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誰でも楽しめる「インクルーシブな音楽イベント」を目指して

2024年2月23日 (金) 投稿者: メディア社会コース

音が聞こえなかったり、聞こえにくかったりしても、音楽を楽しむことができることは昨年のブログでご紹介しました。

昨年のブログはこちら>
▶️聴覚障害者と音楽イベント

アメリカでは著名なアーティストのステージに、手話通訳者も立って、人によっては音楽に合わせてパフォーマンスをしているかのような素敵な手話を披露しています。「メタリカ」というロックバンドの手話通訳者が有名なので、ぜひネットで検索してみてください。

日本でも音楽イベントに手話通訳者がつくことが増えてきていますが、まだまだ一般的ではありません。では、なぜこのような差が生まれているのでしょうか。もちろん、いくつかの理由があるでしょうが、法律に着目して日米を比較してみます。

アメリカでは、障害を持つアメリカ人法(Americans with Disabilities Act of 1990、略称ADA)が1990年に制定されました。障害者が他の人と同じように生活する機会を保証する法律です。2008年には、このADAの修正法が成立し、保護範囲や障害の定義が広がりました。

日本では、障害者差別解消法が2016年に施行され、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けた取り組みが行われてきました。しかし、この法律は公共施設などでは義務化されていましたが、民間企業や私立学校などでは努力義務に止まっていました。

そして、2024年4月から改正法が施行され、全ての場において義務化されることになります。これについて、まだ大きく報道がされていないという印象がありますが、音楽イベントの場においても当然合理的配慮が必要となるのです。

法律があるから配慮をしようということではなく、社会全体が皆んなで共生していこうという雰囲気になることが重要です。しかし、何をすれば良いかが分からないというケースもあるでしょう。障害のある人と、そうでない人が、うまくコミュニケーションをとって、その場で双方にとってベターな方法を考えていくことが望ましいのではないかと個人的には思います。

私も研究を通じて、誰でも楽しめる「インクルーシブな音楽イベント」を目指していきます。

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メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在は聴覚障害支援を専門としており、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」、聴覚障害支援メディア研究室 を担当している。


 

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