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2023年4月

CUMULUS 2023: 学会参加シリーズ #3 発表したり聞いたりもしたよ編

2023年4月28日 (金) 投稿者: メディア技術コース

こいつは学会に行くといってビール飲んで寝てるだけなのか、と思われたかもしれません。それも一面の真実ではありますが、他のセッションにでて質問したり自分の発表をこなしたり、キーノートスピーチを聞いたりという学会本来の活動はもちろんしておりました。ただ、あまり書くほどの面白いことはないかも…

 

発表は一部オンラインで行う人もいて、まだコロナ後の中間的な実施形態のようでした。もしくは、オンラインでもある程度できることがわかった今となってはこれが今後の標準になるのかもしれません。ただネットでの発表は途切れたりすることが頻繁にあって、ハイブリッド環境での実施はまだ快適に行えるということでもなさそうでした。

 

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発表会場の一つ

 

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研究発表の様子(左:オンライン、右:現場での発表)

 

自分の発表はつつがなく終わり、それなりの反応もいただけて良かったと思いますが、General Assemblyという学会を構成する大学等の参加メンバーによる総会が同じ時間帯に配置されていたため、せっかく知り合いになった先生方のほとんどがそちらに行ってしまいました。総会に参加するのは、1団体1名なので、その他の方は発表のセッションにも来るのですが、残念でした。我が大学からも総会に参加する必要があったので、本来は現地に居る私がでるべきですが、そのような事情で日本にいるデザイン学部の松村先生にオンラインで参加いただきました(なんて、いつも松村先生が出席されているのですが…、へへへ)。

 

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発表もいたしましたよ(スライドの表紙)

 

キーノートのレクチャーの一つは、Lean Gorissen先生によるNatural Intelligence というタイトルで、自然や生物の観点や仕組みを取り入れた様々なデザインのアプローチについての話で、非常に印象的でした。是非そうしたコンセプトを今後の研究テーマに取り入れたいと思わせられました。真剣に模索したいです。

 

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キーノートスピーチの様子

 

さて、学会参加の目的は、発表したり発表を聴いたりということだけではないでしょう。学会に参加する多くの研究者と交流し、知り合いになって、今後の連携を模索することも大きな目的です。今回の学会は非常に多くの国から参加者がいて、様々な国からの研究者と出会うことができました。地元ベルギーはもちろんのこと、コーヒーやビールやシャンパンを飲み交わしました方々は英仏独伊瑞芬米伯塞瑞印中…(Facebook, LinkedinのConnection増加…)。ウクライナから参加されている先生ともお会いいたしました…。驚くのは、多くの人が日本(東京)に来たことがあり、そうではない人は来日希望と、日本は人気あるなあと感じました。オンラインの学会だと、発表を通じたコミュニケーションしかありませんが、現地での学会では飲みながらくだらない?話をしつつということがその後の連携に繋がることにもなりそうで、往復の旅程は大変でしたがやはり来る甲斐はあるのだと感じました。

 

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お会いした先生方

 

太田高志

 

 

 

 

CUMULUS 2023: 学会参加シリーズ #2 学会会場はいずこ?編

2023年4月26日 (水) 投稿者: メディア技術コース

いったい会場の大学はどこなのか…?

配布されている地図はスタイリッシュなんだけど、全然分からないっす…

このまま会場につかずに滞在期間を終えてしまうのか(カフカ的な?)。

 

ホテルから会場まで向かおうとすると会場となる大学らしきものは見つかったのですが、学会っぽいパネルとか旗とか全然無いし、人気(ひとけ、と読む)もない(後で聞くと、イースターの休み期間だそうだ)。グーグルで大学名で検索しても、大雑把な位置で案内してくれるだけなので、よくわからないですし、もらった地図の何をGoogleにつっこめばいいのかがよく分からない。落ち着けばなんとかなったかと思うのですが、夕方やっているはずのビールパーティー(ベルギーはビールが有名)に間に合わないのでは?という恐れからか、冷静さを失っていたかも。

 

ということで、既に会場にいるはずの知り合いの先生にメッセージを…、”help! I'm lost, where are you, where I am?”. 現地のネットに繋がるように、今回は eSIMを試してみましたが、ちゃんと機能していて助かりました。折返し、電話が…。”Where are you?”、”How can I know?”、みたいなことを言い合ってしばらくして救出にその先生が来てくれました。その先生とは何年か前からメールやSNSで知り合っていて、共著で学会に投稿したりもしていたのですが、生身でお会いするのは始めて。なのに、初回の出会いが情けないことになってしまいました。もうちょっと颯爽と登場して印象づける予定だったのですが…。

