9件目は、学部3年の熊谷樹さんの研究を紹介します。題目は「波動方程式を用いた追跡行動アルゴリズムの3次元への拡張」というもので、ポスター発表として採録されました。波動方程式は、物理学者エルヴィン・シュレーディンガーにより提唱された理論で、以下の図のような方程式です。

Kumagai1

波動方程式

この方程式を用いると、波の伝播を高速に処理することができます。以前に私自身の研究で、2次元マップ中でこの波動方程式を用いた追跡アルゴリズムを提唱しました。(「波動方程式による波伝播作用を利用した追跡行動アルゴリズム」, 芸術科学会論文誌第20巻第1号, pp.1-9) 通常、追跡行動を実現するには経路探索が必要となるのですが、本手法を用いればその必要はなく、動的な地形変化があっても対応できることが経路探索に対する利点となっています。今回は、それを3次元に拡張したものです。3次元になっても追跡アルゴリズムが実現できることを立証した一方で、3次元の場合特有の問題も色々と発生しており、その解決について論じています。

Kumagai2

追跡アルゴリズムの実行の様子

10件目は、交換留学生のソイスヴァン・ジュリアンさんの研究を紹介します。題目は「高速性と移植性を重視した直列化システム」というもので、ポスター発表として採録されました。ジュリアンさんは、東京工科大学メディア学部と提携しているISART Digitalという学校の出身です。ISART Digital からは毎年数人の交換留学生が東京工科大学に来ており、数ヶ月から1年間くらい研究活動を行っています。この研究では、データ並列化の際の互換性を保証することを目的としています。プログラム開発でファイル入出力やネットワーク転送の際に生じる「データ並列化」という処理があるのですが、異なるハードウェアアーキテクチャやOSでは数値や文字のデータの形式が異なるため、データのやりとりで支障が生じることがあります。本研究で提唱するライブラリを用いて、異なるアーキテクチャやOS間でのデータ並列化をシームレスに実現しています。

(メディア学部教授 渡辺大地)

 

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