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2023年度後期「音楽創作論」での作曲(その3):作曲者によるピアノ演奏と楽曲解説

2024年3月 1日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

本日は、前々回記事での「開始音と拍子の決定」、前回記事での「部分動機の作成」「動機の決定」を経て作曲されたピアノ曲をお聴きいただきましょう。

【演奏動画】『冬暁に咲く花』(2023年度「音楽創作論」制作曲)

最終回の授業では私の演奏で曲を披露し、曲を聴いた学生たちに曲名を考えてもらったところ131の曲名案が集まりました。一昨年の曲『雪月夜』、昨年の曲と『揺蕩う夜空』同様、今回も明け方といった情景をイメージしたタイトルが非常に多く(例年、そうした雰囲気の曲を作ろうとする意識はないのですが…)、の文字が入ったものもいくつか見られました。

今年も魅力的な曲名案が数多く寄せられて、選定は非常に難航しましたが、最終的に、K君が考えてくれた『冬暁に咲く花』を選びました。この曲名には、視覚[暁と花]と触覚[冬の寒さ]、聴覚[静まり返った周囲の様子]といったさまざまな感覚が盛り込まれているのが素敵ですね。私にはとても思いつかないタイトルです。ちなみに「冬暁」は「ふゆあかつき」と読み、「冬の寒い夜明け」を意味する言葉のようです。

さて、この曲の作曲についても少しお話ししましょう。

動画の楽譜では、音符のいくつかに色がついています。「Aさん考案の部分動機【B】水色その変型【B´】「M君考案の部分動機+N君考案の部分動機で作られた動機【A】その変型【A´】のフレーズであることを示します。

これらのフレーズを楽曲展開の軸にして、次のような4つのセクションで全体を構成しました。


 ・第1セクション[第 1 〜10小節]:【B】の反復が中心
 ・第2セクション[第11〜20小節]:前半は【B´】、後半は【B】を中心とした展開
 ・第3セクション[第21〜32小節]:前半は【A】+独自フレーズの反復が中心、
                    後半は【A´】【A】の組み合わせを導入
 ・第4セクション[第33〜39小節]:【B】を長調で展開し、最後に【A】を置く



作曲にあたって苦心した点は2つあります。

1点目は、雰囲気が大きく異なる【B】【A】のフレーズによるセクションをどのように組み合わせるかということです。2点目は、リズムも音型も複雑な【A】のフレーズへの和声付けです。

1点目については、【B】【A】の両方に共通して含まれる3連符を、曲全体を統一するリズムに設定し、それぞれのセクションの移行部分にも導入することで自然な繋がりを心掛けました。

2点目に関しては、さまざまな和声付けの試行錯誤を重ねて、音楽の方向性が明確になるようドミナントモーションのコード進行を適用しました。また、【B】シンプルなハーモニーに対し、【A】複雑なハーモニーを導入することで、サウンド(響き)のコントラストも意識しています。

なお、最後の音は曲頭の音と全く同じになっていて、ループして聴いてもスムーズに繋がると思います。

来年度の「音楽創作論」を履修する学生がどのようなフレーズを考えてくるか楽しみですし、それに私が触発されてどんな曲を作るのか今からワクワクしています。

それでは、またお会いしましょう。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

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