 

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これが会場だ! University of Antwerp

 

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助けてもらったJovic先生と何事もなかったかのようにポーズ

 

ということで、挨拶もそこそこにベルギービールを…

いやあ~、やはりなかなか美味しいですね。日本で買うと高いですからね。まあ飲んでいるだけでなく、あちらこちらでお話しをしつつ会場をうろつきました。非常にインターナショナルな学会で、ヨーロッパの方が多いですが、南アフリカやら南アメリカやら各地から集まっておりました。450名くらいの参加+オンライン、と言っておりましたので、なかなかの規模ですね。一方で、中国からのグループは見かけましたが日本人は全く見かけませんでした。後で、ボードメンバーの方という萩原先生の2年後輩だという千葉大学の先生がいらっしゃいましたが、それ以外はゼロでした。もう少し日本も貢献しないと寂しい限りですね。といっても、私もこの学会に参加するのは始めてなので、継続できるようにしたいところです。

 

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懇親会?ビール片手に

 

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CUMULUS創設者のEija Salmi先生(左の方)と

 

ところで、この時点で丸一日以上、全く寝ておりません。飛行機でなかなか寝付けないタイプなので、寝不足で疲れているところにかけつけのベルギービール。お開きになったところでホテルに戻ると9時あたりでしたが、もうそのまま気絶するように寝てしまいました…(続く?)。

 

 

 

太田高志

CUMULUS 2023: 学会参加シリーズ #1 遥かなるベルギー編

2023年4月24日 (月) 投稿者: メディア技術コース

いやー、遠いですね…

もともと飛行機に長く乗るのは好きではないのですが、ベルギーは乗り継ぎをして飛行機に乗っている時間だけで19時間。ドア・ツー・ドアで丸一日以上かかりました。まずは羽田から真夜中にドバイに向けて出発、ヘロヘロになった12時間後くらいに到着したものの、ドバイを堪能する暇もなく、ブリュッセル行きの飛行機にストレートイン。そのまま7時間強のフライトになりました。ようやくついたときの開放感と疲労感たるや、ですが、今度は電車に乗ってアントワープまでいかなくてはいけません。ようやくホテルに着いたのが、現地の夕方5時過ぎ。長時間で疲れはひどいですが、ただ座っているだけなので、実際に長距離を移動した身体的な感覚は無い感じですね…。多くの旅行記を書いている作家のポールセローが、だから飛行機で移動しないんだ、ということを書いていました。移動して徐々に周辺が変化していく様子を感じることができない、ということでしたが、まさにそんな感じで、理屈では遠くまで来たことは分かっているのですが実感が持てないような気分でした。

 

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ドバイ空港の威容

 

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空港から見えた、おそらくブルジュ・ハリファと思われるビル

 

今回は、CUMULUSという学会に参加するためにはるばるとやってまいりました。ヨーロッパは「どこでもドア」でもあれば喜んで行きたいのですが、この長距離移動が非常に苦手です。また、ここ数年は学会がオンラインとなってしまっており、現地のホテルや航空機の予約までしてあった学会が突如オンラインに切り替わってしまって以来、3年ぶり?くらいで現地での学会参加になりました。ただ、やはりオンラインでの学会参加は非常に味気ないものでした。発表や質問をすることだけネットで代替できますが、その他に付随する海外の研究者との出会いや現地の体験・交流などを再現はできません。そういう意味では、疲弊しながらも現地に辿り着く価値はあったのかと思います。が…、疲れることは疲れました。

 

今回参加したCUMULUSという学会は、広い意味でデザインを扱う学会です。純粋なデザインに関したものから、私が関連するデジタル機能とのインタラクション・デザイン、ユーザーエクスペリエンス、さらにはファッション関連やバイオロジーの応用など、解決を「デザイン」するという観点からの研究分野を大きく包含する会議です。また、デザイン学部とメディア学部が代表して、この学会のメンバーとして登録しております。それが許されるには、既にメンバーとなっている2つの機関から推薦状をもらう必要があります。が、メンバーになっていてもコロナのせいもあって活動がこれまであまりなかったことが気になっておりました。ということで、コロナ明けの活動再開第一回目を兼ねてやってまいりました。

 

さてホテルにチェックインして部屋でベッドに倒れ込んだのは夕方の5時くらいなのですが、ちょうどそのころ初日の夕方のビールセッションが始まっているはず。とにかく、それは行ってみようとフラフラしながら街に出ていきました…(続く)。

 

 

太田高志

 

 

