« 2023年8月 | トップページ | 2023年10月 »

2023年9月

卒研 Smart-IMを支える演習(2):デジタルテキストデザイン

2023年9月29日 (金) 投稿者: メディア社会コース

前々回の記事で紹介した研究室Smart-IMを下支えする演習として、今回はメディア専門演習「デジタルテキストデザイン」についてお話しします。

前回のeBookデザインと同様、電子書籍制作を実施する演習ですが、グループでテーマを決めて設計や構成などを行い、その後に開発作業に移ります。テーマについては自由度を高くしていて、これまでの制作物は、料理や旅行・ファッションなどの趣味を紹介する電子雑誌系が多いです。

オーサリング環境(制作環境)は、MacPagesです。Macに馴染んでいない方は、WindowsWordPowerPointがある程度融合したクリエイティブ環境というイメージでいいでしょう。このツールを使いながら、解像度や文字フォントの特性、インフォグラフィックスなどについての理解も深めます。

文責: メディア学部 松永

2023.09.29

卒研 Smart-IMを支える演習(1):eBookデザイン

2023年9月27日 (水) 投稿者: メディア社会コース

前回の記事で紹介した研究室Smart-IMを下支えする演習として、今回はプロジェクト演習「eBookデザイン」についてお話しします。

昨今、電子書籍市場が活況を帯びています。日本は、漫画文化をその柱として、その市場を席捲してきました。一方、ペーパーレス時代に向かう中、電子コミックではなく電子教科書の需要も高まっており、そこへのチャレンジとして、本演習を運用しています。まず、“学びやすさの設計であるインストラクショナルデザインと“わかりやすさの設計である情報デザインを学び、AdobeInDesignを用いた教科書制作に臨みます。このInDesignは、電子書籍に関する最新のEPUB3という国際規格に準拠しており、それに関しての学びもあります。

文責: メディア学部 松永

2023.09.27

研究室の紹介:スマートインストラクショナルメディア

2023年9月25日 (月) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部の社会コースは、経済や経営、広告など、多様な分野の研究を展開しています。そして、教育もその社会コースにおける重要な研究テーマです。スマートインストラクショナルメディア(Smart-IM)は、次世代の教育や学習支援に寄与する研究を推進しています。ICT(情報通信技術)を活用した新たな学習システムや学習スタイルを創案し、それを実現するためのコース設計やメディア設計、教材開発やシステム構築を行うことを研究の基本指針に据えています。

本研究室は社会コースの位置づけですが、研究の方向性は多様で、コンテンツ・技術・社会というメディア学部が掲げる3つの領域に関わる内容を扱っています。

 

Smartim_research_field

 

次回と次々回では、本研究室に関連する2つの演習を紹介します。

文責: メディア学部 松永

2023.09.25

言葉の意味が変わってしまう

2023年9月22日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

寺澤先生の記事を読んで、私もちょっと思ったことがあるので書いてみます。

人は新しい言葉をどんなふうに覚えるのでしょうか。日常生活で聞きなれない言葉に出会ったとき、わざわざ調べる人というのは少数派で、たいていはその場の前後関係などで推測してしまうのではないかと思います。

最近すっかり普及した新語の一つに「ギガ」があります。ギガとはもともと10の9乗を表す言葉で、工学や数理科学のいろんな場面で使われていましたが、それまでこの言葉を聞いたことが無かった人が、スマホのデータ量として初めてこの言葉を聞き、ギガ=スマホのデータ量という意味だと思ってしまったようで、今ではすっかりそちらの意味で使われる言葉になりました。

私はスキーが好きなので、こういう話になると「アイスバーン」という言葉を思い出します。これはドイツ語で「凍った道」を表す言葉ですが、「アイス」が氷で「バーン」が道を表しています。ただ、「アイス」は英語と同じ発音で良く知った言葉なので、「バーン」というところだけに意識が向いて、バーン=凍った道だと思い込んでしまう人が多いようです。雪道を運転していて、「うーんちょっとバーンになってるね」なんて言う人がいると、心の中で「いや凍ってなくても道は道ですけど…」と突っ込んでいる私は、ちょっと性格が悪いですかね。

