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2023年11月

デジタル時代のブランド その2

2023年11月29日 (水) 投稿者: メディア社会コース

みなさん,こんにちは。メディア社会コースの進藤です。

今週はデジタル時代のブランドについて考えていきたいと思います。

デジタル化が進むなかで,企業は顧客との双方向のやりとりを大切にするようになり,顧客がブランドでどのような経験をするか(カスタマーエクスペリエンス)が関心のまとになりました。さらに顧客がブランドを経験する経路やタイミングを設計するカスタマージャーニーが重視されるようになりました。顧客がブランドのファンとなるような経験価値提供するためには,個々の顧客の関心やニーズに応じた最適なタイミングで接することが求められています。顧客の経験(カスタマーエクスペリエンス)が重視される時代になり,企業にとっては,顧客の心に訴える経験世界観をブランドがいかに提供するかが課題になりました。さらに現在では,価値を創造するのは企業と顧客の双方であり,ブランドは顧客と共創するものであると考えられています(田中,2014)

<参考・引用文献>

田中洋編(2014)『ブランド戦略全書』有斐閣

デジタル時代のブランド その1

2023年11月27日 (月) 投稿者: メディア社会コース

みなさん,こんにちは。メディア社会コースの進藤です。

今週はデジタル時代のブランドについて考えていきたいと思います。

ブランドとは,自社の提供物を他社のそれと識別するための手段です(恩蔵,2013)。ブランド(brand)の語源は,古代ノルド後のbrandr(焼き付ける)に由来し,もともと家畜の焼印を意味しました。その後,陶工などの職人が自分の作品につけた目印もそう呼ばれるようになりました(田中,2014)。アメリカ・マーケティング協会は,ブランドを,「個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ,競合他社の商品やサービスと差別化するためのネーム,言葉,記号,シンボル,デザイン,あるいはそれらを組み合わせたもの」と定義しています。このように,ブランドは,ネーム,シンボル,デザインなど,複数の要素から構成されるものとなっています(恩蔵,2013)

<参考・引用文献>

恩蔵直人(2013)「ブランド」imidas

    URL; https://imidas.jp/genre/detail/A-125-0082.html

田中洋編(2014)『ブランド戦略全書』有斐閣

八王子市内の飲食店を元気にするプロジェクト演習『企業・団体のプロモーション技法』の活動事例

2023年11月24日 (金) 投稿者: メディア技術コース

人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行なうという新しい研究領域としての健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。

今回はメディア学部のプロジェクト演習「企業・団体のプロモーション技法」の1コマの活動を紹介したいと思います。このプロジェクト演習は企業やボランティア団体の活動を支援するためにイベント広報や販売促進用の出版物・紙媒体を制作する課題を100分で、課題提示・デザイン制作・デザインレビュー、を実施するユニークな演習です。

この演習の目的は以下としています。
・実際に使用されるデザインを制作する
・短時間でイメージをデザインに落とし込むトレーニングを半年間で14回実施
・多くの学生のデザイン制作物とそのデザインレビューに参加
・プロのデザイナーによるデザイン制作事例を見る
・学生本人のポートフォリオを14回の授業で14件を増やし充実させる

これらを授業時間内の百分間で完了させるためのポイントは以下の4点です。
1.デザイン制作時間を考慮した課題設定
2.最初は名刺デザインから、店舗用ポップ、イベントポスターと段々と高度化した課題
3.デザインツールcanvaのテンプレートベーストデザイン、高度な編集をワンクリックで実現
4.毎回のデザインレビューにより学生個人の飛躍的なレベルアップ

この回の課題は八王子市大横町にあるカフェGrassHopperIIのメニューのリニューアルデザイン制作でした。
この時点までに使用されていたメニューはワードで制作した文字情報のみの簡素なものでしたので、オーナーの沼田氏と交渉して、メニューのリニューアルをこのプロジェクト演習の課題にさせていただくことの了解をいただきました。

Menuold

実際に演習で完成したメニュー案10点ほどの中からオーナーに選んでもらったのが神田柊吾さん(3年生)がデザインした下のメニューになります。美味しそうなメニューのイメージが伝わって、オーナーにも大変に喜んでもらいました。

