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2023年1月

メディア学部とサクラ:サクラがインターネットにデビュー

2023年1月31日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

大寒波が猛威を振るっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

前回に説明させていただいたように、寒波の後には春がやってきます。春と言ったら桜、桜と言ったら入学式ですが、メディア学部にとって桜(サクラ)とはどのような位置付けにあるでしょうか?画像メディアのひとつとしての桜、映像メディアのひとつとしての桜の散る映像、といったものでしょうか?あとひとつは江戸時代から続く、芝居小屋のサクラというお客を誘導する面白い仕組みでした。

通りすがりの人が賑わっている芝居小屋をみると「何か面白い芝居をやっているのかな?」と思わせるため、知り合いや常連客を誘って、お金を払わず芝居小屋に来てもらい、賑やかしな何人かの人と彼らによる掛け声と芝居小屋を出て「この芝居はとっても面白かったねー」とか話題あるいは口コミを投げかけてもらうことなどをお願いし、芝居小屋が実際の有料入場者以上に賑わって、その賑わいが気になる通行人が「どんな面白い芝居なのだろうか」と興味を持ち芝居小屋にお金を支払って入店するということにつなげてきました。

前述のように長い時間ではないですが、似たような心理的に訴求する仕組みとして「サブリミナル効果」という見ている人が感知できない映像メディアの表現法による心理効果があります。つまりサクラが映像メディアに進出してきました。Wikipediaによると

サブリミナル効果(サブリミナルこうか)とは、意識と潜在意識の境界領域より下に刺激を与えることで表れるとされている効果のことを言い、視覚、聴覚、触覚の3つのサブリミナルがあるとされる。閾下知覚とも呼ばれる。サブリミナルとは「潜在意識の」という意味の言葉である。境界領域下の刺激はサブリミナル刺激(Subliminal stimuli)もしくはサブリミナル・メッセージ(subliminal messages)と呼ばれている。

https://www.nikkei-science.com/201402_056.html

とあり、本人の意図あるいは心理を外部からコントロールする仕組みの悪影響を考え、現在では、映画でもテレビ放送でも「視聴者が感知できない映像表現はアンフェアである」としてほとんどの場合サブリミナル効果を使用した映像表現が禁止されています。

そして、今度は芝居小屋のサクラが映像メディアだけでなく、ついにインターネットにも進出きています。インターネットには「賑わい」も「口コミ」も存在するので、とても親和性が高そうです。ステルスマーケティングと呼ばれるこの手法はWikipediaでは以下のように説明されています。

ステルスマーケティング(英: Stealth Marketing)とは、消費者に広告と明記せずに隠して、非営利の好評価の口コミと装うなどすることで、消費者を欺いてバンドワゴン効果・ウィンザー効果を狙う犯罪行為。「ステマ」の略語で知られる。やらせやサクラなどもこの一例に分類される。映画などの映像の中に目視では認識できない短時間の画像などを挿入して脳内に刷り込む宣伝方法で、ステルス機のように相手に気づかれずに宣伝する手法が語源とされる。

英語圏ではアンダーカバー・マーケティング(英: Undercover Marketing)と呼ばれるゲリラ・マーケティングの1つ。日本では明確には違法になっていないグレーゾーンな行為のため、芸能人やインフルエンサーによるペニーオークション詐欺事件以降にステマの存在が認知された後も、まとめサイトなどウェブサイトやSNSにおけるステルスマーケティングが、後を絶たない。欧州連合やアメリカ合衆国では、広告表記のない宣伝行為は『消費者に対する不公正な欺瞞に当たる行為』として、明確に法律で禁止されている。

という風に、グルメサイトでもショッピングサイトでも豊富な「口コミ」により「賑わい」が創出されているため、そこにマーケティングの要素を取り入れて、宣伝効果を高める手法としてステルスマーケティングが使用されています。事実と異なる現状を演出されていることの是非はかなり議論されているので、すでに法律で禁止されている国もあります。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221227/k10013935901000.html

続く


 

 

メディア学部とサクラ:サクラ編

2023年1月30日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

大寒波が猛威を振るっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

寒波の後には春がやってきます。春と言ったら桜、桜と言ったら入学式ですが、メディア学部にとって桜(サクラ)とはどのような位置付けにあるでしょうか?画像メディアのひとつとしての桜、映像メディアのひとつとしての桜の散る映像、といったものでしょうか?あとひとつあります。それは江戸時代から続く、面白い仕組みです。

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江戸時代の元禄文化という大衆文化において花開いたものとして芝居小屋を中心とする観劇があります。今でも全国各地に演芸場といった芝居小屋の建物が残っているように日本の誇る文化のひとつとなっています。そして文化として維持するためには経営が必須です。当時だと劇場の入場料が収入、一方、役者・裏方・浮世絵のチラシなどへの出演料・手数料、劇場の使用料などの支出です。一定期間において収入が支出を上回っている必要がありますし、人気ある役者を雇用し続けるには高額な支払いも必要になるでしょう。最初人気がなくても段々と人気が出てくるケースも多々あったことでしょう。

江戸元禄時代1700年代から300年以上持続するための経営とは並大抵の努力では実現できなかったと思われます。そのためには演劇や劇場を宣伝するための多種多様な技術も発達していきました。現代の看板を劇場前に掲げるだけでなく、現代のチラシの相当する「引き札」、そして入場者に安心感を与える心理的な販売法として「現銀掛け値なし」という定価販売、などがあります。看板やチラシの効果はすぐにわかりますが、定価販売が心理的に安心感を与え、結果として売り上げ増につながるのは興味深いとも思えますし、他に競合のない商品やサービス場合には定価販売の安心感は重要ですが、インターネット時代になった現在では、類似の商品やサービスを簡単に検索して見つけることができるので、これだけでは足りない気もします。

そして、そこで、発展したのがこれも人間の心理に訴求する「賑わい」を演出するプロモーション法です。ひとは行列を見たり、店舗がにぎわっていたりするととても気になります。中には行列を見るととりあえず並んでしまう人もいるくらいです。そこにターゲットを絞り「賑わいを」を演出するプロモーション法が「サクラ」です。

Wikipediaによると

サクラ(おとり)
サクラとは、イベント主催者や販売店に雇われて客や行列の中に紛れ込み、特定の場面やイベント全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を偽装したりする者を指す隠語。当て字で偽客とも書く。

語義の由来
本来は、江戸時代に芝居小屋で歌舞伎を無料で見させてもらうかわりに、芝居の見せ場で役者に掛声を掛けたりしてその場を盛り上げること、またはそれを行う者のことを『サクラ』といった。桜の花見はそもそもタダ見であること、そしてその場限りの盛り上がりを『桜がパッと咲いてサッと散ること』にかけたものだという。サクラの同義語に「トハ」があるが、これは鳩(はと)を逆に言ったもので、同様にぱっと散り去るからだという。

これが明治時代に入ると、露天商や的屋などの売り子とつるんで客の中に入り込み、冷やかしたり、率先して商品を買ったり、わざと高値で買ったりするような仕込み客のことも隠語でサクラと呼ぶようになった。サクラを「偽客」と書くようになったのはこの露天商などが用いた当て字が一般に広まったものである。

今日では、マーケットリサーチや世論調査などにおいても、良好な調査結果をもたらすために主催者側によって動員されたりあらかじめモニターや調査対象者の中に送り込まれた回し者のことを、サクラと呼ぶ。賭博場やオークション会場などで指し値を吊り上げる目的で主催者側の人間が紛れ込むこともそう呼ばれる。

という、江戸時代に堺の堂島※市場で発明された金融業界における先物取引と同様に、今でも世界中で活用されている凄い仕組みですね。

つづく

メディア専門演習「作曲演習」の紹介【第10弾】:作品発表会を開催しました

2023年1月29日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

今学期の私の演習でのお題「ドレドファ」を使った作品の発表会を、さる1月12日に開催しました。
(「ドレドファ」については、前回のブログ記事をご覧ください)

中間発表の作品を元に作り込みを行う学生が多い中、中間発表とは全く別の作品を新たに作った学生もおり、期末作品として19曲が発表されました。

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当日の発表会の様子。前方のスピーカーから音が出ています。互いの作品を聴き合いながら講評や評価を記入します。

各作品で「ドレドファ」の音列が用いられている部分をピックアップして4分ほどのオーディオファイルにまとめましたので、ぜひお聴きください。


こうして通して聴くと、それぞれ曲調や雰囲気が違っていて面白いですね。テンポや音色の扱いからも各学生の音楽の好みが窺えます。

今回の音列はこれまでに比べて難易度が高いものでしたが、どの学生も苦労しながらもモティーフやメロディにうまく仕上げていました。

来学期はどのような作品が聴けるか楽しみです。

(参考:過去の関連ブログ記事)
[2022.08.14] 専門演習「作曲演習」の紹介【第8弾】:作品発表会開催!


