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2024年3月

社会言語科学会研究大会(福岡女子大学)でのワークショップ

2024年3月29日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の榎本です。

 

3/8,9,10と福岡女子大学で開かれた社会言語科学会の研究大会に参加してきました。

 

私は3日目のワークショップで話題提供者として参加してきました。

 

WSセッション 4 
一,二,三人称視点のことばに等しく価値を見出して研究しよう
企画責任者:諏訪 正樹 (慶應義塾大学)

話題提供者: 榎本 美香 (東京工科大学), 山内 朋樹 (京都教育大学)

指定討論者:土屋 俊 (大学評価・学位授与機構)

 

企画主旨は以下のものです。

「ことばはコミュニケーションの手段として社会的に意味を共有するためのメディアである.それをことばの第一義的機能
とする考え方は根強い.言語学,社会学,認知科学,心理学分野で行われてきたことばの研究の多くは,その側面に焦点を
当てたものである.たとえば,言語発達や学習,認知言語学に属する研究は,ひとが生きる中でことばの意味を学習し,社
会で使い,あるいは新しい意味を社会的・文化的文脈のなかで醸成するさまを探究する.相互行為分析,会話分析において
は,観察対象となるひとびとの発話を構成することばは社会的に共有されたルールに基づいているものとみなされ,それに
基づき分析がなされる.小,中,高校から大学に至る教育実践においても,他者に意味が明確に伝わるよう,考えをまとめ
論理的に文章を組み立てたうえで話し,書くことが奨励される.
学問や教育で重要視されてきたこの種のことばの機能や側面を,客観的・社会的効用と称しよう.客観的・社会的効用は
ひとびとが互いに交流し,コミュニティ・社会を形成し,意思疎通したり論を交わしたりする上で欠かせないものである.
しかしながら,ことばの効用は客観的・社会的なものだけなのだろうか? 「客観」を別のことばで表すならば「三人称
視点」である.わたしたちは生きていく上で,三人称視点のことばだけではなく,主観的な内なることばも大いに駆使して
いる.世界で出逢うものごとに触発され,あれやこれやと考えをつくりあげる途上では,内なることばをとりあえずメモに
書き殴ったりする.
内なることばは人生背景に彩られた個人固有の意味合いをはらみ,主観的である.頭を去来したりメモとして書き殴った
りしたことば群はときに散らかっていて必ずしも論理性はなく,その意味は必ずしも他者に伝わりやすくはない.だからと
いって,その種のことばに機能や役割がないわけではない.暗黙性の壁に阻まれて探究が進んでいないだけで,実は大きな
効用があるはずだと我々は考えている.本WS は内なることばの効用を探究することの重要性を説くものである.」(プログラムより引用)

物理の方程式のように客観的に世界を記述する言葉と、日記のように今日あったことや感じたことを私なりに記述する言葉は違っててもいいし、後者も大切だよね、というお話です。

 

私は、10数年、長野温泉の野沢というところのお祭りを撮影し続けているのですが、10年もみ続けていると、お祭りを取り仕切っている人々の息遣いや心の苦しみや喜びの声が聞こえてきます。それは、実際に話された言葉ではないけれど、そういうものがあるからこそ、祭りの厳しさや楽しさが理解できるということを話しました。

IEVC2024 での阿部実験助手の発表

2024年3月27日 (水) 投稿者: メディア技術コース

渡辺です。私からは久しぶりの記事になります。

3/11から3/14まで、台湾の「国立成功大学」というところで、「International Conference on Image Electronics and Visual Computing 2024」(通称 IMVC2024) という学会が開催され、阿部実験助手が口頭発表を行いました。タイトルは「Real-time rendering of energy wave representation using transmitted light」というものです。

この学会は、同じくメディア学部の竹島先生が委員長を務めていて、何かネタがあれば投稿したいと思っていたものの、進めている研究のほとんどを別の学会で発表してしまっていたため、当初は投稿は無理だと考えていました。ところが、竹島先生から「投稿件数が非常に少なく、なんとか出せませんか?」という打診があり、阿部先生と相談し突貫で研究と論文をまとめることになりました。以前に阿部先生が三上先生と少し議論していた研究ネタをまとめてみようということになり、阿部先生は無の状態から2週間で開発・検証・論文執筆を終わらせ、無事投稿となりました。