メディア専門演習「作曲演習」の紹介【第11弾】:授業が始まりました

2023年4月22日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

先週の金曜日から前期授業が始まりました。新入生を迎えて大学のキャンパスはとても華やいでいます。

木曜日の授業は一昨日が初回で、私が担当しているメディア専門演習「作曲演習」もスタートを切りました。

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この演習では楽曲制作のお題となる4つの音を指定します。今期の音列は「ドラソミ」となりました。

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過去に出した音列と似たものでなく、かつ履修生諸君がモティーフを作成しやすい音列を考えるのは結構難しいです。

以下は、これまでにこの演習で指定された音列です。
(※クリックすると別ウィンドウで表示されます)

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音列のアイデアを考えていたところ、たまたま見ていたテレビのCMで「CAFE」の文字が目につき、「カフェ」と読みながら同時に頭の中で「CAFE=ドラファミ」と音名に変換。

一瞬「作曲演習のお題に使えるかも!」と思ったのですが、F(ファ)の扱いに苦労しそうです。

そこでF(ファ)をE(ミ)に変えて、CEG(ドミソ)の和音の構成音を当てはめやすくしてみました。すると音の並びは「CAGE=ドラソミ」に。

これを見てピンときた方がいるかもしれませんね。

そう。この音の並びは音を出さない曲『4分33秒』」で知られるジョン・ケージ(John Cage)の名前の綴りと同じなんです。

「だから一体何?」と言われても何もないのですが…(苦笑)

今回の音列での音名が、ジョン・ケージの名前の綴りとたまたま同じというだけで深い意味はありません。

ちなみに、楽典を扱う「音楽入門」という私の授業では「音名」のトピックで履修生諸君に自分の名前を音名にしてもらい、それを元に私が作曲をしていますが、この「作曲演習」で人名を意識した音列を指定するのは今回が初めてです。

この「ドラソミ」の音列から、履修生諸君がどのような曲を作り上げるのかとても楽しみです。

(参考:過去の関連ブログ記事)
[2023.01.29] メディア専門演習「作曲演習」の紹介【第10弾】:作品発表会を開催しました
[2022.09.20] 授業紹介:「音楽入門」で作った曲を弾いてみた(演奏動画のご紹介)


(メディア学部 伊藤謙一郎)

ISARTデジタルからの研究生の中間報告会

2023年4月21日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

3月は節目の月で,研究生たちも研究期間を満了し帰国したり就職したりする時期になります.

コロナ禍でしばらく日本に留学に来る学生たちも減少していましたが,2022年に入ってからはだいぶ活発になってきており,メディア学部には多くの大学から研究生が来訪するようになりました.(おかげで私の研究室のゼミはマルチリンガル状態です)

その中でもフランスのISART Digitalからは,2021年度に来訪できなかった学生も併せて,12名が滞在していました.

そのうち2名は研究期間を終え,一人は日本国内のゲーム会社に就職,もう一人は帰国ということになりました.

そこで,2名の研究成果最終発表と,6名の学生の中間発表,今年に入ってから参加した4名の学生のイントロダクションを兼ねてイベントを開催しました.

ISART Digitalはディジタルコンテンツにかかわるフランスの総合的な教育機関で,分野もゲームやCGの技術的な領域から,2Dや3Dのアーティスト的な領域までかなり広い領域をカバーしています.

日本ではメディア学部の教員がそれぞれの専門分野に適した学生たちのスーパーバイザーとして,日々の研究指導をしてきました.これまでに,大淵先生,太田先生,渡辺先生,安原先生,伊藤彰教先生,川島先生にご協力いただき,多様な学生との交流を図ることができました.

まだ日本に滞在する10名にはこれからたくさんのことを経験してもらい,研究成果を学会などで報告してもらいたいと思います.

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発表会の様子

4年ぶりの対面開催三鷹インディーズアニメフェスタ

2023年4月19日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

春の学会シーズンが始まり,スケジュールがひっきりなしになっての来ましたが,奇跡的にも日程の調整ができて,学会と学会の合間に海外出張とアニメイベントまで実施できてしまいました.

COVID-19がすこし落ち着いてきて,日本に入国する際の規制も緩和されてきたので,海外出張も出やすくなって来ました.
とはいえ,こんなスケジュールで行動するのに大事なのは体力ですよね.

さて,今回はその中でも4年ぶりに対面開催ができた「三鷹インディーズアニメフェスタ」について紹介します.

このイベントは,三鷹市とNPO法人が中心となって企画,開催してきたイベントで,当初からメディア学部の学生がNPO法人のスタッフとして中心的に活動してきました.