(メディア学部 伊藤謙一郎)

今年度の卒業研究「プロダクトデザイン」もあとは最終発表会のみ

2023年1月28日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

今年度の卒業研究はコロナ禍での実施となりましたが、毎週の卒研ゼミでは感染対策を徹底しながら対面での意見交換を行いました。卒論提出も終わり、あとは各自が制作したポスターを前にした最終発表を残すだけとなりました。久しぶりに対面でのポスター発表となります。

先ほどポスターの印刷も完了し(1/27)、来週が発表会です(1/30)。

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今年度も4年生たちはメディア学部らしいプロセス重視のプロダクトデザイン提案を行いました。全員のポスターには背景・目的・方法・結果・考察・結論という提案までの研究経緯がまとめられています。コロナ禍前のようなポスターを前にした賑やかな発表会はできないのですが、有意義な発表会にしたいと思います。

メディア学部 萩原祐志

専⾨演習「空間インタラクティブコンテンツ」2022後期

2023年1月27日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

コンテンツコースの椿です。こんにちは。
専門演習「空間インタラクティブコンテンツ」では,先週は最終課題で制作した作品の
発表会をしました。
その作品の中から1つをご紹介します。

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ノートPCのカメラで撮影した映像に、魔法陣をのCGを重ねたものです。
LeapMotionというハンドジェスチャを認識する装置を使って手の位置を検出し、リアルタイムで魔法陣を重ねて表示しています。
まるで、魔法陣が本当に手の上に浮かんでいるような映像ができました。

「音楽創作論」での作曲(その4):作曲者によるピアノ演奏

2023年1月26日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

これまで3回にわたって、2022年度「音楽創作論」での作曲についてお話ししてきました。

シリーズ最終回の今回は、私のピアノ演奏で曲をお聴きください。

【演奏動画】『揺蕩う夜空』(2022年度「音楽創作論」制作曲)

曲名にある「揺蕩う」「たゆたう」と読みます。最終回の授業で私の演奏を聴いてくれた107名の学生諸君にこの曲にふわさしい曲名を寄せてもらい、その中から私が選んだものです。ほかにも魅力的な曲名案がたくさんあり、曲名の選定にはとても迷ったのですが、「揺蕩う」という言葉がもつ意味と語感、そして「夜空」のイメージに惹きつけられて『揺蕩う夜空』に決まりました。素敵な曲名を考えてくれた学生諸君に感謝します。

この曲名を考えてくれたKさんのコメントを紹介しましょう。


[曲名案]『揺蕩う夜空』

[考案した曲名に関するコメント]
ゆったりとした雰囲気と垣間見える力強さが雄大な宇宙の片鱗を思わせる夜空をただ眺めているときのように感じ、細かな高音が星の瞬きを思わせたから。少し哀愁を感じるところも、人が亡くなった時などお星さまになったと表現されることもあるから夜空が合うと思った。地球が回り続けるように、止まらない時の流れを表したくて「揺蕩う」とつけた。



今回は、「月」「帰り道」「雨」「夜明け」「冬」「別れ」「夕暮れ」「森」…などの語句を含むものやイメージをもつ曲名案が多かったです。曲を聴いた皆さんはどのようなイメージをもちましたか?

2023年度前期に開講の「音楽入門」でも作曲する予定です。完成しましたら、このブログでご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに!

<関連ブログ記事>
2020年度「音楽創作論」制作曲:『Next Step』
2021年度「音楽入門」制作曲:『Sunny Day』

2021年度「音楽創作論」制作曲:『雪月夜』
2022年度「音楽入門」制作曲:『LUMINOUS』


(メディア学部 伊藤謙一郎)

「音楽創作論」での作曲(その3):そのほかのメロディの作成と楽曲構成について

2023年1月25日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です

本シリーズ3回目となる今回は、曲作りにあたってサビ以外のメロディの作成と、全体の楽曲構成についてお話ししましょう。

TさんとMさんが考案した部分動機を組み合わせて動機を作り、それをもとにサビのメロディを考えることにしたというのが前回のお話でした。

では、曲の始まりからサビまではどのように作れば良いでしょうか? もちろん、出だしにサビが置かれる曲もありますが、そうしたものでも、そのあとに再びサビが現れるのが一般的です。サビまでのプロセスをどのように作るかによってサビの聴こえ方が変わってきますし、楽曲全体の印象にも大きく影響してきます。

比較的よく見られるのは【Aメロ−Bメロ−サビ】の構成です。私はこの構成を「ホップ−ステップ−ジャンプ型」などと呼んでいるのですが、サビ(ジャンプ)をより魅力的に聴かせるために、その前の準備段階(ホップ−ステップ)が重要になってきます。サビが引き立つよう、何らかの形でサビとは音楽的な対比(コントラスト)をもつメロディが望ましいです。

さて、前置きが長くなりましたが、そろそろ今回の作曲の話に入りましょう。

当初、これらサビ以外のメロディは独自に作るつもりでした。いろいろ試行錯誤する中で、Tさんの部分動機につながる第2の部分動機としては選ばれなかったものの、Mさんに次いで4票を得たI君とT君の部分動機を活用することを思いつきました。

最終的に、I君の部分動機(②B)はイントロに、T君の部分動機はAメロ(②C)に、そして私が独自に作った部分動機(③)はBメロに使うことにしました。

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楽譜を見ながら音を聴いていただくと、それぞれのフレーズの音型やリズムに違いがあることがおわかりいただけるかと思います。

最終的に全体の構成は次のような形になりました。

 イントロ➡︎ Aメロ①➡︎ Bメロ➡︎ サビ①➡︎ サビ②(※前半部分はサビ①の繰り返し)
 ➡︎ Aメロ②➡︎ エンディング(※Bメロサビのフレーズ)


ちなみに、Aメロ②はAメロ①とは異なる「カノン進行」と呼ばれるコード進行を用いています。授業ではカノン進行が用いられている曲を何曲か紹介したので、学生諸君に説明した内容を作曲に盛り込んでみました。

さあ、果たしてどのような曲に仕上がったのでしょうか? いよいよこのシリーズの最終回となる次回(第4回)は、私のピアノ演奏でこの曲をお聴きいただきましょう。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

「音楽創作論」での作曲(その2):動機の作成

2023年1月24日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

前回からの続きで、「音楽創作論」での作曲に関する第2回のお話です。

Tさんが作成した部分動機に対して、a´(若干変化あり)となる第2の部分動機を100名の学生諸君が作ってくれました。その中から97名による投票で最多の5票を得たMさんの部分動機が選ばれました。その部分動機は次のようなものです。

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Mさんの部分動機を選んだ学生たちのコメントを紹介しましょう。

a(第1小節の部分動機)の高音を使わず盛り上げるというイメージを維持したまま、音の動きを変えてリズム感を作っていたのが良いと思ったから。
aの落ち着いた部分動機から、急にテンポや音の高さが大きく変わったりせず、リズムを感じたため、aに合うと思った。
元の部分動機のイメージを崩さないまま、盛り上がりが生まれておりとても面白いなと思ったため。
4拍目にシンプルに変化が付いていて良いと思ったから。
部分動機と変化もありつつアピールポイントの盛り上がりを失わないようにというものもあってよい印象だったから。


これによって、Tさんが考案した部分動機(①)とMさんが考案した部分動機(②A)を組み合わせた次のような動機が出来上がりました。最も得票数の多かった動機ですので、この動機はサビのメロディに使うことを作曲前から決めていました。

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さて、サビの核となるフレーズは固まりましたが、続く第3〜4小節の第2動機も考える必要があります。つまり、第1動機を【A】とした場合、部分動機の組み合わせと同様、動機を【A+A】【A+A´】【A+B】のどの組み合わせにするかということです(※これによって4小節から成る「小楽節」という単位でのフレーズが出来上がります)。


Mさんの部分動機を選んだ5名の希望を見てみると、【A+A´】が3名、【A+B】が2名でした。これを受けて【A+A´】の動機の組み合わせによる小楽節の作成に取りかかりました。実際にどのようなフレーズになったかは、(その4)での私のピアノ実演でぜひお聴きください。