会場の国立成功大学は台湾の中でも南の方に位置する台南市というところにあり、東京と比べると気温は大体10度くらい高めな状況でした。正直、日本人の感覚からすると既に暑いくらいだったのですが、現地の人はベストなどかなりの厚着だったのが印象的でした。

台湾のタクシーは日本と比べるとかなり安かったのですが、なんだかんだで移動はほとんど徒歩でした。iPhoneでの記録によると、出発日から帰国日までの6日間で合計78kmも歩いたようです。私は別に普段から運動しているタイプではないので、しばらく足が痛かったです。

Campus

学会会場の国立成功大学

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阿部実験助手のプレゼン

 

ちょっと短めですが、今回はこの辺で。

(メディア学部教授 渡辺大地)

IEVCでVRの立体音響に関する発表

2024年3月25日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

3月11日から14日まで、台湾の成功大学で開催された"The 8th IIEEJ International Conference on Image Electronics and Visual Computing (IEVC2024)"に参加してきました。メディア学部からは毎回大勢の人が参加する学会ですが、私自身が参加するのは初めてです。主に画像関係の研究を扱う学会なのですが、今回は、大学院生の田中涼太さんが、VRコンテンツ内での立体音響についての発表先を探していたので、VRならということで参加することにしました。田中さんの論文は無事査読も通り、2日目のオーラルセッションで発表することになりました。

Ievc

田中さんは、学部生の頃から様々な立体音響のアルゴリズムをVRコンテンツ内に実装してきました。今回の発表は、それを宝探しゲームという形に仕上げ、多くの人に遊んでもらって、立体音響方式の違いについて調べたというものです。純粋に臨場感を感じるかどうかと、ゲームとしてプレイしやすいかどうかという質問をしたのですが、両者で回答の傾向が異なっていて、そのあたりの分析を詳しく発表しました。実際のコンテンツ制作にも使える、有益な発表だったのではないかと思います。

発表が前半で終わったので、すっきりした気持ちで学会後半を過ごすことができました。今回の会場となった成功大学は台南という都市にあるのですが、とにかく美味しいものが多い街で、毎日朝から晩まで食べてばかりでした。ご飯ものや麺類も美味しいし、バラエティに富んだスイーツもあるし、本当に楽しい毎日でした。

今回は4年ぶりの海外出張でしたが、やっぱり学会はいいですね。もっともっと論文を書こうという気持ちが、あらためて湧いてきました。

プロジェクションマッピングの撮影

2024年3月22日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさんこんにちは。コンテンツコースの椿です。

専門演習「プロジェクションマッピング基礎」では、プロジェクションマッピングの作品を作ります。作った作品は、動画と写真を撮影して提出してもらっていますが、撮影がうまくできないと時々言われます。

うまくいかない例は大きく2つに分けられ、1つは露出に問題がある場合です。写真が白飛びしていたり、全体的に暗すぎたりして、はっきり写っていないというものです。プロジェクションマッピングは、暗い背景と作品の明るい領域が混ざっているため、露出をオートで撮影するときれいに撮れないことがよくあります。これは、露出を自分で調整したり、作品の背景の暗さを変えると、改善することが多いです。

もう1つは、色が変わってしまう場合です。白いはずの部分に色がついて写っていたり、画面全体が緑がかったりするものです。これは、原因が2つあるようで、1つは色かぶりが起きているものです。色かぶりの場合は撮影後にPhotoshopなどで修正してもらうときれいになります。

しかし、色かぶりとは思えないほど色が大きく変わっている場合や、様々な色がついている場合もありあす。これはおそらく、プロジェクタが時分割で色を出していることが原因だと思っています。プロジェクタの光源から出た光は白く、カラーホイールを通すことで色をつけています。例えばRGB3色のカラーホイールが使われている場合、カラーホイールが高速で回転し、光が通る場所の色を変え、高速でRGBの映像が順に投射されます。RGBの切り替わりが非常に高速であるため、人が見ても切り替わりが分からず、色が混ざって見えます。しかし、カメラは、露出時間が短ければ短い瞬間の色だけを撮影するため、RGBの色が混ざらず、色が変わってしまうのです。これは、撮影を工夫しても解決しないことが多く、他のカメラで撮ってもらうようにしています。

卒業式の日のキャンパス

2024年3月20日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさんこんにちは。

昨日は卒業式でした。風はおさまっていて、よい天気でした。式の会場は体育館です。

キャンパス全体が華やかで明るい雰囲気に包まれました。

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午後には、あちらこちらで友達との別れを惜しむ姿が見られました。卒業されるみなさん、それぞれの道でご活躍されることを期待しています!

