ソーシャルビジネスについて その3 日本の仏教精神
2023年10月20日 (金) 投稿者: メディア社会コース
近年、ソーシャルビジネス、企業の社会的責任などが注目されており、これらの考え方は西洋から入ってきた概念だと思われがちですが、日本は歴史的に仏教国であり、安土桃山時代~江戸時代にかけて、単なる利益追求ではなく世間のために商売を行うことは盛んに行われました。特に近江商人と言われる商人は、”売りてよし、買い手よし、世間よし”の “三方よし”を理念に商売を行っていたと言います。
取引先だけでなく、地域の人々まで大切にすることによって、商売が長く続くことを目指していたのです。この ”三方よし”は後世になって近江商人の代名詞となったようですが、日本において、商売で売り上げを上げることだけでなく、地域社会も大切にすることを理念として経済活動していた歴史があることは事実です。
仏教で「六波羅蜜」(ろくはらみつ)という概念があります。これは、お釈迦様が、この世は苦しみであり、その苦しみの原因は煩悩の集まりによって成り立っている。しかし、その苦しみを滅する方法があり、それには悟りための修行の道をゆくことであると説明しており、これを四諦(したい)と言っていました。その道の一つに「布施、自戒、精進、忍辱、禅定、智慧」の6つがあると教えました。これを、「六波羅蜜」と言います。
特に「布施(ふせ)」とは人々に施しをあたえ「精進」は努力し働くことも含むでしょう。このような仏教的な精神が当時の日本には生きており、商人も商売を通じて修行を行うことが良しとされていたのでしょう。ですから、ソーシャルビジネスや企業の社会的責任といった概念は、日本の風土と決して相反するものではなく、むしろ、現在の日本の企業も昔の商人の知恵に立ち返って、日本らしいCSR活動を行うことが重要なのではないでしょうか。
文責:飯沼瑞穂
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