言葉の使い方

2023年9月20日 (水) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。メディア学部の寺澤です。今日は言葉(日本語)について最近感じていることを書こうと思います。私は大学教員として文章を書くことは仕事の一部ですが、日本語の専門家ではありません。ですから、これは個人的な考えという域を出ない話だとあらかじめご承知おきください。

「日本語の乱れ」というのはたびたび聞く言葉です。言葉は人々が日常使うものですから、新しい単語や表現が生まれたり、元の意味から使われ方や意味自体が変わるものが出てくるのはある意味自然なことです。歴史的にもそのように変化してきた言葉はたくさんあるそうです。

最近の例だと「課金」でしょうか。元の意味は「お金を課する」つまり、お金を徴収する側が使う言葉です。しかし、今ではゲームなどでお金を払うことを課金と呼ぶケースが増えていて、かなり市民権?を得てきているようです。「いいえ」という意味の「大丈夫です」もよく聞きますね。「いいえ」とはっきり言うときつい印象だという考え方なのでしょうか。

ほかにも「ぜんぜん」(ぜんぜん~ない、という否定の使い方が多いですが、「ぜんぜんOKです」でも通じてしまいますね)、「適当」(その場や状況、条件に最も合った、という意味ですが、「テキトーに」つまり、あまり深い考えなしに、という意味合いでも使われますね)など、いろいろあります。「真逆」は正反対という意味で使われますが、これも2000年代以降の表現だそうです(*1)。

*1)https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/20230601_8.html (NHK放送文化研究所、文中で三省堂国語辞典第8版に記載があると書かれています)

場や相手、文章の性質などによって適切な言葉使いは異なりますが、これらも崩れてきていますね。原因についてはいろいろな説があるようですが、複合的なものではないでしょうか。ただ、言葉はコミュニケーションの手段である以上、相手に自分の考えや気持ちがちゃんと伝わらなければ意味がないと思います。これまで挙げた例も年代(世代)によって違和感の感じ方が違うようです。相手や場によって使い分けるのがよいのでしょう。また、言葉使いでその人のことが判断されるのは普通のことです。レポートや論文の文章、就職活動の面接での言葉使い、初対面のビジネスの相手との会話などの場面で、相手が期待しているのと違う言葉使いは、落胆につながってしまう可能性があります。お互いさまではありますが、どういうときにはどういう言葉使いというある程度の枠があることは意識しておくとよいと思います。

(メディア学部 寺澤卓也)

大きなモニタ

2023年9月18日 (月) 投稿者: メディア技術コース

夏休みなので、ブログらしく身辺雑記的なことでも書いてみようと思います。

自宅用に大きなモニタを買いました。これまでは23インチのものを使っていましたが、今度は27インチです。微妙な違いですが、いろんな作業をするときのストレスが緩和されたような気がします。

大学の研究室については、自分のものも、学生さんたちのものも、なるべく良い環境を保とうと日頃から意識しているのですが、自宅はどうしても後回しになってしまいがちです。とはいえ、コロナ禍がひどかった頃に比べると自宅で仕事をする頻度は減りましたが、それでもちょっとした作業をする際には、モニタの大きさがとても重要です。資料を見ながらプログラミングをするときなど、左右に2つの画面を開いておけるだけで、作業がずっと楽になりますね。

学生の皆さんはノートPCを使うことが多いので、どうしても小さなモニタで作業することになると思います。でも、研究室の大きなモニタなどが使える環境では、ノートPCの画面を外部モニタに映して作業をするだけでも、結構効率が上がるかもしれませんよ?

(大淵 康成)

ゲームと学び

2023年9月15日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

コンテンツコースの特任准教授の安原です。

モチベーションの話を少し続けます。例えば、ある親が子供に対して「成績が上がったらゲーム機を買ってあげる」という約束をした場合、ゲーム機を手に入れたら子供は勉強を止めてしまうかもしれません。子供にとって「目的」はゲーム機で、勉強は面倒な「手段」になります。このようなケースは外的報酬と呼ばれるものです。一般的に皆さんが想像する理想的なモチベーションの発揮のさせ方は、勉強の過程に興味深い発見があったり、自ら好奇心を持ってより深く知りたい、という気持ちを沸き上がらせたりする内的報酬に結び付けることです。長年の受験制度の弊害は、偏差値の高い大学に入ることが「目的」となって勉強が「手段」となってしまいがちなところだと考えています。大学に入ったら勉強をしなくなってしまっては折角の高等教育も本末転倒です。

