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2023年5月

6月18日(日)開催のオープンキャンパスで研究成果の展示を行います!

2023年5月31日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

来たる 6 月 18 日(日)に開催される来場型のオープンキャンパスにて,模擬授業を担当させていただくことは,先日(5/29)のブログにて紹介しました.

模擬授業を担当するほか,わたしたち菊池研究室の研究成果も展示いたします.

わたしたちの研究室では,CG映像・技術の中でも「VFX」や「自然現象」,および「食べ物」などをリアルに表現するための CG 技術を研究しています.研究成果のダイジェスト映像は,こちらからご覧ください(音が流れますので,音量や周囲の環境などにご注意ください).

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6 月 18 日のオープンキャンパスでは,研究室所属学生が日ごろ研究活動を行っている「研究室(研究棟C・519号室)」を公開し,
そこで研究成果動画をたくさん流しながら実際に研究活動を行っている学生が,来客の皆様に研究のポイントなどを説明いたします.

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最新の研究成果も出し惜しみなく(笑)紹介いたしますので,是非会場にお越しください.



6月18日(日)開催のオープンキャンパスで模擬授業を行います!

2023年5月29日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

来たる 6 月 18 日(日)に開催される来場型のオープンキャンパスにて,模擬授業を担当させていただきます.
本日のブログでは,模擬授業の内容を簡単に紹介したいと思います.

今回の模擬授業は「最新 CG 映像の作り方」と題して,CG 映像の基本的な理論と制作手法を解説しながら,皆様が日頃様々なコンテンツで目にしている最新の CG 映像がどのようにして制作されているのかを紹介します. 
また,私たちの研究室での最新研究成果についても紹介する予定です.

コロナ禍の期間は中止されていた模擬授業が,3年ぶりに復活します.
多くの方々にお会いできることを楽しみにしておりますので,是非ご来場ください.
スタッフ一同,心よりお待ちしております.

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観光とメディア(その3)

2023年5月26日 (金) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア社会コース助教の鈴木です。

今週は『観光とメディア』についてお話ししています。

 

その1では前段として「なぜ観光が重要なのか?」について、その2では『アニメと観光』についてお話ししました。その3では前回の続きとして、アニメによる観光振興についてお話しします。

 

前回お話しした通り、アニメの舞台を巡る観光スタイル(聖地巡礼)に注目が集まり、いかにしてこれを観光振興に繋げるかが重要になっています。今回は1つの取り組みとして『訪れてみたい日本のアニメ聖地88』を紹介します。この取り組みは2018年から始まったもので、旅行やアニメ関連業界の有識者によって組織されたアニメツーリズム協会によって、日本のアニメ聖地が毎年88か所選定されるというものです。実際の聖地のリストや選定基準等は下部のURLからご覧になれます。

 

アニメの聖地に関する情報が集約されリスト化されることで、観光客にとっては対象が明確になり「88か所全部行きたい」「この中で〇〇のものは行きたい」といったモチベーションが生まれます。また、多くの聖地には御朱印が置かれていて、これを集めることもモチベーションの1つになるでしょう。こうした仕掛けは可視化や報酬などと呼ばれる『ゲーミフィケーション』の要素であり、モチベーション向上の手段として用いられます(興味のある人はぜひ調べてみてください)。

 

一方で、聖地巡礼がメジャーになり商業化されることをマイナスに捉えるアニメファンもいます。アンダーグラウンドにボトムアップの形で行われていたものが、急にトップダウンの形になって拒否反応が生まれることは観光に限らず様々な分野で散見されます。また、自分の住む町にアニメの看板やオブジェが設置されたり、アニメファンが多数押しかけたりすることをネガティブに捉える人も少なからずいます。アニメは世界に誇れる日本の文化ですが、アニメに対する偏見が完全になくなるのはまだまだ先のことでしょう。アニメによる観光振興を行うには、地域住民とアニメファン双方に寄り添った取り組みが必要です。メディア学部の学生はアニメファン視点の提案は得意な人が多いと思いますが、それによって地域の人にどのようなメリット・デメリットがあるのかまで考えることができれば、とても面白い研究が生まれるのではないでしょうか。

 

