聴覚障害者と音楽イベント
2023年7月28日 (金) 投稿者: メディア社会コース
今日は、今年から始めた新しい研究をご紹介します。
研究テーマは、「聴覚障害者が音楽イベントに参加する際の課題及び実態の調査と提言」です。
音が聞こえなかったり、聞こえにくかったりする聴覚障害者の方々も、音楽を楽しんでいることをご存知でしょうか。最近、アメリカでは有名アーティストのコンサートで、手話通訳者がアーティストと一緒にステージに上がるケースもあります。日本でも小規模ではありますが、音楽イベントと手話のコラボレーションが始まっています。いずれも、聞こえの多様性に対応した新しい形の音楽イベントと言えます。
聴覚障害者の聞こえ方は様々であり、補聴器や人工内耳を使用して十分に音楽を楽しむことができる人もいれば、リズムを振動で感じたり、楽器を演奏したり、カラオケで歌ったりと、自分なりの楽しみ方があります。また、学校教育においては音楽を楽しむだけでなく、言語発達への効果が期待されており、聴覚障害者を対象とした特別な音楽会も実施されています。
最近は、振動デバイスをはじめとする技術の導入もあり、聴覚障害者が音楽を楽しむための工夫がされています。しかしこれまでの研究では、聴覚障害者が音楽イベントに参加する際の課題について詳細に調査されたものはほとんどなく、これからどのような技術を活用し、どんな工夫をすれば良いか明確になっていません。この調査は、具体的な課題を明らかにし、聴覚障害者が音楽イベントをより楽しめるような共生社会の実現に向けた取り組みに生かすことを目的としています。
聴覚障害は「見えない障害」とも言われています。見た目では分からないため、気づくのが難しいことがほとんどです。「聞こえていないかもしれない」という認識が頭の隅っこにあるだけで、助かる人々がいることを忘れないで頂ければ嬉しいです。
メディア学部 吉岡 英樹
略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。
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