椿 郁子

卒業する皆さんへ

2024年3月19日 (火) 投稿者: メディア技術コース

本日3月19日に、東京工科大学および東京工科大学大学院の学位記授与式が行われました。昨年までは学部・研究科ごとに別れての開催でしたが、今年は全学一斉の開催です。今年の学部卒業生は、入学式が中止になった2020年に入学された方が多いと思いますが、最後の1年はようやく普通の生活が戻ってきて、今日この日を迎えることができたことを嬉しく思います。

4月からはどんな生活が始まるでしょうか。就職が決まっている人は、会社ってどんなところなんだろうと心配に感じているかもしれません。そんなときは、4年前のことを思い出してください。コロナ禍の中で入学式すら行われず、この先の大学生活はどうなってしまうんだろうと、とても心配でしたよね。でも、皆さんの頑張りと、周囲の人たちの頑張りとで、大学での学びは途絶えることなく続いてきました。いま振り返れば、きっと充実した4年間だったのではないかと思います。

4年前、私は「キャンパスに集うということ」というブログ記事を書きました。遠隔授業が当たり前になる中で、それでもキャンパスに集うことの価値ってなんだろうと考えながら書いた記事です。それから4年がたち、ほとんどの授業は対面実施になりましたが、それでも「用も無いのに研究室に来てダラダラしている」ような人はずいぶん減ったように感じます。4月から皆さんが過ごす場所は、がっつり対面でしょうか、それとも一部リモート、あるいは全面リモートでしょうか。職場(進学する人は研究室)によって様々でしょうが、この4年間を乗り越えてきた皆さんなら、どんなスタイルであってもきっと楽しく生きていけると思います。新しい生活、がんばっていきましょう。

(メディア学部長 大淵康成)

春の思い

2024年3月18日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。コンテンツコースの椿です。

今日は風が大変強いですね。キャンパスの木々の枝が大きく揺れています。先ほど車から降りたとき、自分で閉める前にドアが風でバタンと閉まってしまいました。上着の裾が挟まっただけで済みましたが、タイミングが悪ければ怪我したのではないかと少しこわくなりました。みなさまもどうぞお気をつけ下さい。明日は卒業式です。明日は風がおさまっているように願っています。

毎年、この時期になると、研究室のこれまでの卒業生のことを思い出します。みんな元気にしているだろうか。もう、研究室のことなど覚えていないかもしれないし、思い出さないほど充実されている方がいいのですけれども、つい、古い研究室LINEグループにメッセージを送ってみたり、などしてしまいます。卒業生のみなさんへ、よかったらたまに近況をお知らせくださいね!

★いよいよ2024年3/24(日)開催!★東京工科大学★メディア学部オープンキャンパス★申込受付中!

2024年3月18日 (月) 投稿者: メディア社会コース

いよいよ2024年3/24(日)に、東京工科大学メディア学部のオープンキャンパスが開催されます!
開催時間は(10:00-16:00)です。参加は申込制で入退場自由です。

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当日の主な内容は下記です!

■学部紹介(10:30~11:00、13:30~14:00)
メディアを体系的に学べるメディア学部の3つのコースの教育や研究、学びの構造についてお話いたします。ご興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。

■模擬授業(11:05~11:35 13:30~14:00)
「メディアとSDGs(吉岡先生)」より良い社会を作るために、情報技術を活用する方法をご紹介します。

■研究紹介(10:00~16:00)
詳細はこちらをご覧ください!

ご参加希望者は、こちらから事前申込みをお願いします。

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なお、ご来場が難しい方のために、バーチャルオープンキャンパスも開催します。
申込みはこちらをご覧ください!(バーチャルオープンキャンパスは、3/31まで各種のコンテンツをご覧いただけます!)

オープンキャンパスについてはこちらもご参照ください!

