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観光とメディア(その3)

2023年5月26日 (金) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア社会コース助教の鈴木です。

今週は『観光とメディア』についてお話ししています。

 

その1では前段として「なぜ観光が重要なのか?」について、その2では『アニメと観光』についてお話ししました。その3では前回の続きとして、アニメによる観光振興についてお話しします。

 

前回お話しした通り、アニメの舞台を巡る観光スタイル(聖地巡礼)に注目が集まり、いかにしてこれを観光振興に繋げるかが重要になっています。今回は1つの取り組みとして『訪れてみたい日本のアニメ聖地88』を紹介します。この取り組みは2018年から始まったもので、旅行やアニメ関連業界の有識者によって組織されたアニメツーリズム協会によって、日本のアニメ聖地が毎年88か所選定されるというものです。実際の聖地のリストや選定基準等は下部のURLからご覧になれます。

 

アニメの聖地に関する情報が集約されリスト化されることで、観光客にとっては対象が明確になり「88か所全部行きたい」「この中で〇〇のものは行きたい」といったモチベーションが生まれます。また、多くの聖地には御朱印が置かれていて、これを集めることもモチベーションの1つになるでしょう。こうした仕掛けは可視化や報酬などと呼ばれる『ゲーミフィケーション』の要素であり、モチベーション向上の手段として用いられます(興味のある人はぜひ調べてみてください)。

 

一方で、聖地巡礼がメジャーになり商業化されることをマイナスに捉えるアニメファンもいます。アンダーグラウンドにボトムアップの形で行われていたものが、急にトップダウンの形になって拒否反応が生まれることは観光に限らず様々な分野で散見されます。また、自分の住む町にアニメの看板やオブジェが設置されたり、アニメファンが多数押しかけたりすることをネガティブに捉える人も少なからずいます。アニメは世界に誇れる日本の文化ですが、アニメに対する偏見が完全になくなるのはまだまだ先のことでしょう。アニメによる観光振興を行うには、地域住民とアニメファン双方に寄り添った取り組みが必要です。メディア学部の学生はアニメファン視点の提案は得意な人が多いと思いますが、それによって地域の人にどのようなメリット・デメリットがあるのかまで考えることができれば、とても面白い研究が生まれるのではないでしょうか。

 

参考文献

アニメツーリズム協会:訪れてみたい日本のアニメ聖地882023年版),https://animetourism88.com/ja/88AnimeSpot

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