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観光における情報行動(その3)

2023年12月22日 (金) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア社会コース助教の鈴木です。

今週は『観光とメディア』についてお話ししています。

 

その2では旅マエの予約や旅行行程の作成についてお話ししました。その3では旅ナカと旅アトの情報行動についてお話しします。

 

まず、旅ナカで観光客はどのような情報行動を取るでしょうか。有名なお寺について調べる、綺麗な景色や美味しい食べ物を記録するといった際にはスマートフォンを利用することが多いと思います。現代では当たり前に使われているスマートフォンですが、持ち歩けるサイズの端末でインターネットが利用可能であり、カメラ機能だけでなく編集機能も備わっている「高度情報端末」を多くの観光客が所有しているという現状は、観光客の利便性を向上させると同時に、観光客を誘致する側にも大きなインパクトを与えています。

 

過去の回と同様にインターネット普及以前を振り返ると、観光客が現地で情報を入手するには、観光案内所に行って係の人に口頭で教えてもらう、あるいは紙媒体の案内冊子を入手する必要があります。現地での思い出を記録するにはカメラを持参し、撮影した内容を確認するには、地元に戻り、お店でお金を払って写真を現像してもらう必要があります。当然、写真を編集することもできません。また、誘致者側の視点で見ても、観光客のために多くの人員や紙媒体を用意すれば人件費や印刷費用が必要となります。その際に需要に対する供給量を見誤れば不必要な出費が発生するリスクも抱えてしまいます。現代では基本的にはインターネットに情報を掲載し、現地対応に割く資源は必要最小限とすることが可能であるため、スマートフォンの普及はこうしたリスクは低減していると言えるでしょう。

 

最後に、旅アトは旅行の思い出や情報を共有するフェーズとなります。近年では様々なツールが登場しており、繰り返し登場しているSNSの中でも動画を用いた情報共有(VLOGなど)も増えてきています。また、Googleマップでは自身の移動が自動的に記録され、タイムラインとして旅行を振り返ることができます。その他にも、旅行記やアルバムを簡単に作成することができるアプリも登場し、容易に様々な形式で思い出を他者と共有することが可能です。

 

過去の方法を振り返ると、SNSが普及する前はテキストと写真を組み合わせたブログが利用され、インターネットの普及前には上述のように現地で撮影した写真を現像し、必要に応じて焼き増しをしながら現地での思い出を振り返っていました。写真を共有する際にも、基本的には対面でのコミュニケーションが前提となり、遠方の友人には写真を郵送する必要があります。もちろん当時のスタイルにも良さはあり、実際にかつて使われていたインスタントカメラが再流行するといった事象もあります。しかし、総合的に見るとやはり現代の方が旅ナカ、旅アトでの利便性は向上し、観光客の体験価値は向上していると考えらえれます。みなさんもぜひ情報技術の進化に伴う観光体験の変化(≒進化)を感じながら、様々な場所を旅してみてください。

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