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ゲームと演習授業

2023年9月13日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

コンテンツコースの特任准教授の安原です。

メディア学部ではゲームデザインについての授業を受け持っています。演習の最終課題を作品コンテストとして開催し、ささやかな賞品を用意していると書きましたがその理由を述べます。ゲームは「ゴール(おしまい)」のある活動です。そしてその活動に対する「評価」が与えられる活動です。例えばバッティングセンターでボールを打ち返す活動はゲームでしょうか?ただ発射されたボールを打ち返す行為は、バッティングの練習の様ではあるけれど、「ゲーム」だとは感じていないと思います。しかし、例えばバッティングセンターの網に掛かっている「ホームラン」と書かれた看板にボールを打ち返して当てよう!とあなたが思った瞬間に、こころの中に「ゲーム」のような「活動」が立ち上がります。自分で「ゴール」(ボールを打ち返して看板に当てること)を設定して、「評価」(当たった、当たらなかった)が可能な内発的な「活動」を脳内に構築したのです。この場合は、自分が飽きるまでボールを打ち返してその「活動」をたのしむことができます。もしも、この「活動」を友人と一緒に行った場合、そこに友人との優劣を競う「評価」ができる「活動」に変化していきます。

優劣を競う「競争」には少なからず個人のスキルやそれを発揮するための努力が必要となります。他者にとって内発的な活動でないものを、内発的な目標に変えてくれるものとして、「ご褒美」はかなり有効に機能します。「ご褒美」はその活動の良い結果に対して供与される「トロフィー」となるものです。実際に価値のあるモノや、または称号や勲章など「名誉」のためのものもご褒美として機能しますが、共通しているのは、参加者にとって意味のあるモノが好ましいということです。「勝ったからあなたが一番だ」という言葉でも機能しますし、チャンピオンベルトなどの具体的なものや、「賞金100万円です」という実利的なものも機能します。かつてのクラッシックなビデオゲームにあるスコアの表示などは、自分の評価をハイスコアとして記録することが、ある種の「ご褒美」(トロフィー)としてプレイヤーたちに機能していました。このように思いついた具象的な「あそび」は、スキルを競い合う「競争」を経て抽象化したトロフィーを競う「競技」(ゲーム)の活動に変化していきます。そういう意味も込めて、演習の最終授業を「最後の課題を提出しておしまい」ではなく、内発的な自分のスキルとアイデアと実装を試し合う場にするため、「トロフィー」としての景品を用意しています。

今期もとてもユニークでたのしい作品が多く発表されました。

 

 

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