ところで、ある程度の長さを持ちつつ、まとまりのある曲にするにはサビ以外のメロディも考えなければなりませんね。

これについては次回(その3)のブログでご紹介します。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

「音楽創作論」での作曲(その1):部分動機の作成

2023年1月23日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

私が担当している授業「音楽創作論」で毎年恒例になっている作曲のご紹介です。
(完成した曲を先にお聴きになりたい方は、第4回の記事からご視聴ください)

今年度は「ド」を開始音とする部分動機の作成を授業での課題にしました。

112名の学生からさまざまなフレーズが寄せられ、履修生が互いの楽譜を確認し合いました。その後、74名による投票の結果、最多の4票を獲得したTさんの部分動機が選ばれました。Tさんが作成した部分動機を紹介しましょう。

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Tさんの部分動機を選んだ学生たちのコメントです。

動機を形成するうちの最初の部分動機ということで落ち着きがあるものを作成してしっくりきたため選びました。音高の跳躍が少ない、低音で固めてある、ドミソの和音であるという点で安定感や安心感の演出があり、盛り上がる動機の前に最適だと思いました。また、王道の安定感の中に付点四分音符が入ることで小さい変化を生み出す工夫にも魅力を感じました。この後に音が跳躍して、細かい音符の多い部分動機を繋げコントラストを演出したいなと思いました。
作者のコメントにもあるような盛り上がる前の静かなイメージが表現されており、弾いてみた瞬間にこの部分動機に続く、次の部分動機が想像できたから。
ゆっくりとしたメロディや、既定のドより低い音を使うなど、自分が作ったものとは雰囲気が違った部分動機であり、続きが気になったから。
シンプルな音符で、次に繋がる部分動機が考えやすいと感じたから。またコメントの盛り上がる前の静かな音をイメージして作られていて、次に繋がる部分動機は高音を使って跳躍させて、明るい雰囲気の曲になるのではないかとイメージできたから。


次の課題は、Tさんの部分動機に続く第2の部分動機の作成です。作成の方法は次の3通りです。

 ・Tさんと(ほぼ)同じ部分動機を作る【a】
 ・若干変化させた部分動機を作る【a´】
 ・全く異なる特徴をもつ部分動機を作る【b】

授業でアンケートをとったところ、以下のように6割以上の学生が【a´】を選びました。


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この課題には100名の学生が取り組みました。その結果、選ばれた第2の部分動機については次回(その2)のブログでご紹介しましょう。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

肖像画の側に描かれているものは?

2023年1月22日 (日) 投稿者: メディア社会コース

私が西洋の肖像画の見方を教わったのは、私の分野では大研究者である教授でした。アメリカのカリフォルニア州パサディナはカリフォルニア工科大学もあり、ビッグバンセオリーという有名なテレビ番組の舞台となったところです。そこにはとても有名な美術館があります。

そこで、西洋の絵画、特に肖像画のセクションがありました。美術の教科書にあるものならともかく、どうゆっくり楽しんだら良いんだろうという戸惑っていた私に教授は、肖像画の側にはその人を象徴するものが描かれていること、それはお金(裕福な人)、武勇にたけていることなどがわかってきました。それから私は美術館で肖像画をみることが楽しみになりました。中野京子さんの『怖い絵』も絵画の見方をドラマティックに教えてくれる良い本です。しばらく会っていない教授に感謝しながら、本を読み美術館に出かけることは私の楽しみの一つです。

卒業研究の紹介

2023年1月21日 (土) 投稿者: メディア社会コース

卒業研究の幅は広く、ペンタブでの線描を教えること(こちらも学生さんが熱心に取り組んでいて読んでいても大変面白い卒業論文となっています)などもあります。あいにく、私が線描ができないので、かいつまんで紹介することができないことがとても残念です。

また、カメラを構える人と被写体との研究もあります。この研究も大変な力作で、話していてはっとする発見もありました。もしも卒業論文の発表会などを見ることができる場合はご覧ください。

そして、カードゲームのルールを説明するときの説明をされているプレイヤーの研究もしています。説明をされるにつれてどのようにカードを動かすかということはとても面白いです。

学生さんの身近な関心から素晴らしい研究が生まれます。今後も学生さんの関心から生まれる研究を楽しみにしています。

                                             山崎 晶子

卒業研究の紹介

2023年1月20日 (金) 投稿者: メディア社会コース

今年度の卒業研究は様々なテーマを扱っています。昨日紹介した会ったことの人々のコミュニティもその一つです。他にも様々なテーマを扱っていて、料理もその一つです。料理のレシピをどのように参照して調理を進めるかは、私の卒業研究をしてきた学生さんの関心事の一つです。任天堂の料理ソフト、紙のレシピ、タブレットのレシピ、白板に書き出すレシピと様々なレシピを扱ってきました。

 その研究をしてわかったことの一つは、実はレシピも大事なのですが、一緒に調理する相手と調理の行程が間違えていないか確認しあうことが共同で調理をするのには大事だということでした。これは、初心者同士で実験をしてきたのですが、熟練した方とお料理をしていても同じことがありそうです。人間同士の共同作業には、行程と区切りが重要なのだということがわかってきました。

会ったことがない人同士のコミュニティ

2023年1月19日 (木) 投稿者: メディア社会コース

月曜日にメディア・コンバージェンスのご紹介をしましたが、その概念を作った研究者の本を読むと、「ほとんど顔を合わせない日本人の恋人同士」のことを驚きをもって綴っています。日本人だけではなく多くの人々が、電話を介して初めて会う男女の危険性やtwitterなどを通じて会うことへの危惧を述べてきたような気がします。

しかし、今年の私の卒業論文では、ファイナルファンタジーXIVとDiscordを通して顔を合わせたことがなけれども、いつも話している自分に欠かせない人たちの研究をしています。この会ったことがない人同士のコミュニティの研究こそが、21世紀のメディアの発達が生み出したことなのだと思います。



                                           山崎晶子

ウクライナ

2023年1月18日 (水) 投稿者: メディア社会コース

昨日お話しした米原万里さんは、愛猫家でした。また、ロシア語通訳として原子力関係のことを通訳する必要が多かったようです。

そこで、米原さんは二匹の子猫を拾うのですが、会議の前にもしもその猫たちがうち捨てられてしまえば、猫が凍え死ぬという

心配したのは、ロシアとウクライナの原子力の関係者たちでした。二人ともとても親しそうに猫と戯れる情景が書いてあります。

現在のウクライナとロシアの状況は、この二人、特にウクライナの方が存命でいらっしゃるのかがとても心配になります。

2023年にはこのような心乱れることがない世の中になるといいなと願っています。

貞淑な美女?

2023年1月17日 (火) 投稿者: メディア社会コース

『不実な美女か貞淑な醜女か』は、1994年に今はなき米原万里というロシア語通訳者だった方が書いた本のタイトルです

 国際的な事件があったりニュースがあったりすると同時通訳が翻訳することがあります。素晴らしい通訳をされることがほとんどですが、私たちが聞いていてもどうしてこんなに日本語としてギクシャクした表現になるのだろうかと思うことがあります。

一流の通訳者だった米原さんはその問題を「日本語としてわかりやすいけれども原文とずれてしまった不実な美女」と「ちょっとぎこちないけれど原文に沿っている貞淑な醜女」として書いたわけです。

これは大学入試でも同じことがあると思います。もっと日本語らしく書きたい、でもこの英語などの外国語はきちんと読むとそうは訳せない、このことは外国語の日本語訳に関わる人たちがずっと長く悩み事となっていることなのです。

悩んでいるのは私も同じです。最高に素晴らしい英語の表現も訳してしまうと普通の日本語になってしまうのです。努力を重ねてできれば「貞淑な美女」となる翻訳や通訳をしたいものです。

                                          山崎晶子

                                                 

 

メディア・コンバージェンス

2023年1月16日 (月) 投稿者: メディア社会コース

メディア・コンバージェンスあるいはメディアコンバージェンスという言葉をご存じでしょうか?言葉自体は2000年代に流行した言葉ですので、ご存じない方が多いと思いますが、技術の進歩と社会の趨勢に関する研究から出てきた概念で、メディアの収斂(しゅうれん)=コンバージェンスという意味になります。

まだわかりづらいと思いますが、2022年の年末サッカーワールドカップをインターネット放送で見た方も多いと思います。もちろん、地上波のテレビ局の放映をごらんになった方もいらっしゃると思います。しかし、スマートフォンやタブレット、PCという端末が情報通信技術(ネットワークなど)を経て、サッカーワールドカップというコンテンツを見ることに可能にするわけです。それには、社会の趨勢やマーケティングなどが深く関わっています。