多くの方のご来場をお待ちしております!
(メディア学部:藤崎実)

ミュージアムの観賞支援研究

2024年3月15日 (金) 投稿者: メディア社会コース

今年一年間、電気通信普及財団助成をいただいて、様々なミュージアムでのフィールドワークを行い、観賞している場面の撮影も行い、そして大原美術館から研究者をお招きしてパブリックアートと地域を支援すれば良いとのコメントをいただきました。

もともと愛知県には産業と関係するミュージアムがトヨタを始め沢山あり、トヨタのミュージアムは本当に素晴らしいのですが、今年一番印象に残ったのは、常滑焼で有名ですが今は中部国際空港で有名な常滑市のINAXのLIVE museumでした。産業や土地やコミュニティまでを考えられることに加えて、展示には美しいものもあり、特に帝国ホテルの建築が今のINAXと関係するのかということが興味深かったです。

2000年からミュージアムでの研究を続けて行っていますが、今年が一番研究ができました。どのように敷居が高いと言われているミュージアムに関する研究を通じて面白さをいろいろな方と共有できるのか、またそれらをどのように学術的に一流の研究とするかを基本から考察することができた一年でした。

この成果はまたこのブログでお伝えしたいと思います。

                                      山崎晶子

【東京工科大学】メディア学部◆オープンキャンパス◆2024年3/24(日)開催◆申込受付中!

2024年3月14日 (木) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部の藤崎実です。
東京工科大学は、2024年3/24(日)に来場型オープンキャンパスを開催します!
今日は、そのご案内です!

主なイベント内容は下記です。
◆入試説明(2025年度入試を発表します)
◆学部・学科説明(各学部の学びの特長を説明します)
◆研究室見学(最新研究成果や実習施設の紹介します)

イベント詳細はこちらをご覧ください!

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ご参加希望者は、こちらの事前申込みをお願いします。
(ご注意)メディア学部は八王子キャンパスです。「3月24日 八王子」をご選択ください。

また、来場が難しい方のために、バーチャルオープンキャンパスも開催します。
申込みはこちらからお願いします!

なお、バーチャルオープンキャンパスは、3/31まで各種のコンテンツをご覧いただけます!
遠方の方は、是非ともオンラインでご参加ください!
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◆オープンキャンパスについての詳細は、こちら もご覧ください。

多くの方のご来場をお待ちしております!
(メディア学部 藤崎実)

シンガポールとの交流

2024年3月13日 (水) 投稿者: メディア社会コース

平和中島財団アジア重点助成という助成金を平和中島財団からいただいて、今年1年間シンガポールで、遠隔医療の研究をしていました。日本でも弊学と近い西国分寺駅に遠隔医療を行うあおいクリニック-駅ホーム西国分寺がホーム上にできているようにhttps://www.jreast.co.jp/press/2021/20220208_ho01.pdf、遠隔医療はコロナ禍を経て以前よりも身近なものになっています。

シンガポールの遠隔医療を調べてみたところ、日本よりも数段普及していました。患者が支払う価格も遠隔医療ですと少し高いですが、クリニックでずっと待つ必要もなくそれは忙しいシンガポールの生活に向いていると思えます。

ふれあわないことによる誤診の問題は常にあると思いますが、もっとも大きな問題は個人に関わる医療情報をどのように管理するかということだと思います。そしてそれは日本の問題にもなると考えています。医療情報は全て専門機関が管理するのか、そのモデルが変わるのか、今中学生や高校生の皆さんが大学に入学する頃には大きな変化があるかもしれません。

 

      山崎晶子

卒業論文の発表

2024年3月11日 (月) 投稿者: メディア社会コース

2月の出来事なので、少し前になりますが、今年も卒業論文の発表回がありました。

今年は、他の大学を歩く街歩き、ペーパークラフトを共同で作ること、会話の分裂やゲーム中での指示の問題、ミュージアムでの鑑賞や笑いなど様々なテーマの研究が出そろいました。

笑いの研究では、自分から様々な文献を読んで、このゼミで誰も取り組んだことのない研究を開拓してくれました。

また、美術館での観賞研究は、私が10年近く分からなかったことを学生さんが回答のヒントをくれました。

就職活動などいろいろな悩みがある中、研究室では和やかに過ごせたこと、教員である私も良かったと思っております。これでひとまず今年の卒業研究が終わり、来年からまた開始します。来年も和やかにそして在学中の成果となるようなゼミを目指していきたいですい。

