2023年度後期「音楽創作論」での作曲(その2):部分動機の作成から動機の決定まで
2024年2月28日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース
メディア学部の伊藤(謙)です。
学生の投票によって、作成する部分動機の条件が「ラを開始音とする4分の4拍子」に決まったことを前回お話ししました。
本日は、その条件で作られた部分動機と、さらにそれを使って作られた動機をご紹介しましょう。
136名の学生がそれぞれのアイデアで部分動機を作り、投票の結果、AさんとM君が作った部分動機がともに6票を得て選ばれました。ちなみに、部分動機を選ぶ投票で同票となったのは、この授業が始まって以来、初めてのことです。
【Aさん考案の部分動機】
【M君考案の部分動機】
二人ともフレーズの始まりに休符を置き、連符(3連符・5連符)のリズムを入れていますね。フレーズが上行と下行を繰り返す点も共通していますが、Aさんは全体的に順次進行を中心とした緩やかなラインでまとめているのに対し、M君は始まりの半音進行とそのあとの跳躍進行との対比による躍動感のあるラインを描いている点にそれぞれの個性が感じられます。
どちらも動機を作る素材として魅力的ながら、再投票でAさんが65票、M君が69票を獲得したため、動機の作成にはM君の部分動機を使うことが決定しました。Aさんの部分動機は授業課題の動機作成の素材にはなりませんでしたが、作曲の素材の一部として使います。
さて、次はM君の部分動機にもう1つ部分動機を加える作業に入りますが、その前に、追加する部分動機の形態を決めなくてはなりません。つまり、最初の部分動機をAとした場合、続く部分動機を、A(Aと全く同じ、あるいはほとんど同じフレーズ)、A´(Aに若干変化を加えたフレーズ)、B(Aとは音楽的に大きなコントラストをもつフレーズ)のどれにするかということです。これも投票を行ったところ、A(8票)、A´(68票)、B(58票)という結果になり、A+A´の部分動機の組み合わせによる動機を作ることになりました。
この条件での動機の作成には126名の学生が挑戦し、投票の結果、N君が考案した部分動機を加えて作られた動機が6票を獲得して選ばれました。
【N君が考案した第2の部分動機(赤色部分)を使って作られた動機】
以上により、今年度の「音楽創作論」での作曲には、「M君考案の部分動機+N君考案の部分動機で作られた動機」と「Aさん考案の部分動機」の2つを素材を使うことが決定しました。
次回は、この2つの素材を用いて私が作曲したピアノ曲をお聴きいただきましょう。
(メディア学部 伊藤謙一郎)
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