自分はビデオゲーム制作を学習モチベーションを起こす一つの方策として提案し続けています。ゲーム制作では、「数学」はとても大切です。特に三角関数、ベクトルを理解していないと、キャラクターを操作して好きな方向に弾を撃つことができません。ゲームを作ることは高校生以上の教育で得る数学、語学、プログラム、美術、建築、音楽、歴史、社会文化、文学・・などすべての経験と知識を横断して構築する学際的な総合芸術だと考えています。受験のための勉強に終わらせない「勉強」のヒントがここにあると考えています。ゲームを作るために数学を勉強しよう、歴史や語学を受験のための暗記ではなく、ヒトの営みとしてイメージして深堀してみよう!という自分の「作品制作」に学びを生かす、というモチベーションにつなげると、大学へ行くために学ぶという「目的」が生まれます。ゲームを作るために大学に来た学生が、その過程でもっと興味の惹かれる分野に出会うことも稀ではありません。なぜなら、ヒトは自然に学んでいくからです。「活動」のモチベーションは、そのように自分がこれ以上は上手くなれない、単純作業でこれ以上学ぶ必要がない、と感じた時に失われやすいものです。ヒトは学ぶとこで成長してしまうので、ものごとに飽きるのです。モチベーションを維持し続けるためには「活動」の「変化」が必要です。それに合わせて自分も新しい動きや操作を学ぶ必要が出てきます。ゲームデザインはヒトが常に学び続けられるような工夫をゲームに施します。外的報酬ではなく内的報酬に点火するのもまた「ご褒美」を使うのですが、それは「経験」と結びつけることが大切だ、というお話をまた次の機会に書きたいと思います。

 

 

ゲームと演習授業

2023年9月13日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

コンテンツコースの特任准教授の安原です。

メディア学部ではゲームデザインについての授業を受け持っています。演習の最終課題を作品コンテストとして開催し、ささやかな賞品を用意していると書きましたがその理由を述べます。ゲームは「ゴール(おしまい)」のある活動です。そしてその活動に対する「評価」が与えられる活動です。例えばバッティングセンターでボールを打ち返す活動はゲームでしょうか?ただ発射されたボールを打ち返す行為は、バッティングの練習の様ではあるけれど、「ゲーム」だとは感じていないと思います。しかし、例えばバッティングセンターの網に掛かっている「ホームラン」と書かれた看板にボールを打ち返して当てよう!とあなたが思った瞬間に、こころの中に「ゲーム」のような「活動」が立ち上がります。自分で「ゴール」(ボールを打ち返して看板に当てること)を設定して、「評価」(当たった、当たらなかった)が可能な内発的な「活動」を脳内に構築したのです。この場合は、自分が飽きるまでボールを打ち返してその「活動」をたのしむことができます。もしも、この「活動」を友人と一緒に行った場合、そこに友人との優劣を競う「評価」ができる「活動」に変化していきます。

優劣を競う「競争」には少なからず個人のスキルやそれを発揮するための努力が必要となります。他者にとって内発的な活動でないものを、内発的な目標に変えてくれるものとして、「ご褒美」はかなり有効に機能します。「ご褒美」はその活動の良い結果に対して供与される「トロフィー」となるものです。実際に価値のあるモノや、または称号や勲章など「名誉」のためのものもご褒美として機能しますが、共通しているのは、参加者にとって意味のあるモノが好ましいということです。「勝ったからあなたが一番だ」という言葉でも機能しますし、チャンピオンベルトなどの具体的なものや、「賞金100万円です」という実利的なものも機能します。かつてのクラッシックなビデオゲームにあるスコアの表示などは、自分の評価をハイスコアとして記録することが、ある種の「ご褒美」(トロフィー)としてプレイヤーたちに機能していました。このように思いついた具象的な「あそび」は、スキルを競い合う「競争」を経て抽象化したトロフィーを競う「競技」(ゲーム)の活動に変化していきます。そういう意味も込めて、演習の最終授業を「最後の課題を提出しておしまい」ではなく、内発的な自分のスキルとアイデアと実装を試し合う場にするため、「トロフィー」としての景品を用意しています。