参考文献

アニメツーリズム協会:訪れてみたい日本のアニメ聖地882023年版),https://animetourism88.com/ja/88AnimeSpot

観光とメディア(その2)

2023年5月24日 (水) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア社会コース助教の鈴木です。

今週は『観光とメディア』についてお話ししています。

 

その1では前段として「なぜ観光が重要なのか?」についてお話ししましたが、その2ではメディア学部の学生の関心も高い『アニメ』と観光についてお話しします。

 

ご存知の方も多いと思いますが、アニメに登場した舞台を巡る『聖地巡礼』と呼ばれる観光スタイルがあります。アニメの聖地巡礼が一般的に広く知られたきっかけとしては、アニメ映画『君の名は。』の大ヒットをきっかけに、2016年の新語・流行語大賞へノミネートされたことが挙げられます。一方で、アニメファンの間では「何をいまさら?」という反応も多かったと思います(私もその1人です)。

 

アニメの聖地巡礼の起源について研究した岡本(2009)によると、アニメの聖地巡礼行動は1990年代前半から行われていて、『聖地巡礼』という表現も90年代から用いられていた可能性が高いとされています。私の個人的な記憶でも、少なくとも2000年代には聖地巡礼という言葉はインターネット掲示板を中心に使われていたと思います。この古くからある聖地巡礼が、前回お話しした観光客を増やそうとする取り組みと結び付いて近年ではさらに注目されています。

 

地域が観光客を増やすためには魅力的な観光資源が必要です。典型的な例で言えば、温泉、寺社仏閣、テーマパーク(遊園地)などが挙げられます。しかし、観光客を増やしたくても、これらの観光資源を急に作ることはできません。これらと比較すると、アニメの聖地を目指すというのは難易度が下がります(あくまで比較であって、これも難しいですが)。つまりアニメの聖地化は、今まで観光資源を持っておらず、作ることも難しい地域が『観光地』になるための1つの現実的な手段として考えられています。これはアニメ業界にとって大きな変化であると思います。

 

もともとアニメは子どものためのもの、あるいはオタクと呼ばれる一部の大人のためのものと捉えられていましたが、現在では地域を救うための重要なコンテンツと言えます。特に外国人からの評価が高く、人口が減少し続ける日本が経済規模を維持するためには、アニメによる国外からの誘客が欠かせないでしょう。言い換えれば、大学生・大学院生にとって『アニメと観光』はとても意義のある研究テーマと言えるでしょう。

 

参考文献

岡本健:アニメ聖地巡礼の誕生と展開,北海道大学観光学高等研究センター文化資源マネジメント研究チーム編,CATS叢書1号 メデイアコンテンツとツーリズム,pp.31-622009

観光とメディア(その1)

2023年5月22日 (月) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア社会コース助教の鈴木です。

今週は『観光とメディア』についてお話ししようと思います。

 

その1では前段として「なぜ観光が重要なのか?」についてお話しします。

ただし、ここでの視点はお客さんとしてではなく、観光客を増やそうとする誘致者の視点です。現在日本は『観光立国』を目指しています。観光立国とは観光産業を主要な産業として国の経済を支える1つの基盤とすることです。同じように『観光立県』を目指す地域も多く存在します。ではなぜ多くの人々は観光客を増やそうとするのでしょうか?

 

結論を先に言ってしまうと、「地元のお客さんが減っているから、外からお客さんを連れてくる」ためです。地元のお客さんというのは人口のことで、東京など一部を除く多くの地域の人口が減少していることはみなさんご存じだと思います。人口(お客さん)が減ると、それに伴って地域のお店や企業も撤退・倒産などで減ってしまいます。これにより、住民にとっては消費者として買い物をする場所が減り、労働者としても働く場所が減ることになるので、その地域に住む理由がなくなり、さらに人口が減少するという負のスパイラルが始まってしまいます。

 

これを食い止めるための手段として観光が注目されています。人口が減っても日常的に観光客が訪れてくれれば、お客さんの数は減らないので、お店や企業の撤退・倒産を食い止めることができます。そして、観光客は単に地域のお客さんの数を増やすだけでなく、その質にも注目が集まっています。観光庁によると、地域住民1人が年間で消費する金額を、観光客は数十人が1回旅行するだけで消費するとされています。具体的には、23人の観光客が宿泊旅行をすることで住民1人の年間消費額を消費すると言われています。外国人観光客にいたっては、たったの8人で住民1人の年間消費額を消費すると言われています。つまり、地域で消費される金額は