Menunew
後日、神田さんと千種でお店を訪問して、簡単な授賞式を行ない、副賞としてカレーをご馳走になりました。

Photo_20231123143201


視点のすぐ近くは見えない

2023年11月22日 (水) 投稿者: メディア技術コース

 前回記事は講義「CG数理の基礎」での投影変換の授業紹介でした。まだ読んでいない人は参照してください。
 
 履修生からの以下の質問への回答を今日の記事で紹介します。
 
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後方クリッピング面があるのは無限に続くのを防ぐ目的であると理解できるのですが、前方クリッピング面はなぜあるのでしょうか? カメラの座標を原点とした四角錐型では不都合があるのでしょうか?
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 投影変換の設定として3次元空間(カメラ座標系)に六面体(四錐台)の視界を設けます。6つの「クリッピング面」で最終表示対象の範囲になるように切り取ることになります。視点から視線方向を向いて上下左右を4つの面で切り取るのは直感的にわかります。
 
 なのに、なぜ目の前の前方クリッピング面と視点から遠くの後方クリッピング面で前後を切り取るのか、確かに理解しがたいですね。特に目の前の場所を前方クリッピング面で範囲外に設定する理由が。
 
 簡単に答えを言うと「0で割り算できないから」です。ここで、前回記事の図を再度掲載します。
 
 Projectionxform
 
 視点から前方クリッピング面までの距離は変数nで示されています。前方クリッピング面の4頂点は変数l, r, t, b, nを使って表されます。冒頭の質問にあるように四角錐の視界を使うということは前方クリッピング面が無限に小さくなり視点(原点)に収斂(しゅうれん)することになります。つまり、l, r, t, b, nは全部0になり、4頂点とも(0,0,0)になります。
 
 この場合、後方クリッピング面の4頂点のxy座標は計算できません。いずれも0分の0になってしまいます。投影変換(透視投影)行列の要素も、16要素のうち4つについて0分の0が生じて設定不能です。
 
 数式の計算ができないから、という理由では納得しづらいでしょう。もう少し直感的な理由として幾何学的な説明をしてみましょう。それは「無限に大きくするという計算はできないから」ということになります。
 
 近くの物は大きく見え、遠くの物は小さく見えるように変換するのが透視投影です。前方クリッピング面を視点に収斂させて四角錐の視界にしてしまうと、限りなく視点に近い物を無限に大きくすることになります。これは不可能だから、ほんの少しでよいので視点から離れた位置に前方クリッピング面を設定するのです。必然的に四角錐ではなく四錐台の視界になります。
 
 実務的には、前方クリッピング面までの距離nと後方クリッピング面までの距離fとの比(f/n)が1万程度を超えない設定ならばその後のCGの計算処理には支障ないです。n=10cmとすればf=1000mと設定できます。これなら大抵のCGの場面で切り取っても大丈夫そうですね。
 
 宇宙空間のように遠い場所は一度に扱えないし、f/nの値が百万とかの設定もNGなのはなぜ、という疑問も生じますが、その話題は別の機会にしましょう。
 
 現実世界でも視点に限りなく近い場所の物を見るということはないですから、四角錐の視界を設定できなくても、四錐台の視界で十分と言えるでしょう。
 
メディア学部 柿本正憲

3次元から2次元への計算

2023年11月20日 (月) 投稿者: メディア技術コース

 2年次後期の講義科目「CG数理の基礎」はCG技術の基本的な概念や手法を理解することを目的にしています。画素を塗りつぶす過程、頂点を変換する過程、など地味な内容です。数少ない3次元CGの話題として、先日の授業では投影変換を取り上げました。
 
 CGの場面を構成する部品(キャラクタ)は多くの場合、多数の三角形(3頂点)の組合せです。制作者の想像上の3次元空間に存在する各頂点が、最終表示に使う現実の2次元平面画面のどの場所に対応するかをコンピュータが計算します。
 
 部品(model)各頂点の(x_m, y_m, z_m)の数値は「ビューイングパイプライン」と呼ばれる4種類の行列の乗算を経て画面(screen)上の点(x_s, y_s)に変換されます。この過程で3次元から2次元に変わる本質的な変換が投影変換です。投影変換としてCGでよく使われる透視投影は次の図のように「カメラ座標系」から「正規化デバイス座標系」に変換します。
 