従来はホールに集まり,大画面での上映,登壇して作品の紹介と審査員からの講評など,作者にとっても晴れの場でありましたが,COVID-19の影響で,しばらくは遠隔などで実施してきました.

今年は,4年ぶりに三鷹芸術文化センターにて,人数は少し限定しましたが,観衆も入れて開催することができました.

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やはり,大画面で作品を上映し,観客の反応をダイレクトに受け取り,さらに自分の作品の思いを伝える場というのは,コンテンツを制作する人にとっては重要な機会だなというのを改めて感じました.

メディア学部の学生も,ぜひ自分の作品を制作したらいろいろな場所で発表してフィードバックを得るといいと思います.コンテストのほか,学生団体や個人が参加できる展示会もあります.

このような場を企業の人たちやプロもチェックしているので,就職につながることが大いにあります.

AnimeJapan2023に出展しました

2023年4月17日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部の兼松です.

少し前の話になりますが,メディア学部では同じキャンパス内にある日本工学院専門学校と一緒に,3月25日〜26日にビッグサイトで開催されていたAnimeJapan2023に出展しました.

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メディア学部のブースでは,学部紹介や,アニメなどのコンテンツ制作に関わる研究室の紹介パネルのほか・・・

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プロジェクト演習「オリジナルCGアニメーション」「キッズアニメーション」などアニメ関連演習で制作した学生作品を展示しました.

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プロジェクト演習は授業の1つではありますが,例えばちゃんとアニメを作ろうとすると,週1回の授業時間だけでは到底足りません.これらのプロジェクト演習では,アニメ作りに本気で取り組みたいと思った学生が集まり,授業時間外の多くの時間を費やして取り組んでいます.教員側としても,プロジェクト演習は各教員がそれぞれの専門性をフルに活かして作り上げている演習ですので,メディア学部OBの私としては「メディア学部に入ったらプロジェクト演習を取らないともったいない!」と思っています.私が学部生だった頃はまだ「プロジェクト演習」という枠組みではなかったので,今の形とはちょっと違いましたが,私も今回出展した「キッズアニメーション」の前身となるプロジェクトで,アニメ作りに参加していました.

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そして,今年は私が担当している「プロジェクト演習デジタルキャラクターメイキング」からも,学生作品を出展しました.
今回出展した学生は入学以来3年間,私の演習でキャラ作りを頑張ると共に,個人的にもイラストなどの創作活動を意欲的に行なっていました.
卒業研究と就職活動で忙しくなってしまう直前の集大成として出展したのですが,予想よりも多くの人に興味を持ってもらえた上,用意していた名刺も初日で足りなくなりそうになり,2日目には急いで増産してきました!と,嬉しい悲鳴をあげていたのが印象的でした.

ちなみに私も今年度から講師になったので,助教としての名刺を使うのはこのAnimeJapanがラストチャンスだったのですが,残念ながら私の名刺は余りました(笑)

(文責:兼松祥央)

諸葛亮

2023年4月14日 (金) 投稿者: メディア社会コース

言わずと知れた三国志切ってのスーパースターである。英雄豪傑相入り乱れる作中にあって、知謀計略を駆使する、その超人的な活躍から、字(あざな)の孔明の名で古今の軍師の代名詞になっている。しかもその八面六臂の勇姿は、小説、演劇、ドラマ、映画から漫画、アニメ、ゲームに至るまでメディアを超越して人口に膾炙している。しかし、この諸葛孔明像は、三国時代から千年以上降って明の時代に羅貫中によって書かれた三国志演義という物語の登場人物である。

史実の諸葛亮は、陳寿の著した歴史書三国志の中の蜀書諸葛亮伝にその人物像を知ることができる。陳寿はもともと蜀の官僚で、蜀滅亡後の魏に続く西晋に仕え、三国志を編纂した。三国志演義では敵役の曹操、曹丕は、国家として公文書の作成、保存に力を入れ、一方、もう一人の子の曹植と共にのちの唐詩の基礎を築いたと評価される文人詩人でもあった。その魏に禅譲を迫った西晋にあって、陳寿は魏を正当な王朝と位置付けながらも蜀と呉からなる三国志という歴史書を著した。

諸葛亮伝の中に、諸葛亮自身の手になる出師表(すいしのひょう)がある。漢王室の正統として簒奪国家魏を討伐するに臨み、若い後主劉禅に上奏したもので古来名文の誉れ高い。出師表は、次の一節から始まる。

