「音楽創作論」での作曲(その3):そのほかのメロディの作成と楽曲構成について
2023年1月25日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース
メディア学部の伊藤(謙)です
本シリーズ3回目となる今回は、曲作りにあたってサビ以外のメロディの作成と、全体の楽曲構成についてお話ししましょう。
TさんとMさんが考案した部分動機を組み合わせて動機を作り、それをもとにサビのメロディを考えることにしたというのが前回のお話でした。
では、曲の始まりからサビまではどのように作れば良いでしょうか? もちろん、出だしにサビが置かれる曲もありますが、そうしたものでも、そのあとに再びサビが現れるのが一般的です。サビまでのプロセスをどのように作るかによってサビの聴こえ方が変わってきますし、楽曲全体の印象にも大きく影響してきます。
比較的よく見られるのは【Aメロ−Bメロ−サビ】の構成です。私はこの構成を「ホップ−ステップ−ジャンプ型」などと呼んでいるのですが、サビ(ジャンプ)をより魅力的に聴かせるために、その前の準備段階(ホップ−ステップ)が重要になってきます。サビが引き立つよう、何らかの形でサビとは音楽的な対比(コントラスト)をもつメロディが望ましいです。
さて、前置きが長くなりましたが、そろそろ今回の作曲の話に入りましょう。
当初、これらサビ以外のメロディは独自に作るつもりでした。いろいろ試行錯誤する中で、Tさんの部分動機につながる第2の部分動機としては選ばれなかったものの、Mさんに次いで4票を得たI君とT君の部分動機を活用することを思いつきました。
最終的に、I君の部分動機(②B)はイントロに、T君の部分動機はAメロ(②C)に、そして私が独自に作った部分動機(③)はBメロに使うことにしました。
楽譜を見ながら音を聴いていただくと、それぞれのフレーズの音型やリズムに違いがあることがおわかりいただけるかと思います。
最終的に全体の構成は次のような形になりました。
イントロ➡︎ Aメロ①➡︎ Bメロ➡︎ サビ①➡︎ サビ②(※前半部分はサビ①の繰り返し)
➡︎ Aメロ②➡︎ エンディング(※Bメロとサビのフレーズ)
ちなみに、Aメロ②はAメロ①とは異なる「カノン進行」と呼ばれるコード進行を用いています。授業ではカノン進行が用いられている曲を何曲か紹介したので、学生諸君に説明した内容を作曲に盛り込んでみました。
さあ、果たしてどのような曲に仕上がったのでしょうか? いよいよこのシリーズの最終回となる次回(第4回)は、私のピアノ演奏でこの曲をお聴きいただきましょう。
(メディア学部 伊藤謙一郎)
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