数学の不変性
2024年4月 3日 (水) 投稿者: メディア社会コース
「オッペンハイマー」という映画がアカデミー作品賞を受賞しました。第二次世界大戦の原爆の計画の中心だったのが、J・ロバート・オッペンハイマーです。
これに関係する数学者に、スタニスワフ・ウラムがいます。今日4月3日はウラムの生まれた日です。実は、ウラムは、大戦が終わった後も核関連の研究を続け、テラーとともに水爆の設計者となっています。そのため、あまり政治的な評判はかんばしくないのですが、現在のコンピュータの父と考えられているフォン・ノイマンもオッペンハイマーによる原爆の開発にかかわっていました。
ウラムは、現代のコンピュータを利用した計算方法にも用いられるモンテカルロ法を考案し、また、AI の自己複製につながるセル・オートマトンの発案者です。
数学はもっぱら戦争に使われるとか、数学者は戦争に加担している人ばかりだとか思われないために、平和運動に参加している数学者も少なくないことに言及しておきます。やはり同じような時代の、ノーベル賞を受賞したバートランド・ラッセルが有名です。オッペンハイマー自身も原爆の開発を後悔して水爆に反対していたのは事実のようです。
数学の結果は政治には無関係です。それどころか、人間の好き嫌いにも無関係です。そして、原則、変わりません。これを詩的に数学は裏切らないと言う人もいます。
だから、実際に使われているということを別にしても、仕事あるいは趣味として数学を使った研究をするというのは、ライフワークになるものです。そのときに、高校や大学初年度までの数学でイヤイヤ習ったことも役に立つ可能性はあります。あらためてですが、ぜひ数学を勉強してください。あさって述べることも、そのためのちょっとしたヒントになるかもしれません。
(メディア学部 小林克正)
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