Projectionxform

 カメラ座標系ではビューボリューム(視界)という六面体をデザイナーが設定します。視界は最終的な表示画面の範囲に対応させる3次元の範囲です。原点から放射状に拡がるこの形状はフラスタム(四錐台)と呼ばれます。視界のことをビューフラスタムと呼ぶこともあります。
 
 カメラ座標系の原点はカメラ位置(視点)で-z方向が視線です。視点から離れると視界が段々拡がるのは直感的にも理解しやすいでしょう。そして変換後の正規化デバイス座標系では視界が立方体に変形します。カメラ座標系の各三角形(図には描いていない)は正規化デバイス座標系の三角形に変換されます。
 
 図aの視点に近い小さな長方形(前方クリッピング面)が図cで同じ向きの一辺が2の正方形に変形します。前方クリッピング面のちょうど反対側の大きな長方形(後方クリッピング面)も図c右奥の一辺2の正方形に縮小されます。これに伴い、視点に近い三角形は拡大され視点から遠い三角形は縮小されます。人間がものを見るときの結果と同じです。
 
 この投影変換により画面で表示される形に近いものになります。その証拠に、投影変換の次の段階「ビューポート変換」にはxy座標だけが送られz座標は無視されます。つまり大まかには投影変換により3次元形状が2次元形状になると思って構わないのです。
 
 この授業で履修生から次のような質問がありました。
 
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後方クリッピング面があるのは無限に続くのを防ぐ目的であると理解できるのですが、前方クリッピング面はなぜあるのでしょうか? カメラの座標を原点とした四角錐型では不都合があるのでしょうか?
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上下左右の範囲を視界として区切るのは直感的です。後方を区切るのはまだしも、手前まで区切るのは確かに人間の視界とは違いますね。この回答は次回紹介します。
 
メディア学部 柿本正憲


専門演習「CGアニメーション」2023年度前期作品の紹介

2023年11月17日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。
今回は、私の担当する専門演習「CGアニメーション」の取り組みについて紹介します。
この授業では、アニメーションのキー技術であるモーションキャプチャ技術を学び、それをフル活用した作品制作を行います。東京工科大学はプロレベルの大規模なモーションキャプチャスタジオを運用している数少ない大学の1つで、この授業ではその施設を活用し、実際にここで制作してきた劇場映画やゲームコンテンツの制作ノウハウを学ぶことができます。
この授業ではCGモデルの美術的な完成度の追求には時間をかけず、プロのセオリーを学んだうえでアニメーションにひたすらこだわります。そのため、ぱっと見のヴィジュアルは少し荒削りに見えるかもしれませんが、キャラクタの動きや、ストーリーを伝える工夫が凝らされています。そういった点に注目してみてください。
では、作品をどうぞ!
■  MALICIOUS / エクサー
あらすじ:悪意を学習したAIロボットが研究施設の機密情報を入手しようとしているところを警備AIロボットが発見。機密情報の入手を阻止するべく、警備AIロボットは敵AIロボットに対して発砲を開始する。    
作品名は「MALICIOUS」。近未来が舞台のバトルアクション作品である。
人間では不可能なロボットならではの戦闘アクションに注目してほしい。また、「近未来的な世界観」、「ロボット同士の抗争」といった日常では体験できない状況を感じつつ、1対1の緊迫感のある戦いを味わってほしい。
■ 御譚護(おだんご) / 団喜
お団子を用意して、縁側で休憩していた式神の「蓬(よもぎ)」。そこへ、お団子を盗みに来た別の式神「栗(くり)」が…
「蓬」はお団子を守るために術を使って攻撃を仕掛け、「栗」も反撃するため近くにあったお団子の串を手にし、斬りかかった…お団子を巡った2体の式神の争いが行われる。
式神がお団子を守るというかわいい物語と剣戟のギャップ、そして剣戟シーンがある中でも流血などの過激な演出が無い作品にしました。
■ 怪盗Sの犯行 / ステップ
私たちの制作した作品「怪盗Sの犯行」は、一枚の予告状と共に怪盗が美術館へと忍び込み、警備を乗り越えて目的のお宝を盗みに行くCGアニメーションとなっています。「お宝を盗みに行く怪盗」をコンセプトに、モーションキャプチャを利用してスタイリッシュなアクションを表現することを目標に制作しました。厳重な警備を時に隠れ、時に躱して目的のお宝へと向かっていく怪盗の姿をお楽しみください。
■ りんごの誘惑 / つぼさざえ
タイトルはりんごの誘惑です。これは、自分が考えました。由来は、りんごの果実の花言葉が、誘惑なので、そこからとりました。この作品は、主人公のニックが、おなかをすかしていて何か食べ物を探していると偶然リンゴを見つけて、リンゴまでの困難を乗り越えてリンゴを食べることができるのかというあらすじです。
おすすめポイントはスクワッシュ&ストレッチやアンティシぺーションなどの技法を使った動き、音や動きからなるニックの可愛らしさ、大きなリンゴやキノコのファンタジーな世界観です。
文責:東京工科大学 メディア学部 川島基展

プロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース Unreal Engineチーム」2023年度前期 学生作品の紹介

2023年11月15日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。
今回は、私の担当する演習授業のうち、「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース UnrealEngineチーム」の学生作品を紹介します。
この授業は、ゲームクリエイターを目指す学生が実践的に学ぶことができる「インタラクティブ・ゲーム制作プロジェクト」のコースの1つです。初級者向け授業「シネマティクスチーム」を経て、プロのヴィジュアルアーティストやテクニカルアーティストを目指すための知識と技術を学びます。科目の中では学年毎に個別の授業を実施しており、履修生は段階的に高度な技術を学ぶことができます。
本演習では、さまざまなAAAゲームタイトルの制作に使われているEpic Games社のUnreal Engineを使い、メディア学部生の技術と表現センスを活かしたゲームヴィジュアルを制作します。今回は動画として作品を紹介しますが、これらは実際にプレイアブルなゲームとして制作しています。
それでは、作品をどうぞ!
■ Disaster of Knowledge / こまごめぴぺっと
タイトルは“Disaster of Knowledge” で知能の災害という意味が込められています。最近AIをはじめとする技術の発展が目まぐるしい速さで進んでいます。しかしそんな技術も一歩間違ってしまえば大変なことになるかもしれません。このゲームが少しでも考えるきっかけになってくれると嬉しいです。この作品でこだわった部分はドローンや主人公などのモデリング、よりリアルになるように工夫したテクスチャ、さまざまなギミックを起こすためのBPです。
■ Koinot / カルシウム
人間が行くには危険な場所である、未探索の場所の調査に使われるロボット。今回は、人間の文明が残っていることが確認された謎の惑星へ降り立った。そこには、見たことのない生物や謎の遺跡、そして広大な森が星全体に広がっていた。
今回作ったゲームは、3D横スクロールプラットフォーマーゲームです。プレイヤー、はロボットを遠隔操作し、道中にある危険な生物やトラップに気を付けながらゴールを目指します。
■ Lost Encounters / しゅんとう
博士と円満な日々を送っていた家庭用ロボット「ターラ」。ある日、巨大な地震が地面を揺らす。強い衝撃を受けたターラはスリープ状態になり、長い年月をかけて目を覚ました。しかしそこには変わり果てた景色が広がっていた。
この作品では長い年月をかけて荒廃した世界をイメージして作りました。鉄が錆びた表現や、瓦礫、緑が侵食している様子などにこだわりました。
■ Blumella / 喫茶フレ―フェ
煌びやかな美しいお城、静かな夜の城下町。
魔法が解けてしまう前に、0時の鐘が鳴る前に。
王国の舞踏会に参加したシンデレラは、夢のような時間を楽しんでいました。しかし楽しい時間はあっという間。シンデレラが気づいたときには、すでに魔法が解けてしまう0時が迫っていました。シンデレラは大急ぎで家を目指し、走り出します。果たしてシンデレラは、魔法が解けてしまう前に、カボチャの馬車に乗り込むことができるのでしょうか。
絵本の中のような情景と、誰もが夢見る物語を、屋根の上や塔を登る、原作にはないアクロバットな動きで、魔法が解けてしまう前にカボチャの馬車へ駆けるシーンを、ゲームという媒体で追体験してほしいです。
■ 境ノ迷人 / ナギ
主人公の前に現れた精霊を追いかけるとそこには見知らぬ門があった。精霊を追いかけ門をくぐると見たこともない世界に転移してしまった。主人公はこの世界を探索しながら元の世界に戻る方法を探す。
渓谷の自然と建造物の交わった神秘的な雰囲気を目指して制作しました。崖つかまりやしゃがみ移動、ジップラインを駆使して、自然の地形をうまく潜り抜けながら探索できるようにしました。
■ Ground Zero:Carpediem / セレーノ・ソヴィアータ
あらすじ「ある日、かつての人造人間である”1号”は長い休眠期間を終え再起動した。しかし、研究所を出て見た景色は自分の記憶領域に保存されている記憶とはとてもかけ離れていた。この理由を知るために主人公は中央の制御柱を目指すのだった。」
今作は人類がいなくなった世界を題材としたゲームで廃墟と自然の調和を楽しむことが出来るゲームを目指して制作をしました。
■ EVOLVE / SPACE
作品タイトルは「EVOLVE」です。このゲームは、荒廃した世界を探索したいプレイヤーにターゲットに置いています。移住計画のため着陸した惑星が荒廃している、その原因をプレイ中に探しながら目的地に向かう作品になっています。視界を濁らせて砂埃を表現することで、よりリアルな世界観に近づけました。どの視点からも荒廃した世界に見えるように建物の傾き、配置を工夫しました。エネミーの不気味な雰囲気がポイントです。
文責:東京工科大学 メディア学部 川島基展