先帝(劉備)、創業未だ半ばならずして、中道に崩殂す。今、天下は三分して、益州は疲弊す。此れ誠に危急存亡の秋(とき)なり。

そして、出陣後の統治の心得を劉禅に噛んで含めるように教え諭す内容が続く。なかでも、

宜しく私に偏り、内外をして法を異にせしむべからざるなり。

という一文は、近親者を取り立て、敵対する者を一族郎党幼子に至るまで殲滅することが常識の乱世にあって、現代の法治主義に通ずる彼の思想を凝縮している。諸葛亮が、三国志の登場人物中、当時から現代に至るまで唯一尊敬を集めていると言われる所以であろう。

そして後半部は、北伐に臨んで、先主劉備への一途な心情と覚悟が読む者の胸を打つ。

先帝、臣の卑鄙(ひひ)なるを以てせず、猥(みだり)に自ら枉(まげ)て屈し、三たび臣を草盧の中に顧みて、臣に諮るに当世の事を以てす。是に由りて感激し、遂に先帝に許して以て駆馳す。後に傾覆に値(あ)い、任を敗軍の際に受け、命を危難の間に奉じて、爾来(じらい)二十有一年なり。

有名な「三顧の礼」の出典である。続いて、

先帝は臣の謹慎なるを知り、故に崩ずるに臨みて臣に寄するに大事を以てするなり。

この一文に関しては、同じ諸葛亮伝に次の記載が残されている。

先主、(中略)亮に謂いて曰く、「君が才、曹丕に十倍す。必ずよく国を安んじ、ついに大事を定めん。もしよく嗣子輔(たす)くべくんば、これを輔けよ。もしそれ不才なれば、君自ら取るべし。」亮、涕泣して曰く、「臣、あえて股肱の力を竭(つ)くし、忠貞の節を効(いた)し、これに継ぐに死をもってせん。」先主、また詔を為し後主に勅して曰く、「汝、丞相とともに事に従い、これに事(つか)うること父の如くせよ。」

この劉備の言葉から、奥州藤原氏三代秀衡が、鎌倉方の攻撃に備え、義経を主君として仕えてこれを撃つべし、と言った故事を思い出すかもしれない。しかし、時代は羅貫中の二百年近く前であるし、正史との関係は筆者には不明である。四代泰衡は、頼朝の圧力に屈して義経を自害に追い込み、清衡、基衡、秀衡、三代の栄華を誇った平泉も滅亡した。一方、正史三国志は、後年裴松之が諸資料を渉猟し、批判的な検討を行った注が付加されて歴史書としてさらに充実した。その裴松之によれば、上記の劉備が諸葛亮を試すようなくだりは、諸葛亮の人格、力量、地位に矛盾していると指摘されており、興味深い。出師表に戻ると、

命を受けて以来、夙夜に憂嘆し、託府の効あらずして、以て先帝の明を傷つけんことを恐る。(中略)庶(こいねが)わくは駑鈍(どどん)を竭くし、姦凶を攘除し、漢室を興復し、旧都に還らんことを。此れ、臣の先帝に報いて、陛下に忠なる所以の職分なり。(中略)臣は恩を受くるの感激に絶えず。今遠く離るるに当たり、表に臨みて涕泣し、云う所を知らず。

と結ばれている。先主の恩義に報いようと、粉骨砕身、激務に激務を重ねていく姿が思い浮かぶ。

出師表から7年後の234年、諸葛亮は、五丈原で魏の司馬懿(字は仲達)と対峙する中、陣中で没した。享年五十四。司馬懿は蜀の使者から諸葛亮の多忙な執務ぶりや食事の様子など(軍事ではない)を聞き出し、その命が長くないことを確信した。追撃を中止した司馬懿を見て住民たちは囃し立てたという、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」と。しかし、司馬懿は、蜀軍の撤退した陣営を視察して、「天下の奇才なり」と言った。

陳寿は、諸葛亮伝の末尾で「諸葛亮は、国民を慈しみ、規則規範を明確にし、官吏の権限職責を規定し、誠意を持って法に基づいた公正な政治を行い、国民からの人望を一身に集めた」と称えた。その上で最後にこう評している。

けだし応変の将略は、その長ずるところにあらざる歟(か)。

(参考資料)「中国の思想」刊行委員会編訳「正史三国志英傑伝Ⅲ」徳間書店、川合康三編訳「曹操・曹丕・曹植詩文選」岩波文庫、田中靖「陳寿の処世と『三国志』」駒澤史学76号(2011)、井波律子訳「正史三国志5蜀書」ちくま学芸文庫、平凡社「世界大百科事典(大石 直正 :藤原秀衡 )、ジャパンナレッジより」