卒業の季節

2024年3月 8日 (金) 投稿者: メディア技術コース

皆さんこんにちは。

3月は卒業の季節ですね。本学の卒業式は3月19日ですが学生だけでなく教職員の中にも退職される方がいらっしゃいます。今日は本学の話ではなく、私が卒業した大学の恩師の話です。私は学生時代は並列処理アーキテクチャの研究室に所属していました。学部の4年生で配属になってから博士課程を出るまで6年間を過ごしました。この研究室でご指導いただいた先生がこの春定年退職されます。3月10日には研究室の卒業生や学会のこの分野の産学の方々が集まり、最終講義と記念パーティを行うことになっています。私が学部4年生だった時に若き助手だった先生が退職とは、改めて自分の年齢も感じさせられました。パーティの準備にかかわっているのですが、さまざまな作業の中で当時のことをいろいろと思い出し、恩師の偉大さをいまさらながら強く実感しています。振り返ってみると自分は恩師のように学生の皆さんに向き合えているだろうか、道を示すことができているだろうかと考えさせられることが多いです。とても比較に耐えられるような立場ではありませんが、少しでも恩師に近づけるように努力しなければと思うこの頃です。

(メディア学部 寺澤卓也)

ルールベースと生成AIを併用したTRPGゲームマスターのシステムを試作

2024年3月 6日 (水) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。メディア技術コースの松吉です。

2024年2月29日と3月1日に開催された人工知能学会 言語・音声理解と対話処理研究会 第100回研究会という研究発表会で発表した研究について紹介します。本学大学院の三上・兼松研究室に所属する武田さんが以下の研究タイトルで外部発表してくれました。

テーブルトーク・ロールプレイングゲーム(TRPG)とは、物語のシナリオに従って、人間同士で会話を交わしながらRPGの冒険や戦闘を繰り広げていく、複数人参加型のゲームです。コントローラーのボタンをポチポチ押すのではなく、自由会話により物語が進んでいくことがTRPGのウリです。TRPGでは、参加者のうち1名が司会を務めます。この司会者はゲームマスターと呼ばれます。ゲームマスターは、事前にシナリオを読み込んで本番に備え、ゲーム本番ではルールブックを参照してルールに従ってTRPGを仕切ります。ゲームマスターは、プレイヤーたちと会話し、物語がうまく進行するように努めます。

テレビゲームやソーシャルゲームのRPGも楽しいですが、複数人で自由会話によりワイワイ遊べるTRPGもとても楽しいゲームです。動画配信サイトなどでTRPGのゲームプレイを見たことがある人も結構いるのではないかと思います。

TRPGを遊ぶうえで、ゲームマスターが不足しているという問題があります。武田さんは、この問題を解決することを目的に、コンピューターにTRPGのゲームマスターを担当させるという研究に取り組み、ゲームマスターのプログラムを試作しました。現在の生成AIは悪意なくハルシネーション(事実ではないこと)を出力してしまいます。ですので、「シナリオを元にルールに従って正確な発言を行う」仕組みと「生成AIを用いて自由度の高い応答を返す」仕組みの両方を採用したシステムとしました。システムの全体像を以下に示します (クリックで大きい画像が表示されます)。各部分を詳しく説明することはしませんが、プレイヤーの発言を自動解析し、それに基づいて図の左下のほうでゲームマスターの発言を自動生成しています。

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実際に、コンピューターのゲームマスターシステムに仕切らせて、人間のプレイヤー3名にTRPGを遊んでもらうという評価実験を実施しました。複数人の自由会話によりゲームを進めていますので、構造が複雑でないシナリオでも、エンディングまで5~6回、ゲーム進行不能という状況が発生しました。ですが、事後のアンケートにおいて、プレイヤーから「親近感が湧いて遊びやすかった」、「プレイヤー間の会話にシステムがツッコミを入れてて楽しかった」などの好意的なコメントをもらうことができました。

まだまだ改善すべき点があり、人間のゲームマスターと比べると、うまくできないことが多いです。ですが、ゲーム進行の正確さと柔軟さを兼ね備えたシステムとして、及第点以上の「第1歩」になったのではないかと思います。

本学のメディア学部では、TRPGに限らず、広くゲームやゲームAI、ゲームストーリー等について研究している研究室が複数あります。これらに興味がある方はぜひメディア学部の各研究室の研究活動を調べてみてください。

 

(文責: 松吉俊)

 

東京工科大学のオープンキャンパスが 2024年3月24日(日)に開催!申し込み受付中です

2024年3月 4日 (月) 投稿者: メディア技術コース

3月24日(日)に、東京工科大学でオープンキャンパスを実施します。メディア学部でも以下のようなイベントを企画しています。

  • 学部の説明
  • 模擬授業
  • 研究室紹介

これらのイベントの詳細については、こちらのページをご参照ください。模擬授業では本学部の吉岡英樹先生が「メディアとSDGs」という題目で、「より良い社会を作るために情報技術を活用する方法」をご紹介します。研究室紹介では、ゲームやCG、VRなどを研究している10の研究室の活動をご紹介します。

