NICOGRAPH発表紹介: 音ゲーの難易度を操作音だけで判別
2023年12月15日 (金) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
NICOGRAPHでの発表の2件目は、渡邉南さんの「リズムゲームのタップ音からの難易度推定」です。
みなさんの隣りの席で、友達が音楽ゲームをしている状況を思い浮かべてみてください。その画面まではよく見えないとしても、操作している音を聞いただけで、どれぐらい難しいゲームをしているのかわかるでしょうか?
もちろん、難しいゲームほどノート(音符)が沢山降ってくるので、画面を叩く回数も多くなります。なので、打音の数だけでもある程度の推定はできるのですが、音のスペクトルなどの特徴を調べたら、さらに正確に推定できるようにならないでしょうか。発表者の渡邉さんは、そのような問題意識から、実際にゲームをしているときのタップ音(画面を叩く音)のデータを集めてみました。最初に集めたのは自分自身のデータで、それを使って機械学習をしてみると、まずますの精度を得ることができました。次に別の人(Aさんとします)を呼んできて同じようにデータを集めたところ、それでもうまくいきました。Aさんのデータだけで実験しても、渡邉さんとAさんのデータを混ぜて実験しても同様です。
ところが、渡邉さんのデータで音のモデルを学習し、それを使ってAさんのデータを分析したところ、ほとんど正解が得られません。これは、客観的に同じ難易度のゲームでも、人によって難しさの感じ方は違うので、操作音に現れる特徴が異なるということです。そこで、前回紹介した研究と同じように、さまざまな音の特徴量を取捨選択して、個人差が現れにくい特徴だけを見つけるということを試みました。結果として、データを混ぜた場合と比べてもさほど遜色のない推定精度を得ることができ、今回の発表に至ったというわけです。
ある条件ではうまくいった実験が、別の条件では全然うまくいかないということは良くあります。そこでがっかりするだけでなく、「なぜうまくいかないんだろう?」と考えて、その原因を取り除いていくことを考えると、研究がさらに進んでいく、そんなことを実感した今回の発表でした。
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