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NICOGRAPH発表紹介: ギターの弾き比べ

2023年1月 9日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

年末の記事で、NICOGRAPHでの発表を2件ほど紹介しましたが、実はもう2件発表がありました。今日と明日とで紹介しようと思います。

3年生の田中涼太さんは、「機械学習を用いた異なる演奏シチュエーションにおけるエレキギターの音色の分類と分析」というタイトルで発表しました。エレキギターの演奏に影響を与える要素は様々ですが、それらの違いを、機械学習を通じて明らかにしようという研究です。

使用するピックを変えるとか、新しい弦と古い弦の違いを調べるといったあたりは想定の範囲内でしたが、他にも、座って弾くか立って弾くかとか、弦の高さを変えるとか、ギターに鉄板を貼り付けるとか、いろんなバリエーションを試してみました。田中さん自身がギターを弾くので、ギタリストの間で経験的に知られているいろんな要素を試してみたという感じです。

何度もギターを弾いて音を録音して、それをもとに機械学習を行い、音だけから条件を推定できるかを試してみました。鉄板の有無だけは70%ぐらいしか当てられませんでしたが、それ以外の条件は90%以上の精度で正解を当てることができ、音の違いをきちんと分析できることがわかりました。また、興味深かったのは、それぞれの条件により、音のどういう特徴に着目すべきかが異なっていたことです。例えば、弦の高さによる違いは、音の調和成分の強さとの関係が強く、弦が筐体に邪魔されずにしっかり振動しているかどうかに影響しているのではないかと推測することができます。

機械学習やAIを使った研究は、「精度が高い」というところに注目が集まりがちですが、どのように推定しているかの解釈の部分にも、いろいろ面白いことがありますね。

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