今期もとてもユニークでたのしい作品が多く発表されました。

 

 

ゲームデザインの演習

2023年9月11日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

コンテンツコースの特任准教授の安原です。

メディア学部ではプロジェクト演習の「ゲームデザイン」のためにゲームエンジンの「Unity」を教材に使っています。現在Steamなどで販売されているゲームの約半数以上が「Unity」によって作成されています。また学習が比較的容易で、多くの初学者が「Unity」でゲームを作成しながらプログラムを学ぶことができます。大学に入った時にはプログラムのことが何も分からなくても、3年生になるまでには各自が自分でゲームのプロトタイプを作成できるようになり、パッケージレベルの質の高いゲームを作れるようになる学生も現れます。この「ゲームデザイン」の演習では、ゲームのアイデアを考えることに時間を割くことはしません。毎回、1つの小さなギミックのプログラムを紹介します。それを使って1つの「あそび」を考えてもらい、次の週までにゲームとして実装してくる、というスタイルの演習を行っています。デザインとは「設計」であり、一つのギミックをどのようにヒトに提供すれば、ヒトの心を動かすことができるのか、を自分なりに設計して、それを「Unity」上に実装して参加者たちにプレゼンします。自分の「デザイン」を実装して動くものにしたものを第三者的視点から評価してもらい、自分で伝えられたと感じる点、そして問題点を確認する工程を繰り返すことで、より良いデザインとは何か?を自らが内面的に追求する気づきと実践の場となるように努めています。

毎期、最後の授業はそれまでに使った数種類のギミックを、自由な発想で組み合わせ、ヒトにおもしろいと感じてもらえるゲームを作り、参加者全員であそんで、好きなゲームに投票するコンテストを催します。これは成績とは関係なく、純粋にどのようなゲームが人気を集めるのか?という経験となる、実践の教育です。得てして頭では最善と思っていた緻密な設計が、単に「複雑さ」や「あそび難さ」と捉えられたり、逆に単純でシンプルなゲームが圧倒的な人気を博したり、と実験室と実社会での受け入れられ方の違いを感じることができる機会です。このコンテストの上位入賞者には、いろいろなイベントで集めたり、ご厚意で提供していただいたりしたグッズ、ステッカーを賞品として用意しています。これもとても大切な意味があることなのですが、それはまた次の回に書きます。


なぜ数学がむずかしく感じるのか

2023年9月 8日 (金) 投稿者: メディア社会コース

一昨日からの続きです。

論理が必要になることから、さらに別のむずかしく感じる面が出てきます。

それは、数学の全体像が、あることがらには、その前提となることがらがあり、それにはまた前提となることがらがある、というように積み重なっていく、いわゆる重層的な構造になるということです。論理を段階的に追っていくなら、当然そうなるでしょう。

そのような理由から、ある段階が理解できないと、それ以降がわからなくなるという、むずかしさがあるというわけです。

これに対処するにはどうすればいいでしょうか。

実は、ほんとうに最初から論理だけを進めていくのは、相当むずかしく、事実上、無理といってもいいくらいです。そのため、途中のどこかまでをわかったことにして、先に進むのが一般的です。

実際、最初のころ、とくに小学校の算数では、理屈抜きに、計算の仕方をおぼえ、練習したと思います。そのレベルの計算でも論理的に説明するのは、なかなかむずかしいのです。論理的な説明は大学になって初めて学ぶことが普通です。

高校の数学でも、もし、いまやっている部分がわからなければ、その部分あるいはそのもとになっている部分だけは暗記してしまうのも悪い手ではありません。ただし、正確におぼえてください。そうして、十分、使えるようになったら、その前にさかのぼって勉強してみるといいはずです。

ますます数学が用いられる時代になってきたようです。高校生のみなさんは、ここで述べてきたようなことを参考に勉強して、ぜひ、大学に、メディア学部に来て、数学も含めて学んでください。

(メディア学部 小林克正)