(メディア学部 榊俊吾)

2022年度後期学会報告/松江福岡出張記

2023年4月12日 (水) 投稿者: メディア社会コース

今年度の学会は、昨年までの遠隔中心から現地+遠隔のハイブリッドが中心になってきました。当ゼミでは年間を通しては延べ10名、後期には2学会、4人が学会報告を行いました。例年、研究が実を結ぶようになる後期に参加が増えてくるのですが、今年はやや寂しい結果になりました。中でも情報文化学会と情報コミュニケーション学会の二つの全国大会の参加を見送ったことは大変残念でした。

本日は、後期に4名の参加した、社会情報学会中国支部会とビジネス科学学会九州支部会について紹介しましょう。それぞれ、参加学生と報告テーマは以下の通りです。いずれも現地で参加しました。なかでも、B君とH君は、前期中に開催された、それぞれ、ビジネス科学学会全国大会、地域政策学会全国大会に続く2回目の報告でした。

社会情報学会中国支部会 12月17日 島根大学松江キャンパス

B君   バーチャルユーチューバーに関する研究

H君  近年のバイク業界と今後

ビジネス科学学会九州支部会 12月18日 中村学園大学流通科学部

S君   Mリーグが与える麻雀業界への影響と今後の展望

Y君  バーチャルYouTuber「にじさんじ」「ホロライブ」の現状と展望

4人いずれも報告、質疑ともに落ち着いて良い出来で、会場の先生方からも大いに評価されました。さて、今回は、両学会に参加した際の出張記について紹介しましょう。

今回は12月17、18日の連日の開催でした。従来、両会場には主に航空機を利用してきましたが、今回は松江から福岡に直接向かうために出発から帰宅まで陸路で移動しました。出雲空港から福岡空港にも就航しているのですが、冬の山陰地方は天候が悪く、欠航の可能性を勘案した上での選択です。それでも常識的には、羽田→出雲の空路、松江→博多の陸路(ないし出雲→福岡の空路)、福岡→羽田の空路を利用するルートでしょうが、今回乗車した全路線とも完璧な定刻運行であったことを付言しておきます。

そこで、十分な余裕を持って、前日松江入りしました。まず新幹線で岡山に向かい、伯備線に乗り換えました。岡山駅に入線する特急やくもを見た時、昭和生まれの筆者は全く違和感がなかったのですが、この日の381系振り子式車両は旧国鉄塗装だったのです。沿線で撮影している人たちを頻繁に見てようやく気がついた次第です。ちなみに振り子式列車には、以前にもJR北海道のキハ281、283系などにも乗車しましたが、高速の曲線通過は迫力があります(ただし座席を離れるときは足元に注意)。備中高梁を経由し、中国山地を越え、伯耆大山を(曇天のため微かに山頂付近を)拝み、米子を過ぎると中海が見え、安来を経て、晴れ間の覗く松江に到着しました。上空(低空)から眺める大山、中海、宍道湖も結構ですが、列車の旅では、それぞれの地方独特の街並みや自然をじっくりと堪能できます。

 

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終点出雲市駅に向かうやくも9号。松江駅にて12月16日筆者撮影

翌17日、島根大学でB君、H君の報告を終え、島根大のN先生や参加された諸先生方にお詫びしながら中座しました。夕刻にJR通常塗装のやくもに乗車して雪の舞う中国山地を横断して岡山に向かい、岡山からは九州新幹線さくらで漆黒の闇の中を博多に向かいました。博多直通の山陽新幹線には、JR東海のぞみと、JR九州運行のみずほ、さくらの三種類があります。当日最も接続の早いのぞみにはあえて乗車せずにその後のさくらを利用したのには訳があります。さくらは、いわゆるのぞみタイプではないので特急料金が少し安くなり、しかも博多までの所要時間はのぞみ、みずほに比べて10分と違いません。しかし、それだけではありません。九州新幹線は普通車指定席でも、2列×2のグリーン車並みの座席なのです(自由席は2列3列です)。

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島根大学にて筆者撮影。

さて博多駅を出ると22時になろうとする時刻なのに大群衆でごった返していました。よく見ると年代、持ち物に共通した特徴が認められます。季節はクリスマスを一週間後に控え、福岡 PayPayドームでクリスマスコンサートが行われていたのです。実は、地方都市開催の学会では、アイドル系コンサートと重なると宿泊先が確保できず、実際日程を延期したという話も耳にします。ほぼ同時刻に東京から空路福岡入りした明治大学のU先生と合流し、遅い夕食をとりながらクリスマスイベントと縁遠くなった感覚を再認識したのでした。