外国人観光客8人の数日 = 地域住民の1

という関係になり、地域にとっていかに観光客が優良なお客様であるかがわかると思います。こうした理由から国や日本の各地域は観光客を増やそうと様々な取り組みを行っています。

 

※もちろんこれはお金を稼ぐという視点であり、観光客が地域にマイナスの影響を与えることもあります。しかし、今回はその点は置いておいて、「トータルで見るとプラスの方が多い」と考えてください。

 

参考文献

観光庁:観光を取り巻く現状及び課題等について,https://www.mlit.go.jp/kankocho/iinkai/content/001461732.pdf

ChatGPTの爆発的なブームの観測法としてのGoogle Trends (Part1)

2023年5月19日 (金) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる全国唯一の健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインしたり、多くの人たちに役立つ健康改善するための健康アプリを制作するための研究を行っている研究室です。

現在、生成AIとしてChatGPTが世界じゅうの国、学校、企業、人々を巻き込んだ大ブーム・大論争になっていますが、皆さん個人としてはどうでしょうか?大ブームと大論争といって定量的に測定できるのは大ブームですので今回はその大ブームの様相について話していきたいと思います。

物事を検索するときにGoogle検索を使用するようになって久しいですが、Googleのサービスとして、Google検索のキーワードの検索数の経年変化を観測することができるGoogle Trendsというものがあります。Wikpediaによると以下のような説明があります。

Google Trends(グーグルトレンド)は、ある単語がGoogleでどれだけ検索されているかというトレンドをグラフで見ることができるツール。公開は2006年5月10日。日本版の公開は2008年10月28日。
[概要]
Google Trendsでは、入力した単語の検索数をグラフで示してくれる。このときその単語に関連したニュースを見る事ができ、特に検索数が多いときに何があったのかが分かるようになっている。特定の国、期間に絞ったグラフを見ることもでき、また世界中の都市や国、言語毎にどこでの検索が最も多いのかのランキングも提供される。さらにコンマで区切ることにより複数の単語のグラフを比較することも可能である。
リアルタイムの検索トレンドとして急上昇ワードを見ることができるだけでなく、検索キーワードから1年を振り返るなどで、長いスパンでの検索トレンドから毎日のニュースまで幅広く知ることができる。

実際に、分かり易い例として以下のWebアプリ、Webサービスの検索数を使ってみます。
1.Google(1996年~、月間利用者数7億人)
2.Facebook(2004年~、ユーザ数29億人)
3.Youtube(2005年~、月間利用者25億人)
4.twitter(2006年~、月間利用者5.5億人)
5.Instagram(2010年~、月間利用者数20億人)
6.LINE(2011年~、月間利用者1.9億人)
7.TikTok(2016年~、月間利用者数10億人)
8.ChatGPT(2022年~、1億人)

まず、ChatGPTと新興SNSの比較を2004年から現在&世界中で実行してみます。
8.ChatGPT、4.twitter、5.Instagram、7.TikTok、の順です。2010年前後にtwitterとInstagramがブームになってきて、その後にTikTokが2019年にブームの始まりといった感じです。そしてChatGPTは右下で少しだけ変化が見えますが、世界を代表するSNSと比較してその位置が分かるくらいの利用数(検索数)なのでそれなりにインパクトがあります。


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左記の例では国内トップのLINEの情報がありませんでしたが、LINEも追加して比較してみます。LINEの利用が年々減少しているように見えるのは、Google検索全体が増えていて、相対的にLINEの割合が減っているためです。そして注目のChatGPTですが、ちょうど2023年4月にLINEとほぼ同等の検索割合になったことが分かります。去年の秋にリリースされたChatGPTがLINEと同等になっていることはすごいことですね。

 

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2023年5月6日:友達を 喜ばせんと 甘精堂

2023年5月17日 (水) 投稿者: メディア技術コース

(この記事は2023年5月6日に執筆しています)

さて、今日は、野沢温泉から1時間ほど地道で車で行ける小布施に行って参りました。

 

葛飾北斎の北斎館で、「東都遊覧~北斎と巡る江戸の町~」という企画展でした。

 

冨嶽三十六景』(ふがくさんじゅうろっけい)は、葛飾北斎による富士図版画集である。1831-34年(天保2-5年)版行。全46図。大判[注釈 1]錦絵版元西村屋与八(永寿堂)。 by wikipedia

 

誰しも知るが、実物をやはり見たい!