【授業紹介:2023年度「音楽入門」での作曲(4)】演奏動画を作りました

2023年9月 7日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

このシリーズの前回記事で予告した演奏動画がようやく完成しました! 2分45秒ほどの短い曲ですが、お聴きください。

【演奏動画】『Night Waltz』(2023年度「音楽入門」制作曲)


曲名の『Night Waltz』は、最終回の授業で演奏を聴いた学生から寄せられた142のタイトル案から私が選んだものです。シンプルなタイトルですが、それゆえ聴く人によっていろいろなイメージを持つことができそうなのが気に入りました。

3拍子の曲なので「ワルツ」「円舞曲」のほか、「ダンス」「バレリーナ」といった踊りに関係したタイトル案が多かったですね。また、「夕暮れ」「Evening」「Sunset」「夜」「月光」「月明かり」「星空」「真夜中」「晩餐会」「Nuit」など、夕方や夜にまつわるタイトルも多く見られました。ヨーロッパの情景をイメージして、フランス語やドイツ語、イタリア語のタイトルを考えた学生が例年より多かった印象です。


今回作った曲には、授業で説明した音楽用語のうち次の3つを意識して取り入れています。これらの点を意識して聴いてみるのも面白いでしょう。
(※[ ]は動画内での時間です)

 ①シンコペーション(第8回授業)
  →第22〜24小節[0:36〜0:39]
  →第38〜40小節[0:53〜0:56]
  →第46〜50小節[1:01〜1:06]…など
 ②異名同音(第3回授業)
  →第20〜21小節[0:35〜0:36]
  →第36〜37小節[0:51〜0:52]
  →第63小節[1:19
  →第132〜133小節[2:39〜2:40]
  →第135〜137小節[2:43〜2:46]
 ③ポリリズム(第8回授業)
  →第125〜132小節[2:30〜2:40]


演奏や撮影に苦労するのはいつものことですが、それ以上に大変だったのは、元の演奏動画と楽譜動画(画面左上)を合わせる作業です(笑)

昨年度の授業で制作した曲『LUMINOUS』はテンポが一定のリズムトラックに合わせた演奏でしたので、楽譜動画との同期が容易でした。しかし今回は、速いテンポの3拍子に加え、発音のタイミングが拍からずれたり徐々にテンポがゆっくりになったりするので、それらの箇所との一致を図る必要がありました。そのため、もともと一定のテンポの楽譜動画を拍や小節単位で分割し、動画作成ソフト上で2つの動画を何度もプレイバックしながら数十ミリ秒単位で一音一音、楽譜動画を元の演奏素材動画に合わせていきました。そうした点もご紹介の演奏動画でご覧いただければと思います。

後期には「音楽創作論」という2年次科目を担当しますが、その授業でも学生のアイデアをもとに楽曲制作を行います(昨年度の制作曲『揺蕩う夜空 』)。曲が完成したら本ブログでご紹介したいと思います。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

なぜ数学をむずかしく感じるのか

2023年9月 6日 (水) 投稿者: メディア社会コース

一昨日から続けて、数学をむずかしく感じる理由を考えていきます。

抽象的ということから来る別の面は、具体的な実体がない分、論理に頼らざるをえないことです。つまり、実体があって、正しい姿というのがあるなら、正しいかどうかは見ればわかります。しかし、抽象的なので、論理で調べるしかないのです。

図形を扱う幾何ならば、図形という具体的な実体があるじゃないかと思うかもしれません。しかし、幾何で扱う図形も十分に抽象的で、見てわかるというわけにはいかないのです。たとえば、とくに条件なしで三角形を考えると言ったとき、それは、どんな三角形でもいいわけです。自由でいいようですが、形や大きさが異なる無数の三角形について考えなければいけないので、とりあえずひとつ描いてみた三角形を調べただけではだめで、すべての三角形を描いて調べることはできないため、論理を使わなければなりません。

こうした論理に頼らなければならないことに対処するにはどうすればいいでしょうか。

まず、論理には手がかりが必要で、意外にもそれは具体的なものであるほうがいいのです。つまり、文・記号や図形をかいて考えるのです。aならば b と言われたら、素直にそう書いてから考え始めます。三角形と言われたら、とりあえずひとつ描きます。