翌18日もコンサートは続いて博多駅周辺は大混乱で、学会の開催前後に帰りの特急券(往復乗車券は入手済み)を購入しようと試みましたが、みどりの窓口、自動券売機共に長蛇の列が層をなして中に入ることすらできません。会場の中村学園大に向かうバスセンタービルにも入れず、ようやく地下鉄に乗車して会場入りし、無事S君、Y君の報告を終えることができました。

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中村学園大学にて筆者撮影。

帰宅予定の19日になっても混雑は続いていましたが、中村学園大のK先生から博多駅みどりの窓口の穴場を教えてもらっていたおかげで、ほぼ待たされることなく無事購入できました。そして、帰りも新大阪までさくらに乗車し、始発の比較的空いているのぞみで最寄り駅へと向かいました。年末の学会道中記でした。

余談ですが、学会開始前に何人かの地元の先生と特急券購入の策を相談しました。その一つに、博多周辺の駅に一旦移動し、その駅のみどりの窓口で購入したらどうか、というものがありました。しかし、最近JRでは経費削減策の一環か、みどりの窓口の閉鎖集約が進み、特に博多のような大ターミナルの周辺駅ではその影響が大きく、近隣駅での購入は難しそうだとの結論になりました。起死回生の策がK先生の情報だったのです。

(メディア学部 榊俊吾)

 



2022年度経済経営調査研究/卒研生の活動

2023年4月10日 (月) 投稿者: メディア社会コース

本日4月10日より、12日、14日の3回を担当します。第1回の本日は「2022年度卒研生の最終報告会」、12日は「2022年度後期学会報告/松江福岡出張記」、14日は「諸葛亮」です。

今年度は10名の学生諸君が卒業研究に取り組みました。うち8名が学会で報告しました。後期の学会報告については次回紹介しましょう。今年の最終報告は、1月31日に久々に本学の教室で実施しました。レビューは藤崎先生が行ってくれました。今年の研究テーマは以下のとおりです。最近の傾向を反映して、ネット上のサービスに関連するテーマが6件を占める一方、Mリーグと国内女子サッカーリーグに関する研究は、当研究室でも初めてのテーマでした。

O君                 twitter上のコミュニティにおける有効な自己紹介手法の調査

Kさん             VTuber業界の現状と展望

Kさん             B to C ECの現状と展望

S君                  Mリーグが与える麻雀業界への影響と今後の展望

N君                 ソーシャルゲームとコンシューマーゲームのこれからについて

H君                 近年のバイク業界と今後

B君                 バーチャルユーチューバーに関する研究

Y君                 国内女子サッカーリーグの現状と展望

Y君                 転売による問題と対策

Y君                 バーチャルYouTuber「にじさんじ」「ホロライブ」の現状と展望

藤崎先生からは、一人ひとり全員にコメントをいただきました。一年間の研鑽はもとより、最終報告会での質疑を踏まえて、皆、良い研究論文を仕上げることができました。藤崎先生には、体調のすぐれない中参加していただき、大変感謝しております。

(メディア学部 榊俊吾)

メディア学部とサクラ:インターネット上のサクラを見破る

2023年4月 8日 (土) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

新年度になり桜前線も東北を駆け上っているようですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?本学も無事に桜が散り始める中、入学式を終えてフレッシュな1年生がキャンパスにやってまいりました。前回と前々回にメディア学部とサクラという話題をさせていただきましたが、今回はメディア学部にとっての桜(サクラ)の完結編です。

今回はインターネット上のサクラを検出する仕組み、見破る仕組みについてです。既にサービス提供されていて、簡単に商品の口コミのサクラ度合を調べることができます。サクラチェッカーというサービス(https://sakura-checker.jp/)です。

実際に、『3in1 充電ケーブル USB ケーブル 3A 急速充電 充電コード』を購入したのですが、そのケーブルに2つの問題点があり、そのことをサクラと関連付けて調べてみて、検証を行いました。

まず、上記の3種類の充電コネクタがあり、急速充電もあるケーブルを探していました。検索して見つけたケーブルには3千件を超えるレビューがあり、評価が5段階中4の製品で、十分と思って購入しました。購入して、急速充電の機能を電流計で測定してみると、通常の充電速度でした。またコネクタの形状が丸いため、スマートフォンケースによっては干渉して、ケーブルが接続できない状態になります。

この2点だけでもそれなりに問題ですが、なぜ3千件ものレビューがあるのに5段階中4評価なのでしょか?