メディア学部は、2000年代にこれから達成されていると思われたメディアコンバージェンスのような未来をコンテンツ、技術、社会の3コースで探求し、新たな時代を作り続ける人々を輩出しています。

学生海外体験シリーズ:タイ、シラパコーン大学編 #5

2023年1月15日 (日) 投稿者: メディア技術コース

タイの大学提供のワークショップへ現地参加した報告の第5弾です。今回で林田さんの体験レポートは最終回です。ワークショップに参加しての雑感をいろいろ書いてくれています。

 

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マンゴースティッキーライス

タイで一番おいしかった食べ物「マンゴースティッキーライス」を紹介しようと思います。

マンゴー&もち米に甘いココナッツソースをかけて食べます。日本では決して出会うことのない種類の食べ物だと思います。私自身もフルーツとお米を一緒に食べることに抵抗があったのですが、おいしすぎて4回食べました。一番好きなタイフードです。

この記事を見て食べたいと思った人のために、注文の方法を教えておきます。「マンゴースティッキーライス」はタイ語で”カオニャオマムワン(Khao Niew Ma-muang)”と言います。「ください」は“コー(khoo)”なので、”コー カオニャオマムワン”という呪文だけ覚えていけばオッケーです。屋台だと50バーツ(約190円)で売っています。

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   これがマンゴースティッキーライス

 

覚えた言葉

渡航前のタイ語の授業で多くの単語を習いました。(※ このワークショップの一貫として、現地渡航前にZoomによるオンライン授業としてタイ語の紹介などがありました)しかし私にとっては発音が難しく、実際に使えるようになった言葉はほんの少しですが紹介します。

まずは「こんにちは」から、”Sawadee Krap/ Kha(サワディーカップ/サワディーカ)”です。通常は手を合わせながら挨拶をします。ちなみに、タイでは話し手の性別で語尾が変わります。男性なら”krap”、女性なら”kha”を付けます。これらの語尾は返事としても使えます。それから「ありがとう」は”Khob Khun Krap/ Kha(コップンカップ/コップンカ)”。「どういたしまして」は”Mai Pen Rai(マイペンライ)”です。

辛い食べ物が嫌いな私は”Khoo Mai Phed(コーマイペッド)“「辛くしないでください」という言葉を多用していました。また、おいしかった時は”Aroi Mak(アロイマ)”「めっちゃ美味い」を連発です。

 

私の英語力

参考程度に私のことについて少し書いておきます。私は海外での留学経験はなく、海外旅行自体は学校の行事でいったことがある程度です。一方で英語の勉強は継続的にしていました。スピーキング能力に関しては、大学内などで日常的に英語を話す機会を見つけて習得していました。具体的には、プロジェクト演習「英語でワークショップ」やALICE、English Campusなどを活用しました。

出国当時の私の英語の能力はTOIEC 760点(L 400, R360)(2022/6/30), IELTS 5.5 (2021), 英検準二級(2019/12)です。

個人的な意見ですが、海外に行ったところで突然英語を喋れるようにはなりません。事前に日本で習得した自分の語彙力を、海外で試す感覚です。

たくさんの勉強法がありますが、私が特に英会話力が向上したと思う勉強法は「シャドーイング」です。ネイティブスピーカーが話している映像に合わせて、自分も同じように話す方法です。動画は適当に見やすいものをYouTubeから見つけて、何度も覚えるまで繰り返します。最初は当たり前に難しいです。しかし、ネイティブスピーカーの速さまで追いつくようになると成長実感し始めると思うので、ごちゃごちゃ考えずにやってみてください。話せるようになると、不思議とリスニング能力も上がります。

 

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ということで、ここまで全5回分に渡って、海外大学で行われた短期ワークショップへの参加について報告してもらいました。短い期間ですが、他の国の学生と積極的に関わって交流を持った様子がわかります。また、現地の色々な場所に出歩いたり買い物をしたりと、その場に行かないとできない経験が多くあったと思います。コロナの影響でこのような体験ができるのも久しぶりのことでした。これまで、当大学には海外大学から学生が来て学ぶことは多くありましたが、今回のようにこちらの学生が海外へ行くことがこれまであまり多くありませんでした。今回の林田さんの参加はそういう意味で嬉しいことでした。ちなみに私もマンゴースティッキーライスは大好きで、タイに行くたびに食べています。行く機会のある人は是非お試しを…

ところで、こうした体験への参加にはある程度の語学力はもちろん必要ですが、できるだけの準備をしたらとりあえず行ってしまうのがいいのではないでしょうか。完璧になったら行ってみよう、なんて考えていたら結局いつまでたっても行けないでしょうからね。また、こうした経験は学生のころでないと、就職してからではなかなか機会が無いのではないかと思います。今後もチャレンジする学生が続くことを期待したいです。

語学の勉強について最後に書いてくれていましたが、国内に居ても英会話を習得する手段はいろいろあります。特に今ではインターネット経由でいろいろな素材がありますし、本学部でも海外大学との交流を図る機会を設けています。ただ、直前の「勉強」ではなく、日常的に英語と接することが重要だと思います。ここまで私が学生たちを観察してきた経験では、英語で海外の人と話すためには英語力よりも相手と「会話をする」ことを意識することが重要ではないでしょうか。話すべき話題を持っていたり相手が話してきた話題について反応できること、そして何より相手とその国や文化に対して興味を持つことが大切だと思います。英語の文法や語彙について心配する人が多いですが、会話をすることへの意識を高められるといいでしょう。そうでなければ日本語を話せる海外の人と日本語で会話することも難しいでしょう。海外の人と話す必要なんか無いと考える人もいるかもしれませんが、必要かどうかではなく、それが自身の可能性を拡げることに通じるのだと考えてみてはいかがでしょうか。高校生の方は、大学に来ればこのような機会もあるのだと思って、是非挑戦しに入学してくれると嬉しいです。

 

授業内容の紹介などは、以前の2つの記事を御覧ください。

 

学生海外体験シリーズ:タイ、シラパコーン大学編 #1

http://blog.media.teu.ac.jp/2022/12/post-3d06bf.html

 

学生海外体験シリーズ:タイ、シラパコーン大学編 #2

http://blog.media.teu.ac.jp/2022/12/post-c3c1b2.html

 

 

林田明香里&太田高志

 

学生海外体験シリーズ:タイ、シラパコーン大学編 #4

2023年1月14日 (土) 投稿者: メディア技術コース

タイの大学提供のワークショップへ現地参加した報告の第4弾です。今回はナイトパーティーだそうですよ。皆、お酒も大丈夫のようですね。楽しそう…

 

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ナイトパーティー

プロジェクト期間はほぼ毎晩パーティーが行われていました。各自近所で好きなものを買って持ち寄って、だらだら話したり、お酒を飲んだりして夜を過ごします。とある夜は、タイの学生から誘われてホテルのバルコニーで雑談。韓国の学生も集まりました。

お互いに言語を教え合ったり、文化の違いを発見したり、好きな曲を共有したり。興味深かった話の一つが、それぞれの名前の由来についてです。タイの学生はプーやハニなど欧米っぽい可愛い名前ばかりだったのですが、実は本名ではありません。タイでは、出生時に本名とは別にニックネームを付けるそうです。由来は映画の主人公や語呂の良さなど、親によって様々です。日常生活では主にニックネームを使用するそうです。

一方で韓国の名前の付け方の一つには、画数によって運勢を占って決定する方法があり、日本と似ています。また、苗字に関しては日本でいう「佐藤さん」のように多く存在する苗字が、ほとんどの国にもあります。韓国では「パク」「キム」が最多、プロジェクト内のベトナムの学生のほとんどはNyugenさんでした。韓国もベトナムもこれまでの歴史や王朝がその苗字の多さに起因しているそうです。

 

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         ナイトパーティーの様子

 

夜食

ナイトパーティでつまんだ夜食やおつまみについて紹介します。まず紹介する夜のおやつはロティ(Rotir)というパリパリのクレープです。近所の屋台で売っていて、およそ30Baht(約120円)。練乳と砂糖がお店の人のさじ加減で存分にかけられます。食べ過ぎ厳禁の背徳感満載スイーツです。

それから、ミヤンカム(Miang Kham)という屋台飯です。新鮮な葉っぱに具材と甘めのタレを包み一口で食べます。ミヤンは「葉に包む」、カムは「ひとくち」という意味です。包む具材やタレの味は屋台によってまちまちで、この日は紫玉ねぎ、干しエビ、カシューナッツ、唐辛子etc.お酒とつまみながら食べたのですが、手が止まりませんでした。