プロジェクト演習「オリジナルCG演習アニメーション制作」「アドバンストCGアニメーション制作」2023年度前期 学生作品の紹介

2023年11月13日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。
今回は、私の担当する演習授業のうち、「オリジナルCG演習アニメーション制作」「アドバンストCGアニメーション制作」の学生作品を紹介します。
プロジェクト演習は、メディア学部の特徴的な授業の1つです。さまざまな分野の専門スキルを1年次から3年次まで、実践的に学ぶことができます。プロのCGクリエイター、ゲームクリエイターを目指す学生は、講義等から得る知識はもちろんのこと、在学中にプロに近い制作スキルを身に着けておく必要があります。
初心者向けの「オリジナルCGアニメーション制作」は、まずプロのCG制作の手順とソフトウェアオペレーションの基礎を学習し、15秒未満のショートアニメーション制作を通じて自身の適正を確認するための授業です。企画書や絵コンテの書き方など、独学では学べない知識についても学習します。さらに高いスキルを身につけたい学生は、2期目以降も「オリジナルCGアニメーション制作」を継続履修することもできますが、基本的には中級クラスである「アドバンストCGアニメーション制作」に進み、就職活動に対応できるレベルの技術習得と作品制作を継続していくイメージです。これらの授業をどのように履修していくかは履修生しだいですが、プロを目指すならば最低でも2カ年の実学ベースでのトレーニングが必要です。
それでは、作品をどうぞ!
<オリジナルCGアニメーション制作>
■ REBELLION / ROBOTS
このアニメーションは、ロボットやメカが登場するアニメーションを作りたいメンバーが集まって制作した作品です。
このアニメーションは、近未来のAIに世界を占領されかけている世界を舞台にしています。そんな世界で主人公は巨大なAIが操るロボットに占拠された街を開放するために巨大ロボを破壊する任務を受けて巨大ロボットに立ち向かいます。
この作品を通して視聴者に近未来、こうなってしまうかもしれないと考えることを楽しんでほしいです。
■ こども心 / ノスタルジア
この作品は、主人公である少年、ソウタが伝説のカブトムシを目指して探索をするという、わくわくする感情に懐かしさを感じるような物語です。大人になって、何でもできる気がしていたあの日の「こども心」を忘れてしまった人は、この世の中にたくさんいるかと思います。私もそんな中の一人です。そんな人たちが、新しい発見に目を輝かせて、無邪気に遊びまわっていたあの頃を思い出し、こども心にまた触れるきっかけになったら嬉しいです。
■ おばけPANIC / GAG
夜の学校で実験が終わり廊下に出た女の子。そこでおばけに出会う。驚き慌てる女の子…しかしおおばけには女の子に何か言いたいことがあって…?そして二人の最後の結末とは!?ハチャメチャコメディの短編アニメーションです。
■ 勿忘草 / おむすび
花が魔力を持つ不思議な世界。
その世界に住まう少女、レナは、魔法学園に入学したばかりの16歳だ。そんな彼女には目的があった。
「天花の儀」の巫女である昔馴染みの青年、ナギをその役目から助け出すことだ。
レナは7年ぶりに彼と再会する。しかし、ナギは彼女を覚えていないという。対話を重ねるうち、レナは一つの結論に辿り着く。原因はあの花の面ではないか、と。
レナは、彼を助けるため杖を取った。
15秒という短い中でも、彼女たちの心情の変化が見えるよう、頑張って作ったので、注目して見て頂けると嬉しいです。
■ MagicalRing / STARTLINE
しいなとたるとという名前の魔法少女2人が倉庫で戦う場面を作成しました。この作品は魔法を使える指輪を使った戦闘ものです。作成に当たって指輪の色や形等のデザインに力を入れました。
<アドバンストCGアニメーション制作>
■ scramble / オムプロ
「荒廃した世界を彷徨う、充電不足の2体のロボットたち。そんな中、偶然充電器を発見するが、抜け駆けしようとした1体にもう1体が怒り出し、その充電器を奪おうとしてしまう。我先にと充電器を使おうとするロボットたちの追いかけっこが今始まる……!」
この作品はロボットたちのドタバタとした追走劇を面白おかしく描いたコメディ作品です。自己中心的なロボットたちが迎える結末を楽しんでいただければ幸いです。
文責:東京工科大学 メディア学部 川島基展

