なぜ数学をむずかしく感じるのか
2023年9月 6日 (水) 投稿者: メディア社会コース
一昨日から続けて、数学をむずかしく感じる理由を考えていきます。
抽象的ということから来る別の面は、具体的な実体がない分、論理に頼らざるをえないことです。つまり、実体があって、正しい姿というのがあるなら、正しいかどうかは見ればわかります。しかし、抽象的なので、論理で調べるしかないのです。
図形を扱う幾何ならば、図形という具体的な実体があるじゃないかと思うかもしれません。しかし、幾何で扱う図形も十分に抽象的で、見てわかるというわけにはいかないのです。たとえば、とくに条件なしで三角形を考えると言ったとき、それは、どんな三角形でもいいわけです。自由でいいようですが、形や大きさが異なる無数の三角形について考えなければいけないので、とりあえずひとつ描いてみた三角形を調べただけではだめで、すべての三角形を描いて調べることはできないため、論理を使わなければなりません。
こうした論理に頼らなければならないことに対処するにはどうすればいいでしょうか。
まず、論理には手がかりが必要で、意外にもそれは具体的なものであるほうがいいのです。つまり、文・記号や図形をかいて考えるのです。aならば b と言われたら、素直にそう書いてから考え始めます。三角形と言われたら、とりあえずひとつ描きます。
そして、手がかりが得られたら、あとは論理的に推論していきます。ただ、そのとき、最初の手がかりである文・記号や図形には正しくない部分があるかもしれないということを忘れないようにします。最初に描いた三角形で成り立っていても他の三角形では成り立たないかもしれないから気をつけるということです。あやしくなってきたら、また別の三角形を描いて考えることをくりかえします。文・記号の場合も同様です。
こうした、ある種、地道な作業で、論理に沿っているかを確かめて進むのがいいのです。明後日、金曜日に続きます。
(メディア学部 小林克正)
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