 

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ロティ。ほろ酔いはタイでも有名

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ミヤンカム。ヘルシーなのでカロリーゼロです

 

お酒

ナイトパーティではたくさんのお酒を試しました。

まずはタイブランドのビールです。毎晩タイビールは必ず買っていました。現地の先生オススメはChangとLEOだったのですが、個人的にはSINGHAが飲みやすかったです。

それからリキュールも飲んでみました。Hong Thong(ホン・トーン)という種類のものです。厳密には原料が違うためリキュールではないらしいのですが。ちょっと甘めで、お酒感が強かったため一口しか飲みませんでしたが、お父さん方が好きそうな味です。タイの学生オリジナルカクテルもお気に入りです。タイではヨーグルトドリンクがよく飲まれているため、ヨーグルトドリンクにソジュ(=チャミスル、韓国語で焼酎の意味)を入れ、ライムを絞って作ります。

 

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   上段右からChang, SINGHA, LEO

 

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     ベトナムの生徒とホン・トーン        タイで人気のヨーグルトドリンク 

 

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毎晩パーティーってすごいですね…。さすがに皆若いなあ。でも、パーティーだと盛り上がって色々なことについて話しやすくなるでしょうからいいですよね。酔うとさらに英語も話しやすくなるかも?タイの学生のオリジナルカクテルは試してみたいですね。

 

授業内容の紹介などは、以前の2つの記事をどうぞ。

 

学生海外体験シリーズ:タイ、シラパコーン大学編 #1

http://blog.media.teu.ac.jp/2022/12/post-3d06bf.html

 

学生海外体験シリーズ:タイ、シラパコーン大学編 #2

http://blog.media.teu.ac.jp/2022/12/post-c3c1b2.html

 

 

林田明香里&太田高志

学生海外体験シリーズ:タイ、シラパコーン大学編 #3

2023年1月13日 (金) 投稿者: メディア技術コース

本学部学生の海外ワークショップ体験、第三弾です。第一弾、二弾で授業の全体的な紹介がありましたが、そのなかでも言及があったフィールドワークについてのレポートです。

 

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フィールドワーク1(Nakhon Pathom編)

スケジュールの前半は大学のキャンパスが位置するナコンパソムという地域に滞在しました。

プラパトムチェディという巨大な仏塔に訪れました。黄金の釣り鐘型の仏塔がライトアップされていて、とても幻想的な景観です。

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   プラパトムチェディ周辺のナイトマーケット 

 

まずはナイトマーケットで夕食を。屋台のメニューはほぼタイ語であるため、写真を見て何を売っているか判断するしかありません。現地の先生Piakが「マンゴースティッキーライスのおいしいお店に連れてっちゃる」とのことで、素直に付いて行き、購入。友達はタイヌードルとホイトート(タイのお好み焼き)、カオマンガイを購入。シェアしながら食べました。どれも美味しいです。

仏塔に入ると、猫ちゃんがお出迎えしてくれました。タイの猫ちゃんはとても小さく、愛嬌のいい美人さんばかりでした。この仏塔は特に猫が多かったのですが、実はタイは野良猫がたくさんいます。猫派の私には最高の場所でした。 

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フィールドワーク2(Amphawa Floating Market編)

タイといえば水上マーケットです。アンパワーという都市を訪れたときは、1日中水上マーケットを散策しました。昼は屋台が開き、アクセサリーやスムージー、甘いお菓子やフルーツが所狭しと並んでいます。

夜は電動ボートに乗って蛍を見に行きました。

水上マーケット上の住居はあまり電気が通っていないため、爆速で川を下っていく途中はとても真っ暗です。蛍は15分くらい川を下った付近の茂みに生息し、数えきれないほどいました。丁度クリスマスの時期だったため、”All I Want For Christmas is You”や“We Wish You a Merry Christmas”を大合唱しながら川下り。くったくたに疲れたけれど、良い思い出です。

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                      水上マーケットの昼と夜

 

フィールドワーク3(Bangkok市内編)

プログラム最終日はバンコクでフィールドワーク。

昼は2つの寺院、ワットアルンとワットポーを訪れました。この二つの寺院はチャオプラヤ川をはさんでいるため、水上バスで対岸へ移動して回りました。多くの仏像が祭られていたのですが、ワットポーには巨大な黄金の仏像が寝そべった格好で祭られています。この仏像のポーズについて友達と話していると、仏像のポーズが国ごとに違うことに気付きました。日本は中指を少し曲げて片手をあげていますが、ほかの国では手を上げなかったり、人差し指を立てていたり多種多様です。

寺院内には聖堂もたくさんあり自由に入って参拝できます。タイの学生が僧侶にお祓いを頼んでいたため、一緒に体験してみました。聖水をかけてお祓いした後、サーイシンという紐を手首に巻いてくれます。紐の色は寺院によって違うため、寺院巡りをして手首にたくさんつけている人もいます。サーイシンは守護の役割を持ったお守りで、厄除けとして自然に切れるまで手首に巻いておきます。日本のミサンガとは真逆の役割です。(※ ポルトガル?ブラジル? by 太田)

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      ワットアルンから見たチャオプラヤ川

 

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   ワットポーの黄金の巨大仏像

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ということで、今回はフィールドワークで訪れた場所の紹介をしてくれました。ワークショップ全体は1週間で、現地で過ごすのは4,5日ほどだったと思いますが、随分いろいろ体験できたようですね。これらは授業の一貫として訪れたようですが、海外での経験では現地の生活や文化に触れることが貴重な体験ですから、このような内容が含まれていてすごく良かったと思います。せっかく海外に行って、ずっと大学の教室内にいるんじゃもったいないですからね。

ちなみにタイの猫というとシャム猫とかタイ猫が有名ですが、今回の写真の猫は「タイの」猫、のようですね。かわいいポーズだ…

 

授業内容の紹介などは、以前の2つの記事を御覧ください。

 

学生海外体験シリーズ:タイ、シラパコーン大学編 #1

http://blog.media.teu.ac.jp/2022/12/post-3d06bf.html

 

学生海外体験シリーズ:タイ、シラパコーン大学編 #2

http://blog.media.teu.ac.jp/2022/12/post-c3c1b2.html

 

 

林田明香里&太田高志

 

クイズ回答編:感想コメントから元本を類推するPART2

2023年1月12日 (木) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

今、大学1年生のフレッシャーズゼミの取り組みとして、最も読みたくなる本を紹介した人を選出するビブリオバトルというワーク実施しました。千種のクラスでは、14人のクラスメンバーを3~4人の4つの小グループに分けて、第1週目は選書とランダムに分けた小グループでの紹介、第2週目は前回とは異なる小グループでの紹介、第3週目は前回および前々回とも異なる小グループでの紹介と小グループ代表の選出+代表選によりクラス内で1名選出、を実施しました。

最初のグループのワードクラウドには「破る」「結末」「卵焼き」とかありました。正解は「461個のお弁当」著者:丸山智、でした。アマゾンに掲載されている書評によると以下のようになっています。なんとなくわかりますね。
「パパの弁当がいい」という息子のひと言から始まったシングルファーザーのお弁当ライフ。「高校3年間、毎日お弁当をつくる!」ことを掲げ、二日酔いの朝も早出の朝も……弁当慣れしない父が作った弁当はなんと461個!
「今日のおかずは最高だった!」
「空豆はにおいがきついから二度と入れないで」
3年間のお弁当を通した父と息子の交流が涙と笑いを誘います。
地方ライブに出れば、その土地のお惣菜を探し、居酒屋では味を盗み、息子のダイエット弁当に知恵を絞る……。旬の食材を使った手作りの弁当には息子に伝えたい想いがぎっしり。
秘伝の調味料、特製おかずのレシピなど、渡辺家の弁当作りの極意も満載!