2023年度学会報告/見通し

2023年11月10日 (金) 投稿者: メディア社会コース

2023年度学会報告/見通し

今年度の学会は、現地参加が増加してきました。一方でオンライン併用も多く、参加者増加が期待されます。当研究室では、現時点で4名参加し、今後、例年に準じて以下の参加を予定しています。

情報文化学会北海道支部研究会(北大5月→中止)

ビジネス科学学会全国大会(明治大学617日→筆者参加、学生不参加)

日本地域政策学会第23回全国研究東京大会(東洋大学78~9日→遠隔開催1名参加)

情報コミュニケーション学会第10回社会コミュニケーション部会(三重県総合文化センター7月29日→現地、遠隔参加各1)

情報文化学会関東支部会(本学八王子キャンパス85日→現地参加1)

情報文化学会全国大会(遠隔1118日→不参加)

社会情報学会第一回中国四国支部会(島根大学1223日→1名参加予定)

ビジネス科学学会九州支部会(中村学園大1216日→筆者参加予定、学生不参加)

情報文化学会九州支部研究会(2023.211日→未定)

社会情報学会第二回中国四国支部会(香川短期大学2022.3月→未定)

情報文化学会関東支部会(2023→未定)

第20回情報コミュニケーション学会全国大会(2023→未定)

今年度これまで参加した学会について紹介しましょう。まず、日本地域政策学会にはM君が7/3~9に渡りポスター発表をWeb掲示という形式で参加しました。次に、情報コミュニケーション学会社会コミュニケーション部会には、2名の学生が参加しました。U君は三重県津市にある三重県総合文化センターに現地参加し、S君は遠隔で参加し、それぞれ口頭発表を行いました。情報文化学会関東支部会は、東京経済大学の稲垣先生が支部長を務められていますが、今回本学八王子キャンパスでの開催となり、I君が口頭発表を行いました。

さて、情報コミュニケーション学会社会コミュニケーション部会には、筆者と本学非常勤の本田先生(関東学院大学)も現地で参加しました。会場の総合文化センターは、JR近鉄津駅からバスで10分ほどの、広大な敷地の中にある大規模施設でした。

