江戸の和算のたしなみ(4):算木とそろばん
2023年3月 2日 (木) 投稿者: メディア社会コース
算木(さんぎ)もそろばんも大陸由来の計算用のメディア用具です。
まず、算木についてです。その歴史は古く、奈良・平安の時代には存在していたとされています。日本の算木は、当時の中国で数えるために用いられていた“算ちゅう・ぜい竹”(おみくじや占いでよく見る細長い棒のイメージ)をもとに作られました。割り箸を半分か1/3に折ったくらいの長さの棒(木片)と考えるとよいでしょう。
なお、算木を計算器具として用いるためには、厳密には3点セットが必要です。プラス(増加)を表す赤の算木、マイナス(減少)を表す黒の算木、そしてそれらを置く盤面です。数の表現については、時代によって若干異なります。次の表は、正の1~9までの数の表記で、縦棒1本が“1”を、横棒1本が“5”をそれぞれ表します。
これにより、次のように数が表現できます。
ただ、これだと位(くらい)の境界がわかりづらいですね。そこで、複雑な計算をするときには升目の入った盤面を使ったりします。それを算盤と言います(算盤はそろばんの意味でも使われるので少し紛らわしいですが…)。次の算盤は1次方程式を解くときに使う算盤の一例です(上段の位の単位は現在のものに調整しています)。具体的な使い方は、次回お話しします。
次に、そろばんについてです。そろばんに類するものの歴史は、算木以上に古いです。古代バビロニアで開発されたアバカスと、シルクロードで結びついていた古代中国の算ちゅうが融合して誕生したと言われています。アバカスは位を表す各溝に小石を並べるもので、わかりやすさはありますが、注意してないと小石がこぼれたりするという問題がありました。一方、算ちゅうは小さな数えるのには適していたものの、やはり位取りの問題で大きな数に必ずしも対応できないという難点がありました。そこで、小石の中央に穴を開けてそれを算ちゅうに串刺しにすれば(串団子のイメージ)、小石がバラバラになることもなく位取りもわかりやすいということで、そろばんの原型が生まれたとされています。
次回は、和算における算木を用いた巧みな算法を紹介します。
文責: メディア学部 松永
(2023.03.02)
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