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2番目のグループのワードクラウドには「ミステリー小説」「執事」「お嬢様」とかあります。正解は「謎解きはディナーのあとで」著者:東川篤哉、でした。同じく、アマゾンに掲載されている書評によると以下のようになっています。なんとなくわかりますね。

執事探偵×令嬢刑事のミステリ、新章始動!
本屋大賞第1位&ベストセラーシリーズの国民的ユーモアミステリ、待望の新章スタート!!
宝生麗子の後輩に天然キャラの新米刑事・若宮愛里が加わり、警視庁に栄転した風祭警部は大きなミスを犯して国立署に舞い戻り、新たなメンバーで難事件に挑むが――!?
富豪の家で“無人だった”はずの部屋から発見された長男の首吊り死体の謎。鍵のかかった土蔵で見つかった骨董好きの老人の遺体と血文字のダイイング・メッセージの謎。雑居ビルの裏で発見された墜落死体とそのポケットに入っていた血の付いたナイフの謎。シェアハウスで殺された看護師と5つの目覚まし時計の謎。アパートで殺害されたイケメン大学生と建設作業員が“煙草を吸っている間に”目撃したという怪しい男の謎。
執事探偵・影山の推理と毒舌が冴えわたる、本格ミステリ。

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3番目のグループのワードクラウドには「例題」「役に立つ」「考える」とかあります。正解は「考える練習帳」著者:細谷功、でした。同じく、アマゾンに掲載されている書評によると以下のようになっています。なんとなくわかりますね。

AIがあらゆる職場に浸透する日も遠くないかもしれません。
そんな時代に私たちに必要とされるのが「自分の頭で考える力」です。
本書は思考法の第一人者が、主に若い世代に向けて「自分の頭で考える」ための方法をさまざまな角度から解説します。
「無知の知」を知る、何事も疑う、考えるための練習問題等を通じて、あなたの思考回路が動きだします。
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4番目のグループのワードクラウドには「重ね合う」「きやすい」「芥川賞」とかあります。正解は「推し燃ゆ」著者:宇佐美りん、でした。芥川賞から想像ついた人もいたかもしれませんね。同じく、アマゾンに掲載されている書評によると以下のようになっています。なんとなくわかりますね。
【第164回芥川賞受賞作】
逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を“解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が第33回三島賞受賞。21歳、圧巻の第二作。

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そして、上述の4名による決戦のビブリオバトルを実施した時、同じく発表者以外からコメントをもらいました。その時のワードクラウドが以下のようになりました。4名の時の混在といった部分も見えています。
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そして4名によるビブリオバトルを実施したときの投票結果が以下のようになりました。他の人を抑えて、「考える練習帳」著者:細谷功をビブリオバトルで説明した瀬戸山さんが選ばれました。
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クイズ:感想コメントから元本を類推するPART1

2023年1月11日 (水) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

今、大学1年生のフレッシャーズゼミの取り組みとして、最も読みたくなる本を紹介した人を選出するビブリオバトルというワーク実施しました。千種のクラスでは、14人のクラスメンバーを3~4人の4つの小グループに分けて、第1週目は選書とランダムに分けた小グループでの紹介、第2週目は前回とは異なる小グループでの紹介、第3週目は前回および前々回とも異なる小グループでの紹介と小グループ代表の選出+代表選によりクラス内で1名選出、を実施しました。

3回とも選書した同じ書籍を異なるメンバーに紹介し、その発表あるいは説明に慣れてもらうことと、多くの人から意見をもらうことを実施しました。コメントに関しては本当は、口頭で実施した方がより良いのですが、時短と記録に残すという意味で、Google Classroomのコメント欄に記入してもらいました。

以下、4つの小グループには代表の4名の発表者がいて、その発表に対して残りのグループ全員の学生からコメントをもらいます。そのコメントをテキストマイニングしてワードクラウドに変換してみました。文字の大きさはそのコメント全文の中の特徴的な言葉です。色は品詞に対応しています。

最初のグループのワードクラウドには「破る」「結末」「卵焼き」とかありますね。どんな書籍でしょうか。
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2番目のグループのワードクラウドには「ミステリー小説」「執事」「お嬢様」とかありますね。どんな書籍でしょうか。

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3番目のグループのワードクラウドには「例題」「役に立つ」「卵焼き」とかありますね。どんな書籍でしょうか。

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4番目のグループのワードクラウドには「重ね合う」「きやすい」「芥川賞」とかありますね。どんな書籍でしょうか。

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ということで、答えは次回以降に提示したいと思います。

 

NICOGRAPH発表紹介: 声まねの特徴を見破れるか

2023年1月10日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

昨年秋のNICOGRAPHの発表を紹介するシリーズの最終回は、3年生の山崎祐奈さんの「機械学習を用いた声優の演技音声の特徴分析」です。

声を聞いて誰が話しているかを推定する技術は、世間では「声紋分析」と呼ばれることが多いですが、専門的には「話者識別」と呼ばれ、多くの研究が為されています。それに対して山崎さんが抱いた疑問は、「声優さんが異なるキャラクターを演じているとき、2つの声を『別の人の声』と言っていいのか?」というものでした。

聞いている人からすると、明らかに違うキャラクターの声なのですが、演じている人は一人ですから、使っている声帯も、声道(喉や口や鼻)の形も同じです。ではいったいどんなふうに違うキャラクターを演じているのか、それを声の特徴分析によって調べてみることにしました。

二人の声優さんがそれぞれいろんなキャラクターを演じている声のデータを集めてみました。その中には、同じキャラクターを二人の声優さんが演じているものもあります。それらを調べた結果、声優さんごとに、あるいはキャラクターごとに、時には声の音色そのもので違いを表現していたり、時にはイントネーションで違いを表現していたり、いろんなケースがあることが見えてきました。

今回は声優さん2名のデータでしたが、人数を増やしていけば、さらに面白い結果が見られるかもしれません。今後の研究にご期待ください。

NICOGRAPH発表紹介: ギターの弾き比べ

2023年1月 9日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

年末の記事で、NICOGRAPHでの発表を2件ほど紹介しましたが、実はもう2件発表がありました。今日と明日とで紹介しようと思います。

3年生の田中涼太さんは、「機械学習を用いた異なる演奏シチュエーションにおけるエレキギターの音色の分類と分析」というタイトルで発表しました。エレキギターの演奏に影響を与える要素は様々ですが、それらの違いを、機械学習を通じて明らかにしようという研究です。

使用するピックを変えるとか、新しい弦と古い弦の違いを調べるといったあたりは想定の範囲内でしたが、他にも、座って弾くか立って弾くかとか、弦の高さを変えるとか、ギターに鉄板を貼り付けるとか、いろんなバリエーションを試してみました。田中さん自身がギターを弾くので、ギタリストの間で経験的に知られているいろんな要素を試してみたという感じです。

何度もギターを弾いて音を録音して、それをもとに機械学習を行い、音だけから条件を推定できるかを試してみました。鉄板の有無だけは70%ぐらいしか当てられませんでしたが、それ以外の条件は90%以上の精度で正解を当てることができ、音の違いをきちんと分析できることがわかりました。また、興味深かったのは、それぞれの条件により、音のどういう特徴に着目すべきかが異なっていたことです。例えば、弦の高さによる違いは、音の調和成分の強さとの関係が強く、弦が筐体に邪魔されずにしっかり振動しているかどうかに影響しているのではないかと推測することができます。

機械学習やAIを使った研究は、「精度が高い」というところに注目が集まりがちですが、どのように推定しているかの解釈の部分にも、いろいろ面白いことがありますね。

第7回シナリオ執筆に役立つ小理論

2023年1月 8日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆に役立つ理論」と題し、知っておくとシナリオの内容が良くなる知識やポイントを簡潔に紹介していこうと思います。

今回は3つ目の「プロット」についてです。

「段階的シナリオ制作その3『L(ロング)プロット』」。

『S(ショート)プロット』は60文字で書くプロット、
『M(ミディアム)プロット』は200文字で書くプロットでしたが、
『L(ロング)プロット』は1600文字以内で書くプロットです。

一気に文字数が増えて、400字詰め原稿用紙なら4枚程度の文字数となり、
小中学校の読書感想文クラスの分量になるわけですが、
それもそのはず、この『L(ロング)プロット』は、
1作品の主要な内容はほぼ書き切るつもりで作成するプロットです。

これまで同様「バックトゥザフューチャー」を例に挙げるなら次のような内容になります

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Lプロット(1326文字)

高校生のマーティは、上司に逆らえない気弱な父と酒に溺れる母や覇気のない兄姉のいるマクフライ家に生まれた末っ子で、学校では教師に一族全員落ちこぼれ呼ばわりされ、趣味のバンド活動もうまくいかず、自分に自信を失いかけていた

マーティは友人で変わり者の老人発明家ドクに依頼され、ドクの発明したというタイムマシンの実験を手伝うことになった

マーティは半信半疑のまま、助手としてドクのタイムマシン実験を撮影していたが、ドクに恨みを抱くリビア人テロリストに襲撃される。ドクは銃撃により倒れたが、マーティはタイムマシンを起動させ、その場を脱出。身を持ってタイムマシンの存在を信じることになった

マーティがたどり着いたのは、なんと自身がいた時代から30年前の世界だった。そこはマーティが生まれる前の時代であり、頼れる人もおらず、タイムマシンの故障したマーティは途方に暮れる