余談ですが、三重県津市といえば、1970~80年代に活躍した大関琴風(元尾車親方)の出身地です。新入幕を果たした1977年に、当時無敵の横綱北の湖(まともに四つに組んで相撲を取れる相手は横綱輪島ぐらいしかいなかった)を正面から寄り切った一番は衝撃でした。しかし、その後本場所取り組み中に二度の大怪我を負い、幕下まで陥落しました。大怪我から奇跡の復活を遂げた力士といえば現在では横綱照ノ富士を思い浮かべますが、琴風もまさに不屈の力士でした。当時、元最高裁判事も「彼は人生の師である」とテレビのインタビューで述べていたことが思い出されます。

(榊 俊吾)

3年次卒研、2年次ゼミの紹介

2023年11月 8日 (水) 投稿者: メディア社会コース

3年次卒研(2024年度)、2年次ゼミの紹介

去る6月に2024年度ゼミ生の配属が決まりました。まだ暫定段階ではありますが、3年生の研究テーマについて紹介しましょう。例年、配属の際に研究計画書の提出を義務付けてはいますが、まだ具体化しているとは言えない段階です。しかし、来年度もまた楽しみなテーマが並んでいます。テーマを見る限り、ネット関連だけではなく、伝統的な産業に関する調査研究もあるようです。

SNSにおける伸びるファッションアカウントについて

日本警察の現状と今後の展望orアニメと地域振興(2テーマ思案中)

映画業界の現状と展望

日本自動車企業における海外生産販売に関する研究

アニメ産業が及ぼす社会への影響

映画を中心とした新たな収益源の獲得方法

ゲーム業界にストリーマーが与える影響について

スポーツの国際大会における放映権料の費用対効果

商品への写真による印象の影響

テレビ業界の動向と今後の対策

また、今年度秋学期には、相当程度の成績実績のある2年次生を対象に開講される「先端ゼミ」に2名の学生からの受講希望が来ました。筆者の担当するゼミは、専門的な論文の輪読を手始めに、併せて将来に向けて自分の研究も実施するという、体力的にも大変負担の大きいものです。このため、開講以来1名しか受講者がいません。

しかし、2名とも大変意欲的で、受講を決意しました。自主研究のテーマは、「声優業界」と「音楽業界」に関するものです。現在輪読を行なっているところですが、二人とも、論文をよく読み込み、十分な補完調査も行っており、報告、討論ともに大変充実しています。こうした調査研究に関する方法論の習得を通じ、二人の今後の自主研究成果に大いに期待が持てます。指導側では、来年2〜3月に開催される学会での報告機会を準備しようと思っています。大変期待しているところです。

(榊 俊吾)

2023年度卒研の紹介(経済経営調査研究)

2023年11月 6日 (月) 投稿者: メディア社会コース

本日11月6日より、8日、10日の3回を担当します。第1回の本日は「2023年度卒研の紹介」、8日は「3年次卒研生(2024年度)、2年次ゼミ生の紹介」、10日は「2023年度学会報告/見通し」です。

 

2023年度卒研の紹介

2023年度卒研生の研究テーマを紹介しましょう。当卒研では、およそ社会/経済/ビジネスに関するものであれば、ほぼ制約なく、学生の最も興味のある対象をテーマに選択しています。本年も多彩なテーマが挙げられており楽しみです。

近代麻雀の発展と経済効果

アパレル業界の近年の変化と今後の展望

エシカル消費における第三者機関認証ラベルと独自基準ラベルの差異について

コロナ禍におけるTCG業界の現状とこれから

プレミアスニーカー市場の現状と展望

eスポーツプロチームの研究

クリープハイプの歌詞の特性

現在のアニメ産業について

声優業界の現状と展望

男性化粧品についての研究

例年、夏学期は就職活動も佳境に入り、研究に時間を割くことが難しい時期でもあります。しかし、毎日30分、1時間でも調査を行い、事項を引用とともに記録し、自分の仮説を追加し、時にそれまで収集した資料集同士の関係を整理していくと、自分の研究の方向性が見えてくる瞬間が訪れます。毎日の小さな努力が実を結ぶ、これが人文社会科学系学問の特徴であると思っています。夏休みもとうにすぎ、この間の努力の成果が見え始めてきたように思います。11月に入り、そろそろ着地点(結論と今後の展望)を見据えた、今後の取り組みに期待しているところです。

(榊 俊吾)