それは明らかにサクラの存在です。販売企業が高いレビューを書くサクラを募集し、多くの評価が4or5のサクラレビューが集まったからです。実際にサクラチェッカーで調べてみると、5項目のサクラである確率(サクラ度)が
 95%:①価格&製品
 65%:②ショップ情報&地域
 35%:③ショップ評価
 95%:④評価分布/件数
 35%:⑤評価/口コミ日付
となっていて、一方、サクラでないという安全度は
 0%:評価本文&評価者
という結果になりました。①価格からみても製品カテゴリーから見ても、②ショップ情報から見ても、④評価の分布や件数から見てもサクラである確率が高いということになりました。ということでこのようなサービスを企画する点にもインターネットビジネスの新しい側面の一端を見ることができます。

Sakura1

Sakura2

入学式

2023年4月 7日 (金) 投稿者: メディア技術コース

文責:榎本

4/5(水)は東京工科大学全体の入学式でした。

一昨年は中止、昨年は新入生と教員のみと規模を縮小して、何だか寂しい入学式でしたが、今年はコロナ前と同規模のご両親も出席されての大規模な入学式となり、華やかさが戻ってまいりました。

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会場前の撮影ポイント。春らしさを出すべく、色とりどりのお花をこの日のために植え直したそうです(理事長談)。桜も何とか残ってくれて、晴れの日にふさわしいお庭となりました。

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撮影ポイントに行列。「今、並ばれますと入学式に間に合いません」とアナウンスされていました。

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なので、手前からのみ撮影。

 

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片柳アリーナは地下4階立ての大ホールです。

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この会場が地下にあります。

 

司会はなんと元フジテレビアナウンサーの野島卓先生です。贅沢。

2022年9月より、東京工科大学片柳研究所の教授をされています。

式の模様は、Youtubeでライブ配信され、4/16までアーカイブが見れるそうです。

https://www.youtube.com/watch?v=kZVEiE00ILU

新入生の皆様、入学おめでとうございます。近々お会いするのを楽しみにしています。

新入生の皆さんへ

2023年4月 5日 (水) 投稿者: メディア技術コース

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。メディア学部長の大淵です。

皆さんの多くは、ちょうど高校の3年間が新型コロナと重なってしまい、難しい高校生活を過ごしたのではないかと思います。ようやく社会の制約も緩和されてきたところだし、大学入学を期にいろんなことを頑張ってみようと張り切っているかもしれません。対面の講義や演習でしっかり勉強してみようとか、サークル活動やアルバイトをがんばろうとか、ともかくたくさん友達を作りたいとか、やりたいことは沢山ありますよね。

それはもちろん素晴らしいことですが、あまりに期待が大きすぎると、思うようなスタートが切れなかったときに、反動で五月病になってしまう心配もあります。さいわい、大学では授業の取り方の自由度が大きく、人間関係が簡単には固定しないという特徴があります。最初の期待と少しぐらい違うことがあっても、そこからゆっくり軌道修正していけば、きっと楽しい大学生活が送れるはずです。

軌道修正ができるということは、最初にチャレンジして失敗しても大丈夫ということでもあります。やろうかやめようかと迷ったときは、「楽しそうだな」と思う要素がちょっとでもあれば、とりあえずやってみることをお勧めします。10個の新しいことにチャレンジして、結果的に楽しかったことが2つか3つでもあれば、あなたの学生生活は大成功です。皆さんのこれからの4年間が、楽しく充実したものになることを期待しています。

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沖縄1: 久々の飛行機

2023年4月 3日 (月) 投稿者: メディア技術コース

文責:榎本

 

今年の3月は、いよいよ学会が対面で開催されるようになってきました。

私がプログラム委員をさせていただいた言語処理学会も満を持して、沖縄での現地開催とオンライン開催の併用という形で行われました。

言語処理学会第29回年次大会(NLP2023)

3月13日から17日までとかなりの長期間に渡っての開催です。開催場所は沖縄コンベンションセンターという非常に大きな場所で、コンサートやスポーツイベントが開けるほどの展示棟や3階まで観客席のある劇場棟が、会議室に併設されています。

学会参加員が1,000名を超えることが予想されていました。

 

私としては3年ぶりの飛行機になります。九州、四国、沖縄方面へのLCCであるソラシドエアに乗りました。

 

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久しぶりの羽田空港。そこそこの賑わい。3月12日。

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ソラシドエア。黄緑色の機体が爽やかですね。ANAの一環として航行されているようです。

 

それでは行ってまいります!

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