困り果てたマーティだったが、偶然出会った若かりし頃の父・ジョージを助けたことによって、同じく若かりし頃の母・ロレーンとも出会う。マーティはロレーンの家で、この時代のドクの住所を知ることができた

マーティはドクの家を訪れ、事情を話すとドクはマーティの話を信じ、マーティが元の時代に戻れるよう協力してくれることになった

現代に戻るためタイムマシンを再び使うには、巨大なエネルギーが必要になる、と気付いたマーティとドクは作戦を考える。それは数日後に起きる落雷を活用する方法だった

マーティは自身が持っていた写真から兄の姿が消えかかっていることに気づく。マーティは将来結婚する両親、ジョージとロレーンが出会って恋に落ちるきっかけをつぶしていたため、彼らの子供であるマーティ達が生まれなくなる可能性を生じさせていた。マーティは二人を結び付けたうえで帰還する必要があった

マーティは何とかジョージとロレーンの仲を取り持とうとするがうまくいかず、かえってロレーンに惚れ込まれたマーティは、ロレーンからダンスパーティのパートナーにまで指名され、いよいよその身体は力を失い、薄れ始めていく

マーティはパーティ当日、ロレーンのピンチにジョージが助けに現れて気を引く計画を立てていた。その計画はトラブルによりマーティが支援できなかったにも関わらず、ジョージが奮起してロレーンの窮地を救うことに成功する。ロレーンの気持ちは一気にジョージに傾いて二人は結ばれ、失われかけていたマーティの身体は力を取り戻す

落雷の時間が迫ってきた。大嵐によってエネルギー供給ケーブルが外れそうになったが、ドクが必死につなぎとめ、マーティはタイムマシンの起動に成功し、現代へ飛んだ

マーティは、かつて自分がタイムスリップする数分前の世界に戻り、テロリストからドクを守ろうとしたが、間に合わず、ドクは銃弾に倒れた。悲しむマーティだったが、ドクはむっくり起き上がる。実は過去の世界でマーティが残した襲撃予言のメモをドクは保管しており、対策済みだった

マーティが帰宅すると、家族には劇的な変化が起きていた。過去の世界で自信をつけた父ジョージは大きく出世しており、母もしっかりしていて美しく、兄も姉もやる気に満ち満ちていた。マーティは苦労が報われたことを喜び、自信を取り戻した

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これだけの文章だと、かなりの情報量だとおもいます。これだけでも読むのは一苦労でしょう。

何度も繰り返しになりますが、シナリオを書く人はこういった壮大な構想をいきなり話したり、文章で読ませようとしがちですが、聞かされる側、読まされる側は、聞くだけでも、読むだけでも大変なことなのに、制作スタッフならばその内容を理解して、さらには面白いかどうかを判断せねばなりません。

自分が自分のためにシナリオを書くなら気にしなくても構いませんが、誰かと一緒に作品を作る場合はプロットを、Sプロット、Mプロット、Lプロットの長さに分け、段階的に作成して共有すると、スムーズに作品制作がすすむことでしょう。

第6回シナリオ執筆に役立つ小理論

2023年1月 7日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆に役立つ理論」と題し、知っておくとシナリオの内容が良くなる知識やポイントを簡潔に紹介していこうと思います。

今回は2つ目の「プロット」についてです。

「段階的シナリオ制作その2『M(ミディアム)プロット』」。

『Sプロット』は60文字前後で書くプロットでしたが、
『M(ミディアム)プロット』は文字数が増えて200文字で書くプロットになります。

60文字では具体的な内容が記述できませんが、200文字なら「特徴」は記述できるでしょう。
全開同様映画「バックトゥザフューチャー」を例に挙げるなら次のような内容になります。

『タイムマシンの暴走によって、過去に飛ばされたマーティは
元いた時代に戻ろうとするがタイムマシンはエネルギー不足だったため、
後にタイムマシン開発者となる博士や、若かりし頃の両親の協力を得て、帰還のチャンスを伺い、
落雷による超エネルギーを獲得して、無事現代に戻った』(129文字)

比較のために前回のSプロットも載せます。

『過去に飛ばされた主人公が
協力者を得て、元いた時代に戻るための条件と問題を解決し
現代に帰還を果たす話』(51文字)

Sプロットではよくわからなかった「過去に飛ばされる」とは
Mプロットでは「タイムマシンの暴走」が原因だとわかります。

Sプロットでは「現代に戻る」という結末しかわかりませんが
Mプロットでは「落雷による超エネルギーを獲得」したことで、それを可能にしたとわかります。

Sプロットで「要するにどんなストーリーなのか」を把握した人たち向けに「作品の具体的な特徴」を知ってもらうためにつくるプロットがMプロットです。

前回の繰り返しになりますが、シナリオを書く人は壮大な構想を持つがゆえに、自分の構想を思いつくままに話してしまいがちです。

しかし、いきなり壮大な構想を話されても、聞く人はすぐに内容を理解できないものです。Sプロットでおおまかな内容を伝えて、Mプロットで特徴をかいつまんで伝える、という段階を踏んだ説明が重要なのです。

第5回シナリオ執筆に役立つ小理論

2023年1月 6日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆に役立つ理論」と題し、知っておくとシナリオの内容が良くなる知識やポイントを簡潔に紹介していこうと思います。

今回から3回にわけて「プロット」について取り上げてみます。

「プロット」は、シナリオを執筆する前にされる、シナリオより短い文章です。

「あらすじ」「シノプシス」「梗概」などと呼ばれることもありますが、おおむねシナリオを執筆する前のたたき台として作成され、作品を一緒につくるスタッフと内容を共有するためのものとして認識されています。

東京工科大学メディア学部ではこの「プロット」を段階的に作成、文字数を徐々に増やしていく「段階的シナリオ制作手法(Bi-step writing)」を教えています。今回はその1つ目を紹介します。

「段階的シナリオ制作その1『S(ショート)プロット』」。

『S(ショート)プロット』は、その名の通り、短く60文字前後で書くプロットです。

60文字では、ほとんど具体的な内容はわかりません。
映画「バックトゥザフューチャー」を例に挙げるならこの程度の内容になります。

『過去に飛ばされた主人公が
協力者を得て、元いた時代に戻るための条件と問題を解決し
現代に帰還を果たす話』(51文字)

多くの人は、これだけを聞かされても「よくあるタイムスリップものだろう?」と思うだけでしょうが、それがSプロットを作る目的になります。

まずは「要するにどんなストーリーなのか」をスタッフが把握できるように作るプロットだからです。

「男女が出会い、問題や障害を乗り越えて、結婚する」なら恋愛もの。
「探偵が事件に遭遇、調査と推理の末、真犯人をつかまえる」ならミステリーもの。

そんな風に、ひと言程度で作品の内容を把握できるようにするためのプロットです。

えてしてシナリオを書く人は壮大な構想を持つがゆえに、「要するにどんなストーリーなのか」よくわからない相手に、自分の構想を話してしまいがちです。

わざわざ言うようなことでもない、と思わずスタッフが理解できるようにSプロットを作ることはとても大事なことなのです。

今年も開催Global Game Jam 2023 (48時間世界同時ゲーム開発ハッカソン)

2023年1月 5日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

今年も世界同時ゲーム開発ハッカソン「Global Game Jam 2023」が開催されます.このイベントは2008年から企画され2009年に第1回が開催され,東京工科大学は第2回となる2010年から継続して会場運営をしています.

コロナ禍でハイブリッドな開催スタイルが増えてきたため,世界各地の会場である程度自由に開催期間を設けることができるようになりましたが,東京工科大学は日本におけるGGJの聖地でもあるので,オリジナルスケジュールに近い2月3日(金)から5日(日)の3日間で開催します.

昨今では,スマートフォンゲーム開発も開発チームが大型化,制作期間が長期化し,なかなか一つの作品を企画からリリースまで体験する機会が減ってきました.GGJがスタートした2000年代中盤もスマートフォンが隆盛する前ですので,ゲーム開発チームの巨大化し,開発期間が数年というのもざらでした.そんな中で,自分のたちの好きなゲームを週末だけチャレンジして作ろうという,朝鮮からスタートしました.

今では,ゲーム開発のための汎用的なゲームエンジンの性能向上もあり,ゲームハッカソンそのものはだいぶ環境が整ってきましたが,当時は開発ツールを整えるだけでも大変な苦労でした.