そして、手がかりが得られたら、あとは論理的に推論していきます。ただ、そのとき、最初の手がかりである文・記号や図形には正しくない部分があるかもしれないということを忘れないようにします。最初に描いた三角形で成り立っていても他の三角形では成り立たないかもしれないから気をつけるということです。あやしくなってきたら、また別の三角形を描いて考えることをくりかえします。文・記号の場合も同様です。

こうした、ある種、地道な作業で、論理に沿っているかを確かめて進むのがいいのです。明後日、金曜日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

なぜ数学はむずかしく感じるのか

2023年9月 4日 (月) 投稿者: メディア社会コース

高校生のみなさんは二学期が始まったところで、数学の勉強に力を入れ始めた人もいるのではないかと思います。

そうした場合の役に立つかもしれないので、今回は、なぜ数学はむずかしく感じるかを考えてみます。

数学は抽象的であると言われます。数は、もっとも簡単な自然数であっても、実体を持つものではありません。たとえば、二学期の2は自然数ですが、この2という数は、人間が、自分たちのもつ、2つの目、2つの耳、2本の腕、2本の足といった実体を抽象化して、共通の 2 という概念にしたものです。

基本となる自然数でさえ、このように抽象的なのですから、それを発展させた複雑な数は、さらに抽象的です。数から派生した概念として、変数、集合、関数と抽象度が次々と増していきます。

これが数学をむずかしいと感じさせる原因のひとつでしょう。

この抽象的であるということに対処するにはどうすればいいでしょうか。

人間の心の知的な働きである、認知に関する研究では、人間は抽象的なものでもくりかえして考えると頭の中に具体的な物と変わらないイメージができあがるとされています。

要するに、くりかえし書いたり、計算したりするといいのです。飽きてしまうかもしれませんが、そのころには、自分では気が付かないうちに、具体的なイメージができつつあるはずです。しばらく置いて同じことをしてみると理解が深まっているはずです。

抽象的ということから、数学がむずかしく感じる原因は他にもあります。それは明後日、水曜日に続けます。

(メディア学部 小林克正)

メディア学部の授業カリキュラムツリーは大学公式サイトからも閲覧できます

2023年9月 1日 (金) 投稿者: メディア技術コース

先日20日に開催されたオープンキャンパスでは、メディア学部の「授業カリキュラムツリー」の展示ポスターを写真に収めている来場者の方たちが少なくありませんでした。いずれも、高校1, 2年生のお子さんと保護者の組のように思います。オープンキャンパスでもメディア学部のことを広報していますが、メディア学部の公式サイトでも常に情報を発信しています。多くの情報を発信していて、目的の情報が見つけづらいこともあるかと思いますので、それらの中からいくつかを以下にピックアップして紹介します。東京工科大学メディア学部のことをざっと知りたい時にご参照いただければ幸いです。

 

  • メディア学部 FAQ
    よくある質問とその回答が簡潔にまとめられています。短時間で目を通せるページですので、まずはここをご覧いただくのがよいかと思います。
     
  • メディア学部 4年間の学びの流れ
    1年生の時に何を学ぶのか、2年生の時に何を学ぶのか、...がビジュアルでまとめられています。このページも短時間で読めます。
     
  • メディア学部 授業カリキュラムツリー
    上記「学びの流れ」の詳細バージョンです。3つのコースごとに、授業間の繋がりが木構造(ツリー構造)でビジュアル化されています。時間がある時に、ゆっくり確認することをお勧めします。特に、メディア学部で学びたいことがすでに決まっている時に、カリキュラムツリーは非常に参考になると思います。
     
  • メディア学部 研究紹介動画集
    研究を紹介する1~2分の動画がたくさん置いてあります。コースごとに分類されていますので、各コースでどのようなことが学べるのか、どのようなことを研究するのかが分かりやすいと思います。好みの動画だけをさっと見たり、時間がある時にたくさん視聴したりする方法がお勧めです。疑似的にオープンキャンパスの研究紹介に参加した気分も味わえます。

  • メディア学部 公式サイトのトップページ
    玄関口です。各情報ページへの案内があります。上記以外に調べたいことがありましたら、この玄関口から探してみてください。

 

(文責: 松吉俊)

 

« 2023年8月 | トップページ | 2023年10月 »