 

いやあ、図版や図録、クリアファイル、物販店に大量投資してしまいました。まだ東京でも

 

1.Tインターコミュニケーション・センターギャラリーE 23.4.29-10.01 「生きるが如く描く 北斎肉筆の宇宙」

2. 太田記念美術館 23.4.1-5.28 「江戸にゃんこ」

 

などの展示があるそうです。ぜひ行かねば!

 

 

 

小布施は、栗が名称で、栗羊羹、栗パフェ、栗プリン、など栗付きの聖地です。

 

 

近しい先生方とお茶をするために、こんなお菓子を買ってしまいました。

 

友達を 喜ばせんせんと 甘精堂

2023年5月5日:GWも 終わり近けり 叢雲や

2023年5月15日 (月) 投稿者: メディア技術コース

文責:榎本(この記事は2023年5月5日に執筆しています)

 

みなさま、楽しかったGWもあと少しで終わりですね。どのように過ごされたでしょうか?

 

私は野沢温泉のお祭りの研究が高じて、野沢に別荘を購入しているのですが、そこで晴れた空と共に暮らしていました。

 

今日は、野尻湖に遠征して、ナウマンゾウ博物館小林一茶記念館に行ってきました。

 

ナウマンゾウとマンモスは近いようで種族が違うんですね。ナウマンゾウは、頭にベレー帽を被ったような骨組みがついているのが特徴だそうです。

 

ナウマンゾウ博物館に行ったところ、5月5日は小林一茶の誕生日で、一茶記念館が無料(普段は入館料500円)ということで、そちらにも足を伸ばしました。生家が柏原という野尻湖近くにあり、記念館があります。「痩ガエル 負けるな一茶 ここにあり(痩せた蛙よ負けるな、一茶がここで応援しているぞ)」「雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る(雀の子よ、早くそこをどかないと馬に踏み潰されてしまうよ)」なんかが有名ですね。

 

芭蕉が一生によんだのは1千句なのに対し、一茶が生涯によんだ俳句は2万だそうです。記念館では、一茶直筆の句の帳面が展示されており、何年何月何日、天気、何があったか、の下にその日の俳句が書かれていました。多いものでは、ひと月に109とかありました。つまり、一日3句とかですね。非常に多産で几帳面だったんですね。

 

私もこのブログでたくさんの俳句を行こうかなと思いました。

 

 

 

 

これは野沢の別荘の前の道から撮った今夜の月です。

 

さて一句。

 

GWも 終わり近けり 叢雲や

 

「叢雲(むらくも)」は重なり合った雲です。その奥に月の光が透けていて美しいです。しかし、お天気の良かったこの5日間の後に暗雲立ち込める感じもして、少し先行き不安な今宵です。

 

かしこ。

研究紹介:ジェネレーションギャップの可視化システム

2023年5月12日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。

今回は、私の開発したジェネレーションギャップの可視化システムの紹介です。

日本で幼少期を過ごした場合、多くの方がウルトラマンや仮面ライダー、スーパー戦隊シリーズ、プリキュアなどの作品群を観たことがあると思います。
しかし、長期間にわたって放映されているシリーズ作品は、年齢の異なる人物同士で話題にした際に、同じシリーズであっても実際に視聴していた作品が異なる場合が多くあります。
また、昔の記憶なので各自が視聴していた作品が何年のものなのか、また別の人が視聴していたというその作品はいつのものなのか想像がしにくいです。

そこで、多くの特撮・アニメ・映画作品などについて、年表上に表示することでいつの作品かを可視化するシステムを開発しました。
タイトルを年表上に配置し、ドラッグやホイールによるズームイン・アウトをすることでより多くの作品群の情報を見ることができます。現在868作品分の情報を掲載しています。