オープンキャンパスへのご参加を希望する方は、こちらの本学のサイトから事前申し込みをお願いします。現在、申し込み受付中です。メディア学部は八王子キャンパスにありますので、「3月24日 八王子」のほうをご選択ください。

3月24日は都合が悪い方のために、バーチャルオープンキャンパスも並列開催しております。バーチャルオープンキャンパスでは、3月1日から31日までの間、好きな時間に以下のコンテンツをご視聴できます。

  • 大学説明動画
  • 360度画像によるバーチャルキャンパス見学
  • メディア学部の説明動画、メディア学部の研究紹介動画

バーチャルオープンキャンパスへのご参加を希望する方も、こちらの本学のサイトから申し込みをお願いします。「オンライン型」がバーチャルオープンキャンパスを指しております。

東京工科大学メディア学部にご興味がある方も、大学選びに迷っている方も、ぜひ本学のオープンキャンパスにご参加ください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

(文責: 松吉俊)

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2023年度後期「音楽創作論」での作曲(その3):作曲者によるピアノ演奏と楽曲解説

2024年3月 1日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

本日は、前々回記事での「開始音と拍子の決定」、前回記事での「部分動機の作成」「動機の決定」を経て作曲されたピアノ曲をお聴きいただきましょう。

【演奏動画】『冬暁に咲く花』(2023年度「音楽創作論」制作曲)

最終回の授業では私の演奏で曲を披露し、曲を聴いた学生たちに曲名を考えてもらったところ131の曲名案が集まりました。一昨年の曲『雪月夜』、昨年の曲と『揺蕩う夜空』同様、今回も明け方といった情景をイメージしたタイトルが非常に多く(例年、そうした雰囲気の曲を作ろうとする意識はないのですが…)、の文字が入ったものもいくつか見られました。

今年も魅力的な曲名案が数多く寄せられて、選定は非常に難航しましたが、最終的に、K君が考えてくれた『冬暁に咲く花』を選びました。この曲名には、視覚[暁と花]と触覚[冬の寒さ]、聴覚[静まり返った周囲の様子]といったさまざまな感覚が盛り込まれているのが素敵ですね。私にはとても思いつかないタイトルです。ちなみに「冬暁」は「ふゆあかつき」と読み、「冬の寒い夜明け」を意味する言葉のようです。

さて、この曲の作曲についても少しお話ししましょう。

動画の楽譜では、音符のいくつかに色がついています。「Aさん考案の部分動機【B】水色その変型【B´】「M君考案の部分動機+N君考案の部分動機で作られた動機【A】その変型【A´】のフレーズであることを示します。

これらのフレーズを楽曲展開の軸にして、次のような4つのセクションで全体を構成しました。


 ・第1セクション[第 1 〜10小節]:【B】の反復が中心
 ・第2セクション[第11〜20小節]:前半は【B´】、後半は【B】を中心とした展開
 ・第3セクション[第21〜32小節]:前半は【A】+独自フレーズの反復が中心、
                    後半は【A´】【A】の組み合わせを導入
 ・第4セクション[第33〜39小節]:【B】を長調で展開し、最後に【A】を置く



作曲にあたって苦心した点は2つあります。

1点目は、雰囲気が大きく異なる【B】【A】のフレーズによるセクションをどのように組み合わせるかということです。2点目は、リズムも音型も複雑な【A】のフレーズへの和声付けです。

1点目については、【B】【A】の両方に共通して含まれる3連符を、曲全体を統一するリズムに設定し、それぞれのセクションの移行部分にも導入することで自然な繋がりを心掛けました。

2点目に関しては、さまざまな和声付けの試行錯誤を重ねて、音楽の方向性が明確になるようドミナントモーションのコード進行を適用しました。また、【B】シンプルなハーモニーに対し、【A】複雑なハーモニーを導入することで、サウンド(響き)のコントラストも意識しています。

なお、最後の音は曲頭の音と全く同じになっていて、ループして聴いてもスムーズに繋がると思います。

来年度の「音楽創作論」を履修する学生がどのようなフレーズを考えてくるか楽しみですし、それに私が触発されてどんな曲を作るのか今からワクワクしています。

それでは、またお会いしましょう。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

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