今では,海外からの参加者も含め,プロやアマチュアが集うゲーム開発イベントになりました.授業などの数か月スパンの開発ではなく,数日間という短い時間に凝縮されたゲーム開発体験を味わうことで,新たな気付きを得られるのは学生もプロも同じです.

興味があったらぜひ参加してみてください.

※東京工科大学会場は原則18歳以上のみ参加OKとしていますが,開発の様子をYoutubeなどを利用して配信しますのでぜひ楽しんでください.

 

東京工科大学GGJChannel https://www.youtube.com/@GGJTUTChannel

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コロナ前のGGJ2020の様子



ぬくもりをメカニクスに取り込んだゲーム体験の拡張(WISS2022報告)

2023年1月 4日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です

引き続いてWISS2022(インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ)で発表した研究について紹介します.

こちらは大学院生の長谷川傑さんが開発した,温度提示を利用したボードゲーム用のデバイスにかかわる研究です.

ボードゲームなどとAR(拡張現実)技術を組み合わせて,体験を向上させる研究はいくつか事例があります.これに加えボードゲームで使うボードそのものも拡張してしまおうというのがこの研究です.

碁盤の目のようになっているボード一つ一つにアルミヒータが設置されており,それをゲームエンジンUnityとArduinoを用いて制御しています.まるで盤面の中に生物が潜んでいるような音感提示を与え,隠れている動物を探し出すコンテンツを開発しました.

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現在はスマートフォンを通じてコンテンツを楽しんでいますが,これからさらなるデバイスへの発展も検討しています.

これからの進展に目が離せません.

文責:三上浩司

VRを利用したバトミントンのトレーニングシステム(WISS2022報告)

2023年1月 3日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です

引き続きWISS2022(インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ)で発表した大学院生の研究を紹介したいと思います.この研究はバトミントンのトレーニングのためのツールです.

前回の競技用自転車に続いて三上研究室は体育系かと思う割れるかもしれませんが,原則として学生が「実現したい」,「やってみたい」と思う研究を進めるのが三上研究室の特徴です.今回も大学院生の黒澤君がバトミントンの経験者であり,その経験から今回の研究の発案に至りました.

バトミントンの初心者にとって難しいラケットの握り方とそれをもとにしたラケットの振り方を,VR上で上級者のお手本映像に合わせて練習することができるツールを開発しました.スピードの調整津をしてゆっくりと再生させたり,ラケットの高さを調整する機能などを用意して,初心者がより正確に反復練習できるように作成しました.

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実験の結果,ビデオ教材などと比較しても大変分かりやすいという評価結果が出ており,バトミントンのトレーニングに効果があることが確認できました.

WISS2022では,実際に多くの人に体験してもらいながらさらなる支援について多くの議論ができました.

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文責:三上浩司

競技用自転車の体験をVRで拡張する研究(WISS2022発表報告)

2023年1月 2日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

本日は,大学院生の渡邊拓斗さんの研究を紹介します.そのテーマは私の趣味でもある競技用自転車(ロードバイク)にかかわる研究です.

渡邊さんも趣味がロードバイクということもあり,協議自転車のトレーニングに使う装置を用いて,より高度なVRのロードバイクトレーナーを開発しようということで,学部のころから研究を進めてきました.

自転車のトレーナーコンテンツとしてはZWIFTというサービスがあり,オンライン上でつながっている仲間たちと競争するようなソーシャルサービスが展開されています.世界最高峰の自転車レースであるツール・ド・フランスのバーチャル開催などもされており,コロナ禍で注目を集めています.

そんな,トレーニングにさらなる臨場感を与えるためにヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)を使ってVR対応しようというアイデアは思いつくと思うのですが,レース中の体重移動や自転車の傾きなどは表現ができません.

そこで,そのような実際の自転車レースやスポーツ走行を体験できるように,自転車が傾いてコーナリングしている感覚を与えられるように,工夫した装置を作り,VRコンテンツと合わせて,ロードバイクの走行臨場感を高めようとする研究を進めました.

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ハンドルをロードバイクから分離させて,左右に傾くように工作しました.これによりプレイヤーの体も傾き,HMDの映像と相まってまるでコーナリングしているように知覚するという仕組みです.また,ブレーキ操作もセンサーにより圧力を検出し,サイクルトレーナに負荷を加えることで速度の変化にも対応させました.

WISS2022では,短い時間の中多くの人にお越しいただき体験してもらいました.皆さん,真剣に汗だくになるほど体験いただき,本物の自転車みたいとお褒めの言葉をいただきました.

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今後のさらなる発展が楽しみです.

文責:三上

 

【手話でご挨拶】明けましておめでとうございます

2023年1月 1日 (日) 投稿者: メディア社会コース

新年明けましておめでとうございます。
今年もメディア学部ブログをよろしくお願いいたします。

昨年は、聴覚障害がテーマのテレビドラマ「silent」が注目されました。生まれつきのろう者だけでなく、中途失聴の登場人物も登場し、聴覚障害にもさまざまなタイプがあることが広く知られたと思います。耳が聞こえないと手話を使うと思っていらっしゃる方はまだ多いのではないでしょうか。実は、聴覚障害者の中でも手話を使う方は少ないのです。近年では、補聴器や人工内耳を装用して音声でのやりとりをする方も多くなっています。

私の娘も聴覚障害者で人工内耳を両耳に装用しており、手話はほとんど使っていません。しかし、お風呂に入る時や寝る時などは人工内耳を外すので、音が全く聞こえなくなります。そんな時は、私が手話を使わなければならないのです。つまり、手話というのは聞こえない人が使うだけでなく、その周りの人も使う必要があるのです。

コロナ禍にテレビで首相が会見する際に手話がつくようになりましたので、手話を見る機会が以前より増えました。また、東京オリンピック・パラリンピックでも手話を見ることがありました。昨年、アメリカの第94回アカデミー賞では、コーダ(ろう者を親に持つ子ども)を描いた映画「Coda コーダ あいのうた」が作品賞、脚色賞、助演男優賞の3部門で受賞したことにより、世界的にも聴覚障害が注目されています。

では、受験勉強を頑張っている高校生の皆さんに向けて、手話で新年のご挨拶をいたしたいと思います。

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訳)
明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。
高校生の皆さん。
大学受験に向けた勉強は大変だと思いますが
頑張ってください。
応援しています。
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2025年に東京でデフリンピックが開催されるのをご存知でしょうか。デフリンピックとは4年に1度、世界規模で行われる聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会です。100年近くの歴史を持つデフリンピックを日本・東京で初めて開催することになります。この機会に、ぜひ手話を覚えて皆さんのコミュニケーション手段を増やしてみましょう。必ず役に立つ時が来ると思います。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。


 

メディアについて学ぶということ

2023年1月 1日 (日) 投稿者: メディア技術コース

あけましておめでとうございます。

みなさんは、「~メディア」と言われたら、~の部分にはどんな言葉が入ると思いますか?

東京工科大学が開学した1986年頃にこの質問をしたら、多くの人は「マスメディア」と答えたのではないかと思います。当時、社会に情報を伝えることができるのは、テレビや新聞などに限られていました。その後、東京工科大学にメディア学部が創設された1999年頃だと、「マルチメディア」と答える人が多かったかもしれません。映像や音響の制作技術が発達して、様々なコンテンツを楽しめるようになった時代です。いま、2023年に同じ質問をしたら、「ソーシャルメディア」と答える人も多そうですね。それまで情報を受け取るばかりだった大衆が、今ではスマホで情報を発信できるようになりました。

では、メディア学部で学べるのはどのメディアでしょうか。正解は「全部」です。メディア学部創設時に考えられた「表現」「環境」「技術」というコンセプトは、マスメディアでもマルチメディアでもソーシャルメディアでも、人から人に情報を伝えるときには、常に考えなければならない中核的な概念です。「誰が」「何を」「どんな方法で」伝えるかは、時代とともに変わってきましたが、その中心には、時代を経ても変わらない基本原理があります。そして、それらをしっかりと学んでいれば、将来メディアに関わるどんな職業に就いたとしても、きっと力を発揮していけるはずです。

CGやゲームのコンテンツに興味がある人は、それらが社会にどういう影響を与えているのかを考えてみてください。ジャーナリズムに興味がある人は、スマホを使った個人の情報発信についても学んでみてください。SNSに興味がある人は、VRやAIの技術がどんなふうに使われていくかを想像してみてください。そんなふうに、メディアの様々な側面は互いに関係しあっています。そして、大学での学びを通じて、自分の興味の幅を少しずつ広げていくことができるのが、メディア学部の一番楽しいところだと我々は考えています。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

メディア学部長 大淵康成

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