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年表の部分をクリックすることで、その年度(1~3月生まれの方は前年を指定)に生まれた方が各年で何歳だったか(義務教育期間分については何年生だったか)も表示できます。
これによって、例として1986年生まれの私と2004年生まれの今年度新入生の方のジェネレーションギャップが可視化できます。

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今年度新入生の方は生まれる前からプリキュアシリーズが放映していた・・・ようですね・・・。

・・・。

 

さらに、ユーザー登録していただくことで自身の視聴していた作品群を入力することができるようにしました。
ユーザー登録なしで各自の年齢をクリックし見比べるだけでも楽しいですが、双方の視聴していた作品群が表示されていればより会話が盛り上がると思います。
例として、私と今年度の四年生男女二名の視聴データを並べてみました。視聴していた作品名が各自の色で表示されます。

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私はスーパー戦隊シリーズや仮面ライダーの一部作品と、娘が生まれて以降のプリキュアシリーズをいくつか観ています。
女子学生さんは幼少期にプリキュアシリーズといくつかの仮面ライダー、男子学生さんはプリキュアシリーズは全く観ていないですがスーパー戦隊・仮面ライダー・ガンダムシリーズの作品をかなり多く視聴していた様子が窺えます。

画面右上の「ユーザー追加」ボタンからユーザー登録や視聴作品登録、他の人のユーザー名を入力すればユーザー間の視聴履歴の比較ができます。
これからも改良を続けますが、現時点でもある程度楽しく利用いただけると思いますので、よければ使ってみてください。
https://contents-lab.net/ggviewer/

前期の授業紹介:クリエイティブ・アプリケーション

2023年5月10日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。

2023年度も前期授業が始まりました。今回は水曜4・5限に開講するプロジェクト演習「クリエイティブ・アプリケーション」の紹介です。
以前にも紹介しており、内容に大きな差はないのですが、環境に大きな変化があったので紹介します。

以前は片柳研究所棟の5F、MTCという施設で実施していたのですが、施設のリニューアルに伴い開講場所を変更しました。
今期からは講義実験棟5Fの、C-Room1という教室で実施します。

この演習は前期中はメディア史や西洋美術史など、歴史に関する座学とディスカッションをメインで行っています。
しかし、実施内容は人文学的ですが、それを何のためにしているかと言うと、アプリ開発のためです。

アプリ開発を行う際には、プログラムの技術的な学習や企画力など実装・内容検討に関わる部分の学習も多く必要です。
しかし、その際にそれら双方の土台となる教養として、メディア史や美術史、哲学などの『人類の積み重ねてきた叡智』への理解が活きてきます。
実際に役に立ち始めるのは学習してしばらくしてからで、間をおいて出てくることが多いのですが、遅効性ながら大きな効力があると考えます。

というわけで、人文学的な部分の座学も内容として多く実施するのですが、アプリケーションを開発することもまた大きな目的の一つです。
iOSデバイスを対象に、Swiftを利用しプログラムの講座も行います。先日紹介したTUTSchoolBusは、この授業で使用されている資料を参考に開発しています。
これまでは自身でMacの機材を持っていないと実際の開発が難しかったのですが、今年度からはC-Room1にあるMacStudioが利用可能です。

MacStudioは昨年発売されたばかりの、現行機種の中でも上位の処理能力を持つ機材です。C-Room1には多く配置してあり、受講生はこれを使いアプリの開発を実際に行えます。
AppStoreで公開しようと思うともう少し色々することはありますが、手元のiPhoneやiPadで実行できるアプリを作るだけなら割とすぐにできるようになりました。

ちなみにこの演習の受講生が、昨年度に大きな成果を残してくれました。授業の資料を参考にアプリを制作し、Appleから表彰されています。
http://blog.media.teu.ac.jp/2022/06/post-d23909.html

表彰を狙う必要はありませんが、アプリ作りができると将来の選択肢が色々広がります。
座学・ディスカッションで教養を深めるフェーズとあわせ、大変お勧めのプロジェクト演習です。
今からだと履修はできませんが、聴講はいつでも歓迎ですので、水曜4・5限に空きがあれば覗いてみてください。