深層学習の落とし穴

2023年11月 3日 (金) 投稿者: メディア技術コース

渡辺です。ブログはしばらくご無沙汰してしまっておりました。今回は、「深層学習」(Deep Learing)について思うところを書いていきたいと思います。

「深層学習」とは、元々は脳の神経細胞(ニューロン)の仕組みを倣った「ニューラルネットワーク」と呼ばれる理論体系がベースとなっています。詳しい話はここでは省きますが、ニューラルネットワークの仕組みをより多層に構築し、さらに学習を実現するための様々なアイデアが盛り込まれています。2015年、深層学習を用いて開発された「AlphaGo」というシステムが、当事の囲碁の世界最高棋士に勝ったことで有名となりました。それ以後、様々な応用に用いられていますが、有名なものとしてはヒントとなる文章から画像を自動生成する「Stable Diffusion」などの画像生成AIや、日本語や英語などの自然言語による質問にやはり自然言語で回答する「ChatGPT」があります。

これらの技術があまりにも衝撃的であるため、様々な分野で深層学習が注目されています。実際に成果が挙がっていなくても、「深層学習を用いた」というだけで注目されているということも、たまに見受けられますね。

それはともかくとして、最近よく感じるのは「学生が研究で安易に深層学習に手を出す」ということです。深層学習は確かに凄い理論であることは間違いないのですが、有用な成果を挙げることは決して容易ではありません。深層学習をプログラム内で用いる方法は、検索すればすぐに出て来ますし、自分のPCにインストールして簡単に動かすことができます。それを実体験した学生が、「自分でもまったく新しい成果が挙げられるかも」と期待するのは無理もありません。しかし、そこに落とし穴があります。

実際のところ、深層学習が有効に働くには多くの「コツ」が必要となります。入力データをどのように揃えるのか、パラメータや評価関数をいかにうまく設定するか、どのような深層学習理論を用いることが適切なのか、どういったデータを出力することで有用性が出せるのかなどなど、様々な要因があります。こういったことは、決して「試しに触ってみた」というレベルで身につくものではなく、平たく言えば「深層学習を使う練習と実践」が必要になるわけですね。ですが、研究で深層学習を利用したいという学生のほとんどは、実際にはほぼ未経験の状態なことが多く、なかなか思い通りの成果が挙がることはありません。「何か変な画像が出力されてしまいました」という状況ならまだマシで、大抵は「そもそも出力が得られてない」という段階で終わることも多いようです。

また、深層学習を利用する手法だと、うまくいかないときにどうすればいいのかの判断が非常に難しいという特性があります。深層学習を用いない、演繹的な手法だと、うまくいかないときもどの部分が悪いのかを検討する余地があります。しかし、深層学習だと「どうすればよくなるのかさっぱりわからない」となってしまうことが結構あります。

深層学習を研究に取り入れること自体については、非常に有効となる可能性はあります。ただ、それならば事前に深層学習についてよく理解しておくことが重要だと思います。

(メディア学部教授 渡辺大地)

CEATEC2023報告

2023年11月 1日 (水) 投稿者: メディア技術コース

盛川です。

10月17日から20日にかけて、CEATEC 2023が開催されました。4日間の会期で約9万人が来場したとのことです。

本年度のCEATECの特徴として、スタートアップ&ユニバーシティエリアと題した、新規企業や大学研究室からの展示を行うエリアが広さ、数ともに例年よりも増えていたことが挙げられます。それだけでなく、イベントとしてもFuture-hubと題して、学生や若手を対象としたトークイベントを開催したりなど、若い世代に向けたメッセージの発信に力を入れているようでした。

大学生にとっても、こうしたイベントはなじみがないように感じられるかもしれませんが、就職などを考えている学生にとっては、今どのような技術に注目が集まっているのか、どのような人材が求められているのかを知るよい機会となります。イベントに参加できずとも、ニュースサイトから多くのレポートが報告されているので、そうした話題にも耳を傾けてみるのもよいでしょう。

大学の活動としても、このようなイベントでの情報発信を行っていることを知ってもらえればと思います。大学生ならば、自分はどのような展示を行えるのか、高校や中学の生徒さんは大学がどのような展示をしていれば興味を持てそうか、考えてみてはどうでしょうか。

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会場の様子です。

 

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東京工科大のメディア学部の展示ブースです。

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