スクールバスの行列状況の取得アプリ『TUTSchoolBus』について

2023年5月 8日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

助教の戀津です。
今回は、私の開発・公開しているアプリの『TUTSchoolBus』について紹介します。

本学の八王子キャンパスは最寄り駅から距離があるため、スクールバスの運行をしています。
バスは主に八王子みなみ野駅と八王子駅から発車していますが、朝の時間は1限の授業に向かう学生さん達で大変に込み合ってしまいます。

特に八王子駅が大変で、8:50開始の1限に間に合うためには8:00に八王子駅到着では厳しいくらいに混雑します。
そうなってくると、八王子駅で改札を出ずに、そのまま横浜線に乗り換えて八王子駅みなみ野駅へ行き、そこからみなみ野のバスに乗った方が早い・・・ということが起こりえます。
さらに、八王子みなみ野駅も混んでいた場合駅から徒歩も選択肢に入ります。もちろん歩く速度に依りますが、20分前後で登校可能なので駅で10分以上待つようであれば徒歩の方が早く着く可能性があります。

こうした交通事情があるのですが、上記のような回避策を取ろうと思った場合、八王子駅では改札を出る前に、八王子みなみ野駅では改札を出てバス停に向かう前に込み具合を知る必要があります。
そこで、本学スクールバスの行列状況を測定するためのアプリを開発し、リリースしました。TUTSchoolBusというそのまんまなタイトルですが、スクールバスにまつわる諸々の機能を提供できればということで設定しています。

八王子駅であれば改札階からバス停のある地上へ降りるエレベーター付近、八王子みなみ野駅であればバス停に向かう階段付近を通過した時にバス利用開始として扱い、その時点からバス列の情報取得になります。
バス停から20m、40m、60m、80m付近を通過した時にもログを取得しており、これによって『現在60m~80m付近に5分滞在している人がいる』、というような情報が取得できます。
この情報を使えば、現在のバス列のおおよその長さとバスに乗れるまでにかかる時間が推測できます。また、大学到着時にもログを取得しているのでバスの経路が渋滞している場合もそれを検知できます。

現在はiOS版のみ開発・公開しており、iPhoneユーザーの方にご協力をお願いしています。
登校時、駅に着くまでにアプリを起動しておけば、後はバックグラウンドにあるだけで自動的に位置情報のログを取得します。
八王子駅または八王子駅みなみ野駅に到着したら到着の通知を出すので、別のアプリを使用していても通知で気付くことができます。
各駅と、バス停付近と大学付近の位置情報を使用し、現在各駅のバス停付近がどのような状況かを計測します。

八王子駅の改札を出る前に「八王子バス大学到着まで50分/みなみ野バス大学到着まで30分」というような表示ができれば、横浜線と徒歩の方が早いことがわかり、その選択ができるようになります。(運賃はかかってしまいますが・・・。)
現在のバージョンでは、↑これができるよう情報収集と所要時間推測方法の検討を行っています。

位置情報の取得は随時行いますが、上記特定の個所以外では送信せず、大学に到着すれば自動で取得を終了します。
また、この地点に現在何人いるということはわかってもそれが誰であるかはわからないようにしています。

現状はデータ収集のためだけのアプリになってしまっていますが、現在時刻表機能を準備中です。
アプリを起動すれば、現在地に応じて八王子駅バスまたは八王子みなみ野駅バスの現在時刻から3本先くらいまでのバス発車時刻を表示予定です。
そのほかスクールバス利用に関する便利機能があれば随時更新しようと思います。利用者が増え多くの方が情報を提供していただければ、その分推測の制度が上がりますのでiPhoneユーザーの方はインストールしていただければ幸いです。

こちらからダウンロード可能です。よろしくお願いします。
https://apps.apple.com/jp/app/id1659882368

メディア社会コースブログ Web1.0,2.0,3.0について

2023年5月 5日 (金) 投稿者: メディア社会コース

こんにちわ、メディア社会コースの進藤です。
今週は3回にわけて、Web1.0,2.0,3.0(もしくは3)についてお話します。
今回はWeb3.0(もしくは3)についてです。
2010年代後半から,Web3.0の考え方が広まってきました。Web3.0とは,ブロックチェーン技術を利用して構築される分散型ウェブのことです(會田,2022)。ブロックチェーン技術とは,情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して,取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種です(総務省,2018)。ここから,Web3.0 は,人やシステムの面で分散性を高め,企業・組織ではなくユーザ自身でデータの所有・管理の役割を担うことをめざしているということができます(會田,2022)。非民主化,独占を特徴としたWeb2.0に対し,分散を特徴とするWeb3.0には大きな可能性がありますが,現在では,本格的な社会への実装の緒に就いたばかりであり,今後の発展が期待されるところです。
<参考文献>
會田拓海(2022)「Web3.0トレンドを俯瞰する ~ブロックチェーン技術が実現する次世代のインターネット~」日本総研
   URL: https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=103308
総務省(2018)「平成30年版情報通信白書」総務省
  URL: https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd133310.html

メディア社会コースブログ Web1.0,2.0,3.0について

2023年5月 3日 (水) 投稿者: メディア社会コース

こんにちわ、メディア社会コースの進藤です。
今週は3回にわけて、Web1.0,2.0,3.0(もしくは3)についてお話します。
今回はWeb2.0についてです。
1990年代後半には,Amazon(1994年創業),Google(1998年創業),Facebook(2004年創業)といった,プラットフォーム企業が登場して,インターネットをめぐる環境を大きく変えました。こうした巨大企業が提供するソーシャルメディアやアプリは生活者に無料で提供されたので,だれでも情報の発信やコミュニケーションがかんたんにできるようになりました。それは,反面,多くの人々が巨大企業の提供する私的でクローズドなサービスを日々使い,囲い込まれることにもつながりました。この時代のことをWeb2.0と呼びます。Web2.0の時代は,モバイルが大きく発展,普及した時代でもありました。
しかしWeb2.0の時代に,結果として,インターネットは,自由で民主的な場から,巨大企業が支配する場に急激に変貌していきました。これらの会社が仕組みやルールを作り,多くの人々は,中身や本質もわからずこれらのサービスをただ使っているだけという状況になったのです。また,人々の個人情報がこれらの巨大企業に集められ活用されるようになり,広告ビジネスが巨大化しました。しかし,人々は自分の個人情報が使われていることはあまり意識しないで,無料に感じられるサービス(本当は利用者は自分の個人情報や広告を見る時間を対価として支払っている)を,日々,長時間使っているのです。
こうした,急激な,インターネットの非民主化,独占化に対し,WWWの父,ティム・バーナーズ・リーらは,強い危機感を抱きました。2016年に開催したDecentralized Web Summit (2016)を開催するなどして,一部の巨大な企業が支配する,現在の中央集権的なインターネットを変えようと,呼びかけました。

メディア社会コースブログ Web1.0,2.0,3.0について

2023年5月 1日 (月) 投稿者: メディア社会コース

こんにちわ、メディア社会コースの進藤です。
今週は3回にわけて、Web1.0,2.0,3.0(もしくは3)についてお話します。
今回はWeb1.0についてです。
Webは、1990年に,インターネット上の情報にアクセスする仕組みとしてWWW(World Wide Web)がヨーロッパ合同原子核研究機構(CERN)において,ティム・バーナーズ・リーらによって開発されことからはじまります。WWWは,もともとは,インターネット上の学術知識の共有をめざして開発されたもので,ハイパーリンクによって,相互に関連付けられていくという特徴を持っています。
以上のような経緯を経ているため,1990年代初頭までは,インターネットを使う人は,研究者,技術者が多くを占め,あまりビジネスには使われていませんでした。インターネットは自由に議論したり情報をやりとりしたりする場であり,民主的な活動が繰り広げられていました。
続く1990年代半ばからは,一般家庭でもダイヤルアップによるインターネット接続が容易に可能になり,加えて,多様なブラウザが登場することで,様々な情報がウエッブ上で提供されるようになりました。さらには,マイクロソフトによるWindows95のオペレーティングシステム (OS)の提供開始により,Web1.0の時代が本格的に始まりました。さらに,技術の発展と多様な事業者の参入による競争の激化でインターネット接続料金は低下していきました。こうした,インターネット接続やパソコンの性能の劇的な向上と値段の低下,続くスマートフォンの登場が,インターネット,コンピュータの普及と一般化をもたらしたのです。

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